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最終回を語れ!〜【ダイの大冒険】編

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ある作品の最終回を取り上げて徹底的に語るコーナーです。
今回は『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の最終回について語ります。
コーナーの性質上ネタバレ全開となりますので未読の方はご注意ください。

もともとは、ファミコンゲームソフト『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』の
販促的な企画で「週刊少年ジャンプ」に掲載されたこの作品ですが、
いざ連載が始まってみると、メディアミックスの企画漫画とは思えないほどの
人気を博しました。

当初はバラン編の直後に大魔王バーンが現れて最終戦に突入する予定だった
みたいですが、その人気の過熱っぷりから物語構成は大きく変更され、
1989年から1996年までの間、実に7年間に渡り長期の連載が展開されました。
(全344話)

物語は当初の主旨から一切ブレることなく、最終回前話までで大魔王バーンを倒す
という大目的を達成し、ついに物語は大団円を迎えることとなります。


  最終話「さらば!!! 愛する地上よ」

342話「さらば!我が友」、343話「さらば!!大魔王」ときて、
クライマックスの「さらば」シリーズ三部作完結編とでも言うべき
最終話「さらば!!! 愛する地上よ」です。

上昇を続けるバーンパレスはついに地上を見下ろす遥か天空まで
昇りつめました。
竜魔人と化した勇者ダイと鬼眼王と化した大魔王バーンの死闘は
苛烈を極めましたが、最後はついに勇者ダイが勝利するに至りました。

地上の仲間たちは遥か天空の勇者ダイの帰還を待ち続けます。
そして、ついに・・・!



ダイが、勇者ダイが地上へ帰ってきました!



落ちてくる勇者ダイを受け止める役は、ダイの一番の親友であるポップでした。

「この役だけは誰にも渡せねえぇっ!!」

ポップ悲願の勇者の凱旋でした!!



仲間たちからもみくちゃにされる勇者ダイ。
ダイにとっては自分が生命をかけて守った地上の人々から受ける
さっそくの祝福でした。
ところが、そんな祝福ムードに水を差すような不気味な声色が響きます。



そこへ現れたのは、なんと死神キルバーン!
アバンがたしかに首を刎ねたはずのキルバーンがなんと生きていたのです。
驚愕する一同に、キルバーンが自らの正体を明かします。



なんと、いままでキルバーンだと思っていた道化師の姿の男は
実はただの人形で、キルバーンの使い魔と思われた一つ目ピエロこそが
本当のキルバーンだったのです。
そして・・・!



キルバーンの人形の顔面にはなんと、いまわしき魔界の爆弾
「黒の核晶(コア)」が取り付けられていました。
ダイの父親・バランの命を奪ったり、大魔王バーンが地上破壊のために用いた
いわく付きの爆弾です。

キルバーンの本当の主は、魔界にいる冥竜王ヴェルザー。
地上破壊を目的とする大魔王バーンとは違い、地上そのものを欲しいヴェルザーは
キルバーンに機を見てバーンを暗殺するように命じていたのでした。
バーンは地上の勇者たちが倒してくれたが、大魔王以上の力を持つ
地上の勇者たちは非常に危険・・・!
キルバーンは黒の核晶を起動させ、地上の勇者を一掃しようとします。



その瞬間、はじかれたように飛び出した者たちがいました。
ダイとポップ・・・!
二人は核晶が起動したキルバーンの人形を抱えて上空へと飛び上がります。
手放している時間はなく、このまま二人は地上を守るために
心中してしまうことになります・・・!
でも、ポップはダイとふたりならそれでもかまわないと思いました。
・・・が、



ダイはポップを引き離しました。

・・・許してくれポップ
こうする事が・・・!!
こうして自分の大好きなものをかばって生命をかける事が・・・!!!
ずっと受け継がれてきた・・・
おれの使命なんだよ!!!



黒の核晶の大爆発から、地上は守られました・・・。
が、勇者ダイの姿はどこにもありませんでした。



それから数週間、仲間たちは世界中を探し歩きましたが、
勇者ダイの行方をつかむことはできませんでした・・・。

地上に突き立てられたダイの剣をみたポップには、
それがまるで墓のように見え縁起でもないと思いました。



しかし、それは勇者ダイが帰ってくる目印だといいます。
ダイの剣の宝玉はまだ光を失ってはいません。
それは、持ち主がまだ生きているということ・・・!
ダイがいまどこにいるかはわかりませんが、確実に生きています!
生きていれば、また会える!
ダイの帰ってくる場所は、地上(ここ)しかないのだから!



そうだ あいつが戻るその日まで
おれたちが世界を守っていこう
いつの日か あいつを見つけても
あいつが自分で帰ってきても



美しい大地や街並みや
平和な人々の暮らしを見て
これがおれの守った地上なんだ と
誇らしく胸をはれるようにしよう・・・!



ふたたび勇者が帰ってくる
その日のために・・・!!


  語り尽くせ、最終回!

さーて、いかがでしたか『ダイの大冒険』の最終回は。

単純に大魔王を倒してバンザーイ!で終わりではなく、
本当の最後の敵にキルバーンを据えたのは当時ちょっとした衝撃がありました。
しかも、キルバーンの本体が実は一つ目ピエロのピロロの方だった!
というのも驚きの展開です。
最後の最後まで、こういう驚きの演出を挟むのは原作の三条陸先生の
匠の仕事を感じます。
それも、キルバーンの再登場は単純に驚きの演出のためだけではなく、
さまざまな要素をもって、エンディングの印象を引き締めるのに効果を
発揮しています。

まずは、「その後」への妄想を読者にかきたてさせる効果をもっています。
いままで話には何度か登場していた「冥竜王ヴェルザー」の目的である
「地上制圧」がキルバーンによって地上の者たちに明かされますが、
ヴェルザーは現在、魔界で岩に封印されています。
そんなヴェルザーが何故地上を欲しがるのか・・・?
この辺は、実は大魔王バーンを倒したあとも「魔界編」なる展開に
続く予定もあったことによる名残らしいのですが、
それにしても、こういう続編への妄想の余地を残してくれたことで
ファンはいまだにこれをネタに語ることができるわけで、
エンディングにてほんの少しの謎を残すことは意外と良い味を出す
要素だったりするわけです。

そして、なんと言っても黒の核晶が発動したキルバーンをダイとポップが
なんとかしようとするシーン!
ダイがポップを引き離したときに、読者は気付かされます。
ダイは、「勇者」であり「竜の騎士」だったのだと。

最終戦の折、大魔王バーンと勇者ダイが対峙した際に
バーンはダイに以下の問いかけを投げていました。

余の部下にならんか?

人間は最低だぞダイ おまえほどの男が力を貸してやる
価値などない連中だ
そんな奴らのために戦って…それで勝ってもどうなる…?

…賭けてもいい 余に勝って帰っても
おまえは必ず迫害される…!

そういう連中だ 人間とは
奴らが泣いてすがるのは 自分が苦しい時だけだ
平和に慣れればすぐさま不平不満を言いはじめよる
そして…おまえは英雄の座をすぐ追われる…

勝った直後は少々感謝しても
誰も純粋な人間でない者に頂点に立って欲しいとは思わない…!
それが人間どもよ…!

(レオナの反論)違うわ! 絶対に私たちはそんな事しない…!

…それは姫よ そなたがダイに個人的好意を抱いているからにすぎん

それではバランの時と変わらん
たった一人の感情では"国"などという得体の知れないものは
どうしようもない事は公事にたずさわるそなたなら
ようわかろう・・・?

・・・だが余は違う!
余はいかなる種族であろうとも強い奴に差別はせん!
反旗をひるがえした今でもバランやハドラーに対する
敬意は変わらんよ・・・

・・・さあ!どうするダイ!
無益と判っている勝利のために生命を賭けるか?
おまえの価値を判っている者のために働くか・・・?


大魔王のこの問いかけに、ダイは「"NO"」と答えました。
そのときダイがバーンに語った言葉が印象的でした。

人間たちが好きだっ!!
おれを育ててくれたこの地上の生き物すべてが好きだっ!!!

…もし本当におまえの言う通りなら…
地上の人々すべてがそれを望むのなら… おれはっ…

おれはっ・・・!

 …おまえを倒して…! この地上を去る…!!


今回の、黒の核晶が発動する瞬間にも
上記のニュアンスと似たようなセリフをダイが発言しています。


こうして自分の大好きなものをかばって生命を賭ける事が…!
ずっと受け継がれてきた…おれの使命なんだよ!!

黒の核晶をかかえながら、ポップを引き離したダイの姿をみたとき、
この言葉とともにダイが大魔王へ投げかけた言葉がダブって
胸によみがえった読者も多かったかもしれません。

こういった、ダイの「勇者」や「竜の騎士」としての使命感を
あらためて提示するという意味でも、キルバーンの再登場から
黒の核晶発動までのラストエピソードは役割を発揮していると言えます。


最後の2ページをつかって、サブキャラクターたちの
その後が描かれていたのもかなり良かったです。





この2ページ。
『ダイの大冒険』という作品は、主人公たち以外のサブキャラたちの
ドラマもなかなか見ごたえのある作品でした。
で、この2ページにサブキャラたちのドラマの決着や今後の展望などが
見てとれます。

まずは、ポップとマァムとメルル。
メルル登場時からちょいちょい描かれていたこの三人の三角関係ですが、
ポップとマァムが完全にニブチンで、メルルが超ひかえめだったために
作中まったく進展しなかったのが特徴でした。
読者もこの三人の関係の進展についてはまったく期待せずに読んで
いたんじゃないでしょうか。
これが、バーンパレス突入時のポップのアバンのしるしのゴタゴタで
一気に、ポップ→マァムが好き メルル→ポップが好き
というのが発覚して(当事者たち以外は全員知ってましたが…)
当人たちとしてはギクシャクする間もなく、すぐに最終決戦へと突入して
しまったので、これは決戦後にあらためて三人で会ったときに
さぞや気まずかったことでしょう…
そんな気まずさを克服したのか、このコマではなんと三人一緒に冒険してます!
そういえばポップ、バーンパレスでマァムに告白までしたのに
ハッキリ返事もらってないんだよね・・・
これは、もしかしてこの三人でラブコメ展開あるか!?
ということを妄想させてくれるひとコマでした。

そして、アバン先生とフローラ女王様!
なんとアバン先生、玉座らしきものにちゃっかりとおさまってます。
もうこれはケツのコンしたことに間違いはありませんが、
考えてみればフローラさまもずいぶん可哀想でしたね。
出会ったときからアバン先生に惚れてたことは明確なのに、
アバン先生ってば、魔王ハドラーを倒したらすぐに弟子あつめに
奔走するわ、デルムリン島でメガンテかまして実は無事だったのに
一切無事を報告せずに地元の洞窟にこもって延々とダンジョン攻略
ですもんね・・・。
これはバーン戦後はフローラさまがガッチリとアバン先生を拘束したに
ちがいありません・・・

ヒュンケルとラーハルト!
いっしょに旅してますけど・・・
ヒュンケル、あんた重傷で戦士引退したんじゃないの・・・?
きっといつもの"不死身"パワーであっさりと復活したんでしょう。
ヒュンケルの一番の親友はクロコダインだったはずですが、
ぽっと出で、しかも復活までしたラーハルトがあっさりとその場を
奪っていきました。

その下のコマのエイミさんもヒュンケルを奪われたひとりw
エイミさん一度告白までしてフラれてんのになー
これどこまで追いかけるつもりでしょうか・・・。
(行き着く先がちょっとコワい)

獣王遊撃隊+先代獣王+ブラスじいちゃん!
魔物たちはやっぱりデルムリン島で暮らすのが住み心地いいでしょうね。
クロコダインのおっさん、戦いがおわったら嫁探しするとか
言ってたけど、いい嫁みつかった?

ニセ勇者一行とマトリフ師匠!
ピラァオブバーンで世界が消し飛ぶ直前に、最後のピラァに
あらわれたニセ勇者たちは、マトリフに激を飛ばされながらも
ピラァ内の黒の核晶を凍らせることに成功しました。
マトリフから、
「最後にチョコっと手を出すだけで英雄になれるんだ こんなボロイ役はねぇ」
とおだてられた結果がこのコマ・・・
あきらかに金品巻き上げられてて英雄になってるようには・・・

ロン・ベルクと北の勇者ノヴァ!
このコマみているだけで目から水がでやがる・・・
ノヴァといえば、初登場時は「勇者はひとりでいい」とかそんな感じの
自己中心的ないけすかない青年でした。
それがダイをみているうちに次第に考えがあらたまっていき、
最終戦では「真の勇者とは自らよりもむしろみんなに勇気を起こさせる者だ」
という悟りに達し、命がけの行動で他の者たちに勇気を
ふり起こさせようとしていました。
ロン・ベルクはこのノヴァの行動をみて、自分も生命を賭ける
決意をして、見事に超魔ゾンビとなったザボエラを討ちました。
しかし、この戦いによってロン・ベルクの腕は崩壊し、
武器鍛冶としては致命的な深手を負ってしまいました・・・。
ノヴァはロン・ベルクの手となり、ロン・ベルクに師事して
武器鍛冶を志します。
このひとコマでは、ノヴァが熱心に槌をふるう姿と、
それを満足そうに眺めるロン・ベルクが読者の胸を打ちます・・・。

さいご、レオナ姫・・・
思えば、作中決して活躍してないわけではないのに
こんなにもヒロインとしての存在感のないキャラもいないんじゃないでしょうか…
たぶん、活躍が政治とかそういう方向だから主人公たちの向きと
合致しなかったり、恋愛方面やるにしてもダイが超絶ドライだからといった理由で
ヒロイン的においしい思いが一切できなかったんじゃないかなと思います。
(最後にダイを受け止める役も、ポップに「この役だけは誰にも渡さねぇ」とかで
 譲ってもらえなかったし)
あ、でもフレイザード戦では氷漬けにされたのを勇者から助け出されてたから
そこがピークか・・・。
バーンパレス突入前からは突然キャラ的に優遇されだしたんですけどね。
フローラ様からしるしを与えられてアバンの使徒と同格に格上げされたり、
アバンですら身につけられなかった大破邪呪文ミナカトールを覚えたり、
アバン本人から、アバンの後継者役のお墨付きをもらったり、
あげく、大魔王との戦いでおっぱいポロリまでしてしまうんですよ!
おっと、最後のは失言でした・・・。
とにかく、ここまでやってる彼女になんでこんなに
ヒロインイメージが付かないのか…
この作品最大の謎かもしれないです・・・。


・・・とまぁ、こんな感じで『ダイの大冒険』の最終回は
さまざまなことを思い起こさせてくれる非常に良質な
最終回だったと思います。

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【故キャラを偲ぶ】〜パクノダ編(ハンター×ハンター)

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物語途中で死んでしまうキャラを取り上げ、そのキャラの
生前の活躍などを省みてその死を悼もうというコーナー記事です。

今回は『ハンター×ハンター』の「パクノダ」を取り上げます。
危険度Aクラスの盗賊集団「幻影旅団」の構成員である彼女。
物語序盤からのクラピカの旅団への憎悪っぷりから、
幻影旅団という集団は一体どれだけ極悪な集団なのだろうと
初期からの読者は想像をつのらせていたことでしょうが、
彼女の存在が読者の旅団に対するイメージをがらりと
変えたことだと思います。

ちょうどリメイクアニメ版ハンターでもパクノダのエピソードをもって
旅団編が終結したこともあり、ここらでちょいと記事にしてみます。
では、どうぞ


  特質系念能力者・パクノダ



パクノダの念能力は記憶を探る能力。
系統でいうと「特質系」にあたります。
人や物体に触れることで、記憶の底の最も純粋な原記憶を引き出すため、
相手が別のイメージをうかべて偽証したり表面上忘れてしまっていても
正確に情報を引き出すことが可能であり、彼女の「調査」は
幻影旅団の団長の最も信頼する情報となります。



また、引き出した記憶を「記憶弾(メモリーボム)」と呼ばれる
具現化した弾丸に込めて撃つと、撃った相手にその記憶を
植え付けることができます。
記憶を引き出された本人がこの弾で撃たれるとその人は
記憶を失うという設定もありますが、こちらの設定は
物語中では登場していません。

特質系能力者ということもあり、かなり希少価値の高い念能力者であり、
旅団のなかでも能力者としての彼女は重要視されています。


  幻影旅団



パクノダが所属する「幻影旅団」について触れておきます。
幻影旅団は、通称「クモ」と呼ばれます。

団長を蜘蛛の頭、団員を12本の蜘蛛の足に見立てた13人で構成されます。
以下、簡単なメンバーリストです。

 クロロ=ルシルフル (団長)(特質系能力者)
(画像上段左から)
 ノブナガ=ハザマ (特攻)(強化系能力者)(団員No.1)
 ウボォーギン (特攻)(強化系能力者)(団員No.11)
 フランクリン (特攻)(放出系能力者)
 マチ (伝令・治療)(変化系能力者)
 フェイタン (特攻)(変化系能力者)
 ヒソカ (特攻)(変化系能力者)(団員No.4)
(画像下段左から)
 パクノダ (情報・処理)(特質系能力者)(団員No.9)
 ボノレノフ (特攻)(具現化系能力者)
 シズク (情報・処理)(具現化系能力者)(団員No.8)
 シャルナーク (情報・処理)(操作系能力者)(団員No.6)
 フィンクス (特攻)(強化系能力者)
 コルトピ (撹乱)(具現化系能力者)

このうち、結成当初からのメンバーは、
クロロ、ノブナガ、ウボォーギン、フランクリン、マチ、
フェイタン、パクノダ、シャルナーク、フィンクス
の9人となります。
最初は9人だったとかではなく、おそらく最初から13人いたのでしょうが、
多少の欠員を出しつつ、今のメンバーに至っているのでしょう。
欠員が出た場合は団長がスカウト、もしくは団員の推薦のち団長の決定により
メンバーが補充されます。
また、欠員無しのときでも入団志望者は在団員を倒すことで入団できるようです。

活動目的は主に盗みと殺しで、たまに慈善活動もします。
盗品は団長が一頻り愛でるとすべて売り払うという割り切りっぷりで、
特にお宝コレクターという側面はない模様。
団員は普段は各自が自由に行動しており、団長の招集により特定のメンバーが
特定の場所へ集結して活動を行います。
全員が集結することは数年に一度あるかないかという頻度。

旅団内には最低限のルールが定められており、団員はそれを順守します。
特徴的なのは「団員同士のマジギレ禁止。もめたらコイン」というルールで、
団員同士で意見が割れた場合、コイントスで勝った方の意見が優先されます。
頭である団長の命令は絶対ですが、生死は別で、必ずしも団長を最優先に生かす
必要はありません。
「生かすべきは個人ではなく旅団(クモ)」というこの考え方は
彼ら独特のものであり、手足はおろか頭ですらも、死んだら代わりを
補充し、旅団という組織を存続させることを最優先に考えます。

こんなきわめて特殊な組織に所属する彼らですが、
仲間意識は非常に強く、個性的なメンツながらも互いが互いを
認め合っている感じは伝わってきます。


  9月、ヨークシンシティにて

9月にヨークシンシティで行われる闇オークションの商品を
強奪するため、幻影旅団としては3年と2か月ぶりに
全員集合することになりました。
ただ、3年2か月前とはメンツが多少変わっており、
4番のヒソカと8番のシズクが新しい顔ぶれとして加わっています。



何を盗むのかという団員の問いに、
団長・クロロは「全部丸ごとかっさらう」と告げました。
歓喜に沸く団員たちは早速仕事にかかります。

が、しかし不測の事態が幻影旅団を襲います。

なんと、肉体の強さは旅団イチであったウボォーギンが
何者かに殺害されてしまったのです。

ウボォーギンを殺害したのは鎖を使う念能力者。
圧倒的な戦闘能力を誇ったウボォーギンが敗れるのはにわかに
信じがたい出来事でしたが、大暴れするのが大好きだった
彼へのレクイエムとして、幻影旅団はマフィアを相手に派手に暴れます。
オークションの品物もある程度は入手することができました。

9月4日土曜日。
団長クロロはこの夜で品物をすべて頂戴し、ヨークシンを引き上げる決断をします。
ウボォーギンを殺した鎖野郎への報復がまだだということで
引き上げることについて団員のノブナガが反対しましたが、
クロロは念能力による占いの結果を提示して引き上げる根拠をしめします。

 大切な暦が一部欠けて遺された月達は盛大に弔うだろう
 加わり損ねた睦月は一人で霜月の影を追い続ける

 菊が葉もろとも涸れ落ちて血塗られた緋の眼の地に臥す傍らで
 それでも蜘蛛は止まらない 遺る手足が半分になろうとも

この占い詩は、クロロがある女性から盗んだ念能力でした。
4〜5行詩からなり、それが今月の週ごとに起こる出来事を暗示しています。
この占いの場合、「大切な暦が〜」の詩が9月第一週目の出来事、
「菊が葉もろとも〜」の詩が9月第二週目の出来事を暗示しています。
最初の詩はウボォーギンの死を他の団員たちが盛大に弔っている様子を
暗示させ、すでに起こった出来事が予知されています。
問題は2行目の「菊が葉もろとも〜」の詩で、蜘蛛の手足が半分になる
という表現がまるで旅団員の半数が死亡することを暗示しているようでした。



ノブナガ以外の団員を占った結果、4人の団員に死を暗示させる予言が出ます。
そのなかにパクノダもいました。
パクノダの2行目の詩にはこう出ています。

 暗くてわずかに明るい日 貴方は狭い個室で2択を迫られる
 誇りか裏切りしか答えはないだろう 死神が貴方の側に佇む限り

悪い予言には必ず警告が示され、それを守れば予言を回避できると
いう点がこの能力の最大の利点であり、パクノダの場合は
迫られた2択を正しく選ぶことができれば、死を回避できることが
できるようです。

今日は9月第一週の土曜日。
来週の9月第二週には各自が死の予言を回避するように
行動することが絶対となります。
なので、クロロとしては鎖野郎とやり合わないよう9月二週目を迎える前に
ヨークシンを離れるつもりでしたが、ヒソカの占いの結果に気になる
表現があることに気が付きます。

 仮宿から出てはいけない

つまり、ヨークシンから引きあげてはいけないということになります。
クロロはこの占いの結果を受けて、結局はヨークシンに留まる決断をしました。


  鎖野郎との戦い



来週に起こるであろう鎖野郎との戦いに備えていた幻影旅団でしたが、
ふとしたきっかけでクロロが鎖野郎の所在を掴むことができました。
9月第一週のうちに鎖野郎を葬ることができれば、悪い予言は成就しないはず。
幻影旅団は鎖野郎を急襲します。

しかし



鎖野郎の仲間と思しき二人の子どもを捕えたまでは良かったものの、
一瞬の隙にクロロが鎖野郎に捕えられてしまいます。
二人の子どもの記憶を読んだパクノダは鎖野郎の顔や能力を
掴むことができましたが、「2人の記憶話せば殺す」という
鎖野郎からのメッセージを受け取りました。



この一瞬で鎖野郎(名前はクラピカというらしい)を理知的で頭の回転が速く
秘密主義の上に基本は冷徹と推察したパクノダは、このメッセージが
脅しではなく真実であると判断しました。

旅団(クモ)ではこういう場合・・・

パクノダは旅団結成当初のクロロの言葉を思い出していました。



 生かすべきは個人ではなく旅団(クモ) それを忘れるな

この場合は どうなのだろう
パクノダは悩みます。
二人の子どもから引き出した記憶から、クラピカの能力とその弱点は
わかりました。
これを今旅団のメンバーに話せばクラピカを倒すことは容易です。

でも、それにはクロロの死が高い確率でつきまといます。
話すべきか、黙すべきか・・・。
悩むパクノダに占いの一節がよぎります。

 暗くてわずかに明るい日 貴方は狭い個室で2択を迫られる
 誇りか裏切りしか答えはないだろう 死神が貴方の側に佇む限り

しかし、この占いは来週の出来事。
すくなくとも今ここで2択を迫られているわけではない・・・。
パクノダは、クロロに生きていてほしいと思いました。
パクノダは黙す決断をします。

 たとえ、それが旅団(クモ)に対する裏切りでも・・・!!




リンゴーン空港に8時。パクノダ一人で来ること。
パクノダはクラピカの要求にしたがいます。



空港でパクノダとクロロはクラピカから念の刃を心臓に刺されます。
そのうえでクラピカはパクノダに条件を提示します。

 一つ、今夜0時までに二人の子ども(ゴンとキルアというらしい)を解放すること
 二つ、クラピカについて一切情報を漏らさないこと

これに従わない場合、念の刃がパクノダの心臓を貫くことになります。
パクノダはゴンとキルアを解放するため、アジトへと戻ります。



案の定、一部の仲間からはそんな要求は飲めないと反対されました。
旅団はパクノダ支持派と不支持派に分かれ、あわや仲間割れ寸前まで
緊張が高まりましたが、ゴンの一喝によって静まります。
そして、しぶしぶながらも仲間の同意も得て、パクノダは
ゴンとキルアを連れてふたたびリンゴーン空港へと向かうのでした。

パクノダ一人から逃げようと思えば逃げられるはずなのに、
ゴンとキルアは何故か逃げようとはしません。
二人は、クラピカの仲間だからこそクラピカに人殺しは
して欲しくない、だから交換で済むならそれが一番いいと言いました。
仲間を想う気持ちに理解を示してくれたゴンとキルアに、
パクノダはただ感謝します。

そして、人質は交換され、クロロは解放されます。
ただしクロロはクラピカの念の刃により、念能力の使用禁止と
旅団員との接触禁止という制約が付けられた上での解放となります。



クロロの解放が無事に済み、ふたたびアジトに戻るパクノダに
ヒソカが告げます。
実はヒソカの「仮宿から出てはいけない〜」という占いは
偽装だったと。
ヒソカは幻影旅団員の振りをした偽りの団員でした。

ヒソカの本当の占いでは、今日この出来事が起こるのは
来週の火曜日だったはずで、しかもヒソカが退団するときには
団員は半分になっているはずだったといいます。

 運命は少しずつだけどズレてきてる




雨の中、パクノダはアジトへと戻ります。
ひとつの決断を胸にひめて。



記憶弾(メモリーボム)・・・。
一度に撃てる弾は6発。
奇しくもちょうど結成時のメンバー分でした。



パクノダは弾丸に自分の記憶、想いのすべてを込めて発射します。



仲間に自分の記憶を植え付けると同時に、
「クラピカの情報を漏らしてはいけない」という制約を受けた
念の刃がパクノダの心臓を貫きました。

 お願い 私で 終わりに・・・



パクノダの記憶を受け取った仲間たちはすべてを理解しました。

鎖野郎(クラピカ)の能力のこと。
念能力を封じられた団長のこと。
パクノダの仲間への想いのこと。

パクノダの死をもって、旅団と鎖野郎との闘争は終息します。
以降、9月にこれ以上団員が死ぬことはありませんでした。


  予言詩とパクノダの死について

この旅団のエピソードは解釈が非常に難しいエピソードです。
解釈を難しくしてるのが、予言詩。
クロロが旅団員全員分(生年月日・血液型がわからない人以外)を
占っているはずですが、作中提示されたのは一部のメンバーの
一部の詩だけ(2行目だけとか)なのが歯がゆいです。

クモの手足が半分死ぬ(つまり6人死ぬ)ことがはっきりと出ているのに、
実際に死の予言が出たのは、シズクとパクノダとシャルナークのみ。
ウボォーギンはすでに死んでいるのでこれで4人です。
あと2人はデータ不足で占えなかったフィンクス、フェイタン、コルトピの
うちの2人というところでしょうか。
クロロとしては、9月二週にそなえて死を回避するようにメンバーを
班分けしましたが、結局クラピカとの対決は9月一週目の土曜に行われます。

で、ここでパクノダの予言詩にあったような出来事が起こるわけですが、
この時点ではまだ9月一週なので予言詩にあるような「2択」は
まだ迫られないはずでしたが、パクノダは旅団にとっては
「裏切り」ともいえる行動を選択しました。

人質交換が終わったとき、時間は0時を過ぎたはずなので
ここで曜日が日曜日にかわります。
つまり、9月の第二週に突入です。
パクノダは決意を秘めて仲間のもとへと戻ります。

アジトにて、パクノダは仲間に自分の記憶を撃ちこみ
念の刃に貫かれて死亡します。
この状況こそがパクノダの予言詩に出ていた状況ではないでしょうか。

 暗くてわずかに明るい日 貴方は狭い個室で2択を迫られる
 誇りか裏切りしか答えはないだろう 死神が貴方の側に佇む限り

「暗くてわずかに明るい日」というのは、「0時過ぎたばかりの日曜日」
「狭い個室」は、「パクノダの頭の中」? それとも人質交換の現場「飛行船の個室」か?
「誇りか裏切り」は、「仲間に真実を伝えるか黙するか」ということでしょう。
「死神」というのは、「クラピカの念の刃」だと思います。

パクノダ自身の死を回避するには、もちろん黙るか偽るかという
「裏切り」を選択すべきでしょう。
ですが、パクノダはここで「誇り」を選択しました。
その結果、「死神」により命を奪われてしまいますが、
このパクノダの行動によってすべてを悟った仲間は
鎖野郎とのこれ以上の闘争は無益だと理解し、戦いは終結します。
(団長の念の刃はクラピカが死んでも消えない可能性が高いため)

つまり、パクノダの死によって他の仲間の死が回避されたことになります。

「お願い 私で 終わりに・・・」

と彼女が最期に願った通り、旅団の仲間たちはそれ以上死ぬことはありませんでした。
パクノダは、自分の命をもって死にゆく運命にあった仲間たちを救ったのです。

それは、誰よりも仲間を大切に想っていた彼女らしい最期でした。

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【先生キャラの言葉】〜ぬ〜べ〜先生編

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さまざまな師匠キャラから実のある言葉を頂戴する「師匠キャラの言葉」
のコーナーの更新が止まってはや1年と8か月・・・。
思えばこのコーナーは「師匠キャラ」という括りにしばられすぎていました。

人に物事を教える立場のキャラの発している実のある言葉を
吟味しようというのが主旨であるわけですから、
別に「師匠キャラ」にこだわりすぎなくてもいいわけです。
というわけで、お言葉を頂戴するキャラの範囲を「先生キャラ」に
まで広げてみました。
「師匠」って感じではぜんぜんないけど、とても教訓になる
言葉を残している先生キャラは多くいるはずです。

そういうことで、まず着目したのがジャンプ先生キャラの中でも
今なお存在感を残している「ぬ〜べ〜」こと鵺野鳴介先生から
実のあるお言葉を頂戴しようと思います!

なお、今回は記事の主旨に沿って、ぬ〜べ〜が「先生として」発言した
言葉を中心に集めております。

では、どうぞ〜


  生徒と正面から向き合うまっすぐな言葉

左手の鬼の手を使って生徒たちを妖怪や霊から守る地獄先生ぬ〜べ〜。
「霊能力教師」としての印象の強いぬ〜べ〜ですが、
まずは彼の純粋な「教師」としての言葉を抜き出してみました。



人がなんと言おうと正しいと思ったことは
つらぬき通せばいい!
それでも文句言う奴には決定的な証拠をつきつけて
ギャフンと言わせてやるのさ!

体育の時間、ぬ〜べ〜クラスの生徒・まことは
「この鉄棒には河童がいるから鉄棒はやめた方がいい」と発言して、
他の生徒たちから「鉄棒ができなくて恥をかくのが嫌だからウソをついている」
とからかわれます。
しかし、ぬ〜べ〜だけはまことの発言を信じました。
実際、ぬ〜べ〜はすぐさま鉄棒を使用禁止にして、
河童について調べ始めます。
その際に、まことから「もういいよ、どうせ誰も信じてくれないし」
と言われたことに対しての返しの言葉です。

生徒を軽んじることなくまっすぐ向き合ったぬ〜べ〜らしい言葉です。
決してうわべだけで信じていると言っているわけではなく、心から
まことの発言を信じていることは、鉄棒を即刻使用禁止にしたことから
わかります。
まことはぬ〜べ〜のこの言葉に感動し、自分が正しいことを証明するために
河童をおびきよせます。
結果、河童は現われ、まことの言葉が正しかったことが証明されました。




お前はちゃんと反省する心をもっている
だから許そう

克也、人間は自分と同じ欠点のある奴といっしょにいると
たしかにホッとする、安心できる
しかし、それではキズをなめあう負け犬と同じ…
本当の仲間ってのはお互いの欠点を補いながら
成長していくものさ…
そして、お前にはそういう仲間がたくさんいる…


ぬ〜べ〜クラス一の不良・克也。
彼は良い子ちゃんが集まるぬ〜べ〜クラスの仲間たちに
どうもいまひとつなじめません。
この日も全国模試のために補習を受けるクラスの連中について行けず、
答案を盗もうとします。
その際に知りあった不良生徒と意気投合し、こういうのが本当の
「仲間」ってもんだと実感した克也でしたが、
その不良は実は幽霊であり、克也を血の部屋へと引きずりこみます。
克也はぬ〜べ〜とクラスの皆によって部屋から助け出されますが、
自分のような不良はぬ〜べ〜クラスにいる資格がないと
落ち込んだ克也に対するぬ〜べ〜の言葉です。

「お前は反省する心をもっている だから許そう」
ってシンプルですけど生徒の改心を心から信じている
ぬ〜べ〜らしい良い言葉だと思います。
そのあとの「仲間」論はぬ〜べ〜の持論でしょうか。
ぬ〜べ〜クラスの友達は仲間って感じがしないと
漠然と思っていたこのときの克也には心に響いた言葉だったでしょう。




ばかやろう!
自分のしたことをよく見てみろ!


やさしい言葉が続いたので、ここらで厳しめの言葉を入れときます。
子どもたちを怖がらせる「口裂け女」を捕まえようと
息巻く広たちに対する厳しい言葉です。
普段の面白くやさしいぬ〜べ〜からは想像もつかないような
ビンタからの一喝ということで、広も相当面食らってるのがわかります。

広たちが追い詰めた口裂け女は、低級な動物霊が人間の女の顔を
変えてしまっただけの霊であり、周囲の人間が化け物扱いを
することで噂が広まり、妖怪化した悲しい存在でした。
「妖怪」というのは絶対的な悪の存在ではない。
人の心が妖怪を創り出すのです。

ぬ〜べ〜の一喝は、そのことを子どもたちにわからせました。




生徒たちの「ありがとう」と「大好き」
これが俺の力の源なのさ
教師になればわかるぜ玉藻


ぬ〜べ〜のモチベーションリソースがよくわかる言葉です。
いたって単純!それが良し!

要は子ども大好きなんですね、ぬ〜べ〜先生は。
人間誰しも自分の好きなものに対しては大きな力を発揮できるものです。
教師の資質として一番大事なものって、「子どもを好きであること」
なんじゃないかってぬ〜べ〜先生を見てると思います。
教えるのが上手とか、そういうのは二の次なんじゃないかな。


  霊能力教師としてのぬ〜べ〜

さて、ここまでぬ〜べ〜の純粋な「教師」としての
言葉を紹介してきましたが、
ここらで「霊能力教師」としてのぬ〜べ〜の教育の仕方を
ちょっと紹介してみます。
言葉を取り上げるわけではないので、ちょっと主旨から外れるかも
しれませんが、ぬ〜べ〜という教師を理解するうえで
このあたり重要となりますのでお付き合いください。



身体が弱く、常に入院を余儀なくされているあゆみちゃん。
しかし、彼女はある方法を使ってぬ〜べ〜クラスの授業を受けているのです。
その方法とは、ぬ〜べ〜直伝の「陽神の術」!
気を練り、自分とそっくりの分身を作り出すこの術を使って、
病院から出ることのできないあゆみはぬ〜べ〜クラスの授業を受けているのでした。

なんと、ぬ〜べ〜は霊能力を教育に活用しているのです!!
それも、病気で動けない子どもが安全に授業を受けられるという
画期的な解決策でした。
もちろん、あゆみに霊能力の才能があったことは大きいですが、
根気よく行ったぬ〜べ〜の訓練の賜物であったことでしょう。

他には、子どものことは「一番身近な」保護者に聞くのが一番と、
子どもたちの守護霊を呼んで懇談会を開いたりしていました。






子どもたちをおびやかす妖怪たちの存在は、同時に子どもたちへ
なんらかの反省・戒めをうながすきっかけにもなっています。

大金持ちのボンボン、秀一は物を大切にしない傾向がありましたが、
九十九神の百鬼夜行を見て考えを改めました。
生き物を大切にしない金田のもとに現れた以津魔天は、金田に
生き物の魂の重みを考えさせました。

他には、「正しいこと」として事あるごとに告げ口をしていた静が
妖怪・三尸に告げ口をされることによって、自分がとても嫌なことを
していたと気付く場面とかもありましたね。

こういった霊的なものが教育に生きているのは、
まさに「ぬ〜べ〜」という先生ならでは!






そんなぬ〜べ〜も、ガチで危険そうな霊的な遊びや噂話の類には、
頭ごなしに否定したり、あからさまにからかったりして
子どもたちが興味を持たないように気をつけていました。
(これがよく裏目に出てましたが…)



そんなぬ〜べ〜の態度を子どもたちなりにわかってきたのか、
終盤ではこんな場面も。

以上、霊能力教師としてのぬ〜べ〜でした。


  悩める教師ぬ〜べ〜

さて、教師として霊能力者として華麗なる活躍をしているように
みえるぬ〜べ〜先生ですが、実は教育者として力がおよばずに
悩んだりすることも度々ありました。



しょせん俺の先生としての力なんかそんなもんか
教師ってむずかしいなあ

教育の難しさを素直に嘆くぬ〜べ〜です。
いままで、克也の盗みぐせを何度も注意してきて、
そのたびに克也は反省の色をみせていたのに、
ほとぼりが冷める頃に克也はまた盗みぐせを発揮してしまいます。

ここでのぬ〜べ〜の言葉は、
克也をクズとして見放すという発想を微塵もせずに、
自分の教育者としての能力のなさを嘆いている
というのが地味にすごいところです。
普通、ちらっとでも「あいつはだめだ」とか思ってしまいそうなものですが…

ぬ〜べ〜のこうした姿勢は克也の内面をすこしずつ変えて行き、
克也はこれ以降何度か不正を行うことはありましたが、最終的には
責任感の強い立派な少年へと成長を遂げました。




なんだか今日はお前達のことが今さらながら
よくわかったよ
教壇の上からだけじゃ本当の姿はわからないんだな…


陽神の術を使って小学生の姿になったぬ〜べ〜が
広たちと行動をともにして、教師としての立場では
わからなかった一面をみんなが持っていることに
気付いた場面での言葉です。
これはなかなかに実感を伴った深い言葉ですよ・・・。

「子どもたちの目線に立って」という耳触りのよい言葉を
よく聞きます。実際、ぬ〜べ〜もそういったことは
心がけていたと思いますが、ガチで子どもたちと
同じ目線に立った結果、教師という立場からでは
絶対にわからないこともあると悟ったわけです。
教育者としての限界も知っておかないとね。

そして、霊能力教師としての限界も・・・




助けられなかった・・・!!
教師になって俺は・・・
子どもたちの悩みをハッピーエンドのTVよろしく
解決してやるなんて・・・
甘い夢を見ていたんだ・・・

だが、だが現実は・・・
もうとても教師になんか・・・


まだ童守小に赴任してくるまえの新米教師のぬ〜べ〜です。
鬼の手もまだなく、霊能力教師としても新米のぬ〜べ〜は、
強力な悪霊に取り憑かれた恵という少女を必死に救おうとします。
結果、悪霊を払うことはできましたが、恵の肉体の
衰弱は激しく、そのまま帰らぬ人となってしまいました。

ぬ〜べ〜は霊能力教師として子どもたちの悩みを解決してやる
という甘い幻想と、今ここで起きている現実のかい離に絶望し、
思わず教師をあきらめそうになります。
しかし、死にゆく恵が遺した言葉がぬ〜べ〜を教師に
おしとどめることとなりました。


先生・・・わたしとても感謝してますよ
先生は きっといい先生になります
だってこんなに熱い情熱と
人をしあわせにできるすばらしい力を
もってるんですもの・・・

きっと これから先生は
この力でたくさんの子どもたちを助けるんですね・・・
私・・・ずっと見ていますよ
先生の活躍を

だから・・・
だから絶対先生になって・・・


この言葉を受け取り、教師としてのぬ〜べ〜は死なずにすみました。



ああ かならず先生になる・・・
そして 君のように霊のことで苦しんでいる子を
たくさんたくさん助けよう
約束するよ きっと きっと・・・

ぬ〜べ〜の背負っているものがよくわかる言葉でした。
以上、悩める教師ぬ〜べ〜でした。


  地獄先生ぬ〜べ〜



この世には
目には見えない闇の住人たちがいる

奴らはときとして牙をむき
お前たちを襲ってくる

俺は

お前たち生徒を守るためなら

地獄の底からでもよみがえり

かならず・・・来る


死んでしまったぬ〜べ〜が生き返った場面での言葉です。
地獄からよみがえってきたということで、文字通りの地獄先生ぬ〜べ〜が
ここに誕生します。

もうこの場面のこの言葉は、ぬ〜べ〜という先生をもっとも顕著に
あらわしているといっても過言ではないでしょう。
すなわち、

生徒のためなら、たとえ死んでも地獄の底からよみがえる先生!

すごいぞ、ぬ〜べ〜!!


さて、つぎで最後です。
最後はやっぱりこの場面から〜



お前たちを世界で一番愛しているから
俺から卒業してほしいんだ


教え子と教師のお別れはいずれはやってきます・・・。
ぬ〜べ〜は自分を必要とする次の生徒たちのために、
九州へと転任します。

ずいぶんと強くたくましく成長した5年3組の生徒たち。
ぬ〜べ〜は、5年3組の生徒たちはもう自分がいなくても
強く生きていけるとわかっていました。
そんな生徒たちに投げた素敵な言葉です。

霊能力教師として多くの子どもに希望を与えたぬ〜べ〜。
ときに自らも生徒とともに悩みながら一緒に成長しました。

本当にありがとう、ぬ〜べ〜先生!!

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週刊少年ジャンプ一年間の歩み[2012年]

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2012年から週刊少年ジャンプの記録を付けようと思います。

週刊少年ジャンプの、作品内外で起きたさまざまな印象的出来事、
連載が始まった作品、終わった作品などを月単位で
列挙して簡単な感想を添えて記録に代えることにします。

2012年はジャンプにとって印象深い年でありました。
以下に見ていこうと思います↓


  1月

〜主な出来事〜

【ワンピース】
 魚人島編が終わり、新世界編へ突入

【黒子のバスケ】
 連載3周年目ということで巻頭カラー(表紙は銀魂)あり。
 巻頭カラーの翌週に何故か掲載順が最下位になる。

【べるぜバブ】
 ヒルダの記憶なくなってラブコメっぽくなる

【ブリーチ】
 死神代行消失篇終了。新章のために三週のお休みあり

【スケットダンス】
 スケット団の後輩的存在・ポケット団誕生

【読み切りなど】
 のちに連載化される『恋染紅葉』の読み切り掲載。

〜感想〜

 2012年末の今、ふりかえって特筆すべきところといえば、
 やっぱり『黒子のバスケ』の扱いですね。
 黒バスは2012年の4月からアニメが放送され、それを
 きっかけに人気が爆発しましたが、この頃はまだ
 掲載順も真ん中より下の常連であり、ジャンプ内の人気は
 中位〜下位といった印象でした。
 3周年記念の巻頭カラーはもらえても表紙はもらえなかったり、
 その翌週には掲載順が最下位になっていたりといった扱いが
 ジャンプ編集部からの期待値の少なさをものがたっています。
 それがあれほど化けるとは・・・


  2月

〜主な出来事〜

【バクマン。】
 作中で『リバーシ』が悲願のアニメ化が決定する。これに合わせて、
 なんとガチのジャンプの表紙に「祝!リバーシアニメ化決定!!」
 とか記載され、軽い詐欺みたいな感じに。

【ブリーチ】
 新章・千年血戦篇に突入。尸魂界がなんだか大変なことに。

【ハンター×ハンター】
 ずっと沈んでたゴン復活。主人公不在期間がえらく長かった・・・。

【鏡の国の針須川】
 連載終了。最終話の次週に後日談が掲載されるという異例の展開。
 本編は、鏡に閉じ込められた主人公とそれを助けようとする
 ヒロインが織りなすラブコメで比較的堅実につくられていたが、
 後日談はかなりはっちゃけたエロコメな話だった。

【ニセコイ】
 小野寺さんが決死の思いで楽に告白するも、野球ボールに邪魔され失敗。

【ハイキュー!!】
 新連載。ジャンプでは珍しい必殺技も特殊能力もない
 正統派スポーツ漫画(バレーボール)。
 インパクトはないが、丁寧なキャラづくりで
 じっくりと良さが伝わる作品。

【パジャマな彼女】
 針須川と入れ替わるように現れたまさかのラブコメ。
 幽霊になってしまったヒロインとそれを助けようとする
 主人公の物語という、ちょっと終わってしまった
 『針須川』と同じ臭いのする作品。
 
【読み切りなど】
 のちに連載化される『烈!伊達先パイ!!』が掲載。

〜感想〜

 ジャンプでは珍しかったラブコメ枠が『針須川』の連載終了により
 ひとつ減りましたが、ここにきてまたもラブコメの投入か!
 と思ったものでした。『パジャマな彼女』。
 また、これまたジャンプでは珍しいバレーボール漫画『ハイキュー』
 が始まります。
 この二作品の明暗についてはまた後ほど。


  3月

〜主な出来事〜

【べるぜバブ】
 連載3周年記念表紙&巻頭カラーあり。
 アニメは3月をもって放映終了。

【ぬらりひょんの孫】
 連載4周年記念だけど・・・センターカラー。

【magico】
 連載1周年記念・・・やっぱりセンターカラー。

【ハンター×ハンター】
 壮大なヒキでついに長期休載に突入することに。
 「ヒキがヒキだけに早めに戻ってきます」
 と冨樫先生が巻末コメントで発言してたけど
 2012年中に連載再開はなし

〜感想〜

 特筆はやっぱり『ハンター』の休載でしょうか。
 ゴンとジンの割とあっさりした再会は、幽白終盤の
 ノリを思い出します。
 が、そのあとの壮大なヒキには驚かされました。
 "外側の世界"とか心躍らざるを得ない!
 長い休載期間中にしっかりとした構想が練られていると
 思いたいです・・・。


  4月

〜主な出来事〜

【ジャンプ18号について】
 週刊少年ジャンプ2012年18号はかなり異色な製本となっています。
 というのも、表からはもちろん、裏からも読めるようになっているのです。

 こんな感じでした↓
 [表紙(SIDEめだか)]
 
 [裏表紙(SIDE黒子)]
 


 本の真ん中に目次があり、表から読み進めていく「SIDEめだか」と
 裏から読み進めていく「SIDE黒子」に作品群が分かれています。
 言ってみれば、「ダブル巻頭カラー」となった
 『めだかボックス』と『黒子のバスケ』はともに4月から
 アニメが放映される作品でした。


【めだかボックス】
 黒神めだか後継者編がこれにて完結。
 人吉善吉が箱庭学園の生徒会長となり、旧生徒会メンバーは
 以降、球磨川以外ほとんど登場しなくなる。

【バクマン。】
 作品内でリバーシを綺麗に終わらせるべきみたいな話をやっていて、
 なんとバクマン自体もサイコーが亜豆と恋愛を成就させたところで
 スパッと完結させてしまった。
 というわけで連載円満終了となりました。

【ST&RS−スターズ−】
 こちらも連載終了。ジャンプでは異色の宇宙飛行士モノとして
 始まったが、最後は宇宙人との邂逅まで話が飛躍した。

【読み切りなど】
 のちに連載化される『クロス・マネジ』が掲載
 また、のちに連載される『新米婦警キルコさん』の
 前身となる『ダブルバレット』が掲載

〜感想〜

 変わった製本の18号はインパクト十分でした。
 アニメ化2作品のプッシュ号でしたが、2作品の
 人気はジャンプ内でも中くらいで人気的には
 同程度だったと思われます。
 ただ、『めだか』が18号で表面とってたところを考えると
 ジャンプ編集部は、ややめだか推しだったのかもしれません。
 ところが、テレビアニメ効果が予想以上にあらわれたのは
 『黒子のバスケ』の方でした。
 また、『バクマン』がスパッと終わったのも驚きでした。
 本編中で亜城木夢叶が作品の引き伸ばしを望んでいないと
 いう話をやっていたので、まさかと思ったらバクマン自体も
 潔く終わってしまいました。


  5月

〜主な出来事〜

【ジャンプラブコメ戦国時代の幕開け】
 新連載がスタートする時期ですが、なんと
 すでに『ニセコイ』と『パジャマな彼女』で2枠とってる
 ラブコメ枠に、あらたな作品が投下されます。
 1月に読み切りが載った『恋染紅葉』の登場です。
 ここに、ジャンプラブコメ戦国時代の幕が開きました。

【ニセコイ】
 小野寺さん、楽に「10年前の約束の子って小野寺…?」
 と聞かれ、思わず「うん、そうだよ」と返す 

【パジャマな彼女】
 新連載『恋染紅葉』の第一話と同じ号で、
 白井先輩が見開きページで「好き」発言。

【恋染紅葉】
 新連載。先人のラブコメ勢に割って入ろうという士気満々の第一話。
 見開きページで「わたしの彼氏になってくれない?」で、
 結果的にパジャかのへの牽制になっていた。
 (第一話なので掲載順は当然こっちが先)

【超能力者 斉木楠雄のΨ難】
 新連載。過去に何度も何度も掲載された読み切りの
 悲願の連載化。
 ジャンプでは人気確保が難しいギャグ枠での
 快進撃がはじまる・・・。

【戦星のバルジ】
 新連載。正統派バトルアドベンチャー。

【現存!古代生物史パッキー】
 恐竜キャラによるどたばたギャグ漫画。
 とくにいいところ見せられず連載終了。


〜感想〜

 出来事であらかた書きましたが、ジャンプラブコメ戦国時代です。
 前年からの針須川、ニセコイの連載開始から兆候はありましたが、
 2月からのパジャかの、そして本月の恋染紅葉で
 ジャンプはラブコメを推しに来ている!
 と感じられました。
 (実際、ネット上でそういう感想があふれてましたし、
  斉木では最近のジャンプは恋愛だらけとネタにされてました)
 この戦国時代は2012年中に終息することになりますが、
 三作品の奮闘ぶりにはなかなか見どころがありました。


  6月

〜主な出来事〜

【ニセコイ】
 巻頭カラーでもないのにジャンプ表紙を飾り、
 ラブコメ三国の中でも抜きんでていることが証明される。
 内容的には、
 小野寺さん10年前の約束の女の子最有力候補決定で
 正ヒロインかと思いきや、千棘も楽と10年前に
 会っていたことが判明して一気に噛ませフラグが点灯する。

【黒子のバスケ】
 VS陽泉決着回で巻頭カラーを飾るも、なんと表紙を
 ニセコイにとられる。
 アニメ大人気効果があらわれるのはまだ先か。
 陽泉戦後、キセキの世代になりそこねた男・灰崎が登場。

【べるぜバブ】
 160話記念巻頭カラー。
 アニメが終わっても勢いは衰えず。
 長編バトル展開には持って行かず中編程度の
 ややコメディ色強めの話で安定している印象。

【こち亀】
 星逃田が登場。特殊刑事課に配属される。

【ぬらりひょんの孫】
 晴明との最終決戦直前になんと本誌での連載が終了。
 以降、ジャンプNEXTに移籍しての最終章掲載ということ
 だったが、実質都落ち。
 「ぬら孫ジャンプNEXTに移籍」はヤフーニュースでも
 記事になった。

【いぬまるだし!】
 こちらも連載終了。
 ジャンプ憩いのスペースである短ページギャグ枠が
 これでなくなってしまった・・・

【読み切りなど】
 以前『競技ダンス部へようこそ』という読み切りが掲載された
 横田卓馬先生の『こがねいろ』が3週連続特別読み切りとして掲載。
 ジャンプ作品としては異色の大学受験を題材にした青春恋愛もの。
 また、ジャンプSQより『貧乏神が!』の出張読み切りも
 掲載された。

〜感想〜

 ぬらりひょんの孫の本誌での連載終了はついに来たか
 という感じでした。
 ここのところ掲載順はほぼ後ろということでアンケート
 取れてないのかなーという印象でしたから。
 でも、コミックスの売り上げは累計1000万部以上と
 好調なはずなので、コミックス派の人が多かったのか。
 いずれにせよジャンプでは貴重な妖怪枠がなくなったのは
 個人的には残念でした。


  7月

〜主な出来事〜

【スケットダンス】
 連載5周年巻頭カラーでスイッチの過去編に突入

【黒子のバスケ】
 灰崎、あっさりと退場。なんだったの

【ニセコイ】
 まさかの3人目の10年前の約束の子候補登場。

【パジャマな彼女】
 幽霊だったまくらが復活し、完全に作品の主旨が変わる。
 主人公たちは天文部を立ち上げ、新たな展開に。

【こち亀】
 ロンドン五輪のオリンピックイヤーということで、
 日暮さんが登場する。

【magico】
 連載終了。ジャンプNEXTに後日談掲載ということで
 やや優遇された打ち切り最終回となった。
 世界のためとかではなくただ嫁のために戦う
 魔法使いのラブラブ冒険ファンタジーとして
 存在感を残したまま終了。

【暗殺教室】
 ネウロの松井先生の新連載。
 初回からインパクト十分で、一気に話題となった。

【タカマガハラ】
 暗殺教室に続く新連載第二弾だったが、
 完全に暗殺教室に話題を食われた格好となった。


〜感想〜

 特筆はやっぱり『暗殺教室』の開始でしょうか。
 正体不明のタコのような生物があらわれていきなり月を破壊。
 さらには「来年の3月に自分を殺せなければ地球を破壊する」
 と言い放ち、なぜかある中学校の3年E組の担任教師に
 なることを願い出て、その3年E組の生徒たちが
 担任となった謎の生物を暗殺することになる
 という、特殊すぎる設定が話題を呼び、読者から
 爆発的支持を得ました。
 のちに発売されるコミックスの売り上げも良く、
 ジャンプの新たな看板作品が誕生しつつありました・・・。


  8月

〜主な出来事〜

【暗殺教室】
 連載開始からすぐに掲載順上位常連に。
 ビッチ先生登場。

【ハイキュー】
 本格スポーツ漫画としての人気を確立。
 烏野高校因縁の相手・音駒高校との練習試合はじまる。

【ニセコイ】
 小野寺さん、楽とメアド交換。メールで告ろうとしてやめる。

【斉木楠雄】
 最強かと思われた斉木、ゴキブリにびびる

【黒子のバスケ】
 ついに念願の表紙&巻頭カラーがもらえる。
 赤司の能力が判明し、「頭が高いぞ」で引くインパクト十分の回。
 表紙に「大大人気御礼巻頭カラー」のアオリ文句が付き、
 ようやくアニメ効果が本誌にあらわれた形となった。

【めだかボックス】
 漆黒宴編が終了。不知火不知編へ突入。
 黒子ほどは目立ったアニメ効果はみられず。
 (アニメ一期は6月で終了。二期は10月から)

【読み切りなど】
 『るろうに剣心』第零幕が掲載。
 映画の公開にあわせた企画か。


〜感想〜

 ここにきてようやく黒子のバスケのアニメ効果が本誌にあらわれました。
 また、作品としては若い『ハイキュー』『ニセコイ』『斉木楠雄』『暗殺教室』
 などが軒並み好調であり、徐々にジャンプの顔ぶれが
 変わりつつある時期にさしかかってきているような
 予感がありました。


  9月

〜主な出来事〜

【ナルト】
 仮面の男の正体判明。

【銀魂】
 みんな大好き将軍回あり!

【ハイキュー】
 表紙&巻頭カラーあり。(新連載時以来初)
 作者も巻末で喜びのコメント。

【パジャマな彼女】
 連載終了。アンケートへの意識によるものなのか
 方針がころころと変わっていたのが印象的だった。
 パジャかの終了により、ジャンプラブコメ戦国時代は
 終息へと向かい始める・・・。

【戦星のバルジ】
 連載終了。あまり見どころのない凡庸なバトルものとして
 終わってしまった。

【烈!伊達先パイ!】
 2月に読み切りが掲載されたものが連載化。
 変人系ギャグ漫画。

【クロス・マネジ】
 4月に読み切りが掲載されたものが連載化。
 ラクロス部のマネージャーが主人公という
 変わったスポーツもの。
 読み切り版と主人公の見た目や設定が変わっている。


〜感想〜

 連載作品入れ替えの時期です。
 『パジャマな彼女』の終了により、ジャンプのラブコメプッシュ時期は
 終息に向かいます。
 『恋染紅葉』も必ずしも好調とは言えず、『針須川』も含んで
 ジャンプ連載のラブコメで成功しているのは『ニセコイ』だけと
 なりました。
 この時期、黒子のバスケのアニメ放映が終了しています。


  10月

〜主な出来事〜

【トリコ】
 鉄平の頭が食卓に並ぶという衝撃的なヒキを展開するも夢オチ。

【ニセコイ】
 小野寺さんが楽に「キスしてもいい?」と衝撃の告白するも、
 楽、居眠りしてて聞いてない

【斉木楠雄】
 表紙&巻頭カラーという破格の好待遇も、本編でやたらと恐縮。

【暗殺教室】
 表紙&巻頭カラーを飾る。
 コミックス一巻発売前ということでかなり早い方では?

【クロガネ】
 連載1周年センターカラーで人気投票募集。
 
【べるぜバブ】
 記憶喪失ヒルダが再来し、再びラブコメ展開に!?

【めだかボックス】
 アニメ二期開始直前ということで、本編にも
 13組が再登場。
 また、銀さんとめだかちゃんで表紙を飾ったりもした。

【銀魂】
 10月からアニメ再開(スケットダンスと入れ替わり)
 人気の健在をみせる。

【読み切りなど】
 『岸辺露伴は動かない』が掲載。

〜感想〜

 トリコとニセコイの思わせぶりなヒキに対する
 次週のズッコケ感が印象的だった月でした。
 他には斉木と暗殺が表紙・巻頭カラーということで
 やはりニューフェイスの好調が目立ちます。
 『岸辺露伴』の読み切りは絵柄が絵柄なだけに
 ジャンプに掲載されると異彩を放ちまくってました。


  11月

〜主な出来事〜

【ブリーチ】
 零番隊登場

【めだかボックス】
 キャラ人気投票の結果発表。
 1位:球磨川 2位:善吉 3位:阿久根
 の男3キャラで、ベスト3に主人公・めだかちゃんの名前なし。
 応募総数は11553票。

【ニセコイ】
 連載1周年で表紙&巻頭カラー。
 千棘、ついに楽に恋をしていることを自覚する。

【リボーン】
 センターカラーで円満終了の最終回を迎える。
 実に7年以上もの長期連載だった。

【タカマガハラ】
 連載終了。硬派なバトルモノとしてがんばっていたが
 独特の絵柄と遅い展開が敬遠されたか。

【恋染紅葉】
 連載終了。最後は主人公と正ヒロインが結ばれての終了。
 これによりジャンプラブコメ戦国時代は完全に終結した。

【ハングリージョーカー】
 新連載。昨年の金未来杯優勝作品だが、
 設定は読み切りとまるで違う形での連載スタート。

【新米婦警キルコさん】
 新連載。4月に読み切りとして掲載された
 『ダブルバレット』の連載版といった感じだが
 主人公を元傭兵の婦警としたことで、これまた
 読み切りとはまるで違う作品に生まれ変わっていた。

【食戟のソーマ】
 新連載。ジャンプでは珍しい料理漫画。
 微エロいリアクションが売りなのか
 作画担当は本職の御方。

〜感想〜

 長期連載のリボーンが終了したことで、ジャンプ連載陣の
 顔ぶれのフレッシュさが際立ったことと、
 恋染紅葉が終了したことで、ジャンプラブコメ戦国時代が
 終結したことが印象的な月でした。
 また、新連載が3本入り、ますますフレッシュに。


  12月

〜主な出来事〜

【ワンピース】
 映画公開時期に合わせた企画満載。
 VSシーザー戦決着。

【クロガネ】
 人気投票結果発表も、総応募数3907票と少なめ。

【めだかボックス】
 掲載順が本格的に下火。
 本編中でも不知火に「これで打ち切りって話ですよ!」
 というセリフがあり、メタ演出が目立つ本作としては問題発言。

【黒子のバスケ】
 10月から始まった一連の脅迫事件により
 関連イベントが影響を受けまくる中、
 作者・藤巻先生による「本編は何があっても休まず頑張っていきます」
 という不屈のコメント。

【読み切りなど】
 2013年1月に映画が公開される『ハンター×ハンター』が
 クラピカ追憶編の読み切りを前後編で掲載。
 本編再開のアナウンスはなし。

〜感想〜

 『ハンター×ハンター』連載再開の気配が感じられるのは喜ばしいこと。
 コミックスの刊行も再開されましたし、2013年の早い時期に
 連載再開あるかもしれません。
 『黒子のバスケ』の脅迫事件に関しては、異常極まりないとしか言えません。
 わけのわからない脅迫者によって一作品のグッズがイベントで
 販売できなくなったり、コミケでサークル参加ができなくなる
 というのは本来はあってはならないことです。
 こういった文化作品に対するテロ行為が成立してしまった前例が
 できてしまったのは衝撃的でした。



  2012年のジャンプ総括

さて、週刊少年ジャンプの2012年を振り返ってまいりました。
あらためて、こうして一年間の出来事をならべて見てみると、
2012年のポイントは大体以下3点というところでしょうか。

1.ラブコメ戦国時代の勃興と終焉
 前年から始まった『針須川』『ニセコイ』に引き続き、
 『パジャかの』『恋染紅葉』の開始と、同時期にこれほどの
 ラブコメ作品が出揃ったのはジャンプ史上初めてかと思います。
 その戦国時代の終焉はずいぶんと早く訪れましたが、
 『ニセコイ』が結構な人気を保ったまま生き残ったのは
 ある意味意外ともいえる結果です。
 少年誌のラブコメにはお約束のように、ちょっとエッチな
 サービスシーンは付きものです。
 当然、この4作品にもそういったシーンは見られましたが、
 『ニセコイ』が最もサービスシーンが控えめだった
 というところは大きなポイントかと思います。
 必ずしも「サービスシーンの多さ=人気」につながるわけではない
 ということを、『ニセコイ』は作品をもって証明したのです。

2.連載陣のフレッシュ化
 長期連載作品であった『ぬらりひょんの孫』『リボーン』
 『バクマン』『いぬまるだし』などが完結し、
 新しい連載陣『ニセコイ』『ハイキュー』『斉木楠雄』
 『暗殺教室』の人気が確立したことにより、
 ジャンプの顔ぶれがフレッシュになった印象があります。
 『ブリーチ』も現在最終章を展開していることもあり、
 今後もジャンプのフレッシュ化は進むことでしょう。
 新たな連載陣が勢いがあるというのは雑誌にとって
 良いことです。
 2013年もこのままフレッシュ連載陣がジャンプを
 引っぱって行ってくれることを願います。

3.アニメ化による黒子のバスケの人気爆発
 アニメ化によって原作の人気が高まることは当然かも
 しれませんが、『黒子のバスケ』の場合はそれが顕著でした。
 アニメ化前、黒バスの掲載順は中位〜下位の常連でしたし、
 表紙はおろか巻頭カラーもあまりもらえてませんでした。
 それがアニメ化されてしばらくするとがらっと待遇が変わり
 掲載順は上位常連となり、表紙&巻頭カラーももらえる
 ようになりました。
 この爆発力はちょっと珍しいかもしれないです。
 同時期にアニメ化した『めだかボックス』が
 それほど人気が高まっているように見えないのが
 黒バスの爆発力をより際立たせています。

 …それだけに、脅迫事件については本当に残念でした。


以上、こんなとこでしょうか。
2013年もジャンプに楽しませてもらいます!!


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【あずまんが大王】大阪さんを語る

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『あずまんが大王』という伝説の4コマ漫画をご存知ですか?

「月刊コミック電撃大王」にて1999年2月号〜2002年5月号まで、
約3年間にわたって連載された4コマ漫画作品です。
作者は現在『よつばと!』を連載中のあずまきよひこ先生です。
女子高生のキャラを中心として、彼女たちの日常生活のなかに
笑いを見出すその作風は、現在ではすっかり定着した
日常系4コマ漫画の走りとなりました。

2009年に刊行された新装版の帯には、

 21世紀の4コマ漫画は、ここから始まりました

とやや大げさとも取れるコピーが掲載されていますが、
これは決して過言ではなく、
2006年に文化庁が発表した「日本のメディア芸術100選(マンガ部門)」に
選出されています。

今回は、この『あずまんが大王』に登場する不思議な関西系キャラクター
「大阪さん」こと、春日 歩(かすが あゆむ)について語ってみようと思います。


  大阪からきました



大阪からはるばる東京の高校へ転校してきた春日歩。
クラスでは先生をはじめ、生徒たちの過剰な「大阪人」への
期待にちょっと戸惑います。

「春日さんってあんまり大阪人って感じしないね?
 もっとうるさそーな人を想像してたけど」

というクラスメイトに

「大阪人みんながうるさいわけやないから」

と至極もっともな返答をする歩ちゃんでしたが、

「にせものー!」

と無茶苦茶言われます。

「な なんでやねん」



そして、早々についたあだ名が「大阪」!
由来はそのまんま大阪からきたから。

「そんな安直な!」

生まれは和歌山で、幼少期の育ちは神戸なんだけど
語呂の良さでほぼ強引に大阪に決まっちゃいました。



大阪にいる時はとろいとかぼーっとしてるとか
言われてきました。

「しっかりせな・・・」



大阪ではずっと走りはクラスで一番遅かった。
でも、このクラスには飛び級の小学生がいる!
まけられへん!

「まけたー!」
「やっぱ天才にはかなわへんねやろかぁー」


と、まぁ大阪さんのツカミはこんな感じです。
この頃の関西系キャラとしてはかなり異色です。
当時は関西系キャラといえば男も女も元気いっぱいで
ハキハキしたキャラばかりでしたから。
この、妙にぽーっとした関西系キャラである大阪さんは
不思議な存在感でもって、世に現れたのでした。

そして、この大阪さんの存在感は『あずまんが大王』の
回を追うごとにどんどんくっきりしていくのです・・・。


  きになる



「なー パンツ一丁の「丁」ってなに?」

大阪さんが突然妙なことを言い始めます。
パンツの数え方の単位である「丁」に疑問を持ち、
さらには拳銃とパンツが同じ数え方をするのにも疑問を持ち、

「(パンツと)武器と関係が?」

どうだろう。



体育祭で綱引き激闘中!

「オーエス!オーエス!」

「オーエスってなんやろう?」

この言葉が大阪アンテナにひっかかります。

「オーエスってなんやー!?」

なんだろうね。



「赤鼻のトナカイ」の歌詞について。

「でもトナカイもトナカイやで!」
「夜道を照らす鼻ってどんなん!? なんでそんな事に!?」
「もしかしたらそいつトナカイとちゃうで!?」

はあー

そうなんです。
日常にあふれるちょっとした疑問。
普通の人ならスルーしてしまうような細かいことが
大阪さんはどうしても気になってしまいます。
こういった大阪さんの独特の感性は作品を通して
ちょいちょい披露され、大阪さんのアイデンティティー
となっていきました。

みなさんも、こういった大阪さん的感覚、どうですか?
「あるあるー」ってうなづいた人は実に大阪さん的感覚の持ち主です。
その感覚、大事にしましょう。


 

大阪さんは、毎年1月頃になると妙な夢をみます。
その妙な世界観の夢は『あずまんが大王』作品期間
3年間を通しての新年の風物詩となりました。



一年目の夢はこんな感じ。
ちよちゃんがおさげで空を飛んでいますが、
そのおさげが不吉なことをつぶやくのを聞いた大阪さんは、

「ちよちゃんはあれに操られとるんや!」

と察知し、ちよちゃんを助けるために両のおさげを
引きぬきます。
ところが・・・
ってな感じ。



二年目はなんと大阪さん自身が他人(榊さん)の夢に入り込みます。

「たかー なすびー めざめよー」

あら縁起が良い。



三年目。
榊さんの夢の登場人物(?)であったはずの
「ちよちゃんのお父さん」に、なんと大阪さんも
会うことができました!
ちよちゃんのお父さんに、「森前首相に似てる」とか言って
激怒されたり、「ネコ舌」をアピールして
「ならばその舌ひっこ抜いてくれる!」とすごまれてました。


この一連の夢のくだりも大阪ワールドそのもの。
シュールなんだけれども「まー大阪だしなー」で
妙に納得してしまうこの感じ。
なんやろう。


  たのしい



かふんしょお。
自分のくしゃみを花粉症だと指摘された大阪さん。
なぜか嬉しそうです。

「そうやねん花粉症やねん」
「へーちょ」

嬉しそうだなー



台風来る!

「うわー大変やー!」

とはしゃぐ大阪に、ずぶ濡れの智とよみが

「台風がそんなにたのしいか?」



そんな大阪さんの将来の夢は、
ドモホルンリンクルをつくる人!

「一滴一滴じっと見とくねん」

うわー適職だねー。

こんな具合に、大阪さんなりに「たのしい」と感じるポイントは
ちょっとズレてます。
ちょっとでも大阪さんに共感できたあなたは、
大阪さん的感覚の持ち主です!


  大阪さんの意外な一面



作中唯一(?)大阪さんが激昂した場面があります。
兼ねてより割り箸をうまく割れなかった大阪さんですが、
ちよちゃんに割り箸をうまく割る技を教えてもらってからは
得意満面です。
この日も大学入試の願かけに割り箸をうまく割ろうとみんなに提案し、
裏技を披露しようとした矢先、話も聞かずにそうそうに割ってしまった
智ちゃんに対して、これでもかってくらいキレます。

「ご ごめんなさい… え?なんで怒られてるの?」

智ちゃんもちょい引き・・・。




運動も勉強もイマイチな大阪さんですが、意外な才能が
開花した場面が!
天才だけど頭ガチガチなちよちゃんが全然解けなかった
なぞなぞを即答に次ぐ即答!

これには天才・ちよちゃんも感心しきりでした。

「私ってどういう仕事が似合う思う?」

と大阪さんから相談されたちよちゃんは

「学校の先生なんてどうでしょう」
「大阪さんは柔軟な発想の生徒を育てます!」

とか割と本気で言い出します。
いや・・・それはちょっと・・・


  ちゃうねん




「ちゃうねん」

は、大阪さん的感覚をぎゅっと凝縮して詰め込んだようなワードです。
ちよちゃんが「大阪さん弁」と言ってるのが言い得て妙すぎです。

作中ちょいちょい使われていますが(大阪さん以外も)
その使われ方は単純に「違うんですよ」というニュアンス
の範疇を超え、使用者が絶対的に困った場面でその言葉をつぶやくと
困った状況がぜんぶなかったことになるような、そんな魔法の言葉と
して使われていました。

さあ、みなさんも困ったときに使ってみましょう。

 「ちゃうねん」


  ザクとはちゃうねん



「ちゃうねん」はまさに魔法の言葉だったわけで、
『あずまんが大王』の連載終了からほどなくした
2002年8月に開催されたキャラクターコンベンション
「C3」の企業ブースに「よつばスタジオ」
(※あずまきよひこ先生と編集の里見英樹氏のプロダクション)
の姿がありました。

なんと、そこでは大阪さんをはじめとしたあずまんがキャラが
『機動戦士ガンダム』のモビルスーツを形態模写したイラストが展示
されるという、ちょっと聞いただけではなに言ってるのか
よくわからない個展が開かれたそうです。

具体的には、こんなイラストが展示されました↓



大阪さんがグフに! ギャンに!!
(なわとびとか傘持ってるだけだけど・・・)

こんな感じで誰が得するんだからわからないガンダム+あずまんがな
イラストと脱力必至な解説文のもと、このシュールな個展は
展開されたようですが、そもそもこういうことをやろうと思った
きっかけは、よつばスタジオの里見氏の脳内で大阪さんが

「ザクとはちゃうねん・・・」

とつぶやいたからだそうで、作品の連載終了後もなお残留する
「ちゃうねん」の大阪さん的魔力がうかがえるエピソードでした。


  おわりに

なんというか、大阪さんの魅力を語るために書き始めた本記事ですが、
なにをどう書いたものやらわからずにこんな感じの
ふわっふわしたものになってしまいました。
最後、なんとかまとめようと思ってましたが全然まとまりません!


 ・・・ちゃうねん。

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最終回を語れ!〜【シャーマンキング】編

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ある作品の最終回を取り上げて徹底的に語るコーナーです。
今回は『シャーマンキング』の最終回について語ります。
コーナーの性質上ネタバレ全開となりますので未読の方はご注意ください。

週刊少年ジャンプにて6年以上にもわたって連載された
長寿連載作品ですが、連載末期はアンケート順位も低迷し、
あえなく打ち切りによる最終回を迎えました。
その終わり方のインパクトたるやなかなかのもので、
当時はちょっとした話題になったものです。

今回は、そのあたりのことに触れつつ、
のちに完全版にて真の最終回を迎えるまでを
追ってみようと思います。
では、どうぞ


  最終回直前まで

『シャーマンキング』は、500年に一度行われる
世界中のシャーマンの中から星の王を決めるという
「シャーマン・ファイト」と呼ばれる大会の物語です。

シャーマンキングを目指す主人公・麻倉「葉(よう)」と、
1000年まえのシャーマンファイトから転生を繰り返して
参加しつづけている、葉にとっては先祖(転生した肉体的には双子の兄)
にあたる、麻倉「ハオ」との物語でもあります。

ハオは、作中における「ラスボス」であり、
葉にとっては倒すべき強大な敵となります。



しかし、死を乗り越えるたびに強くなるシャーマンの性質上、
1000年まえから転生を繰り返しているハオの巫力は強大で、
とてもじゃないですが葉では敵いようがありません。
そこで、葉と仲間たちはシャーマンファイトの大会の
第二トーナメントをわざと辞退し、ハオがシャーマンキングと
なる直前を狙って叩くことを計画します。

シャーマンキングとなる者は星の王となる直前、
仮死の眠りにつくことになります。
そのときこそがハオを倒す唯一のチャンス・・・



シャーマンファイトに優勝したハオを追い、
葉たちは王の社を目指しますことになります。

王の社にたどり着く道中には10のプラントがあり、
それぞれのプラントを十祭司が守っています。
葉たちはプラントを守る十祭司たちと戦いつつ、
ハオのもとへと急ぎます・・・。


  最終廻「おやすみ」

何人かの十祭司を倒し、着実にハオのもとへと近づいていた
葉たちですが、さすがに巫力の消耗が激しく、
十祭司のひとりカリムの高原プラントで一泊することになりました。



その夜、地上で葉たちの帰りを待つアンナはまん太に語ります。

 変な話ね
 普通なら戦士達はとらわれの姫を助ける
 ために魔王をやっつけに行くんでしょうけど
 葉達はその魔王を助けようとしている

 でも それもそのはず
 だってこのお話のお姫様は執念という魔王に
 とらわれたハオなんだから

この話を聞いたまん太は思わず吹き出します。
そう考えるとたしかに笑えます。
アンナはハオの人間への憎悪について、

 1000年経っても死んでも治らない
 バカでしつこくてどうしようもない
 ちっちゃいかわいい眠り姫なのよ

とボロカスに酷評します。
そして、アンナの視線はもうハオ戦後を見据えていました。



アンナが経営を夢見るふんばり温泉の今後について!
アンナにとって真の敵はハオなんかではなく、
不景気でした・・・。

そして、葉たちの戦いもこれから。
ハオの待つ王の社への道はまだまだ遠いです。
明日にそなえて・・・



「寝るぞーーっ!!!」


・・・その夜、まん太は不思議な夢をみました。



 深い深い海の中でハオがつぶやいた

 「おやすみ」

 葉たちのもとに集う仲間達



 プリンセスハオ


  最終廻を語れ!

・・・。

ええーっ!? おわりぃ!?

実に唐突かつ意味不明な最終回でした。

…いや、意味はわからなくもありません。
たしかに最終回冒頭でのアンナとまん太のやりとりで
ハオが魔王ではなく姫だという話がありました。
にしても、最後の最後にまん太がみた
「プリンセスハオ」の夢でオチるというのは
ちょっと正気の沙汰とは思えません。
最終コマの左端にちょこんと書かれた「みかん」の
イラストがこの物語が「未完」であることを
あらわしており(ちなみに扉絵でも葉がみかんを持っている)、

この「みかん」オチ、「プリンセスハオ」夢オチと、
ダブルでパンチの効いた最終回は当時のジャンプ読者にとって
伝説の最終回となりました。


なぜこのような最終回になってしまったのか?

その真相は、声優・林原めぐみ(アニメでアンナ役)さんの
ラジオにて武井先生直筆の手紙が読まれることにより
明らかになりました。
ニコ動で当時の放送を探したらありました。
『シャーマンキング』最終回当時の激震っぷりもよくわかるので
あわせてお楽しみください↓

林原めぐみのTokyo Boogie Night(2004年9月19日放送/ゲスト:高山みなみ)


手紙によると、『シャーマンキング』の打ち切りの宣告を
受けたのは最終回の8週前だそうです。
十祭司戦の途中ですが、無理にでも物語を畳もうと思えば
十分に可能な範囲ではあります。
でも、作者である武井先生はそうはしませんでした。

 ダイジェストによっての結論だけみえるのでは
 そこにはまるで意味はなく
 この作品にとって一番大切なことは
 そこへ至る「過程」だと考えたからです。
 それは、ただのわがままかもしれないけど
 僕の中では葉とハオ、それにアンナやみんなの
 最後のふんばりのイメージがしっかりとありました。
 こればっかりは絶対省略したくなかったのです。
 そうして中断という道を選ばざるを得なくなったのですが
 とりあえずの結末は必要で、それならまず
 現状だけははっきりさせておこう、
 という考えに至り、あの形になったわけです。
 (ラジオ『林原めぐみのTokyo Boogie Night』にて武井先生の手紙より)

ダイジェストによる完結を迎えるよりは、
素直に自分の描きたいペースで物語をすすめ、
やがて期限の打ち切り回を迎えてしまった・・・。
ということになります。

このあと、手紙は「なぜハオがプリンセスでなければいけないのか?」
という話になってしまいますが、これはとりあえず置いといて、
その中で語られたいずれ続きを描く
という強い意志のこもった言葉が印象的でした。

『シャーマンキング』…。不思議な作品でした。


 「なんとかなる」

作中、主人公の葉がよく口にしている言葉です。
これはなんの考えもなしに無責任に言っている言葉ではなく、
「自分のベストを貫いて精一杯にやっていれば
いつかはそれが形になる」というような、
限りなく「なんとかする」に近い、そこに葉特有のユルさが
くわわって、「なんとかなる」というマイルドな表現に
なっている深みのある言葉です。

そんな主人公・葉の魔法の言葉の通り、
不本意な「みかん」エンディングを迎えてしまった
『シャーマンキング』という作品はなんと真の最終回を
迎える日がやってきます。


  シャーマンキング完全版刊行

伝説の「みかん」最終回を迎えてから約4年の月日が流れました。

2008年。
全シャーマンファン待望の、真の完結編を含んだ
『シャーマンキング』完全版の刊行が開始されます。

ストーリーの続きの描き下ろしページ数はなんと382ページ!
各巻冒頭のキャラ紹介など、カラーイラスト描き下ろしは
なんと482点!!
漫画メディアの完全版における加筆修正の規模としては
史上最大級ではないでしょうか。



全27巻の完全版の26巻目の途中。
伝説の「プリンセスハオ」で「みかん」な最終回の次のページから
自然に始まった第287廻「グッドモーニング ムー大陸」は
ファンには感慨深かったと思います。

その後もみどころの多い回が続き、武井先生が
なぜこの過程を省略したくなかったのか伝わってきます。


ホロホロの持ち霊・「コロロ」の正体は
ホロホロが幼い頃、最悪の形で死に別れた
幼なじみの女の子でした・・・。


葉のシャーマンファイト参戦のきっかけをくれた
十祭司・シルバとの因縁の対決・・・。


提示されるシャーマンファイトの謎・・・。


まん太の「プリンセスハオ」な夢のつづき・・・。


そして・・・


ハオとの最後の対決はグレートスピリッツの中で
行われます。


すべての魂が還る場所であるこのグレートスピリッツに


ハオとかかわりのあった全員の魂が集結します・・・。


  真・最終廻「the Last Words」



ふんばりが丘の駅にたたずむ一人の少年。



それは、もう6歳にもなる葉とアンナの息子
麻倉 「花(はな)」でした。





そして、花のもとへ続々と集うかつての伝説の戦士たち。
戦士たちは再会をよろこび、"あの日"を懐かしみます。

"あの日"―――
グレートスピリッツのハオのコミューンに
みんなの魂が集ったあの日・・・。



アンナやまん太が地獄を奔走して、ハオの母親「麻の葉」の魂を
ハオのもとへと連れてきました。
ハオのすべての憎しみは母親を殺されたときから始まっており、
その憎しみの原動力となっている母親本人から
お説教+母の愛をもらったハオの憎しみの心はついに折れ、
憎しみにとらわれていたハオの魂は救われました。

ハオは"シャーマンキング"として
残された時間の中で葉たちがどう地上を変えるのか
少しの間見守るといいます。

あれから7年・・・。



葉たちは自身のシャーマン能力を使い、
世界をより良い方向へ導くよう努力を
重ねています。



そうして このふんばりが丘に
あの懐かしい日々が1日だけ帰ってきた
少しだけ新しいメンバーも増えたけど
昨日の続きのような何も変わらない日常
大きくなってもみんなみんな昔のまま

そういえばぼくも1cmだけ背が伸びました
今はアメリカの大学でシャーマンと経済の両立を
研究していますがなかなかかみあわず苦労の日々です

それでも みんなも答えを探して
がんばってるから ぼくだってがんばれる



答えが見つかるその日まで
ぼく達の旅は死んでも終わらない

  まん太



西岸寺の屋根瓦の上。
王とネコは再会し、500年ぶりの仲直りをしました。


  語り尽くせ、真・最終廻!

さーて、いかがでしたか?『シャーマンキング』の真の最終廻!
「プリンセスハオ」で「みかん」な最終廻はほとんど伝説に
なっているので有名ですが、こうして完全版でちゃんと完結した
最終廻を読んだ人は少ないかと思います。
完全版でちゃんと最後まで読むって結構敷居が高いですからね…。

でも、ちゃんとそれに見合った感動は待っています。

シャーマンキングの完全版の膨大な加筆修正のひとつとして、
真・最終廻に向けた伏線となるパートが追加されています。
それは、完全版・22巻の巻末から始まっていました。

この記事だけ読むと真・最終廻にぽっと出てきたように見える
葉とアンナの息子「花」ですが、実は完全版22巻から登場しているのです。

それは、22巻から必ず巻末に挿入されるようになった
「ふんばりの詩」という短ページの加筆パートにて、
2007年を生きる麻倉 花がかつての戦士たちと
会えるように尽力している姿がちょいちょい伺えるのです。

読者としては「あれ、なんだろうこの子…」と疑問を
いだくことになりますが、(葉の息子だとはハッキリ描かれない)
短ページのパートでしかも巻末のため、すぐに
気持ちが次巻に切り替わります。
しかし、着実にもやっとしたものはどんどん読者の
心に積もっていくわけで、それが22巻〜26巻まで
積もったところで、最終巻の真・最終廻が来るわけです。

「ああ、ここにつながった…」

とカタルシスを感じることとなります。
この演出は本当に見事でした・・・。

もちろん、この演出がなくても素晴らしいんですけどね。
最後にちゃんとハオが救われたというのがとても良かったです。
ラスボスは宿命的に主人公に倒されるものですが、
そうはならなかった。

最後に全員集合してのハオの救済。
このイメージは、武井先生が真・完結編のネームを切り始めた
時点ですぐに沸いたアイディアだそうですが、
「ハオの救済」という結末自体はそれよりもずっと前から
決まっていたと思います。

ここで思い出すのが、「プリンセスハオ」です。
ラスボスであるはずのハオがなぜ「プリンセス」なのか?

それは、「プリンセス」が宿命的に救済される存在だから
ではないでしょうか。

武井先生がラジオの手紙に書いていましたが、
「プリンセスハオ」は決してふざけて描いたわけではないといいます。
そのうえで、ハオがなぜ「プリンセス」でなければならないのか
考えてほしいと語っています。

つまり、武井先生はハオを救済したかったのだと思います。
でも、打ち切りによるダイジェストの形をとっては
絶対にそういう展開へ持って行くことはできない。
そこでとりあえずの結末として、ハオ救済のイメージを
提示する「プリンセスハオ」という形をとった・・・。

真・最終廻を読んだあとに、「プリンセスハオ」を
読むとどうしてもそのようにしか考えられません。



最後の最後、ハオとマタムネらしきネコが微笑み合う場面で
物語は完結します。
マタムネとハオの関係については、「恐山・ルヴォワール」編を
ちゃんと読んでいないと理解することができないのですが、
要はずっと仲違いしていた親友同士とでも思えば、
それに近いでしょうか。

これをもって、ハオは本当に救われました。
これからは「シャーマンキング」として500年間
地上の者たちを見守っていてくれるでしょう。


・・・と、こんな感じです。
『シャーマンキング』の最終回は、「未完」の苦節を経てもなお
作者や読者のあきらめきれない気持ちによって、
最良の形での結末を迎えることができた稀有な最終回でした。


 「なんとかなった!」


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なお、現在、葉の息子・花を主人公とした『シャーマンキング FLOWERS』が
ジャンプ・改にて連載中です。
こちらの作品についてもある程度物語が進んだら語ってみたいですね。

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【ジョジョ4部】広瀬康一を語る

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今回は『ジョジョの奇妙な冒険』第4部に登場する
広瀬康一(ひろせこういち)くんについて語ってみようと思います。

最初はほとんどモブキャラのようなオーラのない風貌で
4部の物語導入部分の語り部的役割を果たしていることから、
1部の「ポコ」や2部の「スモーキー」のような、
超人に目線を向ける一般人キャラなのかなという印象がありました。
(本人も「まー覚えてもらう必要はないですけど」とか言ってますし)



こんな感じで、4部主人公・仗助と3部主人公・承太郎が
引き会った現場に遭遇し、二人の男の引き会わせを
劇的に演出するのがこのときの康一くんの役割でした。

しかし、この康一くん。
このあと非常に数奇な運命をたどり、
劇的に成長していくことになるのです・・・。


  スタンド使いとしての覚醒



ある日、仗助と一緒に帰路についていた康一くんは
虹村兄弟の家にて「矢」を射られます。



このときスタンド能力に目覚めますが、この時点ではまだ
卵のような形の何もできないスタンドを生みだしただけに
過ぎませんでした。
この卵のようなスタンドが成長を遂げるのは
「錠前」のスタンドを操る小林玉美と対峙したときでした。



康一の家族に玉美の危害が及ぼうとしたとき、
康一の怒りに呼応するように卵型だったスタンドが孵化します!

スタンド名「エコーズ」!
その名前が表わすように音を操るスタンドで、
人や物体に音を染み込ませることができます。
物理攻撃力は皆無ですが、自分の声を母親に染み込ませて
自分を信じさせたり、電話番号の発信音で公衆電話を
かけたりできる応用の効く能力でした。

が、なによりエコーズのスゴイところは
その成長性です!



「エコーズ ACT2」!!

康一に異常な愛情を向ける山岸由花子に極限まで
追い詰められた康一はエコーズを次のステップへと
進化させます。

ACT2は文字を操るスタンド能力です。
「ドヒュウウウウ」や「ドグオオオン」といった
漫画の擬音のような文字に「実感」を与えて
攻撃することができます。
この実感攻撃は物理的な力ではありませんが、
相手の精神に直接働きかける力があり、精神力の象徴である
スタンドにもダメージを与えることができます。

しかし、康一はこの能力を破壊に使うことはありません。
自分を襲おうとして崖から転落した山岸由花子を
「ボヨヨオン」という文字で助けたり、
熱を探知して自動追尾してくるシアハートアタックを
「ドジュウウ」という文字で回避したりといった
機転の効いた使い方をしていました。

・・・そして、その成長性はこれだけに留まりません。



二度あることは三度ある!「エコーズ ACT3」!!!

ACT3は重力を操るスタンド能力で、
狙った物体や人物を重くすることができます。
また、ACT1や2と違い、スタンド自体にも物理的なパワーがあり
スタンドによる格闘戦を展開することも可能となりました。

こうした三段階成長でも十分スゴイのですが、
エコーズの強みはACT1〜ACT3までを自在に使い分けることができる
点もかなり大きいと思われます。

射程50メートルのACT1,2を探索・偵察的に使い、
射程5メートルの近距離パワー型のACT3にて戦闘を行う
というような融通の効いたスタンドバトルが可能ですし、
何よりスタンド3体分の能力を使い分けることができるのは
ほとんど反則級です。

スタンドはひとり一体というのが鉄則ですが、
この一体が三段階以上変身し、それぞれ能力が異なるスタンド使い
というのは非常にレアで、康一の他には
「タスク」ACT1〜4を持つジョニィ・ジョースターと
「ホワイトスネイク」-「C-MOON」-「メイドインヘブン」と
スタンドを進化させるプッチ神父くらいでしょう。


  奇人・変人からやたら好かれる康一くん

そんな無限の成長の可能性を秘めた康一くんは、
さまざまな人物にとって好印象と映るのか、
康一くんは実に多様な人物から好かれることとなります。



錠前のスタンドを使って康一にセコい脅迫をしかけてきた
「小林玉美」は、スタンド使いとして覚醒した康一の
スゴ味に圧倒されてからは、康一に心酔し舎弟のように
ふるまうようになりました。



康一に異常な愛情を向ける「山岸由花子」は言わずもがな。
彼女は康一がスタンド使いだと知る前から、康一に非凡な
可能性を感じています。
康一を我がものにしようと追い詰め、逆に成長した
エコーズACT2に圧倒されてからは、康一への想いをますます強め、

「あたしぜんぜん相手にされなくてもいいッ!
 康一くんのこと思ってるだけで…幸せだわ!」

とまで言わしめました。

最初は由花子を恐れていた康一も、だんだんと由花子の
ことが気になり始め、最終的には相思相愛となりました。



陰険なスタンド使い「間田敏和」も
康一のことを「ウマがあいそう」と評価しています。
康一のことを評価するクセのある人物はなぜか
総じて仗助のことが嫌いだったりします。



最初は漫画のネタとして康一に興味を持っていた「岸辺露伴」も



やがてすぐに康一に対して友情を感じるようになります。
これは人嫌いな露伴からしてみれば破格の待遇です。
露伴先生の康一くんに対する友情はこの先さらに
強固になる場面もありますが、それは後ほど。



"魔法使い"を自称するスタンド使いのエステティシャン
「辻彩」は自身の"魔法使い"としてのルールを曲げるほどに
康一に対して高評価をしてみせました。


こんな感じで、康一と出会った大抵の人物は康一に対して
好印象を抱くようで、これは一種の才能と言ってよいかもしれません。


  深い『後悔』を乗り越え、真に頼れる男に

急速な成長をみせる康一くん。
自身でもその自覚があるのか、靴のムカデ屋にて
殺人鬼と遭遇した場面では、「注意深く観察しろ」という
承太郎に対して「用心深すぎるんじゃないか」と
反感を抱いています。

 ぼくのエコーズだってまんざらでもないんだ…
 けっこう成長していると思うのに承太郎さん…
 ぼくのこと軽く見てるのかな?

 やっぱり承太郎さんぼくのことを軽く見ている
 「よく観察しろ」と説教したりぼくには手に負えない
 と思っている
 ぼくだって成長しているんだ…
 『犯人』を探してやっつけてやることはできるんだ…

しかし、この慢心めいた自信は悲劇を生みます。



承太郎の忠告を無視した康一は殺人鬼の爆弾スタンドの
攻撃をエコーズで防御することができませんでした。
敵の攻撃を受けながら、康一は心底後悔します。
 
 ぼくは自分で利口ぶってるという最低のマヌケだった…

 だが真の『後悔』はこのあとやって来たんだ
 このあと…ぼくは『無事』だった!助かったんだッ!
 でも考えてみて…
 『無事』だったからこそ本当の『後悔』ってやつはあるんだ…

承太郎の機転によって康一はダメージをまぬがれました。
しかし、その代わりに承太郎が敵スタンドの攻撃によって
深いダメージを負ってしまいます。

 本当に『後悔』した……
 ぼくは承太郎さんを『人生の教師』と思うべきだったのだ!
 『厳しい教師』と理解すべきだったのだ……

深手を負った承太郎を抱えながら、深い『後悔』を抱えながら、
康一はひとり爆弾スタンドと対峙します。
康一は承太郎の言った通りに敵を観察していくうちに、
この敵に「弱点」が存在することに気が付きます。
弱点に気が付いたらなんだかムカっ腹が立ってきました。



この状況下で!
承太郎が深手を負い、仗助も億泰もこの危機を知らない状況下で
康一は怒りを爆発させました。
この怒りは、康一の「エコーズ」を「ACT3」へと成長させます!

そして・・・!



ついに殺人鬼が康一の前に姿を現しました。
殺人鬼はかつてこれほど追い詰められたことは
なかったようで、康一に敬意を表します。
しかし、その敬意はこれから康一をなぶり殺しにする
という殺人鬼の意志表明でもありました。

しかし、康一は怯えません。
殺人鬼の攻撃を受けながらも、彼が所持していた財布から
免許証を抜き取り、殺人鬼の正体をあばきました。

 『吉良吉影(きらよしかげ)』

それが殺人鬼の名前でした!
この康一の勇気ある行動に、瀕死の傷から立ち上がった
承太郎は最大の賛辞を贈ります。

 「よくたったひとりで孤独に闘ったと思うよ…
  尊敬するぜ康一くん……成長したな」


この闘いの後、康一は真に頼れる男へと成長を遂げます。



ハイウェイスターと対決する仗助を絶妙なサポートで助け、



露伴がチープトリックの陰湿な攻撃を受けていることに
気付いては救援にかけつけ、



吉良吉影との最後の闘いにて、バイツァダストの発動を
すんでのところで阻止しました・・・。


 「おめーっ本当に頼りになる男だぜ 助かったよ!
  礼を言うぜ康一!」

 「君のそういうところなんだよ ぼくが君を尊敬するのは…
  からかわれていると思うのは無理もない
  でもそれでも戻って確かめに来てくれた…
  やっぱり君は親友だった」

 「康一くん…君は本当に頼もしいヤツだ
  この町に来て君と知り合えて本当に良かったと思ってるよ…」


さまざまな男たちが康一に賛辞の言葉を贈ります。

広瀬康一…。
杜王町に住む平凡な高校生でしかなかったはずの彼は、
内に秘めた勇気を如何なく発揮してどんどんと『成長』していき、
やがて誰もが頼りにする存在へとなっていったのでした。


・・・後日談。



第5部にて。
遠い異国の地に来ても、やっぱり高評価を受ける康一くんの姿が
そこにはありました。

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ドラクエ10を大いに語る

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以前、歴代ドラクエシリーズを振り返る記事を書きましたが、
(以下過去記事)

 歴代ドラクエシリーズを振り返る[I〜III]
 歴代ドラクエシリーズを振り返る[IV〜VI]
 歴代ドラクエシリーズを振り返る[VII〜IX]

今回はドラクエ最新作「X」について語ってみます。
シリーズ初のMMORPGということで歴代ドラクエとは
大きく違う今回の「X」。
2012年8月のWii版発売から既に何カ月か経ちましたが、
数回のアップデートを経て、ゲーム内に遊べるコンテンツが
着々と増えていっています。
2013年3月30日にはグラフィック・サウンド面が向上した
WiiU版が発売されることもあり、ここいらで再注目される
時期かなと思い今回記事にしてみました。

今回の記事では、「X」が歴代シリーズと比べて
どういうところが違うのかということに主眼をおいて
語ってみようと思います。

結構細かい話にまで踏み込むため、多少ストーリー核心部分に
触れることになります。
「X」を遊ぶ予定があってネタバレが嫌な人はご注意ください。
では、どうぞ〜


  ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族

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  〜STORY〜
 広大な世界のどこかに存在するエテーネの村。
 人々はつつましいながらも平穏に暮らしていた。
 しかし、ある日平和なエテーネに冥王ネルゲルの
 軍勢が襲来する。
 全滅したかにみえたエテーネの民だったが、
 難を逃れた者もいた。
 冥王に命を絶たれたはずのエテーネの若者が
 目覚めたのは謎の神殿であった。
 不思議な声に導かれるまま、若者は五つの種族から
 ひとつを選び、アストルティアの世界に転生を果たす…!


  五つの種族

ストーリーにあるように、序盤のプロローグ(オフラインモード)を
終えると、プレイヤーは五つの種族からひとつを選んで
その種族に転生することになります。
種族間でステータスや職業適性の違いなどはほとんどなく、
完全に自分の趣味で選んでOKです。
長く付き合うことになるキャラクターなので、じっくり考えて、
見た目はもちろん、種族としての生き方に
シンパシーを感じるものがあれば、それで選んでも良い感じです。
キャラメイクは納得いくまでこだわると良いでしょう。
適当に作るとあとで後悔します。

以下、簡単に各種族の特徴を紹介して見ます。


  力と勇気の種族 炎の民 オーガ



 厳しい荒野に生きる、大きな身体にツノと尻尾を持った者たち。
 強いチカラと体力で、仲間のために命をかけて戦う。

男はワイルドで屈強、女はセクシーダイナマイトという
わかりやすい特徴が魅力。
両手剣やオノがよく似合い、戦士など身体を張って
仲間を守る職業がバシっとはまります。
実際、戦闘中の存在感はひときわ大きく、非常に
頼りになる印象を受けます。
オーガの住む町は住居とか城とか、土壁むき出しで
ちょっと埃っぽい印象。衣服も半裸に近いようなものも多く、
住まいやオシャレにまるで興味なし。
求めるのは己の肉体を鍛えることのみ!
って感じのストイックな種族です。


  愛の歌を詠う種族 水の民 ウェディ



 美しい島々で生きる、水のような色の身体を
 持つ者たち。速さと強さという特性を活かして
 愛する者を守るために戦うという

男はイケメン。女は美人。身体付きはすらっとしています。
棍やツメがよく似合い、スマートに戦う印象。
武闘家がしっくりきますね。
しぐさとかなんとなくちゃらい感じもしますが
それもまた魅力かと。
ウェディならセクシャルな発言も
ある程度許される感があります。(個人の感想です)
ウェディの住む町は整った綺麗な街並みです。
城も荘厳な風格があります。
全大陸中唯一のアクセサリー屋も存在し、
おしゃれに気を使う種族であることがわかります。


  叡智を備え自然を敬う種族 風の民 エルフ



 森と共に生きる、小さな羽を持った者たち。
 世界の理を深く学び、優れた呪文の使い手を
 多数世に送り出しているという。

男はミステリアス。女はかわいらしいという印象。少々小柄です。
魔法職が一番似合う種族なのは間違いないでしょう。
身体的特徴として、オーガのツノやウェディの背びれにあたるものは
背中の羽ですが、これがジャンプするたびにピロピロ動いて
みてて面白いです。
回復してもらうなら女エルフに限る…(個人の感想です)
エルフの住む町は和風テイスト。
障子、畳、座布団、布団etc・・・。
小さな村にも学舎があり、非常に勤勉な種族です。


  富と技術を尊ぶ種族 地の民 ドワーフ



 大地と共に生きる、小さな身体に大きな耳
 を持った者たち。高い技術力と器用さで
 高度な文明を築き上げたという。

男はおっさん、女はロリっこという感じ。
せせこましく動く盗賊がよく似合います。
かなりクセのある見た目ですが、動いてみると
男は愛嬌があって、女はかわいらしいです!
(ドワーフびいきとしての個人の感想です)
ドワーフの住む町は古代文明の機械じかけが
ちらほらと散見されます。
圧倒的な科学力を誇ったであろうその文明は
今は衰退してしまっているようですが、
物を作り出すことに積極的な点は変わってない模様。


  笑いと夢に生きる種族 花の民 プクリポ



 絵本のような町で生きる小さな身体の者たち。
 強い魔力を持つ彼らは、楽しみを生みだすことに
 情熱を傾けるという。

男も女もとにかく愛らしいマスコット的種族。
旅芸人がよく似合います。
ちょっとドラクエの主人公にするのには
抵抗があるかもしれませんが、癒され度は
まちがいなくナンバーワンだと思うので、
魔王を倒すとか使命感にとらわれずに楽しむといい!
プクリポの住む町は娯楽がたくさん!
サーカス小屋、ドレスアップ屋、お菓子の家、巨大な楽器・・・。
とにかくたのしいことが大好き!愉快な種族です。


  オンラインモード〜各種族序盤イベント

種族選択を終えるとプレイヤーはアストルティアの世界に
転生し、種族ごとの序盤イベントを経験することになります。
基本的にイベントに沿って行動し、最後に序盤のボスを
倒すことで序盤イベントが完了します。
そこいらにいる他のプレイヤーとパーティを組んで
最大4人でイベント攻略することも可能ですが、
1人でも十分にレベルを上げれば余裕でクリアできるかと
思われます。

序盤イベントをクリアしたら、
いよいよ広大なアストルティア世界での冒険が始まります!


  アストルティアのあるき方

アストルティアは、4つの大陸と1つの諸島からなります。
(諸島もいっしょくたにして5大陸と呼んでも差し支えありません)

  大陸間鉄道

 

 この5大陸間には、「大地の箱舟」という大陸間鉄道列車が
 走っており、各大陸の鉄道駅がある町から大陸間を
 列車で移動することができます。
 プレイヤーは列車や徒歩でアストルティアを冒険することになります。

  パーティを組む
 冒険は最大4人のパーティを組んで行うことができます。
 この4人は他のプレイヤーでもかまいませんし、
 各町の酒場でAIの仲間を借りられる「サポート仲間」の
 システムを使えば、プレイヤー1人でも
 4人パーティを組むことができます。

 この「サポート仲間」で借りられるAIの仲間は、
 各プレイヤーがログアウトする際に自キャラを酒場に
 預けることでサポート仲間として登録され、
 他プレイヤーに貸し出す仕組みになっており、
 ここで貸借されたサポート仲間が稼いだ経験値の一部は
 後日登録者がログインした際に支払われることになります。

 と、まぁこんな感じでMMORPGになったとは言っても
 従来のドラクエのように一人で遊びたい人は
 サポート仲間を積極的に利用することで
 ソロプレイが十分可能なつくりになっています。
 (他プレイヤーとパーティを組んだ方が有利なことは多いですが)

  フィールドを探索する
 フィールドは「VIII」のようなフル3Dの広大な世界を
 歩くことになります。
 戦闘はシンボルエンカウント方式。
 フィールドをうろつく魔物シンボルとの接触により発生します。

 

 従来のドラクエとは違い、同一マップに極端に強さの違う
 敵が混在することもあり、強敵との戦いを避け、
 同格程度の敵と戦いつつフィールドを探索することになります。

  戦闘を行う
 戦闘は従来のドラクエのような完全ターン制ではなく、
 アクティブタイムバトルの要素が強いです。
 一定間隔おきに各プレイヤーにターンがまわってきて、
 そこで従来のドラクエ式コマンドを決定して
 攻撃や呪文の使用を行うことになります。

 

 ターンがまわってこない間も戦闘フィールド上を自由に
 動きまわることができ、敵が後衛キャラに攻撃に行くのを
 押さえ込んで阻止したりすることも可能で、
 ここが従来のドラクエと大きく違う点です。
 戦闘からの逃走も、この移動によって戦闘フィールドから
 出ることで行うようになっています。

  育成システム
 キャラ育成のシステムは「IX」がベースとなっています。
 各職業ごとにレベルが設定され、レベルアップすることで
 獲得できるスキルポイントを職業個別のスキルに振ることで
 特技を取得できます。
 取得できるものの中には他の職業でも使用できる特技や、
 「常時○○アップ」というようなパラメータアップ系も
 含まれているので、必然的に多くの職業を経験した方が
 キャラを強化することができるようになっています。
 (転職は酒場で自由に行うことができます)

  旅人バザー

 

 このゲームのキモとなるシステムです。
 旅人バザーという市場にプレイヤーがアイテムを出品して
 自由に売買を行うことができます。
 「X」では、武器や防具は基本的にこの旅人バザーで
 入手することになります。
 従来のドラクエのようにダンジョンの宝箱に強い武具が入っている
 ということは一切ありません。

 武器や防具を作った職人プレイヤーが出品したものを使用者が買う
 他の冒険者が出品している素材やレシピを職人が買う
 というようにアストルティアの経済循環が形成されており、
 冒険者はレベルに応じた武器・防具をこの旅人バザーで
 求めることになります。
 従って、従来のドラクエ以上にお金が非常に重要な意味を持ちます。


  ドラクエX 楽しみ方いろいろ

序盤イベントクリア後は、フリーシナリオとなります。
だだっぴろいフィールドに放り出され、何をしていいか
わからないと悩むプレイヤーも少なくないかもしれません。
以下におおまかな楽しみ方を書いてみます。

  メインストーリーを追う

 

 「X」のメインストーリーは、各大陸をまわって
 「キーエンブレム」を集めることが主目的となります。
 キーエンブレムが手に入る町ではイベントが発生し、
 そのイベントをクリアすることでキーエンブレムを
 入手することができます。
 キーエンブレムが集まるたびにストーリーは少しずつ
 動いていき、やがて主人公の故郷を滅ぼした
 冥王ネルゲルへと迫っていくことになります。

  冒険を楽しむ
 個人的にドラクエ全シリーズ共通の楽しみだと思っているのが
 未知の土地を、その土地がどのような意味を持つ場所なのかを
 想像しながら冒険することです。
 ドラクエシリーズは次にどこへ行くという目的地が
 明確に提示されずに手探りで目的地を探していく場合が多く、
 その過程で意味ありげなほこらなりダンジョンなりに
 辿り着くことがあります。
 そのときは何の場所なのかわからなかったりするんですが、
 のちのちストーリーが進んだときにその場所の意味が
 わかったりすると妙な爽快感があります。

 

 「X」はそういった意味では未知の土地のオンパレードで、
 意味ありげな洞窟やほこらが各地に存在します。
 当然初見では意味不明な場所も多いですが、
 ストーリーを進めていくと何の場所かわかったりするので
 こういうところは非常にドラクエっぽいです。
 フル3Dの広大なマップはなかなか冒険しがいもあります。

 

 ゲーム中、写真も撮れるので絶好のポイントをカメラに
 おさめるのもアリです。
 大陸間鉄道の線路が走ってる場所もあるので
 撮り鉄の気分も味わえます。

 

  レベルを上げる
 ドラクエではおなじみの作業「レベル上げ」です。
 従来のドラクエシリーズでは、普通に冒険しているだけで
 ある程度のレベルは上がるので、明確にレベル上げをする
 必要はなかったかもしれませんが、今回「X」では
 しないわけにはいきません。
 MMORPGとしてのバランス上、普通に冒険しているだけでは
 なかなかレベルは上がらず、レベルが低いままでは
 冒険すらままならない危険な土地も多くあります。
 必然的に、自分と同格程度の倒しやすい敵に目をつけ、
 ある程度の時間その敵を狩りつづけて経験値を稼ぐ
 必要があります。

 まぁこれを作業的で苦痛ととらえるか、
 キャラ育成の喜びを感じられるかは人によると思いますが、
 上記「冒険を楽しむ」の過程で経験値の入りのいい
 狩り場を探すことも目的のひとつに組みこんでおけば
 モチベーションも上がることかと思います。
 フレンドとだべりながらまったり狩りするのもアリでしょう。

 なお、プレイ時間があまり取れない人向けに、
 「元気玉」というアイテムがあります。
 一定時間獲得経験値とゴールドが2倍になるという
 素敵アイテムで、ログインしていないあいだに貯まる
 元気チャージと引き換えに入手することができます。

  お金を稼ぐ
 レベル上げ作業と同じく、「X」ではお金稼ぎも
 ある程度工夫をしないと思うように貯まりません。
 敵から入手するゴールドは微々たるもので、
 レベル上げと並行でお金稼ぎというのはあまり
 現実的ではありません。
 お金を稼ぐ方法はいくつかありますが、
 代表的な方法としては以下のようになります↓

   1.職人仕事をする

  

  武器鍛冶職人、さいほう職人、錬金職人など、
  「X」では職業とは別に「職人」に就くことができます。
  「職人仕事」では素材を使って簡単なミニゲームを行い
  製作物を生みだすことができます。
  ここで製作した品を旅人バザーに出品したり、
  ギルドマスターに納品することでお金を稼ぐことができます。
  ただ、多少のリスクもあり、製作物の出来が悪かったり
  すると思うような値が付かず、素材代の回収すらできずに
  赤字となることもあります。

   2.素材を拾って売る
  フィールド上には「キラキラポイント」と呼ばれる
  調べると素材が入手できる場所が点在しており、
  冒険のついでに拾い集めた素材を旅人バザーに
  出品することでちょっとしたおこづかいに
  することができます。

  

  身入りは少ないですがローリスクで稼ぐには
  良い方法です。
  また、キラキラポイントとは別に、フィールドには
  あらゆる場所にドラクエとしてはおなじみの
  「宝箱」が配置されていたりします。

   3.レアドロップをねらう
  モンスターの中には、旅人バザーで高額で取引されている
  素材やレシピを落とすものもあり、これを狙ってひたすら
  その敵を狩りつづけるのも有効です。
  うまくドロップすればその喜びは格別なものがあります!
  なお、ドラクエXではドロップアイテムはパーティ全員が
  それぞれ獲得することができるため、分配でもめることは
  ありません。

   4.相場師になる
  旅人バザーはプレイヤーが自由に品物に値段を付けて
  出品できる市場です。
  なので、あらゆる品物の価格相場は常に変動しています。
  また、大陸ごとに市場が設定されているため、
  同じ品物でも大陸ごとに相場が違ったりします。
  これを利用して、品物の相場が安い時に大量購入して
  相場が上がったときに一気に売り抜けて利益を得るという
  ことも可能です。
  当然、リスクもあるので経済感覚に長けていたり、
  そういう儲け方に喜びを見出す人向けです。

   5.ふくびきで一獲千金を狙う
  ゲーム中、いくつかの方法で「ふくびきけん」を
  入手することができます。
  これを使って「ふくびき」をして、うまく一等〜三等
  あたりが当たれば旅人バザーで超高額で取引される
  アイテムが入手できます。
  確率は決して低くはなく、毎日こつこつ引いていれば
  いつかは身を結ぶことでしょう。


 ・・・と、だいたいこんな感じでお金を稼ぐことになります。
 ゲームなので、あまりマジにならずに楽しく稼げると
 良いですね。
 現在のバージョンですと、ドラクエおなじみの「カジノ」は
 まだ実装されていませんが、カジノが始まったら
 仕様次第では破滅する人が続出するかも・・・!?ざわざわ


  クエストをこなす
 町などにはプレイヤーにお願いごとをふっかけてくる
 キャラもいます。
 敵がまれにドロップするアイテムを持ってきてくれ、だの
 ある人物を探してくれ、だのRPGっぽいおつかいの数々。
 これらをこなしていると報酬がもらえたり、
 プレイヤーの名声がどんどん高まっていきます。

 すでにメインストーリーをクリアした町では
 「外伝クエスト」をプレイすることができ、
 本編に登場した味のあるキャラたちのその後を
 楽しむことができます。

 言ってみればサブストーリーといった感じでしょうか。


  ハウジングを楽しむ
 お金がある程度貯まれば、各町の「住宅村」という
 場所に自分の「家」を買うことができます。
 この「家」は宿屋感覚でHP・MP回復ができたり、
 倉庫として使用できたりとゲーム攻略上でも
 重要な役割を果たしますが、一番の特徴は
 家具などを配置してインテリアコーディネイトを
 楽しめるという点!

 

 うん、そう。どうぶつの森!
 家具の種類も豊富で凝りだすといくらでもゴールドが
 必要になるので要注意です。
 庭の畑でお花を育てれば、防具をカラーリングする
 ための染色素材を収穫することも可能です。

 


  魔法の迷宮にもぐる
 「魔法の迷宮」と呼ばれるランダム生成ダンジョンを
 攻略するモードです。
 「まほうのかぎ」を使用すると、同タイミングでかぎを
 使用したパラメータの近いプレイヤーを自動的に
 マッチングして4人のパーティを形成し、
 「魔法の迷宮」モードが始まります。

 

 数フロアからなるダンジョンの最深部でボスを撃破すれば
 終了で、一回20〜40分程度のおてがるダンジョン
 といった感じです。
 プレイヤーをランダムでマッチングするというのに
 最初は抵抗があるかもしれませんが、
 慣れてしまえば、ダンジョン攻略という目的はみんな
 同じなので、自然と行動できます。
 全員終始無言で進む場合もよくありますし、
 軽いおしゃべりをしながら攻略となる場合もあります。
 すべてはそのときの空気次第。
 攻略がおわるとすっぱり解散となるのも
 おてがる感を推進してます。

 

 攻略すると、一日一回限定で「ふくびきけん」が入手できるほか、
 まれに出現する「隠し階」では、メタル系の敵が出現したり、
 行商人として「IV」のトルネコがあらわれて貴重なアイテムを
 購入できるといったサプライズ要素もあります。

 

 この迷宮のためだけでも一日一回ログインする価値は十分にあります。
 プレイ時間があまり取れない人にとっては、
 短い時間でたしかな満足度が得られる良システムだと思います。 


  フレンドとあそぶ
 これはMMOならではの楽しみですが、やっぱり気の合った仲間と
 一緒にプレイするのは楽しいです。
 そういった気の合う仲間を見つけるのは非常に大変ですが
 うまいことバシっと出会うことができれば幸運だと思います。

 ストーリー進行度が同じなら一緒にイベントをやって
 ムービーシーンなども一緒に観れますし、
 イベントの感想を言い合いながら進められるのが新鮮です。

 街中で鬼ごっこやらかくれんぼやらをしてる人も
 たまにみかけます。
 工夫すれば色んなことに楽しみを見出せるかも・・・?


  まとめ

ドラクエXは、MMORPGとしては非常にシンプルなつくりと
なっています。
コマンドは従来のドラクエとおなじく「はなす」「しらべる」
等の2×4枠のウィンドウにおさまる程度しか存在しませんし、
キャラ育成もスキルツリーのような複雑な構造にはなっていません。

これはMMORPGでありながらも、「ドラクエらしさ」を演出する
製作者のこだわりのようで、これが昔からのドラクエファンにとって
実に居心地が良いです。

最初にオンラインの世界に降り立ったとき、
まわりのプレイヤーキャラたちがいっせいに
町のツボやタンスを開けたり調べたりしてる光景をみたとき、
もう謎の感動に包まれてしまいました。
あー、みんなドラクエやってんだなーって。

プレイ時間が長く取れる人に対して、プレイ時間の取れない人が
圧倒的不利にはならない救済措置的システムもありがたく、
ログアウト時間とひきかえに入手できる「元気玉」はもちろん、
数時間の金策と同等以上の金額が運次第で当たる「ふくびき」も
プレイのモチベーションを底上げしてくれます。
(ふくびきけんは長時間プレイでたくさん入手できるものではないので)

もちろん、微妙だなと思うところもあって、
スキル・特技の性能の格差がかなりあり
せっかく武器の種類がたくさんあるのに、
強敵とガチでやりあうとき、まともにダメージが通るのが
実質ツメ一択だったりするところがかなり問題だと思います。
もっと武器ごとにいろんな戦い方ができても
いいのになーと、これは切に思います。
ぜひとも改善を・・・!

でも、まぁ総じて満足ですドラクエX!
今後のアップデートで「神話篇」なる新たなストーリー展開が
あるようですし、物語的にも期待しています。

では、今日もアストルティアへ行ってきます!


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◆関連記事◆
【ダイの大冒険】「ドラクエ」を漫画化するということ

【ジョジョ4部】川尻しのぶ×吉良吉影の物語を追う

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今回は『ジョジョの奇妙な冒険』第4部に登場する
川尻しのぶと吉良吉影のストーリーに注目して
記事を書いてみようと思います。




川尻しのぶは杜王町に住むごく普通の主婦です。
短期大学生だった頃に知り合った川尻浩作という男と
たいして好きでもないのになんとなく付き合っていたら
子供ができてしまい、結婚することになりました。

浩作は悪い男ではありませんでしたが、
しのぶは「つまんない男」と評します。

 あたしは『恋』を知らないで結婚した女…

玄関のドアが開き、浩作が帰って来ました。

今晩もあのつまんない男といっしょにすごさなきゃあ
ならないのか…

浩作の帰宅に気が付いたしのぶでしたが、
こんなつまらない男にあいそを言うのも
面倒くさいと無視を決め込むことにしました。
今晩は夕食も用意してはいません。

ところが、帰って来た浩作は
いつもとどこか様子が違うようでした。



なんと、夕食がないとわかった浩作は
手際良く料理を始めます。
すっトロイはずの浩作に料理が出来るなんて…
これにはしのぶも驚きました。



つまんない男だったはずの夫の突然の豹変・・・。
しのぶの奇妙な恋愛物語はここから始まります。


  ロマンチックな人



それから数日間、夫の様子はどこか変でした。

急に料理をはじめる。
頻繁に爪を切る。
電気シェーバーではなくカミソリでヒゲをそる。



小さな違和感は多くありましたが、
しのぶにとって、夫の印象が180度変わるほど
大きな違和感は程なくやってきました。



それは大家が家賃の督促にやってきたときのことでした。

滞納分の家賃を払うように言われた夫は、
家の金庫のまえに無言で立ちつくしたと思うと、
金庫を開けずに大家のもとへ向かい、
どうやってかはわからないが、大家のカバンから
大金を抜き取り、それを家賃として支払ったのでした!



普通なら大きく非難されるべきこの行為。
しかし、しのぶの印象は夫への嫌悪ではなく
まったく逆のものでした。

 わたしはこの人のことを……
 十数年いっしょに生活して初めてこの人を

 『なんてロマンチックなの』
  ――と思った……


  川尻浩作の正体



川尻しのぶが夫に変化を感じたのも当然でした。
本物の川尻浩作はもうこの世にはおらず、
今の浩作はべつの人間がなり変わった姿だったのです。

 『吉良吉影(きらよしかげ)』

現在の川尻浩作の正体は杜王町に潜む殺人鬼でした。
正体を暴き追跡しようとする者たちから逃れて、
川尻浩作になり変わった吉良は、ほとぼりが冷める
までは川尻浩作としておとなしく暮らすしかありません。

吉良は昔から若い女性を殺しては「手」を切り取って
持ち歩くという行為を繰り返していました。
その行為に深い意味はありませんが、
そうせざるを得ないほど強い欲求が身体の底から
沸き上がってくるのです。
吉良の欲求に呼応するように、自身の指の爪が
よく伸びる時期がたびたび訪れ、毎回その時期に
なると殺人欲求が抑えられなくなります。

しかし、今は川尻浩作の生活になじむのが何より先決。
今、下手な行動に出ては追跡者に正体が露見する
可能性があります。

吉良は気持ちを抑えつけ、
川尻浩作の筆跡をまね、
サイズのあわない靴を取り換え、
じょじょに少しずつ川尻浩作に溶け込んでいきました。



そして、浩作の妻・しのぶは夫の変化を敏感に感じ取り、
どんどん浩作の姿をした吉良に惹かれていきます。

吉良吉影と川尻しのぶ。
ふたりの奇妙な関係はこの先さらに進展して行きます。


  吉良吉影の新しい事情



ある日、吉良はしのぶから奇妙な相談を受けました。
家の地下室に見慣れない猫が入り込んでおり、
その猫がしのぶが見ている前で天井に張り付いたのだといいます。
さらにその猫は喉のところにぽっかり「穴」が開いていた
とのことでした。

「穴」…。
吉良はその「穴」に心当たりがありました。
あらゆるスタンド使いの持つスタンド能力は、
特殊な「矢」で身体を射抜かれることにより発現します。
もしかすると、その猫の「穴」は「矢」に
射抜かれたことによる「穴」なのでは…。

ところが、そのスタンド使いと思しき猫は
すでに死んでいました。
喉の「穴」に驚いてしのぶがほうきを振りまわした
ことによって、割れたビンが偶然突き刺さってしまい、
ザックリと喉を切ってしまったようでした。

これでは猫がスタンド使いかどうかは判別できません。
仕方なく、吉良は死んだ猫を庭に埋めてやることに
しました。



しかし、翌日!
猫は草状の生物となって地面から生えていました!
それも、「空気を自由に操作する」という能力を
持っているようで、吉良のスタンド『キラークイーン』の
爆弾攻撃をいとも簡単に防ぎました。



さらには、空気を固めて飛ばすことも可能で、
この空気弾による攻撃を受けたしのぶは
失神してしまいます。



この際、吉良は奇妙な感情を抱きました。

 何だ……?
 この吉良吉影…
 ひょっとして今この女の事を心配したのか?

 彼女の目にサボテンのトゲが刺さらなかった事に…
 今、心からホッとしたのか…?
 何だ…この気持ちは…

 このわたしが他人の女の事を心配するなどと…!

 いや違う!
 この女がもし死んだらあの空条承太郎に
 この家の事が知られる心配があるだけ…

 この女が無事でホッとしたのはその事のせいだ…
 ただそれだけ…

吉良は自分に芽生えた感情の正体がつかめないまま、
猫草への対処に戻ります。
結局、この場は猫草にゴルフボールをじゃれつかせる
ことで事なきを得ました。




失神から醒めたしのぶは、猫草のことは
悪い夢だったと解釈しました。
そして、同時に夫が会社を遅刻してまで
自分を介抱してくれていたという事実に感動します。

 うれしかったわ
 あの人と心が通じていると思った
 今までで一番幸せな朝だったわ…


吉良吉影と川尻しのぶ。
二人が心を通じ合わせることのできた
つかの間の時でした。


  川尻早人



食事をする吉良吉影の背に執拗な視線を向ける者がいました。

川尻早人…。
川尻しのぶと川尻浩作の息子です。
物静かな子どもで、両親ともろくに口を聞こうとしないため
何を考えているのかいまいち掴みかねるところがありました。
川尻しのぶも、早人が何を考えているのか
まったくわからないといいます。

吉良は早人のことがすこし気になりはしましたが、
すぐに興味をなくします。



しかし、早人は吉良にとっては最も恐るべき相手でした。
早人は自分の父親の異変にいち早く気が付いており、
隠しカメラや盗聴器を使って吉良の様子を探っていたのでした。
今朝も、父親が嫌いなはずの椎茸を朝食でムシャムシャ食べていた
ことに疑問を持ちつつ視線を向けていました。

そして、父親への不信感をつのらせた早人は
ついに父親の正体を探るべく直接的な行動に移ります。



ある日、父親を尾行していた早人は
決定的な現場を目撃してしまいます。

 自分の父親が、知らない男の人と女の人を殺して消した!

いや…父親ではない。
父親の顔をしている何者か。
本物の父親はすでに殺されて、ああして消されたのだ!



吉良は犯行を早人に目撃されていたことに気が付き、
早人に脅しをかけます。

 何て事だ…せっかく平穏にこの家になじむと思ってたのに
 この小僧を『殺す』のは目立つ事で非常にまずい事だ…
 しかし、あれを見られた以上やらざるを得ない!

 『始末』しなくてはいけない!

しかし、早人は吉良が思っていた以上に手強い相手でした。
なんと早人は、今のこの状況を…
吉良が早人を殺そうとするこの状況をビデオに録画していました。
しかも、吉良が川尻浩作の筆跡を練習しているところも、
靴のサイズが違うところも、屋根裏に隠したはずの「猫草」も
すべて録画しているといいます。

 「ぼくに手を出すなーッ いいなッ!!」

吉良の完全な敗北の瞬間でした。
たかだか小学生の少年にここまで追い込まれるとは…

吉良は自分が夢見ていた平穏な生活が遠のいていく
ことをうっすらと感じました…。


  平穏を求めて

早人に脅しをかけられ、激しく動揺した吉良吉影は
最も愚かな行動をとってしまいました。

思わず早人を『始末』してしまったのです。

普段の状況での『始末』ならば、うまく医者や警察を
ごまかすことができたかもしれませんが、
今は時期がよくありません。
吉良を追う者たちが川尻浩作へ疑念を向けた直後でした。
ここで早人の死亡がわかれば、追跡者は必ず
川尻浩作が吉良吉影であると確信することでしょう。

吉良は深く『絶望』しました。
もう自分の求める平穏な生活はやってこないかもしれません。
杜王町を逃れて、追ってくる者を気にして
背後におびえたり穏やかでも安心もできない人生を
歩むことになるかもしれません。

吉良はそんな人生はまっぴらでした。

 この町は決して出ないぞッ!

吉良が不屈の決意を口にした瞬間、奇跡が起きます。
スタンドの「矢」がふたたび吉良をつらぬき、
キラークイーンにあらたなる能力が備わったのでした・・・。




翌日、吉良は久しぶりにおだやかな気分で朝を迎えます。



家には『始末』したはずの早人の姿がありました。
キラークイーンの新たな能力「バイツァ・ダスト」。

吉良がとことん絶望したときにのみ偶発的に
発動することができる能力で、
吉良にとって不都合な事実を消すことができるという
とんでもないものでした。

昨日、早人を始末してしまった事実はバイツァダスト発動
によって消され、吉良も早人も普段通りの朝を迎えること
になります。

早人にしかけられたバイツァ・ダストは、
これから吉良の正体を探ろうと早人に近付いてくる者たちに
対して発動し、正体を探られたという事実および、
探りを入れた者たちを自動的に消してゆくことになるでしょう。
吉良はこれから先ずっと敵と出会うことはありません。
文字通り「無敵」となったわけです。



吉良がもっとも望んでいた平穏な生活がここにおとずれました。
偽りの家族とはいえ、吉良の平穏を守るためには
必要不可欠な隠れ蓑です。
そういった意味で、吉良はこの川尻の家族を心より
いとおしく思いました。

 家族なんだ…
 みんな仲よくしなくっちゃあなあ〜〜
 仲よくねェ〜〜

吉良の平穏な生活はこの先ずっと続くものと思われました。


  吉良の最期



しかし、吉良の望みはかないませんでした。
無敵と思われたバイツァ・ダストの穴を突いた
早人の勇気ある行動によって、追跡者たちは
再び吉良の前に姿をあらわすことになります。

 激しい「喜び」はいらない…
 そのかわり深い「絶望」もない…
 「植物の心」のような人生を…
 そんな「平穏な生活」こそ
 わたしの目標だったのに……

吉良はこの闘いに敗北します。



末路はあっけないものでした。
バックしてきた救急車による轢死。
地面とタイヤにはさまれて顔の皮膚が
はぎとられてしまい、死体の身元は
「川尻浩作」とは判断されず、
歯形の記録から「吉良吉影」であると
判別されました。

吉良の最期は「事故死」となりました。



その夜。
川尻の家には、帰って来ない夫を心配する
しのぶの姿がありました。

早人は父がもう決して帰ってくることのないことを
知っていましたが、母に告げることはできません。



しのぶはこれからも夫の帰りをずっと待つでしょう…。



しのぶにとって、本当に悲しい事実とは何なのでしょうか。

夫がすでに吉良に殺されていたことでしょうか。
それとも、真に恋をした相手である吉良吉影がいなくなって
しまったことでしょうか。
または、そうした事実を一切知らないままに、
帰るはずのない夫をこの先ずっと待ち続けなければならない
ことでしょうか。

早人はどうでしょう。
早人は本当の父親である川尻浩作と仲良しだったわけではありません。
しかし、父親を殺した吉良吉影を誰かに裁いてほしかったといいます。
結果、吉良は死亡してしまいましたが、早人はこの先、母親のことと
吉良のことで深く悩むときが来るかもしれません。

母は吉良が夫になりかわっていたことを知らず、
早人もそれを告げることはできません。
母は父とは全然仲が良くなかったのに、吉良がなりかわって
からはすごく仲が良くなっていました。
吉良はもしかしたら、(他の者は殺したとしても)
早人としのぶには手を出さずに、川尻の家族はずっと
大切にしたかもしれません。

自分のしたことはこれでよかったんだろうかと。
早人は悩むかもしれません。
自分のしたことは母親を悲しませるだけだったのかと。

いずれにせよ、川尻の家族は深く傷つきました。



川尻しのぶと吉良吉影の物語は、良い結末を迎えることは
できませんでした。
しかし、もしああだったら、こうだったら…
このあとしのぶは、早人は、どう生きていくのだろうと
ついついあれこれと考えてしまう後を引く物語であると思います。

実は吉良の死後、彼の物語には続きがありますが、
しのぶと早人の物語も続きがあれば読みたいと、
最近は切に思います。


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最高に熱かった漫画版『ロックマンX』について語る

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かつて『ロックマンX』というアクションゲームがありました。
1987年にファミコンで発売された『ロックマン』シリーズの派生作品で、
シリーズ第一弾は1993年にスーパーファミコンで発売されました。

横スクロールアクションとして非常によくできた作品で、
当時の人気はすさまじく、売り上げもミリオンセラーを達成しています。

今回は、そんな『ロックマンX』のコミカライズ版を記事にしたいと思います。


  漫画版『ロックマンX』の魅力

漫画版『ロックマンX』は、コミックボンボンにて連載されました。
作者は岩本佳浩先生。



絵柄はご覧の通り、原作のさっぱりしたデザインよりは
少し濃いめの印象です。



内容としては、原作の醍醐味である「撃つ」「走る」「跳ぶ」等の
アクションを漫画という媒体で派手に魅せてあって
ゲームをプレイした人が読んでいて実に気持ちの良い内容でした。



また、アクションゲームというジャンル上
ストーリー要素が少なかった原作に対し、
漫画独自のストーリー上重要な設定がいくつか
追加されているのも見どころのひとつとなっています。
特に、主人公・エックスを「泣く」ことのできる特殊な
レプリロイド(人間的思考回路を持つロボットの総称)
と設定したことは非常に大胆なアレンジでした。

この設定は後々のシリアスなストーリー展開に
マッチしており、要所でエックスの「泣き」の
演出が入ることがストーリー上のアクセントになっていました。



また、タイトルに冠される「ロックマン」を"称号"と解釈し、
エックスこそが「ロックマン」の称号の継承者であるとしたことで、
ファミコンの『ロックマン』シリーズからつながっている
バックストーリーを読者に想像させるという、物語に奥行きを
持たせた演出も見事でした。

当時のコミックボンボンの他のゲームコミカライズ作品と比べてみても、
コミカライズ以前に漫画作品として非常に大きな存在感を持った作品であり、
原作ゲームのプレイヤーはもちろん、
ゲーム未プレイの読者の心をもガッチリ掴んでいたことと思います。

以下、そういう本作品の「漫画作品的」な強みを挙げて
本作品の魅力をみて行きます。


  ゲーム攻略にとらわれないボスの倒し方

『ロックマンX』のゲームは、8体のボスを倒し、
最終的にラスボス「シグマ」を倒すことが主な流れとなります。
その原作に沿った本作品は、必然的にボスとのバトルが
作品のメイン要素となります。

同時期に連載されていた無印『ロックマン』シリーズの
コミカライズ作品と比べるとよくわかるのですが、
当時のゲームのコミカライズ作品というのは
原作ゲーム攻略上に沿った展開にするのがセオリー
だったように思います。
すなわち、この『ロックマンX』については、
ボスの動きのパターンを見極めて攻撃を回避し、
弱点となる武器で攻撃するというのがセオリーとなります。
ただ、これではバトル漫画としてはやや展開が単調と
なってしまうのが難点です。



本作品ではそういった、「原作ゲームの攻略通りにする」といった縛りを
大胆に切り捨てています。

上記画像のスティング・カメリーオの本作品での倒し方は、
バスターで天井を破壊し、射しこんだ太陽光によって
変色機能を麻痺させ、フルチャージのバスターで一撃で
倒すというものでした。

アーマー・アルマージとの戦いでは、
熱センサーにより追尾して攻撃してくるアルマージへの
対処として、周囲に火の海をつくって身を投じ
体温を消し去ることで追尾から逃れました。

バーニン・ナウマンダーは、自身の身体が破壊されても
周囲のスクラップが同化して再生するという、
そもそも原作とはまるで設定の違うキャラとなっていました。
ここでは再生のためのコアを見極め、それを破壊することで
再生を止めていました。

こんな感じで、他のボスもゲーム攻略にとらわれない
戦い方でエックスは勝利をおさめます。
この演出方針はバトル漫画として高い水準で成立しており、
読者はエックスが知恵と勇気によって強敵を倒してゆく
ことにカタルシスを覚えることになります。

エックスは「B級」のイレギュラーハンターであり、
8体のボス達は「特A級」です。(原作でも同様)
本作品では、ボスたちとエックスの間に大きな実力差が
あるとした上で、
その実力差をエックスのもつ「知恵」と「勇気」と「潜在能力」
で埋めていく様が描かれています。


  原作には登場しない魅力的なサブキャラたち

本作品では、原作には登場しないサブキャラクターが
何人か登場し、ストーリー面を大きく補強しています。



エックスの旧友・マルスはアラスカの部隊に
配属されていましたが、アイシー・ペンギーゴによって
氷漬けにされていました。
彼の最後の力をふりしぼった勇気ある行動によって、
エックスは"誇り"を守り通すことの大切さを知ります。



マーティは南太平洋にてエックスと出会った
レスキュータイプのマーメイド型レプリロイドです。
この地域のボスであるランチャー・オクトパルドにだまされ
エックスを罠にはめますが、エックスの勇気に影響を受け、
オクトパルドに戦いを挑みます。
結果、ボディを粉々にくだかれてしまいますが、CPUは無事で
戦いがおわったらエックスにボディをつくってもらう
約束をします。
エックスに惚れており、続編『ロックマンX2』にも登場することから
なんとなく本作のヒロインに近い位置づけとなります。



ティルは、ゼロの過去に深く関係している
ハンタータイプの女性型レプリロイドです。
原作には一切ないゼロの過去に印象的に登場することもあり、
本作品のオリジナルキャラとしてはひときわ印象が深いです。


  ボスたちの濃いキャラ付け

先に述べた通り、『ロックマンX』の主な展開は8体のボスを
倒すことです。
原作ではこの8体に特にキャラ付けはなく、
単純に攻撃パターンがプレイヤーにとってのそのボスの印象でした。
ですが、本作品では8体にそれぞれキャラとしての個性があり、
それが結構な「濃さ」でもって成立しており、本作品の魅力となっています。

ここでは特に印象的なキャラ付けがなされた
アーマー・アルマージとストーム・イグリード
(原作ではイーグリード)を紹介してみます。


アーマー・アルマージは登場時かなり度肝を抜かれました。



まさかの「武士」キャラだったのです!
一人称が「それがし」で二人称が「貴殿」!!
そして、一対一の果たし合い!!!
日本刀による切腹(!)という壮絶な最期も
インパクト十分でした。
セリフも非常に武士武士しており、

「よいか?闘いというものは臆した者に必ず"負け"が
 おとずれるものなのだ!!!」

「捨て身の兵法…勝負運の強さ…それを持っている貴殿こそ…
 真の特A級なのであろうな!」

「確かにシグマの行為は残虐にして非道だ…
 だが…命令無視をしたそれがしの願いを聞き入れられる
 "侍(おとこ)"でもあるのだ!!」

「それがしは…最後に…"侍(おとこ)"として闘えた…
 十分満足…だ」

「涙を流すレプリロイドか…レプリロイドの夜明けかもしれんな」

原作のボス紹介文の「武人肌の堅物」という部分を
膨らませたのでしょうが、
このキャラ付けは非常におもしろく魅力的でした。




ストーム・イグリードはゼロの旧友というキャラ付けに
驚かされました。(しかも過去に結構な因縁あり)
公式に無い結構重めな設定を盛った感が当時は衝撃的で、
幼心に「え・・・これいいの?」とちょっとボンボン編集部を
心配したものでした。
よくカプコンからOKもらえたなぁ・・・

イグリードはストーリー上かなり重要な役割を果たし、
エックスのパワーアップに大きく貢献します。
イグリードとゼロが過去の因縁を払拭して
握手しようとするも、直後にイグリードが力尽きてしまう
場面は非常に感動的でした・・・。


そして、ここにも絶大なインパクトを誇る敵がひとり。



たとえば・・・
このグラスの中身がバーボンでも泥水でも・・・
俺達には大差ない・・・

俺達は闘うためのみに生まれた疑似生命体(レプリロイド)
だからな・・・

"儀"だの"野心"だの無意味なことだ・・・



なあ・・・
エックスよ・・・

うん、すっごいハードボイルド!
「VAVA(ヴァヴァ)」は8体のボスたちよりも1ランク上のボスで、
シグマとのラストバトルの前に闘う相手です。
これがご覧の通りのハードボイルドなセリフを連発する
COOLな感じがとてもイカしてました。

"ロックマン"の伝説をつぶすということにこだわっていて、
エックスを"ロックマン"の継承者であるとし、
エックスがその名に恥じぬくらいに成長したところで
存分に闘ってつぶしたいという、バトル漫画ではお約束の
戦闘狂的側面も併せ持っている点も見逃せません。



クールに決めてた彼も最後はこんな感じに
戦闘狂きわまってイカレちゃいました。
他のキャラと違い、表情がないヴァヴァですが、
それと言動のギャップが面白かったです。

「これだこれ!!まってたぜーっ伝説をブチ壊す瞬間をよーっ!」
「おめーは最高の得物だぜロックマァァァァン!!」

って能面みたいな表情でテンションマックスになってる様が
ちょっと滑稽な感じはしますが、これがヴァヴァの魅力かと。


  漫画版『ロックマンX』の真髄は"熱さ"にあり!

と、まぁこんな感じで漫画版『ロックマンX』の魅力を語ってきましたが、
この作品の最大の魅力はなんといっても"熱さ"にあると思います。



涙を流すことのできるレプリロイド・エックス。
彼が涙する場面は相当な力で描かれます。



正直、漫画版『ロックマンX』の連載が始まった当初、
あまりのエックスの顔の濃さに若干引いてしまいました。
「こんな顔が濃いのはロックマンじゃない」と
思っていた時期もありました・・・。

でも、作品を読んでいくうちに、こういった「泣き」の
演出の場面でのエックスの魂のこもった表情と叫びで
心を激しく打たれることが多くあり、
だんだんとこの顔の魅力に気が付いて行きました。



エックスの魂のこもった叫びに、表情に・・・
読者は熱を感じてうち震えます。

最後に、個人的にもっとも熱を感じてうち震えた演出を
紹介して、本記事を締めくくろうと思います。




シグマとの最後の闘い。
シグマの圧倒的な力を前にエックスはなすすべもありません。
とどめとばかりにエックスにむかって
シグマのビームサーバーが投擲されます。

自分に向かってくるビームサーバーを前に、
エックスの頭には走馬灯のように考えがめぐります。

 誇りを教えてもらった

 これは、自分の命とひきかえにアラスカを守ったマルスのことです。

 命をかけて勝負をいどまれた

 シグマの命令にさからってまで勝負を挑んできた
 アーマー・アルマージのことです。

 希望と呼ばれた

 ゼロはストーム・イグリードに、エックスは俺達の"希望だ"と言いました。

 また逢う約束をした

 闘いが終わったら、マーティにボディを造ってあげる約束をしました。



 平和な未来をつくると約束した!

 ヴァヴァとの闘いで命を落とそうとしているゼロに、
 エックスは"懐かしい未来"をつくると約束しました。

今、ここで死んだら・・
すべての友を裏切ってしまう事になります・・・



 いや・・・ダ・・・
 Mi・・んな・・ヲ
 裏・・ギRe ナ・・・・イ



壁のモニター機能が破損して一部が本来の姿に戻りました。
その様は、まるで死神がエックスを丸飲みしようとしている
ようにも見えます。
シグマはエックスの機能停止を完全に確認しましたが・・・



!!?

ここにきてエックスが涙を流している!!
覇者として生まれたシグマが初めて「恐怖」を
抱いた瞬間でした。

このあと、信じられない奇跡が起こります・・・!


この演出には心底痺れました・・・。

さてさて。
こんな感じで語ってきましたが、どうだったでしょうか
『ロックマンX』。
既読の方はまた読み返したくなり、
未読の方は読んでみたく思っていただければ幸いです。

ゲームのコミカライズ作品ということで、読者の幅が多少狭い
かもしれないこの作品ですが、元のゲームを知らなくても
十分に楽しめる魅力が、この作品にはあると思います。
『ロックマンX』以降、続編として『2』『3』『4』も
同じ岩本佳浩先生が描かれています。

ぼく自身、実は『2』までしか読んだことがなく、
この記事を書いているうちに続編が無性に読みたくなったので
『3』『4』を近いうちに入手して読んでみようと思っています。

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打ち切りさんいらっしゃい! 【放課後ウインドオーケストラ】

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打ち切り漫画にスポットを当てて、その魅力に迫る
「打ち切りさんいらっしゃい!」のコーナーです。
今回は2008年4月〜2009年6月までジャンプスクエアで連載されていた
『放課後ウインドオーケストラ』を取り上げます。
(コミックス全4巻 宇佐悠一郎 著(女性の先生です))

ジャンプはジャンプでも「SQ」の方で連載されていた
作品なので、知名度は低いかもしれませんが、
ジャンプ系の雑誌で「本格的な部活モノ」というジャンルに
真正面から向き合った稀有な作品だと思うので、
今回このコーナーで取り上げてみることにしました。
また、「打ち切りにならなければもっとこういう話がみてみたかった!」
という部分が個人的にかなりある作品なので、そういうところも
含めて語ってみようと思います。

では、どうぞ↓


  放課後ウインドオーケストラ概要

『放課後ウインドオーケストラ』は、高校の吹奏楽部のお話です。

主人公・平音佳敏(へいおんよしとし)は、春から高校一年に
なったばかり。
中学時代の趣味は睡眠。特技は授業中気配を消すこと。
成績は中の下。帰宅部。
そんな彼が入学した高校は、私立千代谷高校。通称チヨコー。
勉強もスポーツも全てにおいて平凡で実に目立たない高校。
そんなチヨコーは彼の性分にぴったり合った学校でした。
なんといっても、家から5分の好アクセス!
平音はこれからはじまる低燃費な学生生活に
期待していました。



当然、高校も帰宅部と決めていた平音でしたが、
偶然にもクラスイチの美少女・藤本鈴菜(ふじもとりな)と
一緒に部活動見学に行くことになります。
鈴菜は中学のときから続けていた吹奏楽部に絶対入ると
決めていたようでしたが・・・



なんと、チヨコー吹奏楽部は本年度をもって廃部!
対外成績が悪かった部を廃部とするという、
チヨコー校長の方針によるものでした。

ものすごく落ち込む鈴菜に、吹奏楽の楽しさや
何故部活動にこだわるかの熱弁を聞いた平音は、
今回のこの鈴菜との会話だけで中学3年間の
女子会話量を越えたことを実感します。

鈴菜と吹奏楽部の見学に行くことになったのは、
音楽室を探して迷っている鈴菜へかけた
「一緒に行こうか?」
のたった一声でした。
一歩踏み出したともいえない、「半歩」の踏み出しで
何も起こらなかった中学時代とはこんなに違ったことが
起こったのです。

平音はさらに思います。

 一歩踏み出したら・・・どうなるんだろう?



他の人から見たら小さな一歩かもしれませんが、
平音にとっては大きな一歩を踏み出しました。
なんと、吹奏楽部への勧誘活動!!

楽器も初心者。音楽の成績もよくない平音が
吹奏楽部を再興しようと思ったのは、ただ単純に
吹奏楽部に入れなくて落ち込んでいる鈴菜のためでした。



そして、なりゆきの上での「部長」発言!
このやりとりを見ていた元・吹奏楽部の2年生は感心し、
部活のみんなに声をかけると言ってくれました。
さらに、初心者だけれどもなんか楽しそうと興味を持った
1年生も数人加わり、チヨコー吹奏楽部は
同好会として再興することになりました!

・・・平音にとって非常に密度の濃い一日が終わりました。

「今日一日で中学の3年分くらい疲れた・・・」

そんな彼に、中学時代決して女子からなど
届くことのなかったメールが届きます。

 件名:藤本です
 本文:
  藤本鈴菜です。今日はどうもありがとう。
  おかげで明日からまた吹奏楽やれそうです。
  平音くんが力になってくれて、
  びっくりしたけど嬉しかった。
  ちょっと涙出ちゃいました。
  それではまた明日。
  藤本鈴菜

入学早々思いも寄らない展開。
彼の胸中は複雑でした。
ひとつは、とてつもなく大きな不安。
そして、裏腹に
これから先、毎日新しいなにかが
待っているんじゃないかという予感――。


  放課後ウインドオーケストラの特徴1〜主人公部長モノとして



こうして始まった『放課後ウインドオーケストラ』の物語!
主人公・平音はまったく楽器に触れたことがなく楽譜も読めない
完全な音楽初心者です。
物語の大きな流れとしては、そんな平音くんの音楽家としての
成長と、吹奏楽部部長としての悪戦苦闘を同時進行で描く
ような形で展開されます。

まずは、吹奏楽部部長としての平音の物語をピックアップしてみましょう。



最初はただ鈴菜のために部長を引き受けた平音でしたが、
思った以上に大勢の人たちから感謝されることになります。
元々在部していた2,3年生はもちろん、吹奏楽部に
入ろうと考えていた新1年生からも平音に感謝の言葉がかかります。
こんなに誰かから感謝されたのは初めてでした。
もちろん、悪い気はしません。

とはいえ、音楽はまったくの初心者。
練習メニューは考えられない、合奏の曲目も決められない、と
音楽的なことではまるで部長としての務めを果たすことはできません。

そもそも、吹奏楽部は同好会として再興したにすぎず、
コンクール等に出場するには部として正式に発足しなければ
なりません。
そのためには前の吹奏楽部を廃部にした張本人の校長に
認めてもらわなければなりません。



平音にできること。
それは、知り合った全国一位のトランペットの腕前を持つ
月川海澄(つきかわかすみ)に協力を仰いで
校長に認めてもらうための演奏曲目を考えてもらう、
さらには校長を実際に引っぱって来て、吹奏楽部の
演奏を聴いてもらうということでした。

この作品では、主人公が秘めたる音楽の才能に突然目覚める!
ということは一切ありません。
あくまでも音楽初心者の無力な部長という立ち位置の彼が、
それでもなんとか自分にできることはないかと
試行錯誤する様に読者は感銘を受けるのです。



時には、部員同士のいざこざの中に入って行き、
時には、部員たちの練習に的確なアドバイスをくれる
強力な助っ人を引っぱってくるための代償として
楽器屋で働き、
時には、他校の部長から全く異なった価値観の
思想を披露されてへこみながらも、

彼は"部長"として少しずつ成長していきます。



そんな平音くんの部長としての奮闘ぶりは、
間違いなくこの作品の魅力の大きな部分を占めています。


  放課後ウインドオーケストラの特徴2.〜"本格"部活モノとして

音楽マンガというと、主人公たちの天才的な演奏による
ビジュアル的にも派手な演奏シーンなんかをイメージしてしまう
かもしれませんが、この作品は演奏シーンは全体的に少なく、
全17話中、主人公たちの合奏シーンがあったのは
たったの2回のみ(!)

そうなんです。
これは、吹奏楽"部"の物語。
部活といえば・・・「練習」!!
なんと、このマンガ、作品の大部分を練習シーンが占めているのです!



走る!



吹く!



合わせる!

ありとあらゆる練習が登場し、さまざまな登場人物たちが
奮闘します。
ジャンプ系マンガなのに修行シーンが作品の大半を占めている
・・・と書くとなんだかつまらなそうに聞こえますが、
決して、そんなことはない!!
彼らがいろんな練習にみんなで一生懸命取り組む様は、
見ていて非常に気持ちが良いです。



地味な基礎練習もしっかりと描写され、
初心者も結構交じっている吹奏楽部の面々の
音楽的成長にも説得力がもたされますし、
何よりメンバーの一体感を演出するのに大きな効果を
もたらしています。
このあたり、ラストで効いてくるので要注目です。



まさに、「本格」部活モノ!
主人公・平音のトランペッターとしての成長も
非常に見モノです。


  放課後ウインドオーケストラの特徴3.〜部員の個別エピソード、各々の音楽への想い



練習シーンと並行して、部員の個別エピソードも要所に
挿入されます。
個別エピソードでは、そのキャラが音楽にかける想い、
そのキャラの担当する楽器の合奏での役割について
掘り下げがなされます。



読者としてはここの個別エピソードで
そのキャラの魅力を感じたり、そのキャラが担当する
楽器について知ったり、そのキャラがかかえている
人間関係やドラマなどを読みとることができます。



惜しむらくは、吹奏楽部員の数は結構いるはずなのに
個別エピソードで掘り下げがなされたキャラが少なく、
コマにはよく出てくるのに本編中のエピソードがほとんど
ないキャラがいたり、ほとんどモブ扱いのようなキャラが
多かったのは残念でした。
このあたり後で詳しく言及しますが、ストーリーの進行と
キャラの掘り下げを同時並行で行うには月刊連載という
スタイルはあまりにも不向きでした。

ホルン、フルート、ユーフォニアムなど
作中で触れられることのなかった楽器があったのも
残念でした。


  ラストにむけて

『放課後ウインドオーケストラ』の打ち切りが具体的に
どの時点で決定したかは定かでありませんが、
ラストにむけての流れを以下にさらってみます。



夏合宿中、平音は賢洋高校という吹奏楽強豪校の
部長・副部長と知り合いました。
彼らの吹奏楽へのガチな取り組み方は、
真剣に取り組みながらもどこかまったりとしたチヨコーの
それとは明らかに異なり、
平音は部長としてかなり戸惑います。

とはいえ、チヨコーにはチヨコーのやり方がある。
夏合宿中、チヨコー吹奏楽部は練習と遊びを交互に
織り交ぜつつ、楽しく練習をしました。
強豪ではないものの、吹奏楽と真剣に向き合ってきた
自分たちにも奏でられる音楽があるはず!

途中、賢洋の1年生だけのコンサートに招待されて
格の違いをみせつけられたりしましたが、



この日、賢洋吹奏楽部の顧問から励まされ、
チヨコー吹奏楽部はそっと背中を押された気がしました。



まずは目の前にせまった、吹奏楽コンクールの地区予選!
吹奏楽の甲子園ともいえる普門館は無理だとしても、
せめてこれくらいは・・・!
地味に妥当な目標をかかげ、チヨコー吹奏楽部の士気も上がります。



そして、迎えるコンクール当日。
最前列で見学する老人がこんなことをつぶやきます。

 贅沢な演奏じゃの
 プロも大人もこんな音楽の作り方はせん
 同じ曲を何十回何百回と同じメンバーで繰り返したりはせん

 どの学校も12分の間にこれほどの若さと熱を込めて…
 羨ましくなる
 じつに贅沢な12分だ

その老人のつぶやきに対して、一人の大人がこう返します。

 そうですね
 本当に・・・その通りだと思います
 俺も高校時代は吹奏楽部でしたが
 今後の人生においてあれほど一曲をやりこむことは
 決してないと思う

 コンクールの成績はいつか忘れても
 放課後の音楽室で聞いていた音や仲間の笑顔は…
 決して俺のなかで色あせることはないと
 そう思います

そして、いよいよチヨコーの演奏が始まります。



合奏しながら、平音は思います。

 ――今日この舞台で吹くために毎日やってきたわけだけど
 舞台で吹いてると本当に実感する

 音楽は時間芸術だ

 かたちのないものを作り出し、それが一瞬でその場で消え去っていく
 そのたよりなさや切なさや
 それゆえの価値のようなものを・・・
 舞台で吹くとき一番実感する



 どの一瞬もすごいスピードで俺たちの前を
 通り過ぎていくけれど

 その間にかたちないものを作ってるんだよ きっと

 ・・・・・・



チヨコー吹奏楽部のヨロヨロとした初舞台は一応、
無事着陸を果たしました。
自分たちとしては会心の音楽を奏でたという
手ごたえがたしかにありました。



みんなと一緒にみえない何かをかたちづくった実感は
部員それぞれに不思議な感情を抱かせます。



そして、平音は。
みんなが演奏後こうやって笑っているのだから
素直によかったんだと思えました。

コンクールの成績は「金」「銀」「銅」の
三つの賞に分けられ、どの高校も必ず
どれかの賞が与えられます。
金賞のうち何校かが次の大会へ進めることとなります。

チヨコー吹奏楽部のコンクールの成績は……
残念ながら「銅賞」でした。


チヨコーの夏は終わり、2学期。
来る次のイベント・文化祭へと、チヨコー吹奏楽部は動きだします。
あたらしいスタートと同時にいくつかの別れ。
コンクールまでと決めていた部活動を辞め、プロをめざす者。
引退してゆく3年生たち。
さまざまな出来事を経て、これからもチヨコー吹奏楽部は
続いていきます・・・!!


  こんな放課後ウインドオーケストラがみたかった

・・・と、まぁラストまでこんな感じでした。

コンクールの地区予選をクライマックスとして、
今まで積み重ねてきた練習の描写や、各部員のドラマなどが
舞台での合奏に一気に集約するような演出は見事でした。
平音が舞台で吹きながら、
音楽はかたちないものをつくる時間芸術だけど、
自分たちの音楽以外のなんでもない高校生活だって、
かたちないものをつくっているんだって気付くシーンは
実際、胸に来るものがあります。
いろいろ思い出すなァ・・・

ちょっと残念なのは、コンクールに行くまでに
キャラ的に掘り下げがあった部員の数が少なかったこと。
また、各楽器の役割の掘り下げも少なかったこと。

たぶん、月刊連載ということもあり、のろのろと
キャラ個別エピソードを展開していてはストーリーの進行が
遅くなるとかそういう事情もあったのでしょう。
ストーリーを進行しつつ、その間にできるだけキャラを
しゃべらせたり、せめてこのキャラだけでも〜という感じで
泣け無しの一話を使って個別エピソードを展開できたキャラもいたり、
コミックスではおまけページの4コマを使って
本編で目立ってないキャラを補完したりと
さまざまな工夫でもってキャラを活かそうとする努力のあとが
みられます。
そのおかげか、全4巻17話という短い尺のわりに、
各キャラの印象はくっきり深いです。
チューバの桜井さんとか、個別エピソードほとんどないのに
存在感すごいですからね!(個人の感想です)



あと気になる点としては、吹奏楽ガチ勢・賢洋高校との
絡みが消化不良におわったところでしょうか。

楽しく部活をするというチヨコーと対照的な存在として
登場したわけで、チヨコー吹奏楽部が賢洋とは違う
やり方でちゃんと素晴らしい音楽を奏でられるんだ!
という展開にするのが妥当な流れと思いますが、
地区予選の一回の演奏だけで、賢洋の部長が
まーこういう音楽もアリかなと
あっさり納得してしまったのはちょっと不自然でした。
ストーリーが続いていれば、賢洋とチヨコーの音楽観の
問題は来年のコンクールまで持ち越しーとかできて、
その間のいろんなエピソードを経ての
次年度のコンクールではチヨコーの演奏がどうなってるかー!?
みたいな展開にできたんですけどね。



賢洋の天才トランペッター・天野と、
チヨコー吹奏楽部にいろいろ協力してくれている月川との
関係エピソードも、展開したはいいけどすぐに
たたまなければならなくなったので、実に
中途半端に終わってしまったのも残念でした。


まー、結局なにが言いたいかっていうとですね。

もっと、放課後ウインドオーケストラを読みたかった!!

これに尽きます。

あのモブ一年生やあの先輩のエピソードも読んでみたかった!
この楽器がぜんぜん掘り下げなかったのでちゃんと紹介して
ほしかった!
部長として、トランペッターとして成長していく平音くんを
もっと見守りたかった!

いろんな可能性があった作品でした。
それだけに打ち切り終了が本当に残念でした。



吹奏楽に打ち込む、天才でもなんでもない普通の人たちの物語。
大好きでした。

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思い出の一話〜【ターンエーガンダム 43話「衝撃の黒歴史」】

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印象に残ってる漫画やアニメの一話をピックアップして掘り下げる
「思い出の一話」のコーナーです。
今回は『∀(ターンエー)ガンダム』を取り上げます。

『機動戦士ガンダム』誕生20周年記念作品として
製作されたTVアニメシリーズであるこの作品。
主人公機であるガンダムがヒゲづらという
強烈なインパクトでもって、放映当時はガンダムファンの
相当な話題をさらいました。
が、この作品ガンダムの見た目のインパクトのみならず、
さまざまな部分で視聴者に驚きを与えた作品でした。

ガンダムとは思えないほど牧歌的な世界観で展開される物語。
尖ったデザインの個性的なキャラクターたち。
山を掘ったらザクやカプールなど旧作のモビルスーツが発掘される

などなど、
一話放映されるたびに驚きのない回がないんじゃないか
というほど、毎回印象深い話が続きました。

なかでも取り分け視聴者の度肝を抜いたであろう問題の回
第43話「衝撃の黒歴史」に注目してみましょう。


  本題に入る前に

さて、本題へと入る前に初代『機動戦士ガンダム』から始まり
『∀ガンダム』に至るガンダムシリーズの流れをざっと確認してみます。

 1979 機動戦士ガンダム [TVアニメ]

1979年、富野由悠季(喜幸)監督によって『機動戦士ガンダム』が世に出ます。
それまでのロボットアニメは主人公メカを正義の味方として扱い
地球を侵略にきた悪の異星人と戦うといった勧善懲悪モノがほとんどでした。
しかし、『ガンダム』ではロボットを「モビルスーツ」と呼ばれる
兵器として扱い、人間同士の戦争を描きました。

 1985 機動戦士Zガンダム [TVアニメ]
 1986 機動戦士ガンダムZZ [TVアニメ]
 1988 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア [劇場アニメ]
 1991 機動戦士ガンダムF91 [劇場アニメ]
 1993 機動戦士Vガンダム [TVアニメ]

以降のガンダムシリーズでもそれは一貫しており、
上記に挙げた富野監督によるガンダム作品はほとんど
宇宙に住む人々と地球に住む人々とのいざこざが
大枠の舞台としてあり、そのなかで人類の新しい進化の形である
「ニュータイプ」と呼ばれる主人公の少年が、戦争を通じて
さまざまなことを感じ取り成長していく物語構成となっています。

 1994 機動武闘伝Gガンダム [TVアニメ]
 1995 新機動戦記ガンダムW [TVアニメ]
 1996 機動新世紀ガンダムX [TVアニメ]

Vガンダム以降の上記3作品は、富野監督以外の人物が監督を務めた
テレビアニメシリーズでのガンダム作品となります。
それぞれの作品の特徴として、

「G」
世界各国を代表する格闘家達が操るガンダムを用いた
格闘技大会「ガンダムファイト」で争うという異色作

「W」
5機のガンダムと5人の美少年を主人公に据えた
女性人気を確立したガンダム作品

「X」
荒廃した地球を舞台にしたガンダム作品。
「ニュータイプ」など富野監督のガンダム作品を
意識した要素を取り入れている。

という特徴があり、3作品とも従来の富野監督のガンダムとは
雰囲気が大きく異なっています。(特にG)
また、富野監督のガンダム作品が「宇宙世紀」という
時間軸を用いた世界観的に連続していた作品だったのに対して、
上記3作品の世界観はそれぞれ独立しており、
宇宙世紀のガンダム世界に対するパラレルワールド的な
印象も受けます。

そして、今回の記事で語る『∀ガンダム』は
こうしたガンダムシリーズの流れのなかで放映開始した
ガンダム作品となります。

 1999 ∀ガンダム [TVアニメ]

本作品では、富野監督がVガンダム以来5年ぶりに
ガンダム作品の監督を務めます。

今作では地球に住む人々と、月に住むムーンレィスと
呼ばれる人々との対立を描いており、
対立構造はいままでの富野ガンダムに似ています。
しかし、決定的に違うのは物語の雰囲気で、
今までの富野ガンダムの物語の雰囲気は殺伐としており、
全作品とも登場人物に死者が多く出ました。
特に『V』の死者数はすさまじく、登場した主要人物は
敵味方陣営あわせて大半が死亡しています。

対して、今作『∀』は戦争を題材としながらも
どこか牧歌的な雰囲気のなかで物語が展開されます。
死者数も他作品と比べて少なく、登場人物が
多く死亡する作風から「皆殺しの富野」と俗称される
こともあった富野監督の作品とは一線を画した内容でした。

『∀』の世界では地球人の文明レベルは19世紀の産業革命レベルに
とどまり、兵器もプロペラ機や戦車など、とてもでは
ありませんがモビルスーツを用いてどうこうという
レベルではありませんでした。
対して、ムーンレィスは高度な技術力を誇り、
軍隊にはモビルスーツを兵器として配備しています。

主人公・ロラン=セアックはムーンレィスでありながら
∀ガンダムを操り地球側に立って戦っています。
物語は、地球側に立ちながらも月と地球双方の争いを
収めようとするロランや、
月側の女王として地球帰還作戦を実行したが、地球の先住民と
争うつもりはまったくなく、軍部の暴走をおさえきれない
ディアナ=ソレル、
地球側・イングレッサ領の領主であり、表向きは月と地球の
和平のために動きながら、内に大きな野望を秘める
グエン=サード=ラインフォード
など、さまざまな人物の視点を通して描かれます。

物語前半は地球を舞台にして、地球人とムーンレィスとの
戦いを中心に描かれましたが、
後半になるとムーンレィス側の内部事情も怪しくなり、
女王の家系であるソレル家を守護する役のはずの
武門・ギンガナム家が、冬の宮殿と呼ばれる施設を管理する
メンテナー家と共謀して月の支配権を得るべく反乱を始めます。

第43話は、ロランたち地球側の人々がディアナ=ソレルを伴って
月に訪れ、ギンガナム艦隊と対峙するところから始まります。

では、以下に第43話を見てみましょう。


  『∀ガンダム』 第43話「衝撃の黒歴史」みどころ




冒頭、∀ガンダムを操るロラン=セアックは、
ギンガナム艦隊の御大将・ギム=ギンガナムと対峙します。




ギム=ギンガナムは月のマウンテンサイクルから発掘された
ターンXという機体を操っていました。

このターンXは前話より登場したターンAのライバル機体です。
∀ガンダムと同じくアメリカの工業デザイナー・シド=ミード氏の
デザインで、左右非対称のシルエットと胸のX字の傷が特徴です。

『Gガンダム』のシャイニングガンダムの必殺技である
「シャイニングフィンガー」を使用したり、
全身がバラバラになって、ファンネルのようなオールレンジ攻撃が
可能だったりと、この先登場するたびに絶大なインパクトを
視聴者に与えることとなる機体です。
搭乗者のギム=ギンガナムの強烈な印象も伴って、
そのインパクトの相乗効果たるや、筆舌に尽くしがたいものがあります。

この話ではまだ顔見せ程度ですが、
「∀の監視役」
「かつてターンXは∀を倒しそこなった」
「胸の傷は∀につけられた」
など、意味深なキーワードがちらちらと聞こえます。






お互いそっくりの容姿を持つ月の女王・ディアナ=ソレルと
地球人の令嬢・キエル=ハイムが
実は入れ替わっていた時期があったということが
主要登場人物に知らされた回でもありました。

この二人、ディアナのほんの遊び心でお互いの衣装をチェンジ
したのですが、その後のゴタゴタで入れ替わったままの
状態でお互い離れ離れになってしまい、そのまま立場が
入れ替わってしまったのでした。
入れ替わった時期はなんと第10話!
主人公・ロランは早い段階からディアナとキエルが入れ替わった
ことを知らされていましたが、その他の人物が
入れ替わりをネタばらしされたのが、この第43話というのだから
驚きです。
このときの各々のリアクションはちょっとした見どころです。






ディアナ親衛隊・ハリー=オード大尉の無双アクションも
見どころのひとつ。
3機のマヒロー相手にハリーの駆るスモーがバッタバッタの
大立ち回りを演じます。
アクの強い外見のキャラが目立つ本作で、ハリー大尉はまれなイケメンです。
(ちょっとディアナ様LOVE過ぎますが)

「ディアナ様の尻と言ったか?…おのれぇ!」

というちょっとズレたキレ方をしてみせたのもこの回でした。






・・・が、なんといってもこの回最大の見どころはこれです。
冬の宮殿に逃げ込んだアグリッパ=メンテナー。
彼はギム=ギンガナムと共謀して月の支配権を握ろうとしていました。
彼の逃げ込んだ冬の宮殿という施設は、「黒歴史」と呼ばれる
封印された古代史を管理する施設でした。

この冬の宮殿にて、ディアナ=ソレルは黒歴史の記録の封印を解き、
地球人やムーンレィスたち全員に公開します。
その記録映像は、地球人やムーンレィスたちにとっても、
そして我々視聴者にとっても非常に衝撃的なものでした。



なんと、古代史だという黒歴史の映像には、
初代ガンダムがザクと戦っている姿が映っているではありませんか!

初代ガンダムだけではありません。
ZガンダムやZZガンダムの姿も見られます。
『∀ガンダム』は、宇宙世紀の時代よりも
気の遠くなるほど遥か未来のお話だったのです。



そして、さらに衝撃的な映像が。
宇宙世紀ではない、パラレルな世界を舞台にした
今ではアナザーガンダムと呼ばれる、富野監督以外の
ガンダム作品に登場した機体も映像の中にありました。

つまり、この『∀ガンダム』第43話にて、
すべてのガンダム作品は実は同じ時間軸で展開されていた物語だった
ということが明らかになったのです。
すべてのガンダム作品は、この『∀ガンダム』につながっていたのです。




ディアナが公開した黒歴史の映像は、驚きの結末をもって締めくくられます。
そこには、「月光蝶システム」によって
地球文明を滅ぼす∀ガンダムの姿がありました。

文明の発展によって最終戦争まで行き着いた歴史は
∀ガンダムの散布したナノマシンによって解体・リセットされ、
黒歴史として葬り去られました。

やがて、リセットされた地球は少しずつ復興しましたが、
そこにかつての文明の姿はなく、せいぜい19世紀の
産業革命時程度のレベルに留まっていたのでした。

『∀ガンダム』の世界観は、そうした文明リセット後の
世界だったわけです。


これにて、第43話は終了となります。

この話は本当に衝撃的でした。
当時はまだ『G』『W』『X』の三作品は
監督が富野由悠季でなく、舞台が宇宙世紀でないことからも、
あまりガンダム作品とは認められていないような風潮が
あったと思います。
それが、富野監督自らが同一時間軸の物語であると解釈した
ように取れる、この『∀ガンダム』第43話は、
間違いなくガンダム作品史上最重要なエピソードであると
言えるでしょう。

なお、『∀』以降に放送された『SEED』や『SEED DESTINY』
『00』や『AGE』なども同一時間軸に含まれるのか?
という疑問が持ち上がりますが、
『∀』以降に放送された作品であっても、『∀』につながる
というのが現在の定説であるように思います。

また、現在でもネットなどでよく使用される「黒歴史」という言葉
が封印された忌まわしい歴史という意味で初めて実体をともなった
エピソードということも非常に重要なポイントです。

サブタイトルの「衝撃の黒歴史」とはよく言ったものです。
まさに、衝撃的な一話でした・・・。

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【ハイスコアガール】各巻のヒキについて語る

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最近は寝ても覚めても『ハイスコアガール』のことを考えてしまいます。

『ハイスコアガール』は、90年代のアーケードゲームをめぐって
ゲーム好きな主人公・矢口ハルオと、天才的なゲームテクニックを持つ
良家のお嬢様・大野晶の微妙な恋愛(?)関係を描くラブコメ作品です。

作品内に、作中時間に実際に稼働していたアーケードゲームや
コンシューマゲームが多数登場し、それらのゲームを通じて
登場人物たちの恋愛物語が展開されるのが最大の特徴です。

現在(2013年7月)まででコミックス4巻が刊行されており、
第一話は1991年、主人公・ハルオたちが小学生の頃からスタートし、
最新4巻では1995年、ハルオたちは高校生になっています。
途中、中学編からはゲームとは無縁の女子・日高小春が
ニューヒロインとして登場し、現在ではハルオ-晶-小春の
三角関係の行方が注目されています。

さて、本記事の本題。

この『ハイスコアガール』という作品は、物語構成が非常にすぐれており、
単行本1,2,3,4巻それぞれに大きな山場と絶妙なヒキが
用意されていて、読者の心を次巻までしっかりとつなぎとめる
仕掛けになっています。

今回は『ハイスコアガール』各巻のヒキの部分を取り上げ、
詳しく語ってみようと思います。
当然、ネタバレ全開でいきますので未読の方はご注意をば。
また、本記事は『ハイスコアガール』を単行本が初見読みと
なることを前提に書いています。
そのため、雑誌購読派の方はいまいちピンと来ない記事に
なっているかもしれません。ご了承ください。

では、どうぞ↓


  第1巻 小学生編

『ハイスコアガール』記念すべき第1巻はまるまる"小学生編"と
なっています。
小学6年生のハルオは勉強もスポーツもできない平凡以下の
子どもでしたが、唯一誇れるものがありました。

それはゲームの腕前!

特にゲームセンター稼働当初からやり続けてきた
『ストリートファイターII』の対戦に関しては
大きな自信がありました。
自分よりもはるかに年上の相手も打ち負かし、
何十連勝も勝ちを重ねることができたハルオ。
しかし、そんなハルオにある日大きな壁が立ちふさがります。
ハルオが『ストリートファイターII』の対戦で
手も足もでないほどに打ち負かされた相手。

大野 晶(おおの あきら)・・・。

ハルオと同じ6年2組の
成績優秀で皆から慕われ、しかも金持ちの娘ときています。
ハルオとは別世界の人間かと思われた彼女が、
何を間違ってかハルオと同じ世界に立っていたのです。

ハルオにとって晶は憎くてウザくて忌々しくて
いけすかない存在でした。
しかし同時に、晶のゲームの腕を尊敬し、
ゲームに対する心意気に惚れ惚れもしてしまいます。
初めて同志ができたと胸も躍りました。



1巻では、そんな小学生ふたりの心の交流が
さまざまなゲームを通して描かれました。

しかし、別れの時は突然ふたりに訪れます。
大野家の親の都合で、晶は日本を離れることに
なってしまいました。



1巻のクライマックス。
ハルオは空港で晶に自分の気持ちを正直に告げ、
しばらくの別れを惜しみました。



本編ラスト2ページ。
晶の乗る飛行機を見送るハルオ。
次のページでカットインするように現れる「SPECIAL THANKS」。
そして、本編ラストカットにそのまま著作権表示の記載。
まるで、ゲームのエンディング画面のような演出です。



そして、おまけページをはさんでの次巻予告!
なんと2巻からは中学生編のスタートとのこと。
しかもニューヒロインの登場とは。
2巻の発売日は1巻発売の4か月後。
なげー・・・。

でも、物語としてはこの1巻単体だけみても
綺麗に区切りがついており、読者としても
すっきりとした読後感を迎えることができます。
そして、同時にハルオたちのその後について
思いを巡らせてしまいます。
次巻予告の情報から、第2巻は2年後の1993年とのことです。

第1巻をリアル発売日に読んでいた読者は、
第2巻が発売されるまでの4か月間、
なんとなく心の片隅にハルオと晶の物語が
ちらついていたことかと思います。


  第2巻 中学生編1



長いような短いような微妙な4か月間を経て、
『ハイスコアガール』第2巻は発売されました。

導入部分は1巻第1話とまったく同じ演出。
作中年代を一般的な社会現象と発売されたゲームとを
交互に紹介する形で説明しています。

1巻の導入とまったく同じということで、
読者としては既視感と新しい物語への期待とが
織り交ざった不思議な感覚を味わうことになります。



天才的ゲーム技術を持つ良家のお嬢様・大野晶がヒロインとして
登場した1巻とは打って変わって、
2巻は特に趣味をもたないフツーの女の子・日高小春(ひだか こはる)が
ヒロインとして登場します。
無趣味な自分に反して、ゲームに異様な情熱を傾けるハルオが
気になりはじめた小春は、やがて自分がハルオに対して
恋心を抱いていることを自覚します。

晶がほとんどしゃべらず何を考えているのかわからない女の子だった
のに対し、2巻はほとんど小春のモノローグで進行するため
彼女の心境の移り変わりは読者のよく知るところとなります。
そういうところもあり、コミカルな描写が目立った小学生編に対して
中学生編は静かに淡々と進んでいくような印象があります。



しかし、2巻のラスト近く。
物語は大きく動き出します。


ハルオたちが中学3年生に進学した1994年4月。
なんと、あのお嬢様が帰ってきた・・・?



真打登場で波乱の予感を残しつつ、物語は次巻へヒキます。
本編ラストページも1巻と同じクレジット表示演出。



おまけページを経ての次巻予告も1巻と同様です。
3巻の発売は・・・2013年2月!?
8か月後!? 長っ! 長くないか・・・!?

とはいえ、やはり物語的に区切りはついています。
2巻は主に小春視点で物語が展開されており、
小春がハルオに対して興味を持ってから恋心を
はっきりと抱くまでが丁寧に描かれていました。

ラスト近くでの晶の再登場は言ってみれば、
舞台が整ったようなもの。
真の中学生編は第3巻より始まる。
2巻はそのための助走だった・・・とも思えます。

読者は3巻が発売されるまでの間、
これから始まる物語について期待と不安を
募らせることになります。


  第3巻 中学生編2



3巻の発売日はなぜか予告で提示されていた2013年2月ではなく
2012年12月でした。
なんで前倒し!? まぁいいけど。

物語は小春がハルオと晶の関係を気にするところから始まります。
小学生の頃、涙の別れを交わしたふたりでしたが、
中学生になって再会してからはぎくしゃくしていました。
ハルオの念願だった晶との『ストII』再戦もスカされ、
再会を喜び合うという雰囲気にはとてもなりませんでした。

が、すぐに転機は訪れます。

修学旅行にて。
自由行動を抜け出したハルオは関西の『スーパーストリートファイターII X』
の大会に出場します。
そこに偶然、晶も出場していたのでした。
はからずも、ハルオの望んでいた晶との再戦は、
大会という大舞台で果されることになりました。

・・・その大会での出来事をきっかけに、
ハルオと晶は小学生の頃の絆を取り戻すことになります。

そして、ハルオにはある決意が。



半年後に訪れる高校時代を晶と一緒に過ごしたい。
ハルオは、晶が受験する上蘭高校という高レベルの進学校を
受験することにしたのでした。
ハルオの学力では無謀とも思える志望校です。
9月から受験当日までの半年間、
ハルオは大好きなゲームを一切断って勉強に専念しました。

そうして迎えた、合格発表の時。



ハルオの受験番号「1942」は、
合格者番号一覧のなかにはありませんでした・・・。

これにて、3巻は幕を閉じます。
読者に受験番号を探させるラストカットは
なかなかに胸をしめつけられる演出でした。



そして、恒例のおまけページをはさんでの次巻予告。
次なる舞台は高校生編で1995年6月。

4巻の発売日は3巻発売より半年後の2013年6月25日です。
長いですが、やはり物語的にきれいに区切りがついているので
読後感はすっきりとしています。
が、結局ハルオの念願だった晶との高校生活は実現できなそう
ということで、次巻が一体どういう展開になるのか
読者としては非常に気になるところです。



  第4巻 高校生編1



第4巻。
読者が待ちに待っていた巻が発売されました。
ページを繰って、第1巻、2巻と同じ導入部分を見たとき、
気付かされるものがありました。

巻ごとにすぐれた構成できれいに区切られ、テンポよく進む物語。
巻と巻の発売日の切れ間のリアルな時間の間隔に
対応するかのように、作中時間もある程度が経過する・・・。

新巻の刊行をリアルタイムで追っている読者のリズムに、
物語展開が合わされているのです。

各巻が区切りをもって終わっているので、次巻を読むときに
読者はすんなり物語に入り込めますし、前巻より多少経過した時間は、
巻と巻の発売日の切れ間を待っていた読者の感覚に一致します。
だからこそ、各巻の冒頭を読むときのワクワク感が
他作品とくらべて抜きんでています。

さらに言うと、この『ハイスコアガール』という作品は
巻と巻の発売日の切れ間の余韻を楽しむことができる作品ともいえます。
それを決定的にしているのが、各巻の"ヒキ"と"次巻予告"の部分!

"ヒキ"のクレジット演出で、きれいな読後感と
"次巻予告"の演出で、次への期待感を同時に読者に抱かせる
のはもう匠の仕事を感じてしまいます。

・・・まぁ、ぜんぶ個人の感想なのですが、
同じように感じられた方も少なくないんじゃないでしょうか。

作品の内容によって、

 単行本をある程度まとめて一気に読んだ方が面白い作品
 (スポーツやバトルジャンルがそうでしょう)

 雑誌掲載をぽつぽつ追っていても一気に読んでも
 同じように楽しめる作品
 (一話完結モノやギャグなど)

などがあるかと思いますが、この『ハイスコアガール』という
作品は

 単行本の各巻の切れ間の余韻も含めて楽しめる作品

だと思います。
今回、ただこれだけ言いたくて本記事を書きました。
最後に、4巻の内容をさらって、例の"ヒキ"と"次巻予告"を
みてみましょう。



4巻のびっくりサプライズはなんといっても
日高小春ちゃんの急成長っぷりでしょう。
ゲーマーとしての成長もそうですが、人間的にも成長しています。
いままでどこか内向的でおとなしめだった彼女ですが、
高校生になってからは打って変わってアクティブな女子と
なっていました。
それというのも、ハルオが晶のためにゲームを断って勉強に専念するのを
目の当たりにし、ふたりの間に自分が付け入るスキがないことを
悟ってから、ハルオと同じ土俵に立つためにゲームの修行を始めた
ことがそのまま彼女の成長につながっていました。



そして、4巻のヒキでは、こんなことになってしまいます!
行ったなァおい、小春ちゃん。



次巻予告はこんな感じ。
5巻は2013年12月発売!!

長い・・・けど、5巻への隙間の期間を
あれこれ妄想しながら、4巻の余韻を楽しむことにします。

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【寄生獣】田村玲子について考える

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今回は『寄生獣』に登場する「田村玲子」について語ってみようと思います。

『寄生獣』では、多くの人間の脳を奪った寄生生物が登場しますが、
その寄生生物の中でも、「田村玲子」はかなり特別な位置づけにいる
寄生生物でした。

寄生生物がなぜ生まれてきたのかを真剣に考え続けた彼女の行動は、
『寄生獣』という物語のテーマにも、
主人公・泉新一の心情にも、大きな影響を与えました。

今回は「田村玲子」の思想や行動を登場時から仔細に追いつつ、
彼女が求めたものはなんだったのかを考えていこうと思います。

では、どうぞ↓


  教師・田宮良子

田村玲子が『寄生獣』の物語で初めて登場したとき、
彼女は「田宮良子」という名前で登場しました。

寄生生物でありながら、人間固有の身分を失わず
そのまま引き継いだ珍しい存在

田村玲子の初登場時の物語的位置づけはそんな感じでした。
ミギー(主人公・新一の右手に宿った寄生生物)も

「あんなヤツがいるとは驚きだ!」
「しかも教師として人間にものを教えている。これは大変な才能だぞ!」

と大絶賛をしていました。

『寄生獣』の物語開始当初、人間の脳を奪った寄生生物たちは
手近な人間たちを無差別に襲撃し「食事」をしました。
その際のズタズタに引き裂かれた食べかすが世界各地で発見され、
人間社会では「ミンチ殺人」と恐れられることになっていました。
寄生生物たち全体が食べかすを完璧に隠し、人間社会に溶け込んだ方が
よいと学習するのはこのしばらく後になるのですが、

田村玲子は完璧に人間社会に溶け込んだ寄生生物として
初めて物語に登場したのでした。



しかも、さらに驚くべきことに彼女は男性に寄生した
寄生生物と性交をし、妊娠することに成功していました。
田村玲子の肉体に宿した生命は、どうやら何の変哲もない
人間の赤ん坊のようでしたが、その上で彼女は
主人公・新一に問います。

「だとすると、わたしたちはいったい何なの?
 繁殖能力もなくてただとも食いみたいなことをくり返す…
 こんな生物ってある?」

どうやら田村玲子は、自分たち寄生生物は一体なにものなのか…
ということを真剣に考えているようでした。
彼女は人間でありながら寄生生物を右手に宿した泉新一という
存在に強い興味を抱きます。



新一から

「なぜ人を殺すんだ…」
「おれの右手はおれの血で生きている!
 つまり普通の人間の食い物でだ!」
「おまえらだって人間なんか食料にしなくても
 生きられるんじゃないのか!?」

と問いかけられた田村玲子は、その問いに
「たぶん可能だろうな」と答えます。
しかし、さらに下のような答えも新一に返します。

 ハエは…
 教わりもしないのに飛び方を知っている
 クモは教わりもしないのに巣のはり方を知っている
 ……なぜだ?

 わたしが思うに…
 ハエもクモもただ「命令」に従っているだけなのだ
 地球上の生物はすべてが何かしらの「命令」を
 受けているのだと思う…

 わたしが人間の脳を奪ったとき
 1つの「命令」がきたぞ…



 "この「種」を食い殺せ"だ!


生物としての「本能」めいたものを、彼女は地球からの「命令」
と表現しました。
寄生生物たちが宿主と同種の生物を食うのも、
この「命令」からきているのだ、と。

この時点での田村玲子の寄生生物に対する考え方は
このようなものでした。



  「田宮良子」から「田村玲子」へ


完璧かと思われた「田宮良子」としての人間社会への溶け込みも、
ささいなことで亀裂が入ります。

高校教師である田宮良子が誰が父親とも知れぬ子を妊娠している
という事実が高校内で問題視されてしまったのです。

こうなってしまった以上、余計な注目を集める前に
田宮良子という身分を放棄するより他はありません。



妊娠を問題視されてほどなく、田宮良子の母親と思われる人物が
訪ねてきましたが、母親はすぐに今の田宮良子が
田宮良子ではない別のなにかであることに気付きます。

完璧に近い寄生生物の擬態を、何の特別な能力を
持っているようにはみえない人間の中年女に
みやぶられたという事実は少なからず驚きでした。

いずれにせよ、早々に「田宮良子」という身分を
捨てなければなりません。


こうして、「田宮良子」は『寄生獣』の物語から退場します。
次に「彼女」が物語に登場するとき、彼女の名前と身分は
別のものになっていました。


  寄生生物の未来のために



「田宮良子」が「田村玲子」となって物語に再登場したとき、
彼女は東福山市の寄生生物たちのコミュニティの中にいました。

すでに人間社会への溶け込みが巧妙になっていた寄生生物たちは、
なんと地方自治体をまるまる牛耳って、より自分たちが
暮らしやすいコミュニティを形成するという域にまで
達していました。
東福山市の市長・広川を中心として、寄生生物たちは
社会的・組織的な行動を取れるまでに成長していました。
このコミュニティの形成には、田村玲子の尽力が
すくなからずあったと言います。

コミュニティに所属する大部分の寄生生物たちは、
「食事」のしやすさ等、自身の生命維持のために
都合好しとしてコミュニティに所属しているようでしたが、
田村玲子はそのような単純な視点ではなく、
もっと先のなにかを見据えているようにもみえました。



そして、彼女が生んだ人間の赤ん坊・・・。
彼女自身、この赤ん坊をどう扱うかを決めかねていましたが、
漠然と、寄生生物と人間の関係を考える上で
重要な役割を果たすはずであると、考えたのではないでしょうか。


  泉新一への興味


田村玲子にとって、泉新一は非常に興味深い存在でした。
田宮良子だった頃に泉新一と相対したとき、
泉新一のなかにわずかだが混じっているという印象を受けました。

この「混じっている」というのは彼女独特の表現であり、
具体的にどういったことを指すのかは不明ですが、
人間と寄生生物の中間に位置する存在として、
泉新一を強く意識したことは間違いありませんでした。


田村玲子はすでに「島田秀雄」という寄生生物と組んで
泉新一の調査を行っていましたが、島田は先頃、泉新一の
通う高校で大量の人間を殺害し、自身も死亡してしまっていました。

生前の島田からの報告で、泉新一が田宮良子の頃に出会ったときとは
まるで違った印象になっているように思えましたが、
その理由を探るためにはより詳しい調査が必要でした。



田村玲子は倉森という人間の探偵を雇い、泉新一の調査を開始します。



ところが、倉森という探偵は泉新一の調査の過程で
泉新一の右手に宿る寄生生物を目撃してしまいました。
今、ここで寄生生物の存在を知る人間が増えるのは
寄生生物たちにとって不都合となります。

田村玲子は倉森に一方的に調査の終了を告げました。
その際、中途半端な調査終了に納得いかない倉森は
激しく食い下がりましたが、そのときの倉森のあわてぶりは
田村玲子に不思議な印象を与えました。



自然とこみあげてきた"笑い"の感情。
かつて抱いたことのなかった、非常に人間的な感情を
抱くことのできた瞬間でした。



結局、泉新一とは自分自身で直接会うことになります。
たしかに島田や倉森からの報告通り、泉新一は以前に
会ったときの印象とはがらりと変わっていました。

どういう混じり方をしたんだろう・・・

ここでまた彼女特有の"混じる"という表現でもって泉新一の
変化を語っています。


  人間のこと寄生生物のこと



田村玲子は母親の身でありながら、たびたび近所の大学にでかけて
講義を聴講していました。
この日聴講していた講義の主題は「動物の利他行動とその疑問点」。

自分たち寄生生物は、生物として何者なのか。
人間たちにとって自分たち寄生生物とは一体なんなのか。
自分たち寄生生物にとって人間とは一体なんなのか。

いずれにせよ、田村玲子は寄生生物と人間の関係について
考える機会を多く持ちました。




そして、そのことで周りの寄生生物(なかま)たちから
浮いた存在にもなっていました。
特に「草野」という寄生生物からは存在自体を危険視され、
闇討ちめいた行為をしかけられるほどでした。

寄生生物は人間に比べ行動・考え方が徹底して合理的かつ単純
であることから一糸乱れぬ組織づくりもたやすいと
考えていた田村玲子にとって、これは意外なことでした。
このことは、寄生生物それぞれがこれほど大きな個体差・個性を
もつに至ったと受け取り、むしろ喜ばしく思いました。

結局、「草野」の闇討ちは荒が多く、田村玲子はあっさりと
これを撃退します。





不思議だ・・・
おまえは不思議だ・・・

この世界は不思議が多い・・・

なぜわたしは・・・

寄生生物(われわれ)はなぜ生まれてきた・・・?



  田村玲子の最期



この日、田村玲子はかつて泉新一の調査を依頼した探偵・倉森と対峙していました。
倉森は妻と子を「草野」ら寄生生物に殺されており、
寄生生物への復讐めいた感情から田村玲子の赤ん坊を
連れ去りました。

田村玲子はいろいろと人間のことを研究してきて、
今では倉森の一見不合理な行動もなんとなく理解できました。
ですが、倉森は田村玲子にこう言います。

だがやっぱりあんたにゃわかってねえよ!
人間の何たるか・・・
人の子の親の気持ちってものがな!

いまここでこの子供を殺しても
おまえは悲しんだりはしないだろう
「ああそうか」と思うだけだ
・・・違うか?



倉森が赤ん坊を頭上に振り上げた瞬間、
田村玲子の触手は倉森を貫いていました。

自分の子供を守ろうとほぼ無意識に行った攻撃。
これには自分でも驚きました。



田村玲子はこの日、泉新一を呼び出していました。
寄生生物と人間の中間の存在である泉新一に
いろいろと話しておきたいことがありました。



人間にとっての寄生生物(われわれ)
寄生生物(われわれ)にとっての人間とは
いったい何なのか

そして、出た結論はこうだ

あわせて1つ

寄生生物と人間は1つの家族だ
我々は人間の「子供」なのだ


いままで人間について研究してきたこと、
それに、今さっき倉森に対して自分が行ったことを
加味しての結論でした。

その結論を体現しているかのような貴重な存在
・・・泉新一とミギーの二人には、自分の考えを
聞いておいてもらいたかった。
田村玲子はそう考えました。


・・・そして、田村玲子に最期の時が迫ります。




倉森を追っていた刑事が田村玲子のもとにたどり着きました。
刑事は田村玲子を寄生生物と見抜き、銃撃を開始します。

田村玲子は反撃を行いませんでした。
ただ、泉新一をもとめて銃弾の中を歩きました。



ずうっと・・・考えていた・・・
・・・わたしは何のためにこの世に生まれてきたのかと

1つの疑問が解けるとまた次の・・・
疑問がわいてくる・・・

始まりを求め・・・終わりを求め・・・
考えながら、ただ・・・ずっと歩いていた・・・

どこまで行っても同じかもしれない・・・
歩くのをやめてみるならそれもいい・・・



すべての終わりを告げられても・・・
「ああ、そうか」と思うだけだ

しかし・・・
それでも今日また1つ・・・
疑問の答えが出た・・・



新一・・・
この子供・・・結局使わなかった・・・
何の変哲もない人間の子供だ・・・

人間たちの手で・・・
普通に育ててやってくれ・・・



・・・
この前人間のまねをして・・・
鏡の前で大声で笑ってみた・・・

・・・
なかなか気分が良かったぞ・・・


田村玲子の肉体はそこで力尽き、
寄生生物としての彼女の命もまた尽きました。

最期まで彼女は戦うことも逃げることもせず、
赤ん坊を泉新一に託すことを第一の目的として、
その目的が果たされると安心したように
死んでいきました。



この出来事は泉新一が長く思い煩っていた"胸の穴"を
解消するきっかけになりますが、それはまた別の話・・・。


  田村玲子を考える

思えば、田村玲子の存在は最初から異質なものでした。

寄生生物を人間に対する未知の脅威として描いていた序盤から
彼女はすでに生物としての寄生生物は一体なんなのかという考えを
披露していました。

単純に学術的探究心からのみの思索かと思えばそうでもなく、
寄生生物たちの未来のためにコミュニティ形成に尽力するなど
同種のなかまたちのために行動していたふしもあります。

一方で、人間に対する興味・関心も他の寄生生物たち以上にあり、
さまざまな方法で人間を研究していたようです。
なにより人間の子供を実際に育てるという行動が
彼女の思想に大きな影響を与えたのは間違いないと思います。

「これまでに38人殺した」

と、寄生生物にとっては食料でしかない人間の
生命を奪った数をちゃんと数えて覚えているあたり、
人間を単なる食料や実験材料として見ていないことが
うかがえます。

考えに考え抜いて、彼女の出した結論は

 寄生生物と人間は1つの家族

でした。

冷血な存在として描かれつづけてきた寄生生物である彼女が
このような人間的暖かみのある結論にたどり着いたのは驚きでした。

思えば、田村玲子は作中、人間的感情が芽生えかけたことが
たびたびありました。
その顕著な例が、倉森の狼狽を思い出し笑いする場面だったり
最期、自らが死ぬことをいとわずに新一に自分の子供を託す場面
だったりするわけですが、
これは寄生生物である彼女が徐々に自分を変化させて
「人間的」になっていっている(進化?)ことを表しています。

『寄生獣』の物語のラストでは、
寄生生物たちはそれぞれの個体差(個性)でもって
さまざまに変化してゆくことが示唆されますが、
「田村玲子」は物語上、最初にあらわされた
寄生生物たちの変化の前兆と言っていいでしょう。

余談ですが、
彼女は泉新一を「人間と寄生生物の中間の存在」として
自分の考えを聞いてほしいと言って、
先に書いたような「人間と寄生生物は家族」というような
考えを新一に伝えました。

これに対比するかのように、『寄生獣』最終回では
人間の殺人鬼・浦上が同じように「人間と寄生生物の中間の存在」
である新一に自分の考えを披露します。
その考えは、「人間はもともととも食いする生き物。寄生生物なんて必要ない」
だったわけで、寄生生物・田村玲子が物語中に提示した考えと
ラストで人間・浦上が提示した考えとが対立するようになっていて
物語にほんのスパイスを一味添えています。

こういった物語の深みの部分においても、
田村玲子の存在は大きなものでした。



死に際もひときわ印象的で、
多くの読者の心になにかしらの影響を与えたことと思います。


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【幽遊白書】原作とアニメの演出方針の違いについて語る

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『幽☆遊☆白書』が好き! という人はたくさんいると思いますが、

 アニメだけしか観てない人
 原作だけしか読んでない人
 アニメにも原作にも両方触れた人

によって、この作品に対する印象はまるで違うと思います。

要するに『幽☆遊☆白書』はアニメと原作の印象が結構違うと
本記事では言いたいわけですが、
最初に断わっておくと、特別アニメ版が原作を無視した物語展開を
していたわけではなく、むしろ幽白のアニメはジャンプアニメとしては
比較的原作に忠実につくられた作品だったと思います。

ストーリーの改変はもちろん、オリジナルストーリーの挿入も
ほとんどなく、人気マンガのアニメ化には宿命的につきまとう
原作引き延ばし展開もありませんでした。

じゃあ何をもってそんなに原作とアニメで印象が変わったのかというと、
それは演出方針であったと思われます。






結論から書いてしまうと、
アニメ版幽白は低年齢層の少年(小・中学生)くらいを意識して
つくられていたため、後半どんどん暗く重くなっていった原作との
印象のかい離が起こりました。

では、以下に幽白の原作とアニメ版との違いをいくつかのポイントから
確認していきましょう↓


  物語展開

なんといっても、アニメ版と原作との最大の違いは
原作前半の幽助が霊体の頃のエピソードと
原作終盤の魔界統一トーナメント後の幽助たちの
日常を描いたエピソードがアニメではほとんど
省略されていたということでしょうか。



原作序盤(1話〜17話まで)は、死んで霊体になってしまった
幽助が生き返るための試練を受け、霊体の状態で
さまざまな人助けをして徳を積むという
ちょっとイイ話がメインストーリーとなっていましたが、
アニメではこういう類の話を大胆にカット!

原作1話〜17話までの中でも桑原がメインを張った
テストのエピソードと、螢子がメインを張った
火事のエピソードをやるにとどまりました。
原作では18話で幽助が復活しますが、アニメでは5話でスピード復活でした。




話は飛んで、原作終盤へ。
原作終盤では、魔界統一トーナメント後、171話から最終話の175話まで
その後の幽助たちの日常を描いたエピソードが展開されましたが、
やはりアニメではここらのエピソードを一網打尽にしています。
アニメでは魔界統一トーナメントが終了した次の回を
最終回としています。


これらが示すことはどういうことかというと、
アニメ版は幽白の物語の中でもバトル要素を大幅にフィーチャーしていた
といえるでしょう。

原作では、序盤の幽霊ほっこりエピソードや、終盤の冨樫先生の次回作「レベルE」
のような怪奇現象をミステリータッチで料理したような渋いエピソードも
味わいのひとつとなっていましたが、低年齢層の少年が望んでいるのは
単純にカッコイイバトル展開だろうと、バトルの一切ないような類のエピソードは
思い切りよくバッサリと省略されていました。

逆に暗黒武術会編など、全編通してバトってるようなエピソードでも
さらに大幅な戦闘描写が追加されていました。



  キャラの描かれ方

また、ストーリーのバトルフィーチャーだけでなく、
メインのキャラも、子供向けを意識した描かれ方を
されていました。



特に顕著だったのは主人公・浦飯幽助!

自分で「超不良」とか言っちゃう通り、
原作では中学生でありながら酒・タバコはもちろん、競馬にパチンコ、
果ては万引き・カツアゲ、ケンカと、
PTAのおばさま方が読んだら卒倒するような
反社会的行為の描写がさらっと入りました。

これはこの時期よくあったヤンキー漫画の主人公としては
むしろ当たり前の行為だったのですが、
さすがに子供向けを特に意識したアニメの主人公がそれでは
都合が悪かろうということなのか、
上に挙げた反社会的行為はケンカを除いて一切がカットされました。
なので、アニメ版幽助は不良というより
ケンカ好きのヤンチャ中学生といった印象が強かったと思います。

ちなみにアニメでは決め台詞として多用されていた

「伊達にあの世は見てねぇぜ!」

という台詞は原作では一言も言ってません。




飛影は原作では妙に悟った面も目立つキャラで、
特に垂金編ではずっと探してきた妹の雪菜が、垂金権造によって
長い間虐げられてきたことがわかって、その垂金を前にしても

「殺しはせん。貴様のうす汚い命で雪菜をよごしたくないからな」

と物分かりのよさを見せました。
このシーンが、アニメだと垂金をボコりにボコってトドメすら刺そうと
したところを雪菜に止められるという取り乱しっぷりを
披露していました。

おそらく、原作でのこのあたりの飛影の感情の機微が
少年にはわかりづらく、アニメではああいった形に
なったのだと思います。

また、戦闘描写では、原作では一撃必殺なパターンが多く、
飛影が戦う場合は1ページで決着が着くことも
珍しくないのですが、アニメでは戦闘描写を重視していることもあり、
多少の苦戦をみせることがありました。




蔵馬に関しても飛影同様、原作での悟った面が
アニメでは少々補完されていました。
原作では眉ひとつ動かさなかった場面でも、
アニメでは動揺する描写が入るなど、より感情が
人間臭く描かれることが多かったように思います。

蔵馬の声優の緒方恵美さんは、今でこそ
緒方恵美といえば? → 蔵馬 というイメージが
すっかり定着していますが、
この蔵馬役がデビューということもあり、
蔵馬の声が無名の女性声優だということで
アニメ放映当時は結構な批判があったようです。

今では蔵馬の声優は緒方さん以外はとても考えられないくらい
ぴったりと定着してしまいましたね。




桑原は他の3人とは違って、アニメと原作のイメージが
あまり変わりません。
もともと原作でも少年にとってわかりやすいキャラだったので
あまりイジる必要がなかったからかもしれません。

ただ、声優の千葉繁さんの強烈な演技はインパクト十分で、
原作以上の存在感を醸し出していました。

アニメでは「男・くわばら〜」という口上めいた
セリフまわしが入ることもありました。



  サブキャラの追加・削除

アニメ版には、幽白アニメの特徴を体現しているかのような
個性的なアニメオリジナルキャラクターが追加されています。

その名も、ジョルジュ早乙女

コエンマの秘書の鬼という立ち位置の彼ですが、
その親しみやすい風貌とコミカルな立ち振る舞いは
子供のハートをガッシリとキャッチしたのではないでしょうか。

彼とコエンマのやりとりはそのまま小さい子供にもわかりやすい
ギャグパートとして映え、シニカルで子供にはわかりづらかった
原作のギャグ要素を子供向けに補完していました。

また、幽助たちの戦闘の様子をコエンマとジョルジュが
モニターで観戦しながらの会話は、そのまま戦闘シーンの
解説にもつながり、バトル描写の補強といった役割も果たしていました。


ジョルジュ早乙女のような、アニメで追加されたサブキャラが
いた反面、原作よりも出番が減らされたサブキャラもいました。



それは、幽助の母親・浦飯温子さん!
原作では暗黒武術会で息子の戦いっぷりを観戦していましたが
アニメではそもそも暗黒武術会には同行せず、
武術会編での登場は一切ありませんでした。

たしかに、原作での温子さんの様子はどこかのんきで、
暗黒武術会の雰囲気に対してちょっと場違い感はありました。
100%戸愚呂を目の前にして「くされマッチョ」とか
「てめーあたしが相手だ」とか言っちゃうくらいでしたからね。

原作ではわりとシリアス目な展開でもこういった
ゆるいノリはちょいちょい挿入されていたのですが、
アニメはギャグはギャグ、シリアスはシリアスできっちり
分けて演出されていたので、温子さんのこーゆーノリは
演出方針にそぐわなかったのでしょう。
それか、自分の息子が命がけの戦いをしているのを
酒飲んで観戦っていうのが倫理的にどうなのか、とか
そういう配慮もあったのかもしれません。

皮肉にも、ジョルジュ早乙女の追加と温子さんの除外が
そのままアニメと原作のギャグ演出の違いにも
つながっています。


  残虐な描写・わかりづらいセリフまわしの変更



特に魔界の扉編以降の話になりますが、
原作では残虐な描写やエグめな話が目立つようになっていきます。
原作読者はこのあたり、トラウマもののエピソードや演出に
いろいろ思うところあったと思いますが、
さすがに健全な少年が観るようにつくられたアニメ版では
こういった残虐描写は緩和されていました。



また、ちょっと子供には意味合いがわかりづらいセリフまわしも
原作では多くなっていましたが、こういったセリフもことごとくわかりやすく
差し替えられていました。

原作では魔界の扉編以降は序盤から考えると明らかに
ノリが変わっており、暗く重い雰囲気と、大人っぽい
エピソードや演出が魅力となっていましたが、
アニメでは極力話の雰囲気が暗くなりすぎないように
気を配られていたような印象があります。


  最終回のちがい



魔界統一トーナメントは、原作では幽助VS黄泉戦の途中で
戦闘シーンのばっさりカット&幽助の人間界帰還が
あっさりとしたタッチで描かれました。
その後、日常回や初期のオカルトコメディノリの話を
数話ほどやったあとに最終回となりました。

アニメでも黄泉戦後にトーナメントの内容が省略されたことには
変わりませんが、蔵馬VS時雨戦や飛影VS躯戦がきっちり描かれる等、
やはり戦闘描写が充実していました。
蔵馬は時雨との戦闘において、終盤は南野秀一の姿で戦うことで
妖怪よりも人間として生きるということが象徴されました。
飛影は原作ではトーナメント後の日常回で展開された躯との
心の交流を、この戦闘において行ったということで、
戦闘を通じてエピソードを進めるというアニメ版初期からの
演出方針はいまだ健在といった感じでしょうか。

そして、飛影・蔵馬の戦闘終了後、幽助VS黄泉戦が行われ、
この戦いの後、アニメ幽遊白書は最終回を迎えます。
原作では何回かやった日常回はやらずに、戦闘が終わったら
すみやかに大団円を迎えるという、アニメ版の演出方針を
とことん貫き通した形となりました。

アニメの最終回はこんな感じ↓




原作ではあっさりとしていた幽助の帰還が
最大のヤマ場として描かれ、ヒロイン・螢子との
軽いラブでもってさわやかにシマりました。


これに対し、原作のクライマックスはこうです。



最終回前話。
幽助たちの最後の戦いの相手は、なんと霊界の宗教テロリスト。
これまた原作終盤のブラックノリを最後まで貫いた形となります。
異次元砲の三つのボタンを前にした幽助にとっての究極の選択問題が
最大のヤマ場として描かれました。




そして、それから・・・

月日はたち、亡くなった幻海師範の遺言状の開示の場が
最終回の舞台となります。





夕日の海岸で幽助が究極の選択の答えを
選んだクサい理由が公開され、それを聞いた螢子が
幽助をともなって海へダイブ!
みんな笑顔でのハッピーエンドとなりました。


  自分なりに語れ!

自分は『幽☆遊☆白書』という作品を、原作はもちろん、
アニメにも触れて楽しんできました。

年代を正確に特定されることを恐れずに書きますが、
自分が幽白に触れたきっかけとなったのは、
小学校高学年のときに観たアニメ版の乱童だか四聖獣だか
あのあたりのエピソードからだったと記憶しています。
その後、すぐにどハマりして原作本を買い込み、
たしかその当時は暗黒武術会編真っ最中の
小学生にとっては一番盛り上がる時期でした。

その後始まった魔界の扉編もわりとすんなり受け入れ、
いや、むしろ中学校入学直前の思春期の少年にとっては
興味深いエピソードの数々であり、その頃増えてきた
原作のブラックな演出にも徐々に染められていったのを
憶えています。

たぶん、中二病の一種だったのだと思いますが、
原作のシニカルなノリを好むあまり、だんだんと
アニメ版のベタなノリが苦手になっていきました。

アニメでは魔界の扉編の後半や魔界統一トーナメント戦は
ほとんど観てなかったかもしれません。

今思うともったいないことをしたなーと感じます。
アニメはアニメで明確なターゲットがあって
つくられているわけで、ごちゃごちゃ言わずに
原作とアニメ両方満喫して違いを楽しむくらいの
気概が当時の自分にはなかったのかと、
ほとほと昔の自分の狭量さにはあきれます。

まー、それも今となってはよきおもひで・・・。

こんな感じで最後ちょっとグダりましたが、
幽白の原作とアニメについて語ってみました。
シマらないですが、ここらで終わりにしときます。

余談ですが、アニメ幽白の演出を担当していたスタッフに
今ではアニメ製作会社・シャフトでよく監督を務めている
新房昭之氏の名前があります。
今では印象的な演出の代名詞になっているような氏ですが、
この当時はどんな演出をしてたのかなーとちょっと
興味あるところです。

機会があったらアニメ版をまとめて観返してみたいですね。
原作はもう何十回も読み直してますが・・・。

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【ダイ大・ロト紋読み比べ】魔物との戦闘シーンについて

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以前、【ダイ大・ロト紋読み比べ】作中の経過時間についてという記事で
『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』と『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』
について読み比べを行いましたが、今回も別の観点から
この二作品を読み比べてみようと思います。

今回の観点は、ずばり魔物(ザコ敵)との戦闘シーン!
言うまでもなく、この二作品は『ドラゴンクエスト』の名を
冠している通り、ドラクエシリーズに登場するモンスターたちが
主人公一行の前に立ちふさがり、物語を盛り上げてくれます。
ゲームに登場するおなじみのモンスターたちが、
漫画作品の中に登場して大暴れすることもドラクエ漫画の
醍醐味のひとつです。
しかし、この二作品にはザコ敵との戦闘シーンの印象に
大きな隔たりがあることが、読み比べてみると
よくわかります。

それは一体どういうことなのか?
以下に見て行きましょう


  ザコ敵バトル in ダイの大冒険

あらためて読み直してみると、『ダイの大冒険』では
ザコ敵との戦闘シーンが意外と少ないことがわかります。
以下、ザコ敵との戦闘シーンがあった場面を
箇条書きで列挙してみます。


 ・魔の森にて、じんめんじゅ・リカントと交戦
 ・魔の森にて、ライオンヘッドと交戦
 ・(ロモス襲撃戦ではクロコダインと直接交戦のためザコ戦なし)
 ・パプニカにてがいこつと交戦
 ・(地底魔城ではほとんど逃げてやりすごしたためザコ戦なし)
 ・バルジ島から逃げる気球船上でフレイム・ブリザードと交戦
 ・バルジ島決戦にて、さまようよろい・きとうし等と交戦
 ・ベンガーナにてドラゴン・ヒドラと交戦
 ・パプニカサミット会場にて、さまようよろい・ガストと交戦
 ・北方海上にてバルログ・サタンパピーと交戦
 ・破邪の洞窟にてスライムと交戦(ムチの一閃で逃走)
 ・破邪の洞窟にてミミック、シルバーデビル、ゴーレム等と交戦
 ・バーンパレス下の処刑場でさまようよろいと交戦
 ・バーンパレス最終決戦にて魔界の魔物(DQ4,5の強敵)との交戦


全編通してもこんなもんです。
意外でしたか?
そして、リストをよくみてみるとふと気づくことがあります。

それは・・・



圧倒的なさまようよろいとの交戦率!

いや、キラーアーマーとかかもしれませんが(笑)
それにしてもズガッとこのよろいモンスターが砕かれる
シーンの多いこと多いこと。
他の交戦メニューも見てみると、なんかこう、
無機質な魔物との交戦が多いように感じます。

三条陸先生のなにかのインタビュー記事で読んだのですが、
実はこれには理由がありました。

それは、
鳥山明先生のかわいいデザインのモンスターが
痛ましくやられる姿を描きたくない
という理由だったようです。
考えてみれば、鳥山先生のかわいいデザインが生きる動物っぽい
魔物はことごとくクロコダインの配下だったわけで、
クロコダインが早々にダイたちの仲間になったことで
以降の物語では動物っぽい魔物と交戦する理由がほとんど
なくなってしまってます。
うーん、なるほどー。

しかも、注意深く各戦闘シーンを見てみると
派手にズバッと斬られたり砕かれたりしてるのは
さまようよろい系の敵だけで、他の生き物っぽい
魔物は打撃でのされたりといったマイルドな表現で
KOされている描写が目立ちました。



↑まあ、一部例外はありましたが。ノヴァ・・・。


ドラクエシリーズは人間キャラも魔物キャラも
鳥山明風のかわいらしいデザインのキャラクターたちで
構成されているので、三条先生のこういった配慮も
うなずけます。

あと、それを抜きにしてもザコ戦闘自体が少ないのは、
ジャンプ漫画の特性上、次々と現れる強敵たちとの
タイマンでの戦闘シーンに重きを置いたからでしょう。


  ザコ敵バトル in ロトの紋章

さて、それに対してロト紋はどうだったかというと・・・。

これがザコ戦闘描写はダイ大とは比較にならないほど
多かったです。
あまりに多かったので、いちいちリストアップはしません。

それよりも注目すべきポイントは他にあります。



それはザコ敵のやられっぷりの容赦の無さです!
前述の鳥山先生のかわいらしいデザインの敵が痛ましくやられる描写を
避けたダイ大の極北を行くような、まるで容赦のない描写!
あのラブリーなももんじゃが内臓ぶちまけてますからね!

この獣王グノンの軍勢と勇者一行の激しい戦闘シーンは
かなり見ごたえがあります。
たしかに描写はエグいですが、それでもこのシーンは
これくらい容赦のない描写がないとこれほどの
読みごたえにはなりません。





勇者ロトの故郷・アリアハンを獣王グノンの十万頭の軍勢が囲み、
ロトの子孫・アルスを差し出さないと町を滅ぼすと脅しをかけた結果、
アルスはアリアハンの人々から追い立てられ、たったひとりで
十万の軍勢に挑むことになります。
そのときのアルスの怒りはアリアハンの町の人々にではなく、
人々の恐怖心をあおった獣王グノンに向けられました。

こんな状況になってまで、町の人々のことを想って戦うアルスに、
読者は「勇者」の姿を見ます。
それは、たったひとりで数え切れない相手に立ち向かい、
肉を断ち、返り血を浴び、呪文で何十匹も同時に焼き尽くし、
自分たちの周囲に魔物たちの死体の山ができていくという
激しい描写でもって、十分な説得力となって
読者に訴えかけてきます。



実際、獣王グノンの軍勢との激しい戦いのシーンが
もっともロト紋で印象に残っているという人も
少なくないでしょう。



鳥山明デザインのかわいい魔物が、という視点では
このグノン編での醜悪なバブルスライムもかなりインパクト強いです。
かつて、これほど醜悪にスライム系モンスターを描いた
ドラクエ漫画があっただろうか・・・。

ちなみに、この獣王グノン編での描写もなかなかのものでしたが、
後の冥王ゴルゴナ編では、ゾンビ化されて傷ついた部分が
異種再生していくモンスターが多数登場し、
グノン編とは別の意味で容赦のないザコ敵戦闘が描かれました。



でも、まぁこんなネタっぽい一場面もありました。
左下・・・。



以上、こんな感じでダイ大とロト紋を作中のザコ戦闘描写の観点から
読み比べてみました。

まとめとしては、以前の作中経過時間の比較からも感じたことと同じく、

根本的に強敵とのバトル漫画のダイ大 と、
リアル志向の冒険漫画のロト紋 といったところでしょうか。

どっちがイイとかはないですが、(どっちもイイので)
たまには限定的な観点で真剣に読み比べてみると
より面白いですよー。

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【魔法陣グルグル2】を語る

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1992年〜2003年にかけて、伝説のギャグファンタジーマンガ
『魔法陣グルグル』が連載されていました。

当サイトにちょいちょい来て下さってくれている方は
おわかりかと思いますが、本作品に対する私の思い入れは
飛び抜けて大きいです。

ざっと、今まで以下のような記事を書いてきました。

『魔法陣グルグル2』は【外伝1】につながるか?
【魔法陣グルグル】詳細解説付き・アイテム大全集
【魔法陣グルグル】くどいカオのネコを偲ぶ
細かすぎて伝わらない名場面【魔法陣グルグル編】
【魔法陣グルグル】ククリの失敗特集
【魔法陣グルグル】進化する魔法"グルグル"の魅力
【舞勇伝キタキタ】3巻発売 見どころ特集
【魔法陣グルグル】スピンオフ漫画【舞勇伝キタキタ】を特集する

正直、これでもまだ書き足りていないくらいで
まだまだ掘り下げれば記事の2,3本は書けるくらいの
ネタはつかめそうです。

・・・まぁ、それはさておき。

そんな『魔法陣グルグル』ですが、
本記事を書いているちょうど一年前、2012年11月から
ガンガンONLINEにて正当な続編となる『魔法陣グルグル2』の
連載が始まっています。
2013年7月にはコミックス一巻目も刊行されています。

で、そういえばこの『魔法陣グルグル2』について
メインを張って記事にしたことがなかったなと
ふと思い立ち、今回記事にしてみることにしました。

案外、初代グルグルの熱心な読者だった方でも、
「2」は読んでない、もしくは存在自体知らないという方が
多いかもしれないので本記事で「2」の魅力を伝える
ことができたら幸いです。

では、どうぞ


  魔王ギリとの戦いから・・・



『魔法陣グルグル2』はなんと前作からわずか2週間後の物語です(!)
前作の連載終了から「2」の連載開始までに約9年間もの間が
あいているのに、このギャップがすごい・・・。

ですが、これは過去ヒット作の久々の続編によくある、
前作主人公の子供なり後継者なりを主人公にした「二世もの」ではない
正当派続編作品であることも意味しています。



冒頭のニケのおやじのセリフでこの続編を
メタ的に茶化してるのもちょっと面白いです。

「おいしいものにはIIがある」
勇者は「II」が真骨頂なのだ!

いいこと言うなぁ。



そして伝説のシーンの再来。
あらたな魔王が出現した(かも)という国王からのおふれを見て、
ニケのおやじ渾身のカンバンダッシュが炸裂します。
このカンバンダッシュは前作グルグル第一話の再現です。
オールドファンにとっては懐かしい笑いがこみあげるところ。

ともかく、こうして勇者の真骨頂たる魔法陣グルグル「2」が
封切られました!


  ニケとククリの関係は?



前作のラストで、ククリがニケに告白し、

「勇者様という呼び方じゃなくて、これからはニケと呼んでくれ」

と、かなりイイ感じに進展した二人の関係でしたが、
それからわずか二週間後である本作ではどうなっている
かというと・・・



 ま っ た く 進 展 な し 。

うん、お約束お約束。
ちなみに、ニケとククリは前作ラスボス・魔王ギリ討伐後、
超エリート学校に入れられたようです。

二人とも14歳になり、少し大人になっていますが
結局、関係性は前作とほとんど変わっていません。


  使えなくなったグルグルは?勇者の力は?

前作終了時、少し大人になったククリはグルグルを使えなくなりました。
タイトルが『魔法陣グルグル』なのにグルグルが使えないとはこれいかに!?

また、ニケは前作さんざん苦労して手に入れた、地水火風の自然界の剣を
使用できる能力があり、これはしばらくはニケ独壇場の展開か・・・?



と、おもいきや第一話でバッチリのククリのグルグル復活きました。
本来、子供にしか使えないはずのグルグルですが、

「学校の授業がつまんない」「勉強がイヤだ」「勇者様とまた旅に出たい」

といった子供のような心がククリに再びグルグルの力をさずけます。
14歳になり大人になったかと思われたククリの心は、
まだまだ子供のままのようです。

これで、晴れてニケの光魔法キラキラと、ククリの闇魔法グルグルの
共演ふたたびか!?



と、おもいきや、ニケの方はなんやかんやで光魔法キラキラが
使用不可の模様。

結局しばらくは、ニケが敵を足止めしてククリがグルグル使用という
前作中盤あたりまでの定番スタイルでやってくことになりそうです。


  前作仲間にならなかったあのキャラたちが!?



前作最初の大きなイベントは、「キタの町」での大冒険でした。
ここで出会った3人の子供たちとともにノコギリ山の大ボスの
肩のうしろの2本のツノのまんなかのトサカの下のウロコの右
の弱点部分を突き刺して、見事討伐に成功したのでした!

前作ではキタの町の3人の子供たち「ザザ」「ミグ」「トマ」のうち、
トマだけは後の冒険で再会し、ニケたちとたびたびパーティを組むことになります。
トマはキタの町登場時は地味なキャラでしたが、
最終的には前作では「最強キャラ」との呼び声もあるほど成長しました。
反面、ザザとミグの出番は序盤っきりでした。

しかし、今回の「2」ではなんと・・・!



まさかの勇者パーティ入り!!!
これはいいサプライズ!
単行本一巻ではまだ活躍の場はありませんが、
今後の展開に期待しましょう。

そして、二人と同時に仲間になったのは前作のマスコット的キャラで
あったあの精霊・・・



こうして冒険の準備はととのいました!
勇者パーティの行く先に待つものは果たして・・・!?


  絵柄について

グルグル作者・衛藤ヒロユキ先生といえば連載中の絵柄の変動が大きい
ことで有名ですが、最近は絵柄を安定させたようで、
この『グルグル2』が始まる前に連載していた『舞勇伝キタキタ』では
ほとんど絵柄の変動もなく、安定した絵柄で連載が続きました。

本作『グルグル2』も、基本的に『舞勇伝キタキタ』の絵柄を
引き継いでいます。
とはいえ、初代『グルグル』からすると結構な変化があると思います。
この変化は進化といってよいかもしれません。

衛藤先生の、さまざまな作品の執筆を経て進化した最新の絵柄で
描くククリの多彩になった表情をみよ!↓
















個人的に、かなりククリかわいくなったと思うのですが、どうでしょう?



でもパンチラはあいかわらずのかぼちゃぱんつ。
エロさはかけらもありません。


  おまけマンガ健在!くどい顔のネコの後継者とは・・・?

グルグルおまけマンガといえば、ファンのあいだでは超有名な
くどい顔のネコですが、この記事で書いたとおり、
22歳の超長生きを経て、残念ながら永眠してしまいました。

しかし、本作『グルグル2』の単行本一巻のおまけページには
その後継ネコというべき2匹のネコの姿がありました。



ほっそり軽い「コパン」(メス)
でっぷり重い「ユンタ」(オス)

の二匹です。この二匹の今後のおまけマンガでの活躍にも
期待しましょう。
さりげに、先代くどい顔のネコの名前が「トラマル」だった
と書かれている点にも注目です。


  今後登場してほしい前作のあのキャラ

単行本一巻の収録範囲より少し先になりますが、
今後ククリが「おともだち召喚」というグルグルを習得します。

このグルグルは、要はRPGでいうとパーティ編成が自由にできる
システムで、ククリが出会った人物を呼び出していっしょに冒険する
ことができます。

今後このグルグルを利用して、冒険によってパーティ編成を
変えながら物語が展開していく可能性が高く、
そうなると前作のあのキャラとか、あのキャラとか、
いろんなキャラが出るといいなぁと妄想する次第です。



前作のひとコマ。
ここをみるだけでも、ザザ・ミグ以外に

トマ、ジュジュ、キタキタおやじ、闇のおねえさんルンルン、
闇魔法結社総裁、服職人ミウチャ、草の精霊モゲル、
高僧ガタリ、盗賊のおかしらスライ、ミルカ姫、
闇魔法使いデリダ

など、さまざまな懐かしキャラがいます。
ぜひとも「おともだち召喚」をフルに生かして
ちょいちょい登場させてくれたらなー、と
期待してます。


・・・と、思いのたけを語ってきましたグルグル2。

最新話はガンガンONLINEで無料で読めるので、
前作が好きだった人も、グルグルに初めて触れる人も
ぜひ読んでもらいたい作品です。

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週刊少年ジャンプ一年間の歩み[2013年]

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2013年も週刊少年ジャンプの記録を付けようと思います。

[昨年のまとめ記事↓]
週刊少年ジャンプ一年間の歩み[2012年]

週刊少年ジャンプの、作品内外で起きたさまざまな印象的出来事、
連載が始まった作品、終わった作品などを月単位で
列挙して簡単な感想を添えて記録に代える記事です。

2013年は少年ジャンプ創刊45周年のメモリアルイヤーです。
以下に見ていこうと思います↓

  1月

〜主な出来事〜

【黒子のバスケ】
VS海常戦クライマックスで巻頭オールカラーの高待遇。
(ただし彩色は委託)

【ナルト】
ネジ死亡。

【ハイキュー!】【ニセコイ】
コラボ作品「ニセキュー!!」が掲載。
ニセコイメンバーとハイキューメンバーが
ビーチバレーする話

【銀魂】
PSPでバンダイナムコからゲーム化されるということで
バンダイナムコをきわどくいじったネタあり

【クロガネ】
連載終了。一年半の連載ののち打ち切り終了のかたち。
ジャンプでは珍しい剣道マンガとして一瞬の存在感をみせたが、
題材の難しさもあり、盛り上げ切ることができずに終わってしまった。

【読み切りなど】
犬まるだしの大石先生の特別読み切り『氷上布武』掲載。
フィギュアスケートが題材。シリアスとギャグの配分に個性が光った。

〜感想〜

2013年一発目のジャンプは『黒子のバスケ』の
巻頭オールカラーから始まりました。
2012年の夏頃から本誌での人気が確定したこの作品、
その勢いはとどまりをみせません。
2013年の黒子の快進撃を象徴するような
巻頭オールカラーでした。


  2月

〜主な出来事〜

【斉木楠雄】
斉木の女体化版・斉木楠子登場

【食戟のソーマ】
前年の11月より始まったこの作品。
連載9回目にして「人気絶好調食欲増進漫画」のアオリ付き
センターカラーで掲載され、存在感をみせる

【暗殺教室】
堀部イトナの登場により殺せんせーの秘密の一端が
垣間見える

【スケットダンス】
ボッスンとサーヤの関係に決着がつく

【ハイキュー!】
連載一周年突破で表紙&巻頭カラー。
VS青葉城西戦白熱。

【伊達センパイ】
連載終了。キャラの個性で笑いをとる変人系ギャグ漫画は
ジャンプでは早々に討ち死にしてしまう印象があるが、
これもまさにそんな感じだった。

【恋するエジソン】
新連載。以前『メルヘン王子グリム』であえなく打ち切り終了
をくらった渡邊先生のリベンジ作品。前作と同じ変人系ギャグ漫画。
昨年読み切りで掲載されたものの連載化。

【ワールドトリガー】
新連載。以前『賢い犬リリエンタール』であえなく打ち切り終了
をくらった葦原先生のリベンジ作品。前作同様SFチックな作品だが、
新連載作者コメントで「今回はきびしめの世界を描こうと思います」
とある通り、前作ほどほのぼの感はない。
以前読み切りで掲載された『実力派エリート迅』の世界観を
引き継ぎ、主人公を変えて連載化。

〜感想〜

1作品が連載終了、2作品の新連載が投入されています。
伊達先パイ終了、エジソン開始ということでジャンプの
変人系ギャグ枠保守は継続。
そして、個人的に注目している葦原先生の新連載開始と
いうことでこの月は心躍ったものです。
この二作品の明暗については後ほど。


3月

〜主な出来事〜

【べるぜバブ】
連載4周年記念表紙&巻頭カラーあり。
アニメは昨年終了済だが、まだ一定の人気維持は
できている模様。

【暗殺教室】
表紙&巻頭カラーあり。
以前、連載開始3か月でもう表紙&巻頭カラー経験済の
この作品としては堂々としたもの。
学園モノではある意味定番な野球回。

【めだかボックス】
不知火不知編終了でセンターカラー。
球磨川を含めた3年生が卒業。

【銀魂】
表紙&巻頭カラー回で性転換ネタ

【食戟のソーマ】
3号連続センターカラーという無茶目の展開をみせるが
人気が確立した証拠。

【黒子のバスケ】
海常戦決着で物語は過去編へ。表紙&巻頭カラーあり。

【ワンピース】
作者急病による休載。代原で『明るい人』という
かなり個性的な4コマ作品が掲載される

〜感想〜

『食戟のソーマ』の人気確立が注目点と思います。
3号連続センターカラーなんてちょっと作画の
tosh..じゃなかった佐伯先生のお身体を心配してしまいます。


4月

〜主な出来事〜

【特別読み切り企画】
春のSP企画として、過去にジャンプで連載経験のある
(そして微妙に打ち切りっぽく終わった)作家先生方の
特別読み切り5作品が5号連続掲載されました。
作品一覧は以下

1.『さくらん(仮)』 PSYRENの岩代先生
2.『ジェダの通学路』 magicoの岩本先生
3.『W.C.フレンズ』 保健室の死神の藍本先生
4.『ぶんらんにゅーSCHOOL DAY』 針須川の叶先生
5.『てとくち』 あねどきの河下先生(原作付き)

また、上記とは別枠でベテラン先生の特別読み切りも
掲載されました。(以下)

1.『DARK PAWN-闇の質屋-』 ぬら孫の椎橋先生
2.『Moon Walker LTD』 テニプリの許斐先生
3.『マリオ』 ナルトの岸本先生。SQに本編掲載の読み切りのプレ版。

【暗殺教室】
異常教官・鷹岡に対して渚の暗殺の才能が発揮される回で
「服を引っ張ったら殺(ころ)んだので」という表現があり、
この作品らしい表現だなとほとんどの読者が違和感なく
スルーしたところ、後日ただの誤植だったことが判明。

【ワンピース】
エースのメラメラの実を賭けたコロシアム始まる

【ワールドトリガー】
第9話にしてセンターカラーあり。
派手さはないが着実に人気は獲得している証拠。
読み切り版の主人公だった実力派エリート・迅が登場

【こち亀】
連載1800回突破記念の表紙&巻頭カラーあり。

【めだかボックス】
連載終了。センターカラーにて円満終了。
連載期間はほぼ4年間。コミックス全22巻。
2期に分けてのアニメ化の機会もあり、まずまずの
人気を確立した作品といえる。


〜感想〜

特筆は連載経験者の特別読み切りラッシュですが、
『めだかボックス』の終了にも注目したいところです。
体裁上円満終了のような形をとっていますが、
最終回にいたるまでの掲載順の低迷をみる限りは
人気絶頂の中堂々の完結というわけではなさそうでした。
キャラ数の異常な多さとメタ演出の目立つクセのある作品で
好き嫌いがはっきり分かれた作品だったと思います。


5月

〜主な出来事〜

【ニセコイ】
進級して2年生編始まる。 
小野寺さんの妹登場。

【ワンピース】
作者急病による休載。代原で『磯部磯兵衛物語』という
浮世絵調のかなりインパクトのあるギャグ読み切りが掲載され、
ネット上でちょっとした話題となる。

【ナルト】
サスケのいけしゃあしゃあとした「火影になる」発言で
作中のあらゆるキャラと読者の度肝を抜く

【スケットダンス】
最終章「ラストダンス」開始。
開盟学園に新理事長が就任。その方針は生徒の個性を
抑圧するものだった。
スケット団最後の大仕事が始まる。

【ハングリージョーカー】
連載終了。天才科学者を主人公とした能力バトルモノ。
読み切り版の設定を一切投げ打っての連載開始が
印象的だったが、良いところをみせられずに終わった感。

【新米婦警キルコさん】
連載終了。元傭兵の婦警・キルコさんを中心としたドタバタギャグ。
連載開始時のネット上の人気は結構すごかったが、
バブルがはじけたように徐々に掲載順が落ちていき
最終回と相成った。
しかし、連載終了後も「ジャンプLIVE」(ジャンプのスマホ向けコンテンツ)
で『帰ってきたっ!新米婦警キルコさん』が数話掲載されるという
異例の展開をみせた。

【ソウルキャッチャーズ】
新連載。特殊能力系吹奏楽マンガというかなり個性的な作品。
他人の心が「見える」主人公が吹奏楽の指揮者に挑戦し、
さまざまな問題を抱える吹奏楽部を導く。

【無刀ブラック】
新連載。ギャグのようなタイトルだが、
中身は硬派な時代劇柔術マンガ。
 
【スモーキーB.B.】
新連載。高校野球が題材。
技巧派(スモーキー)にみえて
実は本格派(パワーピッチャー)という
主人公投手の意外性を描く。 

【読み切りなど】
他誌から出張3作品。
ヤングジャンプから『キングダム』
最強ジャンプから『魔神のガルド!』
ジャンプSQから『終わりのセラフ』
の出張読み切りが掲載。

〜感想〜

連載作品入れ替えの時期で、前月のめだかもあわせると
3作品が終了。さらにスケットダンスも最終章に入ります。
新連載は3作品。ですが、ソウルキャッチャーズ以外は
少し地味な印象を受けました。
ワンピースの代原の『磯部磯兵衛物語』の反響は
すごかったようで、以降ちょくちょく読み切りで登場し、
最終的には新連載となって帰ってきます。
まさに代原ワンチャンを絵に描いたような作品。


6月

〜主な出来事〜

【ニセコイ】
TVアニメ化決定発表記念表紙&巻頭カラー

【ワンピース】
またも作者急病による休載。そして代原は
ふたたび『磯部磯兵衛物語』

【トリコ】
連載5周年突破記念表紙&巻頭カラー
トリコVSスタージュン戦が佳境。
少し昔っぽいノリな殴り合いバトルが心地よい

【斉木楠雄】
連載1周年突破記念表紙&巻頭カラー
修学旅行編はじまる

【スケットダンス】
スイッチ、ついにしゃべる

【読み切りなど】
ワンピース代原で話題をさらった
浮世絵ギャグ漫画の作者・仲間りょう先生の
動物ギャグ読み切り『知恵熱!!ダビットさん』が掲載。

〜感想〜

注目はニセコイのアニメ化でしょうか。
ジャンプ作品においてアニメ化というのは
ひとつの到達点です。
マガジンやサンデーと比べてラブコメが生き残りにくい
印象のあるジャンプで、昨年のラブコメ戦国時代をも
勝ち抜きよくここまできた、といった感じです。
この時点ではまだ発表されていませんが、
ニセコイのアニメ制作は『魔法少女まどかマギカ』等で
有名なシャフト&新房昭之監督が手掛けるというのは
驚きでした。


7月

〜主な出来事〜

【暗殺教室】
連載1周年突破記念表紙&巻頭カラー。
殺せんせー「リアル時間で1年生き延びられてうれしい」発言。
第一回ヌルヌル黒板アート選手権を募集

【スケットダンス】
連載6周年で堂々の完結。コミックス全32巻。
ほぼすべての複線を回収したが、ボッスンとヒメコの
関係だけはうやむやのまま終わった。
ギャグありシリアスあり。バトルに走らない
ちゃんとした学園モノでここまでの期間連載できた
というジャンプでは稀有な作品だった。

【ワールドトリガー】
オサム、ユーマ、チカの3人でボーダー玉狛支部へ入隊。
このチームでA級昇格、遠征部隊選抜を目指すという
中長期目標が提示される

【ハイキュー!!】
青葉城西戦が白熱のすえ、まさかの主人公チーム敗北という
かたちで幕を閉じる。
負け演出が神がかっていた。

【クロス・マネジ】
連載終了。女子ラクロス部の男子マネージャーが主人公という
異色のスポーツマンガ。
試合描写がわかりにくかったりとスポーツマンガとしては
欠点も目立ったが、キャラ描写等魅力も多かった。
コミックス全5巻。ジャンプNEXTに特別編掲載という
やや優遇された打ち切りとなった。

【恋するエジソン】
連載終了。やはりジャンプで変人系ギャグ漫画の生存は
難しいのか。
毎週2話掲載というトリッキーな展開をするも
あまり効果はなかったようだ。

【銀河パトロールジャコ】
ここにきてまさかの鳥山明先生の新連載。
少年ジャンプ創刊45周年特別記念特大号にて
連載が開始される。
初回の鳥山先生のコメントは
ちょっと古臭い感じの内容ですが最後まで読んで
いただければなぜかわかりますよ」
と意味深な内容。全11話構成と最初から決まっていた。

【クロクロク】
新連載。妖怪専門の市役所の役員を主人公とした
妖怪どたばたモノ。ライトノベルっぽいノリが特徴。

【ひめドル!】
新連載。特殊な専門分野を学ぶ"総高専"を舞台に
美容師志望の主人公と、アイドル志望のヤンキー女子の
恋愛を描くラブコメ。

〜感想〜

特筆はなんといっても鳥山明先生の新連載でしょう。
読み切りではなく連載というのが驚きでした。
(1クール限定でしたが)
同時期に連載開始した新人二人には結構なプレッシャー
だったかと思います。
また、長期連載の『スケットダンス』が終了を迎えました。
昨年に引き続き、ジャンプ連載陣のフレッシュ化が促進されます。


8月

〜主な出来事〜

【37・38合併号のJヒロイン水着グラビアポスター】
食戟のソーマの佐伯先生渾身のJヒロイン水着グラビアポスター
連載中の作品すべてのヒロインが描かれる素晴らしき逸品。
この号直前で最終回を迎えていた無刀ブラックが
ちょっとかわいそうだった。



【黒子のバスケ】
表紙&巻頭カラーで帝光中が全中決勝戦でエグい勝ち方をする。
藤巻先生も作者コメントで「巻頭なのに暗い話ですみません」
と謝った。

【無刀ブラック】
連載終了。全12話というかなり早い打ち切りとなった。
人気低迷の原因はいろいろあったと思うが、まず題材が地味すぎた。
あとは主人公の弟子・継春にあまり魅力がなかったのも気になった。

【読み切りなど】
『いぬまるだしっ!』番外編が掲載。なぜかタイが舞台。
また、「ジャンプ異才読み切り3連弾」という企画で
ちょっと変わったタイプの読み切り掲載企画あり。
第一弾の『火ノ丸相撲』はジャンプで珍しい相撲マンガ
だったが、かなりの快作だった。

〜感想〜

毎年この時期になると、表紙に全作品のキャラが集合することがありますが
ここに描かれているキャラの大きさがそのまま作品の格付けにも
つながります。



ここではルフィ・ナルト・トリコが最前列
その後ろを銀さん、黒子、殺せんせー、楽
さらに後ろを両さん、創真、斉木、男鹿、日向、
あとはその他、といった感じです。
(一護がいないのはブリーチがこのときちょうど
休載中だったからです)
まだまだ、ワンピ・ナルト・トリコが三枚看板のようです。


9月

〜主な出来事〜

【食戟のソーマ】
表紙&巻頭カラーあり。
まだ若いこの作品ですが、表紙・巻頭を任されたら一線級で
活躍を認められている証拠です。
ここらのシリーズではからあげが実に美味しそうでした。

【ニセコイ】
少女漫画『俺物語!』との異色のコラボ漫画掲載。
なんでかニセコイは異色のコラボをすることが多い。

【ブリーチ】
プチ休載していたのが連載再開。「千年血戦篇・訣別譚」突入。
…千年血戦篇はもう1年以上前からやってますが。。

【斉木楠雄】
人気投票結果発表。応募総数は5884通。

【暗殺教室】
黒板アート大賞受賞作発表


【スモーキーB.B.】
連載終了。全15回。
無刀ブラックと同じく早い打ち切りとなりました。
原作付きだった割には物語展開に特別みどころ
がなかった気がします。

【銀河パトロールジャコ】
予告通り11話にて終了。
最終回で『ドラゴンボール』のブルマが登場し、
この物語が『ドラゴンボール』の前日譚であったことが判明する。
サプライズな展開だが、気付く読者は早い段階から気付いていた。

【HACHI】
新連載。ムヒョとロージーの西先生が描く
ダークファンタジー。
半神(ハーフ)に乗っ取られた東京を
奪還するレジスタンスたちの戦いを描く。
 
【恋のキューピッド焼野原塵】
以前に読み切りが掲載されたものが連載化。
一生モテない運命にある主人公のもとに魔王が降臨し
主人公の恋路を助けるという怪人系ギャグ+ラブコメ。
絵は荒いが主人公のモノローグによるツッコミの
言葉選びがなかなか秀逸。

〜感想〜

注目は銀河パトロールジャコでしょうか。
なんとドラゴンボールの前日譚だったとは…
…まー、とは言ってもそれはあくまでもオマケ要素。
鳥山先生の最終回掲載号での作者コメントにもありますが、
「ずっと描きたかったライトな漫画絵本が完成して大満足」
というのが真理でしょう。
物語構成もほとんど人気を意識しているとは思えず、
(毎回ヒキらしいヒキもなく淡々と進んで行ってた)
本当に描きたい話をのんびり描いてるんだなーって印象でした。


10月

〜主な出来事〜

【ハイキュー!】
TVアニメ化決定記念表紙&巻頭カラー。
作者・古舘先生
色々と楽しみですが「音」が加わることがとても楽しみ」
と渋いコメント。

【黒子のバスケ】
長い過去編が終わり、ようやく洛山戦がスタート
アニメ2期がはじまる。

【べるぜバブ】
新展開突入。舞台はなんとアメリカに!?

【こち亀】
ガールズ&パンツァーネタあり

【磯部磯兵衛物語】
新連載。ワンピースの代原がきっかけから
何度か読み切りが掲載されていたが、まさかの連載化。
異例のスピード出世浮世絵ギャグ。

【読み切りなど】
『岸辺露伴は動かない 密漁海岸』が掲載。
昨年の岸辺露伴もこの時期掲載だった。
キルコさんの平方先生の残念系ヒーローモノ読み切り
『31HEROES』が掲載。

〜感想〜

ハイキュー!のアニメ化がトピックス。
アニメ制作は黒子のバスケと同じくProduction I.Gが担当で
黒バスアニメヒットの実績を見込まれた形かもしれません。
2011年スタートのニセコイ、2012年スタートのハイキュー!
と相次いでのアニメ化決定はジャンプ次期主力作品の
存在感を示しています。
 

11月

〜主な出来事〜

【高橋和希先生の特別読み切り掲載】
『遊☆戯☆王』で超絶ロングヒットを飛ばした
生けるレジェンド・高橋和希先生の特別読み切り
『DRUMP』が掲載されました。
この号の予告では読み切りでは異例の見開き2ページを
使った大々的な予告がされていました。
内容としては、初期遊戯王を思わせるような、
トランプを使ったオリジナルゲームによる心理戦を
描くというような感じ。

【ニセコイ】
連載2周年で表紙&巻頭カラー。
第2回人気投票募集。小野寺さんの過去話。

【食戟のソーマ】
連載1周年で表紙&巻頭カラー。
秋の選抜編開幕。カレー料理対決。
それにしてもソーマは今年カラー多すぎである。

【ソウルキャッチャーズ】
コミックス2巻超人気御礼センターカラーのアオリが付き、
一時期人気が危ぶまれる掲載順だったが持ち直して
安定感が出た印象。

【クロクロク】
連載終了。同じ号で『ひめドル!』とあわせて終了という異例の形となった。
ジャンプではどの時期にも微妙な存在感の妖怪モノ漫画が
連載されているが、この作品もそんな感じだったかもしれない。
果たして次の妖怪枠は?

【ひめドル!】
連載終了。同じ号で『クロクロク』とあわせて終了。
『ニセコイ』人気の確立したジャンプではもうラブコメ
の枠は残っていないのだろうか?

【読み切りなど】
ヤンジャンから『ワンパンマン』の出張読み切りあり。

〜感想〜

特記は高橋和希先生の読み切りでしょうか。
見開き予告、掲載号表紙の扱いの大きさ、綴込付録付きなど
ただの読み切りとは思えないほどのプッシュっぷりでした。
内容は・・・まぁ遊戯王と同じような後出しジャンケン式
テーブルゲームバトルマンガでしたが。


12月

〜主な出来事〜

【ワンピース】
ルフィが泣くほどの人物登場!?というヒキで
2013年が締めくくられる。
その人物が誰なのかは年明けにわかるはず。

【銀魂】
連載10周年記念表紙&巻頭カラー。
2014年のジャンプ背表紙はオール銀魂でいくようで
まだまだジャンプ一線での牽引役の務めはある模様。

【黒子のバスケ】
連載5周年突破表紙&巻頭カラー。
皮肉にも、昨年以前からずっと続いていた
黒子のバスケ脅迫犯が逮捕されたタイミングと
この号が発売されたタイミングがほぼ一致。

【暗殺教室】
心理ゲーム「ワンナイト人狼」とのコラボで
特別綴じ込み付録が付く。
コミックス7巻にはアニメDVD同梱版もあり
これはTVアニメ化目前か?

【食戟のソーマ】
大人気御礼センターカラーでえりな様番外編。
本当にカラーが多い作品だった。
佐伯先生、一年間おつかれさまでした。

【アイアンナイト】
新連載。異形のものたちに乗っ取られた世界が舞台の
ダークヒーローもの。
少し前に始まった『HACHI』と題材がカブり気味。

〜感想〜

『黒子のバスケ』脅迫犯の逮捕と連載5周年突破記念が
重なったのは偶然とはいえおどろきでした。
一個人が長期間にわたって文化作品へテロ行為を行うことが
できてしまったというのは嘆くべき事実です。
今後このようなことが二度と起こらぬよう願うばかりです。


2013年のジャンプ総括

さて、週刊少年ジャンプの2013年を振り返ってまいりました。
ジャンプ創刊45周年記念のメモリアルイヤーでもある
2013年のポイントは大体以下2点というところでしょうか。

1.歴代の売れっ子作者が集結した特別企画
『ドラゴンボール』で伝説を築いた鳥山明先生の新連載
『銀河パトロールジャコ』の開始には驚かされました。
もう充分ドラゴンボールで稼いでる鳥山先生は
たまにあるイラストの仕事くらいで連載マンガを描くことは
もうないだろうと思っていただけに。
短期集中連載でしかも自分の描きたい話をのんびりと描くという
スタイルでしたが、オチでドラゴンボールと話がつながる
という読者サービスをしっかりと入れてくれたあたり
やっぱりプロの漫画家さんなんだなぁと思いました。

『テニスの王子様』で継続的大ヒットを飛ばしている
許斐先生の読みきりもありました。
許斐先生はジャンプSQで『新テニスの王子様』連載中にも
かかわらずに本誌に読みきり掲載という精力っぷりをみせています。
作品内容も許斐節炸裂しまくってて痛快でした。

そして、"ジャンプ創刊45周年最後の衝撃"として大々的に
登場したのは『遊戯王』の高橋和希先生の読みきりです。
内容は本文で触れたとおり。

こういった過去に一大レジェンドを築いた漫画家さん達が
同一年内に作品を発表する企画は45周年という
節目の年ならではこのことでしょう。

2.ジャンプ連載陣あらたな布陣
この年、若手有望作品の『ニセコイ』『ハイキュー!』の
アニメ化が決定しています。
昨年から爆売れが始まった『黒子のバスケ』のアニメ2期も開始。
また、始まったばかりの『暗殺教室』『食戟のソーマ』の人気も
ジャンプ看板を背負えるんじゃないかという勢いがあります。
長期連載であった『スケットダンス』『めだかボックス』も終了し、
新しいジャンプ連載陣の布陣がなんとなくみえてきました。

『ワンピース』『ナルト』『トリコ』が3枚看板なのは
変わらずも、そのすぐ後ろをフレッシュな看板候補
『暗殺教室』『食戟のソーマ』が担います。
昨年から快進撃を続けている『黒子のバスケ』も看板候補でしょうか。
さらにアニメ化で勢いある『ニセコイ』『ハイキュー!』
アニメ化の話こそないものの表紙&巻頭カラーを
任されることもある『斉木楠雄』が真ん中を守ります。
長期連載で安定感のある『銀魂』『ブリーチ』『こち亀』『べるぜバブ』
が両脇を固め、じわじわ人気を集めている
『ワールドトリガー』『ソウルキャッチャーズ』が後方より
うかがっているという感じでしょうか。
しんがりであわよくば人気爆発を狙う他の連載陣も
あなどれません。


以上、こんなとこでしょうか。
2014年もジャンプに楽しませてもらいます!!

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週刊少年ジャンプ一年間の歩み[2014年](上期)

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御無沙汰してます。
すっかり更新が止まってしまった本サイトですが、
細かい時間を突いてちょいちょい記事をアップして
いこうと思います。

2014年も週刊少年ジャンプの記録を付けようと思います。

[過去のまとめ記事↓]
週刊少年ジャンプ一年間の歩み[2012年]
週刊少年ジャンプ一年間の歩み[2013年]


週刊少年ジャンプの、作品内外で起きたさまざまな印象的出来事、
連載が始まった作品、終わった作品などを月単位で
列挙して簡単な感想を添えて記録に代える記事です。

2014年は少年ジャンプにとってどんな年だったでしょうか。
以下に見ていこうと思います↓


  1月

~主な出来事~

【ニセコイ】
アニメ放映直前で一挙2話掲載の号あり。
一本目はなんとオールカラーで温泉回

【トリコ】
人間界編完結。
美食會に連れ去られた小松を助けに!というヒキで
人間界編を終える。
しばしお休みで新章スタートは2月から。

【ワンピース】
昨年、ルフィが泣くほどの人物登場!?というヒキを
展開するも、その人物が誰なのかが一向に明らかにならない。
(熱心な読者にはバレバレだが・・・)

【こち亀】
艦これを題材にした回あり。

【べるぜバブ】
掲載が巻末になり、終末ムードが漂う。

【読み切り】
過去、惜しくも打ち切りを食らった作家
『パッキー』のレツ先生、『恋するエジソン』の渡邉先生
『恋染紅葉』のミウラ先生の読み切りあり。
また、後に連載化される『E-ROBOT』の読み切りも掲載される。

【その他】
・葦原先生事故による負傷でワールドトリガー1週分休載


~感想~

ワンピースのヒキに対するフェイント的な話の展開が
印象的な2014年の幕開けでした。
また、べるぜバブの終末の予感を余所に、
最終章をもう2年近く続けているブリーチが
相変わらず「最終章大熱戦センターカラー!」とかやってるのは
ちょっと滑稽な感じがしました。


  2月

~主な出来事~

【トリコ】
新章グルメ界編スタート。(本編2年の時間経過)
開幕、普通に小松がトリコと一緒に行動しており、
まさかの小松を助け出す過程を完全カットするという
大胆な演出がみられた。

【食戟のソーマ】
人気投票の結果開票。
総投票数8225票と少なめ。(1位は主人公・創真で956票)
他作品も含めてこれら人気投票の分析は後ほど行います。

【暗殺教室】
主要生徒として登場回数は多かったものの、
ほぼ話の中心となることはなかった茅野主演のエピソードが
ようやく登場する。巨大プリンを作る話。

【ニセコイ】
人気投票の結果開票。
こちらはソーマとは打って変わって高投票率。
後ほど分析します。

[完]【恋のキューピッド焼け野原塵】
魔界の王が主人公の少年の恋の手助けをするという
面白い設定のラブコメマンガでしたが、
力及ばず打ち切り終了となりました。
少し絵が粗めで、そこを敬遠されたのかもしれませんが
設定の面白さや、キャラのしゃべりの巧みさで
読ませてくれる良作だと思いました。

[完]【HACHI-東京23宮-】
上記の焼け野原塵と同じ号でのダブル打ち切りとなりました。
珍しいパターン。
半神たちに乗っ取られた東京を舞台に繰り広げられる
怪物バトル・・・が売りだと思いますが、
いまいちぱっとしなかったと思います。

[完]【べるぜバブ】
連載5年の長期連載作品でしたが、この度完結となりました。
最終回はセンターカラー。
どたばたコメディ、学園モノ、バトル、ファンタジー、
ヤンキー、育児、ラブコメとありとあらゆる要素の詰まった
一言では言い表しにくいバラエティに富んだ作品でした。
2011年-2012年までTVアニメ化もされています。
最終話は学園モノの鉄板、卒業式のエピソードで締めています。

[新]【イリーガル・レア】椎橋寛
『ぬらりひょんの孫』の椎橋先生の新連載。
モンスターハンターから狩られる立場の希少種。
その希少種達が自らを守るため、希少種犯罪対策課を
設立する。
昨年の読み切り『DARKPAWN』のキャラも登場する。

[新]【i-ショウジョ】高山としのり
最強ジャンプ出身の高山先生の新連載。
魔法のアプリをめぐる少年少女のドタバタを描く
ちょいエロラブコメ。
ジャンプでは珍しい(アウターゾーン以来?)
オムニバス形式のエピソードが特徴的。

[新]【ステルス交境曲】
(作画)天野洋一 × (原作)成田良悟
『デュラララ!』作者の成田先生が原作の新連載。
あらゆる種族が集まる街「神保町」を舞台に、
自分への攻撃を倍返しするという装置を背負った
少年・ジグを主人公に物語が展開する。

[新]【TOKYO WONDER BOYS】
(作画)伊達恒大 × (原作)下山健人
アニメ銀魂の脚本家も務めたことのある下山先生が
原作の新連載。
瀕死のサッカーチームが巻き起こす奇跡の
大逆転ストーリー。
ほんとは3月に入ってからの新連載でしたが
便宜上ここで紹介します。

【その他】
・11号にて、「ニセコイヒロインバレンタインポスター」の付録あり。
 表面はニセコイヒロインたち(千棘、小野寺姉妹、鶫、マリー、るりちゃん)
 がチョコを差し出しているイラストで、
 裏面はジャンプが誇る残念男子たちがチョコをもらうべく手を差し出しているイラスト。
 残念男子のメンツは以下
 ・古市、磯辺、殺せんせー、燃堂、新八、田中センパイ


~感想~

特筆は長期連載作品であるべるぜバブの終了でしょう。
一昨年、昨年からジャンプのフレッシュ化が進んでいますが
ここでさらにフレッシュ化が加速したことになります。
作品改編期ということで、新連載作品も4作品投下されました。
4作品の中でも、ライトノベル作家が原作者である
『ステルス交境曲』は目立っていました。
ポストめだかボックス?


3月

~主な出来事~

【トリコ】
トリコのフルコースメニューの「ドリンク」が
「ビリオンバードの卵」に決定する。
トリコのフルコースメニューの決定はセンチュリースープ以来。

【ワールドトリガー】
連載一周年突破で表紙・巻頭カラーあり。
キャラ人気投票を募集。

【磯辺磯兵衛】
ぬいぐるみ発売記念センターカラーあり。
初の長編である高尾山地獄修行編が開幕する。

【黒子のバスケ】
キャラ人気投票の結果発表あり。
詳細は後ほど。

【ソウルキャッチャーズ】
新章突入。
神峰と同じく人の心を視ることのできる力をもつ
黒条が登場。

【斉木楠男】
斉木のツンデレ祖父登場。

[完]【アイアンナイト】
ゴブリン化した人間による荒廃した
世界を舞台にしたダークヒーローもの。
ジャンプっぽくないハードな展開も目立っていたが、
あえなくの打ち切り終了となってしまった。

【読み切り】
スケットダンスの篠原先生の読み切り
『永久不滅デビルポイント』が掲載。

【その他】
・しまぶー体調不良でトリコ1週分休載


~感想~

キャラ集合系の表紙が目立った月でした。

PS3/PSVITAソフト『Jスターズビクトリーバーサス』の
(ジャンプキャラによる格ゲー)
発売に併せて、現連載陣での出場メンバーによる
集合表紙があり、

さらにはジャンプ連載の作品群を
「現実系」と「ファンタジー系」に分け、
それぞれの分類で集合表紙を展開するという
面白い試みもありました。

分類は以下の通り。納得できます??

(現実系)
ハイキュー!
ニセコイ
こち亀
暗殺教室
黒子のバスケ
斉木楠男
ソウルキャッチャーズ
i-ショウジョ
TOKYO WONDER BOYS

(ファンタジー系)
ナルト
ワンピース
トリコ
ブリーチ
銀魂
ワールドトリガー
磯辺磯兵衛
イリーガルレア
ステルス交境曲


4月

~主な出来事~

【ワンピース】
昨年のヒキの人物の正体がようやく判明。
なんと死んだと思われていたルフィの義兄「サボ」が
革命軍参謀総長として登場する!

【暗殺教室】
堀部イトナがE組に加入する。

【銀魂】
人気投票結果発表あり。
人気投票は銀さんを除いたキャラで行い、
1位になったキャラが銀さんと一緒にジャンプ表紙を
飾るという珍しいパターンでの人気投票だった。
やはり詳細は後ほど。
本編では、真撰組隊士・斉藤終が登場する。

【ニセコイ】
ここにきて新たな鍵持ちヒロインが登場。
楽が幼い頃、羽姉(ゆいねえ)と慕った
中華マフィアのボスが楽たちの担任として赴任!

【読み切り】
リボーンの天野先生の『眠寝太郎現る!!』と、
マジコの岩本先生の『黒き妖のゴゴゴ』が掲載。
また、まるで少年チャンピオンに載りそうなジャンプ
っぽくない尖った格闘技漫画『あばれ猿』が掲載。

「オールギャグカーニバル」と銘打って
以下のメンバーによるギャグ読み切りが一挙掲載された。
・大石浩二
・うすた京介
・ますだこうすけ
・地獄のミサワ

このうち、うすた京介の描いた『くまモンじゃないやつ物語』は
熊本のご当地ゆるキャラ・くまモンを面白おかしくイジった内容であり、
これを読んだ本物のくまモンが現実に集英社に直接乗り込んできて
抗議を行う、という寸劇が作品外で展開された。

また、「オールスターコラボマンガ」という
連載陣の先生方がそれぞれ選んだ他の作品世界に
自分のキャラを投入するという変わった企画が実施された。
どの作品がどの作品を選んだかは以下。

こち亀→磯辺
暗殺→ワートリ
ワンピ→ナルト
ソーマ→黒子
ナルト→黒子
ワートリ→斉木
ブリーチ→暗殺
ソルキャ→黒子
銀魂→ワンピ
イリーガル→ブリーチ
トリコ→磯辺
i-ショ→ニセコイ
ニセコイ→銀魂
ステルス→ソルキャ
ハイキュー→ナルト
東京湾→斉木
斉木→ソーマ
磯辺→こち亀


~感想~

昨年もそうでしたが、4月には変わった企画が行われる
伝統なのかもしれません。
コラボマンガはその特性上、単行本に収録されにくいので
こういった企画は切り抜きで保存しておくと
のちのち貴重な資料になりそうです。


5月

~主な出来事~

【黒子のバスケ】
ついに赤司がゾーン突入。

【ソウルキャッチャーズ】
連載1周年でセンターカラー。
作中で「作者と担当以外誰も続くと思っていなかった
吹奏楽マンガが1年続くことがスゴくないですか」
というセリフがあり、苦労が垣間見える。
キャラ人気投票募集開始。

【ハイキュー!】
連載2周年で巻頭カラー。
宮城県代表決定戦、条禅寺VS烏野戦始まる。
第二回キャラ人気投票募集開始。

【食戟のソーマ】
田所ちゃんVS黒木場のラーメン対決で
ジョジョネタあり。

[完]【TOKYO WONDER BOYS】
異例の早さでの打ち切りとなった。
明らかに6月開催のサッカーW杯を見越しての
連載だったが、まさかのW杯開幕前での終了となった。
目新しい、面白い要素がほとんどなく、
ジャンプでサッカーマンガは成功しにくい
イメージをますます決定付けた問題作。

[新]【火ノ丸相撲】 川田
昨年8月に読み切りが掲載された作品の連載化。
ジャンプで珍しい相撲マンガ。
身体の小さな主人公・潮火ノ丸が巨漢相手に
横綱相撲で立ち向かう爽快な内容が評価されたか、
連載後すぐに人気を博すこととなる。

【読み切り】
『クロガネ』の池沢春人先生の『カミドリ』掲載。
のちに連載化する後藤秀平先生の『ハイファイクラスタ』掲載。

【その他】
・『バクマン』実写映画化の情報掲載
・この頃、『ニセコイ』のアニメ終了
・どういうことかはよくわからないが、
巻末コメントでワンピの尾田先生と、
磯辺の仲間りょう先生が以下のようなやりとりを
繰り広げた。

尾田「仲間りょうのせいで侍のセリフにうっかり候ってつけそうになる。
   仲間りょう・・・」
仲間「尾田栄一郎・・・」

仲間りょう先生の『磯辺磯兵衛物語』はもともと
『ワンピース』の代原で成り上がった作品であり、
そのへんの絡みでなんらかの交流があったのかもしれません(適当)


~感想~

ジャンプ打ち切りマンガ愛好家にとってひそかに注目される
いわゆる「10週打ち切りマンガ」が久々に誕生しました。
『TOKYO WONDER BOYS』…。
ジャンプでヒットしたサッカーマンガとしては
『キャプテン翼』が超有名ですが、逆に言えば
それしかジャンプで成功したサッカーマンガはないと
言っていいかもしれません。
一応、『ホイッスル!』がアニメ化まで漕ぎ着けた
ジャンプサッカーマンガでしたが、アニメ放映中に
打ち切り終了を迎えているため、ヒット作とは言いづらい
ものがあります。

そんな東京湾とは裏腹に、読み切りで好評だった
『火ノ丸相撲』が新連載として現れました。
ジャンプでは珍しい相撲マンガとして降臨し、
すぐに人気を確立することになります。


6月

~主な出来事~

【ハンター×ハンター】
2年以上の沈黙を破り、ついに連載再開。
前回の壮大なヒキからの再開となる。
本編にてクラピカが十数年ぶりにセリフ入り登場。
(過去編の読み切り除く)

【トリコ】
連載6周年で表紙・巻頭カラー。
グルメ界を冒険する四天王は妖食界へと入る。

【ワールドトリガー】
アニメ化決定の情報が公開され、表紙・巻頭カラー。
人気投票の結果発表あり。詳細は後ほど。

【斉木楠男】
連載2周年で表紙・巻頭カラー。
「キミの好きな回投票」という少し変わった
人気投票の募集を開始。
本編では、斉木の兄・空助が登場する。

【暗殺教室】
アニメ化・実写映画化決定の情報が公開され、表紙・巻頭カラー。
キャラ人気投票の募集が始まる。

【黒子のバスケ】
真の赤司が覚醒し、洛山のメンバー全員がゾーンに突入するという
驚きの演出がなされる。

【読み切り】
のちに連載化される岩代俊明先生の『式神トワイライトデイズ』掲載。
のちに連載化される古屋樹先生の『卓上のアゲハ』掲載。
ヤングジャンプから『東京喰種』が出張掲載。
サッカー日本代表岡崎慎司選手のノンフィクションマンガ
『岡崎慎司ヒストリー 一生ダイビングヘッド!』掲載。
作画担当は過去にジャンプでサッカーマンガを連載していた村瀬克俊先生。

【その他】
・尾田先生扁桃腺切除手術のため、ワンピース2週分休載。
・葦原先生急病のためワールドトリガー1週分休載。

~感想~

やはり一番のトピックスは『ハンター×ハンター』の連載再開です。
前回の掲載から実に2年3か月ぶりの連載再開でした。
たしか、休載直前の雑誌巻末コメントで「ヒキがヒキだけになるべく早く戻ってきます」
というようなことを言っていた気がしますが・・・。
ともあれ、連載再開です。(8月から再び休載しますが)
新章・暗黒大陸編は、ゴン・キルアがほとんど登場しない物語展開となりました。

物語の構成としては、
レオリオ・クラピカが十二支んに加入し、
ハンター協会として暗黒大陸への渡航を目指す、
ジン=フリークスがカキン帝国の暗黒大陸探検チームに加入し、
パリストンをけん制しながら暗黒大陸への渡航を目指す、
カキン帝国の王子たちが次期国王の座を争いながら暗黒大陸への渡航を目指す、
という3本ほどのストーリーラインを並行で走らせるような
構成を取っており、やや難解な展開が目立ちました。


以上、2014年の1~6月までのまとめです。
ひとまずここまで。
7~12月まではまとめ完了次第アップします。

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最高に熱かった漫画版『ロックマンX』について語る

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かつて『ロックマンX』というアクションゲームがありました。
1987年にファミコンで発売された『ロックマン』シリーズの派生作品で、
シリーズ第一弾は1993年にスーパーファミコンで発売されました。

横スクロールアクションとして非常によくできた作品で、
当時の人気はすさまじく、売り上げもミリオンセラーを達成しています。

今回は、そんな『ロックマンX』のコミカライズ版を記事にしたいと思います。


  漫画版『ロックマンX』の魅力

漫画版『ロックマンX』は、コミックボンボンにて連載されました。
作者は岩本佳浩先生。



絵柄はご覧の通り、原作のさっぱりしたデザインよりは
少し濃いめの印象です。



内容としては、原作の醍醐味である「撃つ」「走る」「跳ぶ」等の
アクションを漫画という媒体で派手に魅せてあって
ゲームをプレイした人が読んでいて実に気持ちの良い内容でした。



また、アクションゲームというジャンル上
ストーリー要素が少なかった原作に対し、
漫画独自のストーリー上重要な設定がいくつか
追加されているのも見どころのひとつとなっています。
特に、主人公・エックスを「泣く」ことのできる特殊な
レプリロイド(人間的思考回路を持つロボットの総称)
と設定したことは非常に大胆なアレンジでした。

この設定は後々のシリアスなストーリー展開に
マッチしており、要所でエックスの「泣き」の
演出が入ることがストーリー上のアクセントになっていました。



また、タイトルに冠される「ロックマン」を"称号"と解釈し、
エックスこそが「ロックマン」の称号の継承者であるとしたことで、
ファミコンの『ロックマン』シリーズからつながっている
バックストーリーを読者に想像させるという、物語に奥行きを
持たせた演出も見事でした。

当時のコミックボンボンの他のゲームコミカライズ作品と比べてみても、
コミカライズ以前に漫画作品として非常に大きな存在感を持った作品であり、
原作ゲームのプレイヤーはもちろん、
ゲーム未プレイの読者の心をもガッチリ掴んでいたことと思います。

以下、そういう本作品の「漫画作品的」な強みを挙げて
本作品の魅力をみて行きます。


  ゲーム攻略にとらわれないボスの倒し方

『ロックマンX』のゲームは、8体のボスを倒し、
最終的にラスボス「シグマ」を倒すことが主な流れとなります。
その原作に沿った本作品は、必然的にボスとのバトルが
作品のメイン要素となります。

同時期に連載されていた無印『ロックマン』シリーズの
コミカライズ作品と比べるとよくわかるのですが、
当時のゲームのコミカライズ作品というのは
原作ゲーム攻略上に沿った展開にするのがセオリー
だったように思います。
すなわち、この『ロックマンX』については、
ボスの動きのパターンを見極めて攻撃を回避し、
弱点となる武器で攻撃するというのがセオリーとなります。
ただ、これではバトル漫画としてはやや展開が単調と
なってしまうのが難点です。



本作品ではそういった、「原作ゲームの攻略通りにする」といった縛りを
大胆に切り捨てています。

上記画像のスティング・カメリーオの本作品での倒し方は、
バスターで天井を破壊し、射しこんだ太陽光によって
変色機能を麻痺させ、フルチャージのバスターで一撃で
倒すというものでした。

アーマー・アルマージとの戦いでは、
熱センサーにより追尾して攻撃してくるアルマージへの
対処として、周囲に火の海をつくって身を投じ
体温を消し去ることで追尾から逃れました。

バーニン・ナウマンダーは、自身の身体が破壊されても
周囲のスクラップが同化して再生するという、
そもそも原作とはまるで設定の違うキャラとなっていました。
ここでは再生のためのコアを見極め、それを破壊することで
再生を止めていました。

こんな感じで、他のボスもゲーム攻略にとらわれない
戦い方でエックスは勝利をおさめます。
この演出方針はバトル漫画として高い水準で成立しており、
読者はエックスが知恵と勇気によって強敵を倒してゆく
ことにカタルシスを覚えることになります。

エックスは「B級」のイレギュラーハンターであり、
8体のボス達は「特A級」です。(原作でも同様)
本作品では、ボスたちとエックスの間に大きな実力差が
あるとした上で、
その実力差をエックスのもつ「知恵」と「勇気」と「潜在能力」
で埋めていく様が描かれています。


  原作には登場しない魅力的なサブキャラたち

本作品では、原作には登場しないサブキャラクターが
何人か登場し、ストーリー面を大きく補強しています。



エックスの旧友・マルスはアラスカの部隊に
配属されていましたが、アイシー・ペンギーゴによって
氷漬けにされていました。
彼の最後の力をふりしぼった勇気ある行動によって、
エックスは"誇り"を守り通すことの大切さを知ります。



マーティは南太平洋にてエックスと出会った
レスキュータイプのマーメイド型レプリロイドです。
この地域のボスであるランチャー・オクトパルドにだまされ
エックスを罠にはめますが、エックスの勇気に影響を受け、
オクトパルドに戦いを挑みます。
結果、ボディを粉々にくだかれてしまいますが、CPUは無事で
戦いがおわったらエックスにボディをつくってもらう
約束をします。
エックスに惚れており、続編『ロックマンX2』にも登場することから
なんとなく本作のヒロインに近い位置づけとなります。



ティルは、ゼロの過去に深く関係している
ハンタータイプの女性型レプリロイドです。
原作には一切ないゼロの過去に印象的に登場することもあり、
本作品のオリジナルキャラとしてはひときわ印象が深いです。


  ボスたちの濃いキャラ付け

先に述べた通り、『ロックマンX』の主な展開は8体のボスを
倒すことです。
原作ではこの8体に特にキャラ付けはなく、
単純に攻撃パターンがプレイヤーにとってのそのボスの印象でした。
ですが、本作品では8体にそれぞれキャラとしての個性があり、
それが結構な「濃さ」でもって成立しており、本作品の魅力となっています。

ここでは特に印象的なキャラ付けがなされた
アーマー・アルマージとストーム・イグリード
(原作ではイーグリード)を紹介してみます。


アーマー・アルマージは登場時かなり度肝を抜かれました。



まさかの「武士」キャラだったのです!
一人称が「それがし」で二人称が「貴殿」!!
そして、一対一の果たし合い!!!
日本刀による切腹(!)という壮絶な最期も
インパクト十分でした。
セリフも非常に武士武士しており、

「よいか?闘いというものは臆した者に必ず"負け"が
 おとずれるものなのだ!!!」

「捨て身の兵法…勝負運の強さ…それを持っている貴殿こそ…
 真の特A級なのであろうな!」

「確かにシグマの行為は残虐にして非道だ…
 だが…命令無視をしたそれがしの願いを聞き入れられる
 "侍(おとこ)"でもあるのだ!!」

「それがしは…最後に…"侍(おとこ)"として闘えた…
 十分満足…だ」

「涙を流すレプリロイドか…レプリロイドの夜明けかもしれんな」

原作のボス紹介文の「武人肌の堅物」という部分を
膨らませたのでしょうが、
このキャラ付けは非常におもしろく魅力的でした。




ストーム・イグリードはゼロの旧友というキャラ付けに
驚かされました。(しかも過去に結構な因縁あり)
公式に無い結構重めな設定を盛った感が当時は衝撃的で、
幼心に「え・・・これいいの?」とちょっとボンボン編集部を
心配したものでした。
よくカプコンからOKもらえたなぁ・・・

イグリードはストーリー上かなり重要な役割を果たし、
エックスのパワーアップに大きく貢献します。
イグリードとゼロが過去の因縁を払拭して
握手しようとするも、直後にイグリードが力尽きてしまう
場面は非常に感動的でした・・・。


そして、ここにも絶大なインパクトを誇る敵がひとり。



たとえば・・・
このグラスの中身がバーボンでも泥水でも・・・
俺達には大差ない・・・

俺達は闘うためのみに生まれた疑似生命体(レプリロイド)
だからな・・・

"儀"だの"野心"だの無意味なことだ・・・



なあ・・・
エックスよ・・・

うん、すっごいハードボイルド!
「VAVA(ヴァヴァ)」は8体のボスたちよりも1ランク上のボスで、
シグマとのラストバトルの前に闘う相手です。
これがご覧の通りのハードボイルドなセリフを連発する
COOLな感じがとてもイカしてました。

"ロックマン"の伝説をつぶすということにこだわっていて、
エックスを"ロックマン"の継承者であるとし、
エックスがその名に恥じぬくらいに成長したところで
存分に闘ってつぶしたいという、バトル漫画ではお約束の
戦闘狂的側面も併せ持っている点も見逃せません。



クールに決めてた彼も最後はこんな感じに
戦闘狂きわまってイカレちゃいました。
他のキャラと違い、表情がないヴァヴァですが、
それと言動のギャップが面白かったです。

「これだこれ!!まってたぜーっ伝説をブチ壊す瞬間をよーっ!」
「おめーは最高の得物だぜロックマァァァァン!!」

って能面みたいな表情でテンションマックスになってる様が
ちょっと滑稽な感じはしますが、これがヴァヴァの魅力かと。


  漫画版『ロックマンX』の真髄は"熱さ"にあり!

と、まぁこんな感じで漫画版『ロックマンX』の魅力を語ってきましたが、
この作品の最大の魅力はなんといっても"熱さ"にあると思います。



涙を流すことのできるレプリロイド・エックス。
彼が涙する場面は相当な力で描かれます。



正直、漫画版『ロックマンX』の連載が始まった当初、
あまりのエックスの顔の濃さに若干引いてしまいました。
「こんな顔が濃いのはロックマンじゃない」と
思っていた時期もありました・・・。

でも、作品を読んでいくうちに、こういった「泣き」の
演出の場面でのエックスの魂のこもった表情と叫びで
心を激しく打たれることが多くあり、
だんだんとこの顔の魅力に気が付いて行きました。



エックスの魂のこもった叫びに、表情に・・・
読者は熱を感じてうち震えます。

最後に、個人的にもっとも熱を感じてうち震えた演出を
紹介して、本記事を締めくくろうと思います。




シグマとの最後の闘い。
シグマの圧倒的な力を前にエックスはなすすべもありません。
とどめとばかりにエックスにむかって
シグマのビームサーバーが投擲されます。

自分に向かってくるビームサーバーを前に、
エックスの頭には走馬灯のように考えがめぐります。

 誇りを教えてもらった

 これは、自分の命とひきかえにアラスカを守ったマルスのことです。

 命をかけて勝負をいどまれた

 シグマの命令にさからってまで勝負を挑んできた
 アーマー・アルマージのことです。

 希望と呼ばれた

 ゼロはストーム・イグリードに、エックスは俺達の"希望だ"と言いました。

 また逢う約束をした

 闘いが終わったら、マーティにボディを造ってあげる約束をしました。



 平和な未来をつくると約束した!

 ヴァヴァとの闘いで命を落とそうとしているゼロに、
 エックスは"懐かしい未来"をつくると約束しました。

今、ここで死んだら・・
すべての友を裏切ってしまう事になります・・・



 いや・・・ダ・・・
 Mi・・んな・・ヲ
 裏・・ギRe ナ・・・・イ



壁のモニター機能が破損して一部が本来の姿に戻りました。
その様は、まるで死神がエックスを丸飲みしようとしている
ようにも見えます。
シグマはエックスの機能停止を完全に確認しましたが・・・



!!?

ここにきてエックスが涙を流している!!
覇者として生まれたシグマが初めて「恐怖」を
抱いた瞬間でした。

このあと、信じられない奇跡が起こります・・・!


この演出には心底痺れました・・・。

さてさて。
こんな感じで語ってきましたが、どうだったでしょうか
『ロックマンX』。
既読の方はまた読み返したくなり、
未読の方は読んでみたく思っていただければ幸いです。

ゲームのコミカライズ作品ということで、読者の幅が多少狭い
かもしれないこの作品ですが、元のゲームを知らなくても
十分に楽しめる魅力が、この作品にはあると思います。
『ロックマンX』以降、続編として『2』『3』『4』も
同じ岩本佳浩先生が描かれています。

ぼく自身、実は『2』までしか読んだことがなく、
この記事を書いているうちに続編が無性に読みたくなったので
『3』『4』を近いうちに入手して読んでみようと思っています。

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