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未回収伏線を探して〜【ジョジョ4部 リーゼントの少年】

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「伏線」とは、物語において後の重要なシーンのために、
そのシーンにちなんだ描写を布石のように前もって
読者に提示しておくことをいいます。

伏線を前提とした重要シーンにおいて、張っておいた伏線が
布石として効果的に機能することを、「伏線を回収する」と
いいます。

壮大な物語の中、複雑に張られた伏線が回収される瞬間は、
読者に何とも言えないカタルシスを与えてくれるものです。
一概には言えませんが、張られた伏線の数が多ければ多いほど、
最初の伏線から伏線が回収されるまでの期間が長ければ長いほど、
伏線回収の瞬間の感慨は深いと思われます。

 で す が 、

ときに物語は張られた伏線が回収されずに終了してしまうことがあります。
張った伏線を作者が忘れていたり、
忘れていなくても物語進行の都合上スルーされてしまったり…
まぁ、逆に伏線のつもりじゃなかったところが結果的に伏線になったり
することもありますがそれは稀でしょう。

今回の記事は、そんな感じにいろんな理由で未回収となった伏線を取り上げて
あれこれ考えてみるコーナーにしてみようと思います。

取り上げる未回収伏線は、『ジョジョの奇妙な冒険』第四部の
仗助の過去話に登場する「リーゼントの少年」についてです。
明らかに意味ありげな過去話であり、のちにこれが伏線として
生きてくる予感が十分にあったにもかかわらず、四部の終了までに
一切触れられず、まさかの完全スルーとなりました。

以下に詳しく書いてみます↓


  「リーゼントの少年」概要



時代錯誤のリーゼントヘアがトレードマークの東方仗助。
彼がその髪型にこだわり、それをけなされると烈火のごとくキレるのには
大きな理由がありました。

仗助は4歳の頃、突然原因不明の高熱に倒れ、生死の境をさまよった
ことがありました。



仗助の母親は大雪の夜、高熱でうなされる仗助を車に乗せて
病院へ急いでいましたが、車輪が雪にとられて一向に進まなく
なってしまいました。
そのとき、立ち往生する仗助の母親の車のもとに
学ランを着たリーゼントヘアの少年が現れました。
夜道が暗くて少年の顔はよく見えませんでしたが、
少年の顔には青アザや切り傷があり、今殴り合いをしてきた
とでもいうような風貌でした。



とっさに警戒した仗助の母親ですが、少年は車に高熱を出している
子どもが乗っていることを察すると、着ていた学ランを脱ぎ、
後輪の下へ敷いて車を押し始めたのです。



高熱にうなされながら、仗助は車を押す少年の
リーゼントヘアを見ていました。
4歳の仗助にとって、その少年はあこがれのヒーローとなりました。



どこの誰かはわからないその少年にあこがれ、
仗助は少年と同じ髪型であるリーゼントヘアにしているといいます。
だからこそ、仗助は髪型をけなされると、自分にとってのヒーローである
リーゼントの少年をけなされていると感じ、激しく怒るのだそうです。


…と、リーゼントの少年のエピソードはだいたいこんな感じです。
もう、これはあきらかに後の重要エピソードに生きる伏線だろうと、
このエピソードを読んだ読者の9割方は思ったんじゃないでしょうか。


  「リーゼントの少年」はどんな伏線か?

このエピソードを読んで、だいたいの読者がまず真っ先に思うのは

 「リーゼントの少年は仗助本人である」

ということでしょう。
似すぎです。仗助に。まぁ、回想シーンなので
「※映像はイメージです」ということなのかもしれませんが。
それにしたって、こうあからさまに容姿が似た人物が
物語に登場したら、読者は同一人物なのではないかと
考えてしまうのが自然です。
特に、この作品は『ジョジョの奇妙な冒険』です。
特殊能力「スタンド」を用いれば、時間を止めてしまうことも
可能なキャラがいるくらいです。

時間を遡って過去に戻ることのできるスタンド能力がこの先登場する

と思ってしまう読者がいても、それは仕方のないことでしょう。
すなわち、このリーゼントの少年は、敵のスタンド能力によって
過去に飛ばされた仗助だ、と。
ほとんどのジョジョ読者がそう思ったことだろうと推察します。
(少年が傷だらけというのも、敵と交戦中かもしくは交戦直後である
 様子を描いているようにも見えます)

よって、この「リーゼントの少年」というエピソード自体、
これから先描かれるであろう、「時間を遡る敵との交戦」という
重要なエピソードに向けての伏線なんじゃないか?
いや、きっとそうだろう。そうに違いない。
熱心なジョジョ読者はそう信じて疑わなかったでしょう。

先の第三部最大の敵であるDIOが、「時間を止めるスタンド能力」
だったので、今回の四部最大の敵は「時間を遡るスタンド能力」の
持ち主か?と、ここまで想起した読者もいたかもしれません。
実際、四部最大の敵「吉良吉影」は、物語終盤になって
「時間を遡る能力」を身につけます。
これには、「ついにあの伏線が回収されるときが来た!」と
興奮した読者もいたことでしょう。

 と こ ろ が 、

仗助が過去へ行くことなんて一切なく、吉良吉影との決着は
着いてしまったのでした。

伏線回収の瞬間を待ちわびていた読者は一斉にズコー!となったかもしれません。
そして、もちろんエンディングでもこの伏線は回収されることなく、
ジョジョの奇妙な冒険 第四部は物語の幕を閉じることとなります。


  「リーゼントの少年」は結局なんだったのか?

作者である荒木先生は、この少年が未来の仗助であることを
明確に否定しているようです。

まぁ、たしかに仗助の心の中にあこがれのヒーローが宿ったエピソード
としてだけみても物語上は成立しています。
それ以上の意味はないと言われても、理解はできます。
できますが…

どーしても、エピソードとしての違和感はぬぐいきれないというか。

ただの過去話にしては、描写が細かすぎるんですね。
少年の顔に青アザやら切り傷があったっていう描写があからさまに
交戦を想起させますし、ただ仗助の心のヒーローの話をするだけなら
そんなことわざわざ描写しなくてもいいはずです。
それに、このエピソードを語っているのが仗助から話を又聞きした康一くん
というところもクセモノです。
康一くんが語る前に
「この話は"今思い返してみれば"というぼくの推測が入っているからね」
とかいちいち断っているのにもひっかかりを覚えます。
これは極端な話ですが、仗助が「康一には話してなかったけど実はこういうこともあった」
とか言って、この過去話に続きがあった的展開に持って行くことも可能なわけですからね。
やっぱりどうしても、「伏線」としてしか読めないエピソードなのです。


このエピソードが週刊少年ジャンプに描かれてから、もう15年以上も経ちますが、
僕はいまだにこの伏線がいつか回収されることを信じています。

というのも、現在、荒木先生が連載しているジョジョの奇妙な冒険 第八部にあたる
『ジョジョリオン』が、四部と同じ「杜王町」を舞台としているのです。
パラレルワールドで四部の杜王町とは違う住人が住んでいるようですが、
第七部の敵で「パラレルワールド間を自由に行き来できるスタンド能力」が
登場しているので、第四部の杜王町を物語に登場させることは不可能ではないはずです。
これは、もう十数年越しにこの伏線が回収される瞬間を期待するしか
ないじゃないですか!

荒木先生は「リーゼントの少年=未来の仗助」説を否定しているので
伏線もクソもないじゃないかと思う方もいるかもしれませんが、
ちょっと待ってください。

ある偉大な先生がこう言っていました。

 おとはなウソつきではないのです。まちがいをするだけなのです。

つまり、大人な荒木先生がリーゼントの少年は未来の仗助ではないと否定したことを
間違いと認め、『ジョジョリオン』において間違いを正すために
この伏線を盛大に回収してくれることも十分に考えられるのです。

荒木先生!
自分、信じて待ってますから!!


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【フジリュー版・封神演義 原作読み比べ】ハンバーグのエピソード

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『封神演義』は中国の古典文学作品の一つです。

紀元前11世紀の中国の古代王朝「商(殷)」を舞台に
歴史上の有名人「太公望」を中心に描かれた物語です。
紀元前11世紀といえば、日本はまだ弥生時代にも入っていない
ほどの昔々のお話です。
日本人が狩猟したり土器つくったりしてる一方、中国では
貨幣経済の発達した立派な王朝が成立してたわけですね。

『封神演義』の成立した年代や作者については諸説あるようですが
すくなくとも「明」の時代(1368-1644年)には成立していたようです。
冒頭で封神演義を「文学作品」と書きましたが、その内容は
100人を超える仙道キャラたちが超兵器「宝貝(パオペエ)」を
駆使して超絶バトルを繰り広げるファンタジーな内容でした。
『封神演義』は、同じく中国の古典小説『三国志演義』『西遊記』『水滸伝』と
並ぶとされますが、他の三作品と比べてファンタジー要素が非常に強く、
そこを敬遠され、その三作品と並べるほどのものではないと
評価されることもあるようです。

でも、その痛快な内容が大衆には大人気だったようで。
要は、大昔のライトノベルだったわけですね。

その『封神演義』を翻訳し、日本に広く伝えたのが
今は亡き、安能 務 先生です。
1989年刊行の安能 務 訳版により、『封神演義』は日本に広く
知られるようになったといわれます。

そして、その安能 務 訳『封神演義』を見事に漫画化し、
週刊少年ジャンプで1996年から2000年にかけて連載されたのが
藤崎 竜先生です。

このフジリュー先生の漫画から『封神演義』を知った
当時の若者も多いはず。
僕ももちろんそのひとりです。

さてさて、このフジリュー版『封神演義』ですが、
安能版『封神演義』を原作としつつ、その原作の味を生かしたまま
非常にうまい具合に面白い漫画として描かれています。

前置きが長くなってしまいましたが、今回の記事は
安能版『封神演義』とフジリュー版『封神演義』を読み比べて
みようというのが主旨となります。

読み比べるエピソードは「ハンバーグ」のエピソード。
これだけ聞いただけでも、フジリュー版の熱心な読者は
すぐにピンと来るのではないでしょうか。
そう、あの話です・・・。


  安能版「ハンバーグ」のエピソード

このハンバーグのエピソード、内容が内容なだけに少年誌に
そのまま描くのはいささか弊害があるこのエピソードですが、
フジリュー先生のたくみな描き方によって、見事に漫画化することに
成功しています。

一体どんな内容だったのか。
まずは原作・安能版の内容から確認してみましょう。


 安能版『封神演義』 第一八回 「伯邑考が納貢して贖罪する」あらすじ

 西伯公・姫昌が紂王によって幽閉されてから七年の月日が経つ。
 姫昌の嫡男・伯邑考は紂王に宝物を納貢して父の許しを請うことにした。
 紂王と対面した伯邑考は、紂王が妖艶な后・妲己に惑わされていることを悟る。
 伯邑考は紂王のもとを訪れるべきではなかった。
 妲己の謀略によって伯邑考は紂王暗殺の容疑をかけられ、処刑されることとなる。
 その処刑法は残酷極まりないものであった。

 伯邑考は身体を切り刻まれ、その肉で「肉餅(ズーピン)」(※ハンバーグ)
 が作り上げられた。その肉餅は、幽閉されている父・姫昌のもとへ運ばれた。
 姫昌は肉餅の元が自らの息子であることを悟ったが、紂王の怒りを買うことを避け、
 その肉餅を感激の情を出しながら口に入れた。

 姫昌が自らの息子の肉餅を食したという知らせを聞いた妲己はえたりと笑った。


・・・うん。

倫理的にも映像的にもいろんなイミでNGなこのエピソード。
とてもじゃないですが、少年漫画誌に描けるようなお話ではないです。

まぁ、中国の昔話ではこういう食人系エピソードは
実はよく用いられるモチーフで、三国志演義にもこういう話はあります。
罪人の肉を切り刻んで塩漬けにするという刑罰も古代中国の王朝で
実際に行われていたことであり、中国的にはそれほど驚くべき話では
ないと思われますが、日本人にしてみればショッキングなお話です。

さて、このエピソード、フジリュー先生はどのように
コミカライズしたのでしょうか・・・?


  フジリュー版「ハンバーグ」のエピソード



この一話にて憐れ魂を散らしてしまう伯邑考、堂々の登場です。
とってもイケメン。

原作・安能版と同じく、西方の宝を持参して紂王に納貢します。
その宝物のうち、歌を歌う猿「白面猿猴」が妲己の正体に不穏なものを感じて
妲己に襲い掛かってしまうというのも原作通り。



さて、問題はここからです・・・。
ついに処刑される伯邑考。どうなる・・・!?



緊迫した引きゴマから打って変わって、次の場面ではコミカルな
クッキングショーが始まってしまいました!
なんだコレ・・・



どうやらハンバーグを作っているようです。
ふむふむ・・・



そして、姫昌のもとへ運ばれる妲己ちゃんお手製のハンバーグ。



その皿を見た姫昌は息子の名をつぶやき涙を流します。



その夜、姫伯邑考の魂魄が封神台へと飛びました。


・・・。
と、フジリュー版はこんな感じでした。
この話が掲載されたジャンプをリアルタイムで読んでいましたが、
当時中学生の僕は当然、原作の『封神演義』はまったく読んでおらず、
このエピソードの途中でいきなり妲己ちゃんのクッキングタイムに
なるのがまったくの意味不明でした。
この回のサブタイも「妲己・喜媚の3分クッキング」でしたからね。
なんのこっちゃと思いました。

ですが、そのあとの姫昌の涙。
そして、封神台へ飛ぶ伯邑考の魂魄。
これらが示すものとは・・・と考えに至ったとき、背筋がぞわっとしたのを
覚えています。

いやいや、これは。
意味がわかると、妲己と喜媚がコミカルに作っているハンバーグの
シーンがやたらと怖くみえるのが不思議です。
コミカルになればなるほど、その手でこねくりまわされている
「肉」に思いが至ってざわわとなるというかなんというか。

くだらないことをシリアスにやって笑いを誘う「シリアスな笑い」が
得意なフジリュー先生ですが、これはその真逆。
実は恐ろしいことをひたすらコミカルにやって、それがかえって恐ろしいという
言ってみれば、「コミカルなホラー」という感じでしょうか。

このエピソードにて、妲己の作ったハンバーグが伯邑考の肉であることは
明確にされません。
また、姫昌も妲己のハンバーグを食べた直接の描写はありません。
ですが、間接的な描写でそれが伯邑考の肉であること、姫昌がそれを食べたこと
を読者に連想させるような作りになっています。

なるほどー。こうやって出版コードを乗り切ったのか。
たしかに、素直に読めばただ妲己がハンバーグつくってるだけのお話ですからね。

普通に考えれば、このエピソードは漫画化する上では
まるまるカットするか、別のエピソードに差し替えてもよかったと思いますが、
フジリュー先生は果敢にも挑戦したのでしょう。
そして、完成したエピソードをみれば、出版コードにも抵触せずに
実に見事にこの恐ろしいハンバーグのエピソードを消化したものです。

フジリュー先生のそこにシビレます!

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【ダイ大・ロト紋読み比べ】作中の経過時間について【ダイ大編】

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週刊少年ジャンプに連載されていた『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』と
月刊少年ガンガンに連載されていた『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』は
どちらも、作品の題材が同じ「ドラゴンクエスト」であり、
連載されていた期間もほぼ同時期(ダイ大:1989-1996 ロト紋:1991-1997)
ということもあり、よく比較される作品です。

『ダイの大冒険』は、「ドラゴンクエスト」と名が付いているものの、
ゲームのドラクエ世界とは直接関係はなく、ドラクエシリーズの魔物や
アイテムや呪文が登場するということを除くと、非常にオリジナル要素の
濃い作品であるのに対して、

『ロトの紋章』は、ゲーム「ドラゴンクエスト3」の100年後という
世界設定であり、ゲームのドラクエと直接関わりがあります。

と、まぁそういった大きな違いがあるのですが、今回の読み比べ記事の
主旨としては、「作中の経過時間」に注目して読んでいきたいと思います。

週刊連載と月刊連載という違いはあれ、二作品の連載期間は、
ダイ大が7年、ロト紋が6年とほぼ同じ期間です。
にもかかわらず、この二作品の作中経過時間には大きな違いがあり、
ダイ大がわずか3カ月ほどの物語であるのに対し、
ロト紋は作中経過時間と現実の経過時間がほぼ一致しているのです。

同じドラクエ漫画で作中経過時間が、片や3カ月、片や6年というわけです。
これは大きな違いですよ!

では、以下より両作品の物語中で起こった主なイベントを書きだして行きます。
最後に列挙された両作品のイベント量を見比べて、それぞれの作中経過時間と
照らし合わせてギャップを楽しんでみましょう。

では、どうぞ

  ダイの大冒険イベントリスト

まずは『ダイの大冒険』から。
3カ月のカウントは、アバンVSハドラーのデルムリン島での対決が
終わり、ダイがデルムリン島から旅立つところから始まります。



メガンテで散ったアバン先生の意志を継ぎ、ダイは大魔王バーンを倒す旅に出ます!
あらためて読んでみると意外ですが、ダイはアバン先生から3日間しか
指導を受けてないんですね。
以前から弟子だったポップや、幼少の頃とっくに卒業したマァム、
少年の頃から憎しみを向けつつ、複雑な思いで師事したヒュンケルと
比べると、いささかアバン先生との関係が薄いような気もします。
でも、ダイにとってその3日間はとても素晴らしい時間であり、
ダイの心には何年分にも感じられたことでしょう。

さて、デルムリン島を出発したダイとポップはロモス王国へ向かいます。


 ★【魔の森、クロコダイン初戦】

 このときのポップの発言で、「この大陸についてから3日近くも森をグルグル回ってる」
 というものがあり、時間経過がうかがえます。
 そっから、マァムと出会ったりクロコダインと遭遇したり。
 マァムの村・ネイルで一泊したあと、ロモスへ向かいます。

 ★【ロモス王国、クロコダイン決戦】

 敵に見つからないようにわざと遠回りでロモスに向かった描写がありますが、
 夜になって王国へ着いているのでここは1日経過か。
 宿屋へ泊った翌朝、クロコダインのロモス襲撃があります。
 ここは1日で決着。ダイがクロコダインを撃破します。
 ここまででまだ一週間経っていません。

 ★【パプニカ王国、ヒュンケルとの初戦】

 ロモスからパプニカ王国へ船で向かいます。
 ダイ大の世界がどのくらいの広さなのかはわかりませんが、
 現実の世界地図でイメージして、アフリカからオーストラリアへ行く感じです。
 日数経過の描写がないので、この航海に日数がどれほどかかったかは不明ですが、
 のちの世界会議(サミット)のときにロモス王が5日でパプニカに着いてたので
 このときも5日でパプニカに着いたんじゃないでしょうか。
 ここで、ヒュンケルと初戦。ダイは敗退し、マァムが囚われます。
 (あと、クロコダインが5日ぶりに復活して速攻でヒュンケルにやられます)

 ★【地底魔城、ヒュンケルにリベンジ】

 ヒュンケル敗退から1日経過。ライデインの修行でさらに1日。
 で、ヒュンケルとの対決です。
 地底魔城は沈み、ヒュンケルは溶岩の中に消えました。
 ここまでで2週間足らずの時間経過かな。

 ★【バルジ島へ、フレイザード初戦】

 ヒュンケル戦と同じ日か1日経過後にパプニカ神殿跡へ。
 信号弾を打ち上げて、同日パプニカの気球船がバルジ島より来る。
 バルジ島にてフレイザード初戦。敗退し、マトリフの隠れ家へ…。

 ★【バルジ島、魔王軍総攻撃】

 マトリフの修行でまる1日経過。その日の夜にバルジ島再上陸。
 2日前に溶岩に沈んだヒュンケル復活、クロコダインも。
 魔王軍総攻撃をしのぎ、ついにフレイザードを倒しました!
 地底魔城のヒュンケル戦からわずか2、3日後の出来事でした。

 ★【パプニカ復興、マァムとの別れ】

 フレイザード打倒の夜、ヒュンケル・クロコダインは
 ギルドメイン山脈に向かいます。
 その間、バランがカール王国をわずか5日間で壊滅。
 その後、「パプニカ王国はしだいに復興しつつあった」とナレが入るので、
 ある程度の日数は経過した模様。
 その間、ポップはマトリフに本格的に師事。みるみるレベルアップする。
 マァムは武闘家を志すため、パーティを抜けることに。
 また、ギルドメイン山脈へ向かったヒュンケルたちが
 鬼岩城が移動していることを発見。
 ここまでを仮に1か月経過とします。

 ★【ベンガーナ王国へ】

 パプニカから気球船でベンガーナへ飛んでますが、
 日数どれくらいかかるものでしょうか。
 作中描写だと1日も経ってないような感じですが。
 その日のうちにキルバーンが放ったドラゴン襲撃。

 ★【テラン王国へ、バラン初戦】

 "竜の騎士"の秘密を求め、ベンガーナ隣国のテランへ。
 「馬車で向かった」という描写はありますが、何日かかったかは不明。
 1日、2日くらいだったのではないかと思います。
 同じころ、鬼岩城の足跡を追っていたヒュンケルがカール王国跡へ辿り着きます。 
 ダイがテランに着いたその日にバラン襲来。
 同時にクロコダインのおっさんも助太刀に参戦。
 しかし、あえなくダイの記憶はバランによって消去されてしまいます。

 ★【バラン再戦】

 バラン初戦から1日か2日経過。
 竜騎衆相手にポップが一人で足止めに入る。
 カール王国跡に行っていたヒュンケルもここに合流。
 その日のうちに竜騎衆全員死んだりポップがメガンテしたり。
 そして、ダイの記憶が2日くらいぶりに復活です。
 そのままバランとの決着を着け、一同激戦を勝ち残りました。

 ★【ハドラー・ザボエラ襲来】

 バラン戦から1日ほど経過。
 まともに動けない者が多数いる中、バランの竜の血を得て
 復活したポップだけが戦える状態。
 ここにザボエラの奸計が炸裂します。
 ザボエラが修行を終えたマァムに化けてポップの前に現れたのです。
 マァムが修行の旅に出てから一週間も経ってないのに
 ポップはあっさりだまされてしまいました。
 まぁ、結局その日のうちにダイとマトリフの加勢でハド・ザボコンビは撃退。
 ハドラーは肉体の超魔生物化をザボエラに強いるのでした。
 このあと、マトリフがカール王国跡から見つけ出してきた「アバンの書」を
 皆に披露して、各々が自分の道を模索し始めます。

 ★【それぞれの道を】

 「竜騎将バランとの死闘をくぐりぬけ、ハドラー・ザボエラの策略をも
  うちやぶったダイたち一行はレオナの母国パプニカへと戻っていた」
 というナレが入ります。ある程度の日数は経過しましたね。
 ダイ・ポップは、修行&竜の騎士が使える剣を探す。
 ヒュンケルはパプニカ付近で槍の修業を。
 レオナと三賢者たちは近々行われる"大きな事"のために世界中を奔走。
 クロコダインは…武器の修理とか。
 皆がやってることを考えれば、1か月半ほどは経過したのではないかと。
 というわけで、ここまでで、2か月半経過といったところでしょうか

 ★【再会、武闘家マァム】

 ロモスの武術大会で、ダイ・ポップは武闘家となったマァムと再会します。
 マァムが武闘家の修行に出てからすでに1か月半経過していました。
 1か月ほどで武神流の奥義をマスターしたマァムはかなりすごいですね。
 ブロキーナがマァムに対して、「普通の武術家が何年もかかる課題をわずか数日で
 クリアしてしまったからね」ということを言ってることもあり、
 マァムには武闘家の才能があったのでしょう。
 再会したその日に超魔生物ザムザを撃破しました。
 
 ★【世界会議(サミット)開催】

 レオナや三賢者たちが準備してた"大きな事"が世界会議(サミット)と判明。
 サミットは5日後だといいます。
 ルーラでパプニカへ。レオナや各国首脳陣にあいさつして
 メルルと合流し、さらにルーラでランカークス村へ。
 ロン・ベルクと会ったのち、オリハルコンを入手するためデルムリン島へ。
 覇者の冠からオリハルコンを得る許可を取りにパプニカへ。
 ここで、ちょうどロモス王がパプニカ港へ着いたという描写があるので
 5日間経過を確認できます。

 ★【鬼岩城襲撃!】

 ミストバーンの操る鬼岩城が移動要塞となってパプニカへ迫る!
 ダイの剣が完成するまでの間、ポップ・マァム・クロコダインらが
 鬼岩城の猛攻を耐える。そこへ修行を終えたヒュンケルが現れました!
 ヒュンケルの修行期間は5日ほど。
 その間、アバン流槍殺法の「地」と「海」の技をマスターしていました。
 ダイの剣完成、鬼岩城撃破。ミストバーン退却。ポップが追撃します。

 ★【超魔生物ハドラーあらわる】

 ミストバーンを追った先の死の大地で超魔生物ハドラーが現れます。
 最後にハドラーと会ったのは1か月半ほど前。
 その期間、ハドラーは肉体を超魔生物と化してパワーアップしていたのでした。
 ダイがハドラーに敗北して北方の海に消えます。
 ポップは勇気ある撤退を選ぶのでした。

 ★【ダイ捜索】

 北海の地にて、ポップ・クロコダイン・チウによるダイ捜索。
 捜索はその日のうちに完了。
 ダイを連れてパプニカへ帰還。身体を癒すために何日か経過したと思われます。

 ★【VSハドラー親衛騎団】

 5日後に勇者ダイをはじめとする世界の強者たちが
 死の大地へ乗り込むことが決定しました。
 その5日間でアバンの使徒たちは出来得る限りの修行を行います。
 (ポップのメドローアもこの期間で習得)
 そして、5日後、カール王国の漁港サババにてハドラー親衛騎団と対決します。
 勝負は痛み分け。その日のうちにバランと再会。
 ヒュンケルの勇気ある行動によってバランの協力を得ることができました。

 ★【バーンパレス突入!】

 バランの協力を得た翌日、ダイとバランの父子は死の大地海底の
 バーンパレスの門へと向かいます。
 門を抜けた先で超魔生物ハドラーとの再戦。
 ハドラーの肉体に仕込まれていた黒の核晶によってバランが生命を落とします。
 そして、ついに大魔王バーンがダイたちの前に姿をあらわします。
 大魔王の圧倒的強さを前にダイたちは敗退。
 ヒュンケル、クロコダインは捕まり、ダイはマザードラゴンに連れて行かれ、
 ポップとマァムはかろうじて逃走するものの、北海を漂流することになります。
 すべて1日のうちの出来ごとでした…。

 ★【世界崩壊への序曲】

 4日間、北海を漂流していたポップとマァムは
 人間たちが最後の砦を構える地へとたどり着きます。
 その後、1日ほど休息をとってようやく落ち着きました。
 その5日間で世界は大魔王の空中要塞からの攻撃にさらされていました。
 5日目の晩、マザードラゴンがテランにあらわれダイを地上へ返します。
 しかし、その晩のうちにダイは竜の騎士の使命から逃げ出してしまいます。
 でも、そこはやっぱり勇者。親友・ポップの暖かい言葉もあり、
 すぐに自らの使命に目覚め、再び戦いの場へと戻ってくるのでした。
 同じころ、大魔王バーンより、裏切り者・ヒュンケル、クロコダインの処刑を
 2日後に行うと通告がありました。
 ダイたちは2日後のヒュンケル・クロコダイン救出にむけて準備を始めます。
 (この2日のうち1日を使ってレオナがミナカトールを習得します)

 ★【最終決戦!】

 さて、これまででようやくダイの旅立ちから3か月あまりが経過しました。
 ヒュンケル、クロコダインの処刑の日、ついに人間たちは大魔王へ反撃に出ます。
 ミナカトールでバーンパレスの動きを止め、パレスに突入。
 ハドラー&親衛騎団との再々戦を経て、勇者アバンが奇跡の復活を果たし、
 キルバーン・ミストバーンら最後の強敵とも戦います。
 そして、ついに大魔王バーンとの再戦に臨むことができたのでした。
 勇者ダイと大魔王バーンの激闘の末、大魔王バーンは散り、勇者ダイは行方不明となりました。
 すべて、たった1日の出来ごとでした・・・。


  ダイの大冒険編 まとめ

いや〜、密度の濃い3か月間でしたね。
この3か月のあいだにみんな劇的に成長しすぎです。



とくにポップ君なんかは臆病者の鼻タレ小僧だったのに
3か月で魔界の神に堂々と啖呵が切れるようになったのはすさまじい飛躍ですね。



ダイも3か月前にあったポップに対して「昔から」と
実際の年月を感じさせないほどに深い絆を感じさせています。
まさに、男子三日会わざれば括目して見よ!
クロコダインのおっさんも上手いこと言ったもんです。

ロト紋との年月の比較はこのあと後編で詳しく検証しますが、
まずはダイ大単体でみて、どうしてこれほど短い月日の物語になったのかを
解釈するには、「世界が大きさ」という点に注目してみると
なにかが見えてくる気がします。



これが、ダイの大冒険の世界地図です。
イベントリストをながめていて気になったのが、移動が短い時間でされている
という点です。
たとえば、ロモス⇒パプニカ間がたった5日で航行できることからみても
この世界地図を地球規模の広さと考えると不自然を覚えます。
基本、徒歩のはずのヒュンケルがカール王国の最北端から、
ポップが竜騎衆を足止めしているテランまで1日ほどでたどり着いてるの
にも注目です。どんだけダッシュしたの。

で、この地図を見るとあれなんですよね。
大陸のかたちとか、よくみると日本列島なんですねこれ。

ロモス(ラインリバー大陸)が九州で、
カール・ベンガーナ・リンガイア(ギルドメイン大陸)が本州、
パプニカ(ホルキア大陸)が四国で、
オーザム(マルノーラ大陸)が北海道

なわけですよ。
ひとつの仮説なのですが、これら大陸の大きさも実際の日本列島くらいなのでは。
だから、移動時間とかも短期間なんじゃないかと。

と、ここらでダイ大編の考察を終わります。
次回はロト紋の作中経過時間を検証して、ダイ大と比較してみようと思います。

というわけで、次回へ続きます。


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【ダイ大・ロト紋読み比べ】作中の経過時間について【ロト紋編】

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前回の続き


『ダイの大冒険』の作中経過時間が3か月程度しか経っていないのに対し、
『ロトの紋章』は連載期間と作中経過時間がほぼ同じため、
約6年もの時間が経過しています。

ダイの大冒険と同様、ロトの紋章のイベントリストも起こしてみました。
以下、イベントを追いながらロト紋の作中経過時間を確認してみましょう


  ロトの紋章イベントリスト



6年のカウントは勇者アルスが仙人の隠れ郷から旅立つところから始まります。
カーメン王国を襲った悲劇から逃れた0歳のアルスは
騎士団長の娘・ルナフレアや、カーメンの神官・タルキンと共に
バハラタにある仙人の隠れ里に落ち延び、10年を過ごします。

しかし、ついに仙人の隠れ郷が大魔王・異魔神(イマジン)を
首領とする魔王軍に発見されてしまいます。
もはや郷にとどまってはいられない!
アルスの長い旅がこれより始まります!


 ★【大賢者ガダルの修行】

 砂漠を移動中のアルス一行は、かつてゾーマを倒した
 勇者アレル(ロト)の仲間であった大賢者ガダルと出会います。
 一行の目的地はカーメン王国(バラモス城)なので、
 おそらくこの砂漠はイシス付近の砂漠であると思われます。
 ギランのセリフでイシスの砂漠からアッサラームまで砂船で3日
 というものがあるので、その距離と日数を考えると、
 バハラタの仙人の隠れ郷を出発してからイシス付近の砂漠まで
 徒歩+砂船で1か月ほどかかると思われます。
 なので、ここまでを仮にスタートから1か月とします。

 この砂漠で一行は大賢者ガダルと出会い、アルスとその友人・キラは
 ガダルの修行を受けることになります。
 その修行に3か月もの月日を要します。

 ここまでで4か月の経過で、なんといきなりダイ大超えとなりました。


 ★【剣王サーバインと魔剣ネクロス】

 3か月の修行を経たアルスとキラは、ルナフレア・タルキン・ギラン・タオの
 迎えを受け、ガダルに言われたとおりアッサラームの街へと向かいます。
 アッサラームまでは3日の道のりです。
 そのアッサラームにて、アルスは聖戦士のひとり「拳王ヤオ」と出会います。
 同日、魔剣ネクロスに操られた「剣王サーバイン」の襲撃があり、これを撃退。
 サーバインの弟と判明したキラが剣王の称号を受け継ぎます。

 翌日、魔剣ネクロスによる傷を受けたルナフレアが死亡。
 また、魔王軍によってノアニールが陥落します。
 同じ頃、竜王の軍団によるラダトーム侵攻が始まります。

 ルナフレアの葬儀や、同じくネクロスの傷を受けたギランの治療などのため
 アルスたちはしばらくアッサラームに滞在していたはずです。
 仮にその滞在期間を2か月としましょう。
 そののち、剣王の称号を継いだキラは剣王の里を見に行くため、
 アルスらと別れることになり、
 アルスは、ヤオ・タルキンとともにカーメン王国を目指します。


 ★【星降る腕輪】

 獣車で砂漠を駆けるアルスたちはガダルの蜃気楼の塔があった場所に
 戻ってきました。アッサラームからなので3日ほど経過でしょう。
 蜃気楼の塔はすでに消えていて、代わりにオアシスがその場所にありました。
 オアシスのドワーフから、ヤオが星降る腕輪をもらいます。


 ★【帰郷、甦った魔王バラモス】

 オアシスを後にしたアルスたちは、アルスの故郷・カーメン城を目指します。
 カーメン城は100年前にバラモス城と呼ばれていた場所で、
 イシスの南、岩山にかこまれた山城です。
 ドラクエ3の時代はイシス経由ルートでは行けない場所でしたが、
 100年経って道も整備されたのかもしれません。
 アッサラームからの距離を考えると、3か月はかかる
 道のりかと思われます。
 カーメン城に着いたその夜、冥王ゴルゴナによって復活させられた
 魔王バラモスの襲撃があります。
 必死の思いでこれを撃退したときには夜が明けていました。


 ★【テドンの村の遊び人】

 バラモスゾンビを撃退した翌日、アルスたちは
 テドンの村へと向かいます。
 テドンはドラクエ3の時代にはバラモスに滅ぼされた村でしたが、
 ロト紋の時代には造船のさかんな村へと生まれ変わっていました。
 ネクロゴンドの洞窟を経由してテドンへ向かう途中、アルスたちは
 遊び人ポロンと出会い、テドンの村へと案内してもらいます。
 テドンの村で三人目のケンオウ、「賢王ノロップ」の手掛かりを得ますが、
 ノロップはすでに亡くなっていました。
 その夜、アルスの夢に大賢者ガダルが現れ、
 アリアハンへと向かうように言われます。

 アリアハンへ行くための船の建造が始まります。
 ここで「またたくまに数週間がすぎた…」とナレが
 入りますが、ここは3か月以上時間が経過していないとあとの展開に
 無理が生じてしまうので、3か月経過とします!(強引だ

 ここまでで、冒険開始から1年ほどが経過したことになります。


 ★【アリアハンへの航路】

 帆船「ルナフレア号」に乗り、アルスたちは一路アリアハンへと向かいます。
 テドンからアリアハンまで、「貿易風をつかまえれば2か月」という
 タルキンのセリフがありますが、タルキンが航海に素人そうなところと
 うまく貿易風がつかまらなかったかもということも加味して、
 ここは3か月経過としましょう。
 航路の途中、魔王軍にアメーバ化された海王リバイアサンとの交戦がありますしね。
 同じころ、アッサラームでアルスと別れたキラは剣王の里を発見し、幻魔剣を身につけます。


 ★【賢王ポロン】

 アリアハンに着いたアルスたちはルイーダの酒場を訪れます。
 同日、アリアハンの子どもたちと町の外に出ていたポロンが
 ゴールドオークに遭遇。
 絶体絶命のピンチに、自らが持つ「賢王」の力を覚醒させました。
 賢王ノロップは、ポロンのことだったのでした。
 すべてを思い出し、賢王として覚醒したポロンはあらためて
 アルスたちの仲間となるのでした。


 ★【獣王グノン出撃】

 アルスたちがアリアハンに到着してから1か月ほどが経過しました。
 魔王軍幹部たちの会話から、ラダトーム侵攻開始から1年以上が経った
 ことがわかります。難攻不落のラダトーム城!
 さて、ここで獣王グノンの出撃となります。
 地下世界を含む全世界から魔物を集め、10万頭の軍団を編成し、
 アリアハンに進撃します。
 軍団の編成とアリアハンへの行軍に2か月くらいを見ておきますか。
 

 ★【アリアハン平原の戦い】

 獣王グノンの10万の軍団がアリアハンを取り囲み、アルスを差し出すよう
 国王に要求します。
 アリアハンの人々にあぶりだされたアルスはたった一人で10万の軍勢に
 立ち向かうのでした。
 夕方から始まった戦闘は深夜まで続きます。
 ヤオ、タルキン、ポロンはアルスに加勢。さらに、かつて
 アッサラームで別れた「剣王キラ」も親友アルスの危機にかけつけます。
 アルスとキラ、実に10か月ぶりの再会となりました。
 そして、ここに初めて「剣王」「拳王」「賢王」の三ケンオウが揃うのでした。

 夜明け。魔法力も体力も尽き果てたアルスたち。そんな中、タルキンが
 自己犠牲呪文・メガンテによって生命を散らせます。
 これにより、グノンの10万の軍勢はほぼ壊滅しました。
 怒り狂ったグノンは真の姿に変身してアルスたちに立ちはだかりますが、
 勇気を取り戻したアリアハンの人々の力を借りたミナデインによって
 長い戦いに決着が着きました。

 翌日、タルキンらの葬儀の途中、ラダトームが陥落したとの知らせが入ります。
 侵攻から1年以上も持ちこたえた堅城ラダトームは魔王軍の手に落ち、
 地下世界アレフガルドは完全に魔王軍に制圧されてしまいました。


 ★【魔人王・ジャガン襲来】

 獣王グノン戦からある程度の日数が経過します。
 ここで注目すべきはヤオです。
 この時点からヤオがものすごく女っぽくなっているのです。
 今までのおてんば武道家のイメージがここからがらりと変わります。

 
 これがグノン戦でのヤオちゃん

 
 で、これが魔人王編でのヤオちゃんです。変わってる!

 この色気は一朝一夕で出るものではない!
 それと、ルイーダの酒場にタルキンとアルスたちの絵が飾られます。
 この絵がタルキンの一周忌に飾られたと解釈して、1年経過とみなします!
 そして、新章開幕です。

 アルスたちの滞在するアリアハンに、ロトの子孫でありながら
 呪われた名を与えられ、魔王軍に所属する魔人王・ジャガンが現れます。
 ジャガンは剣術でも呪文でも装備でも、アルスを圧倒します。
 そして、アルスは魔人王のとどめの一撃を受け、絶命してしまうのでした…


 ★【世界樹の葉を求めて】

 死んでしまったアルスを復活させるため、仲間たちは世界樹の葉を求めます。
 そこへ大賢者ガダルの蜃気楼の塔が現れ、仲間たちを世界樹へと導きます。
 世界樹は枯れ果て、葉の一枚もありませんでしたが、妖精ティーエの
 涙が奇跡を呼び、一枚だけ葉を入手することができました。

 勇者アルスはふたたび立ち上がり、魔王軍へと挑む勇気を
 取り戻しました。


 ★【修行の日々】

 ジャガンに打ち勝つために、アルスたちは「王者の剣」を求めます。
 王者の剣はジパングの刀鍛冶によって造られた剣でした。
 よって、次のアルスたちの目的地は王者の剣を入手するため
 黄金の国・ジパングとなりました。
 しかし、アルスはジャガンに敗北したのは装備のせいではないとして、
 蜃気楼の塔での再修業を申し出ます。

 その期間ですが、アルスの
 「たった3か月の修行で覚えた呪文やカーメン流の剣術じゃ魔人王ジャガンには勝てない」
 というセリフから察すると、3か月以上の修行・・・
 すくなくとも、1年間は修行したのではないでしょうか。

 ここまでで、冒険開始から3年半の月日が流れています。


 ★【黄金の国・ジパング】

 修行を終えたアルス・キラ・ヤオ・ポロンは王者の剣を求め、
 アリアハンを出港します。ジパングまでの航路は、テドン⇒アリアハン間を
 3か月で航海した実績から、およそ2か月ほどの航海と思われます。
 航海に素人そうな4人ですが、賢王ポロンの知識にかかれば
 航海など造作もないことでしょう。

 さて、ジパングに着いて早々、悪臣オモカネの罠にはまり、
 アルスたちはヤマタノオロチの封印を解いてしまいます。
 このヤマタノオロチの体内にはオリハルコンが飲み込まれており、
 その再生能力によって何度でもよみがえる魔神と化していました。
 しかし、ティーエのタイターンの針によって、オリハルコンを
 オロチの体外に出すことに成功。
 オリハルコンを入手し、オロチを倒すことに成功しました。
 この日、ジパングの人々はオロチが倒されたことを喜び、
 夜通し踊り明かしました。

 その夜、アルスが生きていると知った魔人王ジャガンの襲撃があります。
 1年以上も前に苦い敗北を喫した相手ですが、今度は後れを取る
 ことはありませんでした。
 ジャガンと交戦中、三人目のロトの子孫であるアレフガルドの勇者アステア
 の乱入があります。
 ロトの子孫三人が初めて邂逅し、勇者ロトからのメッセージが開示されます。
 ロトの子孫三人が揃って初めて使える超魔法「オメガルーラ」。
 それが、異魔神打倒の鍵である、と。


 ★【それぞれの想いを胸に】

 ジャガン襲撃の翌日、アルス一行はオリハルコンを精錬するため、
 「エッゾ」の地にある「摩州湖」を目指すべく出航準備をしていました。
 そんな中、アレフガルドの勇者アステアは、異魔神の肉体が封じられた
 闇のオーブを安置する聖域を探していました。

 アルスはアステアに協力し、アステアと共にレイアムランドへ向かいます。
 レイアムランドはかなり遠いですが、一旦アリアハンまでルーラで飛び、
 レイアムランドへ行ったことがあり、ルーラが使える人を探して
 一気にレイアムランドへ飛ぶことができました。
 レイアムランドを1日ほど探索し、
 かつてラーミアの卵を守っていた双子に会うことができました。
 以後、闇のオーブはレイアムランドに安置されることとなります。
 (1年半後にジャガンに持ち出されますが)

 同じころ、ジパングではアルス以外のメンバーがエッゾに向けて
 ルナフレア号で出航します。
 ヤオが「なんだか久しぶりに見る気がするわ…ルナフレア号」とか発言してますが、
 作中経過時間からするとジパング到着から2日しか経ってないので、
 全然久しぶりではないのですが、リアル連載期間でジパング編が
 始まってから9か月ほど経っているので、そういうメタ演出でしょう。


 ★【エッゾの地】

 アルスを除くメンバーがエッゾの摩州湖を目指して出発し、
 アルスもそれを時間差で追います。

 知っての通り、ドラクエ3のジパングは日本列島の形をした島です。
 ゲーム内のジパングの町のアイコンは、現実の地図で言うと
 「岡山」か「兵庫」あたりに位置しています。
 エッゾは「北海道」、摩州湖は「摩周湖」と思われますので、
 関西から北海道へ船を出し、上陸してから陸路摩周湖を目指したとして
 数週間というところでしょうか。
 
 摩州湖では錬金術師・イズナとアルスによって王者の剣が生み出されます。
 また、アルスたちを追撃してきた冥王ゴルゴナとの交戦があり、
 そこへ、かつてアルスが仙人の郷でお世話になったタオ導師が現れます。
 アルス・キラにとっては3年ぶりの再会となりました。

 タオと再会してから、冥王ゴルゴナをわりとあっさり倒します。
 これにてジパング編堂々の完結となりました。


 ★【空白の時間帯】

 ジパング編が終了したわけですが、その次の回の話は
 ラスボス・異魔神(イマジン)の秘密を導師タオが語るというものでした。
 アルスたちはルナフレア号でどこかへ向かっているようですが、
 ジパング編が終わってから次の目的地がはっきり示されなかったので
 アルスたちがどこへ向かっているかはわかりません。

 注目すべきはアルスたちの見た目に明らかな変化があることです。

 

 こんな感じ。あきらかに4人とも成長してます。
 そして、年齢!
 アルス[15]となってます。作中経過時間がこの時点で5年以上に達したということです。
 うーん、ジパング編終了で物語解釈的にはどうがんばっても、
 3年8、9カ月くらいしか経過してないはずですが・・・。

 ここは、語られなかった空白の1年半〜2年くらいの冒険がこの間あったと思いたいです。
 ジパング編終了時に次の目的地が明確にされなかったのも気になりますしね。
 そういうことにしときましょう!(強引だ


 ★【ローラン城の決戦】

 アルスたちは魔王軍の本拠地・ローラン城(竜の女王の城)を目指して
 オリビア海峡へと差し掛かります。
 ローラン城はドラクエ3の時代は不死鳥ラーミアでしか行けない山城でしたが、
 それはロト紋の時代でも変わらずです。
 ここは、賢王ポロンがバギクロス×ドラゴラムの合体魔法で
 風の竜に変化して上空から堂々と侵入します。

 ローラン城では、竜王との交戦、魔人王ジャガンの勇者アランとしての覚醒、
 大魔王・異魔神の復活とさまざまなイベントがあります。
 また、同じ頃、アレフガルドでは勇者アステアがラダトームを奪還します。


 ★【異魔神復活】

 ローラン城にて復活した異魔神はデタラメな強さを発揮します。
 "思い知るがよい…この世には次元の違う力が存在することを…"
 という言葉のとおり、大陸規模でダメージを与える「りゅうせい」の
 魔法は人間たちのド肝を抜くには十分でした。

 あまりの異魔神の強さに三ケンオウは戦意を消失します。
 それを見たアルスはパーティの解散を提案。
 「君たちはもう十分に戦った…残された時間の中でせめて幸せな時を過ごしてほしい」
 と言い残し、勇者アラン、導師タオとともにローラン城を去った異魔神を追います。


 ★【残された日々】

 ローラン城から西に向かった異魔神はロマリアを襲います。
 ズシーンズシーンと徒歩で移動してますが、海とか山とかも
 平気で踏み越えていくので直線距離換算で1か月くらいで
 ロマリアにたどり着いてるんじゃないでしょうか。
 たどり着いてから滅ぼすまでは非常にスピーディで、わずか1日で
 ロマリアは壊滅します。デタラメな強さ!

 アルスたちは船で異魔神を追いますが、地形を無視して移動する異魔神に
 追いつくのはかなり難儀でしょう。
 異魔神は、ローラン→ロマリア→ポルトガと移動します。
 ドラクエ3では竜の女王の城から船でポルトガに行くには外洋からぐるっと
 まわらないといけませんが、この漫画では外洋へ出ずにそのまま直進して
 いるようです。浅瀬とかどうしたんでしょうかね。

 ともあれ、アルスたちはポルトガで異魔神に追いつきます。
 ローランからポルトガ。2か月くらいの航海でしょうか。

 その間、アルスと別れたケンオウたちはそれぞれの時間を過ごします。
 ポロンはジパングで知り合った女の子・サクヤを連れてテドンの実家へ。
 キラ・ヤオは拳王の里で結婚し、新婚生活を送ります。

 また、同じ頃ジパングのメンツがどこから調達してきたのか、
 ムー文明の遺産である飛空艇を用意してローラン城へと向かっています。
 この飛空艇、世界中どこでも2時間あれば行けるという
 ジェット機も真っ青なオーバーテクノロジー・マシーンでした。
 ジパング勢はローラン城あとに到着。ちょうどアレフガルドから来ていた
 アステアと合流し、ポルトガへ向かいます。

 ポルトガ近海にて、アステアを回収したジパング勢の飛空艇が
 アルス、アランと異魔神に追いつきます。
 ここに、アルス・アラン・アステアのロトの子孫が3人揃いました!
 3人は大魔法・オメガルーラを発動し、異魔神の魂を遥か宇宙空間へ
 飛ばしました。
 異魔神の肉体は再び闇のオーブに封印され、
 地上に平和が戻ったかのように見えました…


 ★【最終決戦】

 オメガルーラで宇宙の果てに飛ばされたはずの異魔神でしたが、
 なんと異魔神はオメガルーラ発動の瞬間、自らの魂を勇者アランの
 肉体へ移していました。
 異魔神はアランを操り、海底の聖域に安置された闇のオーブを
 奪いに行きます。
 
 アルスとアステアもすぐにルーラで追います。
 一方、世界樹にあらわれた精霊ルビスによって導師タオは
 異魔神の真の目的を知ります。
 異魔神の目的は、自らが死者の魂で作った「幻の月」と
 世界樹の「聖核」を共鳴させることによって世界を崩壊へ
 導くことでした。
 精霊ルビスはそれを防ぐため、世界樹を破壊するようにタオに言います。
 そして、タオはその言葉を受けて世界樹を破壊するのでした。

 やがて闇のオーブで肉体を取り戻した異魔神は世界樹へ戻ってきます。
 そこが最終決戦の地となる!
 精霊ルビスは崩壊した世界樹上空にロトの紋章を映し、
 世界中の戦士たちにこの地に集うように呼びかけます。

 続々とやって来た戦士たちの中には、異魔神の姿を見て
 戦意を喪失したはずの三ケンオウの姿もありました。
 世界樹跡地にて、異魔神VS世界中の戦士たちの戦いが始まります。

 異魔神は確かに圧倒的な強さを誇りました。
 しかし、世界中の人々の魔法力を借りたアルスのミナデインによって
 最後は完全に撃ち滅ぼされるに至りました・・・。
 ここに、勇者アルスの長い冒険の旅は終わったのです!


 ★【総括〜アルスの旅の軌跡】

文字だけでべらべら語られてもわかりにくいと思うので
地図をみながらアルスの旅路を振り返りましょう。



攻略サイト「ドラクエなんでも探偵団!」さんからお借りしたドラクエ3のマップです。
有名な話ですが、DQ3の世界地図は現実の世界地図に酷似しています。
(アリアハン大陸だけが現実の地図にない大陸ですが)

さて、アルスの旅の始まりはバハラタからです。

 まずは、バハラタから1か月かけてイシスの砂漠まで。
 イシスの砂漠の蜃気楼の塔で3か月の修行
 アッサラームで2か月滞在
 カーメン城(バラモス城)まで3か月かけて移動
 テドンの村で造船に3か月
 テドン→アリアハンの航路で3か月
 アリアハンに3か月滞在したところで獣王グノン戦
 獣王グノン戦から1年経過
 ジャガンに敗北後、1年修行
 アリアハン→ジパングの航路で2か月
 ジパング→レイアムランドはルーラなので一瞬
 レイアムランド→ジパング→エッゾで数週間
 ジパングから1年半〜2年ほど空白の行動
 空白行動の後、ローラン城(竜の女王の城)へ
 ローラン城→ロマリア→ポルトガへ西進した異魔神を追って2か月程度の航海
 ポルトガ近海で異魔神にオメガルーラをかます
 飛空艇で世界樹へ行き、そこで最終決戦

まとめると、こんな感じですね。
6年足らず、5年と数カ月の大冒険でした。
(キラが最後の方で「仙人の郷を後にしてもう5年…」
 と回想しているので、まる6年には達していないと思われます)

ダイの大冒険との最大の違いはなんといっても、移動時間の長さ
に尽きると思います。
ロト紋世界では徒歩・航海に数か月は当たり前。
日単位で国から国へ移動していたダイ大がウソのようです。
これは、そのまま双方の作品の世界の大きさに通じるのではないでしょうか。
ダイ大の作中経過時間考察時に、ダイ大の世界は現実の日本列島と同じくらいの広さ
という仮説を立てましたが、その仮説を生かしたうえで、
ロト紋の世界(引いてはドラクエ3の世界)は現実の世界地図と同じ広さ
という仮説を立ててみようと思います!

つまりは、ダイ大の世界で起きていたことは、
ロト紋世界ではジパング程度の規模の広さで起きていたことになる
のです。
こ、この解釈は地図を見ながら想像すると恐ろしいギャップが…

あとは、修行時間の長さも特筆に値します。
ロト紋が3か月とか1年かけて修行しているなか、
ダイ大では3日とか5日とかですからね。マァムの転職修行ですら1か月という…
これは、ダイ大が連載されていた雑誌が「週刊少年ジャンプ」というのも
関係があるかもです。
当時のジャンプバトル漫画の短期間パワーアップはほとんど風物詩でしたからね。
それに比べるとロト紋の修行は地に足が着いてる感じがします。
バトル漫画といえば、ダイの大冒険の方は戦闘シーンを重視して描かれている
のに対して、ロト紋は旅・冒険のシーンも戦闘と同等に描かれている
とも言えます。

以上、こんな感じでダイ大とロト紋を作中の経過時間の観点から
読み比べてみました。
正直、結論もみえないままこういう内容の記事を思い付き、
手探りで解釈・考察してみましたが、まさかこういう方向に行くとは
思ってもみませんでした。
ダイ大の世界が(相対的にみると)小さかったとは・・・。

読み比べの過程で、作中経過時間の観点以外でいろいろと
面白い比較も出てきましたが、とりあえず今回は作中経過時間に
特化して書いてみました。
それ以外の観点での読み比べは、機会があればまた。

とりあえず疲れました・・・。

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【るろうに剣心-キネマ版-】を読む〜4度目の浪漫譚のはじまり〜

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先日発売された「ジャンプSQ」6月号にて
『るろうに剣心-キネマ版-』の連載が始まりました。

今回はこのキネマ版の内容にガッツリ踏み込んだ記事と
なりますので、未読の方はご注意ねがいます。

キネマ版既読か、ネタバレ蝶OKな人のみ以下をお読みください


  キネマ版の概要

るろうに剣心の新シリーズの連載がSQにて始まるという情報が
流れた当初は、その内容は本編のアフターストーリーになるのでは
という印象が強かったと思います。

実際、るろうに剣心本編は人誅編のあとに「北海道編」なる
ストーリーが予定されていたらしいので、今回SQで連載される
新シリーズはもしかしてこの幻の北海道編なのでは?
という想像に行き着くのは至極当然の流れです。

でも、実際の新シリーズの内容は『キネマ版』ということで
8月に公開される実写映画版るろ剣にあわせた
本編のリメイク版のような内容となっていました。

キネマ版第一話は、「幕末の京都に人斬り抜刀斎という志士がいた」
という回想から始まり、時は流れて明治十一年、浪漫譚は始まる―
という、『無印版』第一話と同じ導入となっていました。

そこから先はキネマ版独自の展開をみせるのですが、
なつかしのキャラたちが本編とは異なった役割で登場し、
これはこれで非常に面白かったです。

そこで、今回はこの『キネマ版』第一話と『無印版』第一話を
読み比べてみようと思います。
また、無印版連載開始前の『読み切り版』も二編存在してます。
言ってみれば、明治剣客浪漫譚はキネマ版もあわせて4回も始まったということになりますね。
この『読み切り版1』『読み切り版2』もあわせて比較してみようと思います。
では、どうぞー


  読み比べ〜「導入部分」



ご覧の場面は『無印版』の導入場面です。

 かつて「幕末」に「人斬り抜刀斎」という志士がいた。
 修羅さながらに人を斬ったその男は「伝説」となり、
 やがて動乱の時代の終わりとともに姿を消した。
 そして、浪漫譚の始まりは明治十一年、東京の下町から・・・

という内容でした。

漫画作品において、一番最初の場面は物語の内容や印象を
読者に提示する重要な場面となります。

『るろうに剣心』最大のテーマである

 幕末の動乱期の伝説の人斬りが明治の世を生きる

という内容が、この最初の1ページ目で提示されています。
この導入は、『読み切り版1』『読み切り版2』でも共通していて、


これが『読み切り版1』の導入


これが『読み切り版2』の導入

こんな感じで、導入は三篇ともに共通しています。
では、『キネマ版』ではどうなっていたかというと、



こんな感じ!
「修羅さながらに人を斬って伝説と化した」くだりのナレーションは
ありませんが、このあと数ページにわたって人斬り抜刀斎の剣戟シーンが
ありますので、そのシーンがナレの代わりとなっています。
『無印版』の「追憶編」の導入と似ているかもしれません。

ちょっとした演出の違いはありますが、基本的には
『キネマ版』の導入は『無印版』『読み切り版』と共通しており、
るろうに剣心の最大のテーマはキネマ版においても変わってない
ことが印象として刻まれます。


  読み比べ〜「ヒロインとの出会い」

無印版一話と読み切り二篇に共通する内容として、
導入終了後に主人公とヒロインが出会う場面がすぐに提示される
というものがあります。

ボーイ・ミーツ・ガールは少年マンガの基本!
(剣心をボーイとするのは抵抗ありますが…)
というわけで、こちらが『無印版』の場面となります↓



後ろから呼びつけられた剣心は、ヒロイン・神谷薫に
いきなり斬りかかられます。
なんともアグレッシブな出会いです。
薫の勇ましさと平常時の剣心の優男っぷりが提示される場面でした。



『読み切り版1』のヒロインは、来迎寺千鶴という令嬢でした。
暴漢に追われているところを助けてくれといきなりな出会いです。
助けられる立場だけど気の強い千鶴嬢。

ちなみに、読み切り版1と2では、主人公「剣心」の名は
出てきません。
あくまで「元・人斬り抜刀斎の流浪人」でしかないわけですが、
便宜上、この記事では読み切り版の主人公も「剣心」とします。



『読み切り版2』は無印と同じく神谷薫がヒロインとなります。
出会いがしらいきなり斬りかかられるのも無印といっしょ!




ちなみに、『読み切り版2』には弥彦と恵が、薫を含めた神谷三人姉弟として
登場します。

無印、読み切りともに「気の強いヒロインとの出会い」というのは共通してるわけですね。
さらに言うと、後で取り上げる「悪役」とヒロインとの関係性についても注目です。

まぁ、それはさておき、『キネマ版』のヒロインとの出会いを見てみましょう。



撃剣興行に巻き込まれた剣心は、対戦相手・神谷薫と出会います。
わけもわからないまま試合が始まり、剣心は薫の面打ちを堂々と喰らいました。

やっぱり、「出会いがしらにいきなりヒロインにKOされる」という
いままで(読み切り1以外)の出会い場面を踏襲しています。



また、先に弥彦に出会い、薫のもとへ連れて行かれてそこでKOされる
というのは『読み切り版2』と同じ展開です。
ちなみに、キネマ版では読み切り版2と違い、薫と弥彦は姉弟という
設定ではありません。


  読み比べ〜「悪役」

今回読み比べている四篇に共通しますが、各篇に悪役が登場し、
剣心の強さを引き立てるようにあざやかにやられていくのも特徴的です。



『無印版』の悪役は比留間兄弟です。
巨体の弟が神谷活心流・人斬り抜刀斎の名を語って
神谷道場の評判を落とし、狡猾な兄が神谷道場に奉公人として
入り込み、薫から道場の土地を手に入れようとしていました。
図体のでかい弟が剣心に一撃のもとに轟沈させられる場面は圧巻です。
やられっぷりが実に見事で、第一話の悪役としては最上の仕事をしました。



『読み切り版1』の悪役は武士団・回天党の首領(名前不明)です。
没落した士族を束ねて不満を解消するために貿易商の娘(千鶴)を
誘拐して身代金を要求するという典型的な小悪党ですが、
最硬だという鎧をさんざん自慢しておきながら剣心の胴への一撃で
あっさりと撃沈するあたり、剣心の剣のすさまじさを強調するには
十分に役割を果たしてました。



『読み切り版2』の悪役は西脇という人物です。
神谷活心流の師範代でありながら、博徒を引き連れて強引に道場主に
なろうと神谷姉弟に嫌がらせをしているという、これまた小悪党です。
ビジュアルが『無印版』に出てきたインパクト充分の悪役・武田観柳に
似ていますが、悪役として観柳ほどの味はなく、本当にただのクズでした。
でも、得物に拳銃を使ったのは評価されるところですね。
いともあっさり銃弾を回避する剣心のすごさを強調することができました。
最後はKOされずに、剣心のあまりの怖さにビビって気絶するという
やられ方も十分評価されるに値します。

さて、三篇の悪役を見てきましたが、どの悪役も「主人公の強さを引き立てる」
という、「第一話の悪役のセオリー」をしっかりと守ってつくられたキャラたちでした。
そして、注目の『キネマ版』の悪役ですね。

『キネマ版』の悪役は、『無印版』でも大変な悪役っぷりを発揮したこの方でした!



 武田観柳 With 回転式機関砲(ガトリング・ガン) !!

出たァー!!
るろ剣の敵キャラのなかでもトップレベルのインパクトを持った
武田観柳堂々の登場だァー!!! ("様"をつけんか!無礼者ォォ!!)

しかも「With」って単語で回転式機関砲(ガトリング・ガン)を
同列のキャラのように扱っていて面白すぎです観柳様。

この観柳様と回転式機関砲(ガトリング・ガン)の組み合わせは
『無印版』登場地に読者に絶大なインパクトを与えており、
そのあたりを踏まえると、『キネマ版』の記念すべき第一話の悪役に
武田観柳様 with 回転式機関砲(ガトリング・ガン)を据えたのは
グッジョブ和月先生としか言いようがありません。

しかも、キネマ版の観柳様はエキセントリックさに磨きがかかっていて
和月先生が『武装錬金』で確立した奇人・変人な敵キャラの要素が
色濃く反映されており、観柳様を無印よりも濃いキャラへと仕立てあげています。
観柳様の蝶最高な飛翔がみられるかと思ったくらいです。

そして、やられっぷりも実に見事で、
見開き2ページを使って回転式機関砲(ガトリング・ガン)ごとやられる
という徹底ぶりです。
サスガァ。


  読み比べ〜「オチ」

さて、悪役も倒したところで話はまとめに入ります。
読み切りの二篇は、剣心が再び流浪に流れて幕を閉じましたが、
連載となる無印については、流浪人だった剣心が神谷道場に
留まることになったということで浪漫譚の始まりを連想させる
ラストとなっていました。

と、まぁそんな結末に関係なく、読み切り二篇と無印版では、
毎回小ネタのように付く"オチ"がありました。



それは、「剣心が幕末の人斬りなら、一体いま何歳なのさ!」という
やりとりです。
剣心は若さ全開の見た目ですが、「幕末期の伝説の人斬り」という設定上、
どうしてもキャラ年齢を三十前後に設定しなければなりません。
それに対するセルフツッコミというか言い訳的なオチなわけです。
これは『無印版』のオチですね。



で、これが『読み切り版1』のオチです。



これは『読み切り版2』のオチ。
毎回恒例なわけですね、このやりとり。

では、『キネマ版』でも当然このやりとりがオチとなるのかと思いきや―?



ぜんぜん違った!
まぁ、剣心が見た目若々しくても年齢三十近いってのは
無印読んでた人ならみんな知ってるわけですから、
もうオチで説明する必要もないんじゃないかってことですかね。

しかし、キネマ版のこれはこれで問題のあるオチですよ。
剣心に叩きのめされた観柳様が復讐のために金で刺客を雇っていて、
その刺客の顔ぶれのなかに見たことあるキャラが何人もいるわけです。

このオチでかなり劇場版っぽさが印象付けられました。
アニメ映画など、連続放映モノが劇場作品化される場合、
原作登場キャラが原作とは異なる役割で登場する場合があります。
これは、映画という決められた尺内で出来る限り原作のキャラを
多く登場させようとする演出方針の場合、よく見られる傾向です。
この演出方針はキャラひとりひとりの掘り下げは浅くなるのですが、
基本的に劇場版を観に来る人は原作を知った上で観に来るわけですから
無問題なわけです。
結果、「劇場版」作品はなんとなくお祭り感がただよう作品となるわけです。

この『キネマ版』第一話のラストのオチは、まさにそんな「お祭り感」が
よく出ています。
左之助、斎藤一、外印に番神。それに、鵜堂刃衛らしき人物が確認できます。
原作からすれば、このメンツが観柳様に金で雇われるなどということは
絶対にあり得ないのですが、それが許されるのが「劇場版特有のお祭り感」
というわけなのです。

なので、おそらく『るろうに剣心-キネマ版-』はこの先、
劇場版っぽい展開を迎えることになると思われます。
多分、連載も3,4回程度で終了することでしょう。
(実写映画の公開が8月25日なので、
 映画にあわせて秋くらいには終了予定なのかも)

るろ剣の続編を期待していた人にとっては肩すかしな内容だったかも
しれませんが、これはこれで非常に面白い試みだと思いました。
『キネマ版』第一話のラストからすると、なんとなく刃衛がラスボスっぽい
雰囲気を醸し出しているのにも興味津々です。
一体どんな展開をみせるのやら。

ともあれ、るろ剣連載終了から十数年の歳月を経て、
再び沸き起こった「るろ剣祭り」です。
これは最後まで付き合わなければ!

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スピンオフ作品には本編の主人公を出しちゃダメなのか?

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「スピンオフ」とは、既存の作品(本編)から別の作品が派生することを言います。
具体的には、本編の主人公以外のキャラクターが主人公となって
「外伝的作品」が展開されることを言います。

日本のスピンオフ作品では、『交渉人 真下正義』や『容疑者 室井慎次』など
多数のスピンオフを展開したドラマ『踊る大捜査線』シリーズが有名かと思います。

本編のサブキャラクターが魅力的な場合、その魅力あるサブキャラをそのまま
主人公に据えることで、本編とは一味違った面白さを追求したり、、
本編を含めた作品の世界観に厚みをもたらすなど、さまざまなメリットがあります。
また、サブキャラのみならず、本編の「劇中劇」がスピンオフして
別の作品として成立する場合もあります。
(『げんしけん』⇒『くじびきアンバランス』,『OH!MYコンブ』⇒『へろへろくん』など)

本記事は、この「スピンオフ」作品について言及する記事となりますが、
似たような性質の以下分類の作品はスピンオフとは
分けて考えることとして、本記事ではスピンオフと定義しません。

 ★「クロスオーバー」
  複数の独立したシリーズが一時的に一つのストーリーを共有する
  (例:スーパーロボット大戦シリーズ など)

 ★「スターシステム」
  キャラクターを俳優のように扱い、異なる作品中に様々な役柄で登場させる
  (例:手塚治虫作品のヒゲオヤジ、タイムボカンシリーズの3人組 など)

 ★「シェアードワールド」
  元作品と同一世界観・時間軸を舞台とするが、主人公は元作品に登場していない新キャラ
  (例:『機動戦士ガンダム』に対する『機動戦士Zガンダム』など)

では、本題に入ります


  現在進行形のスピンオフコミック2作品を紹介

まずは、今最も勢いのあるスピンオフ作品のコミックを二篇紹介します。



『魔法陣グルグル』で最も目立っていたオヤジ・「キタキタおやじ」を
主人公にした『舞勇伝キタキタ』です。
グルグル本編で異様な存在感を放ったキタキタおやじが
まさかの主人公化ということで、連載発表当時は衝撃的でした。
コミックスの帯にも、

 ギャグファンタジーの金字塔「魔法陣グルグル」から、
 よりによって、あのおやじがスピンオフ!
 魔王さえも嫌がったあの踊りがここに復活!!

とかボロクソに書かれています。

それもそのはず。
グルグル本編においてのキタキタおやじは、キャラが濃すぎて
下手をするとストーリーをぶち壊しかねないほどの存在感を
示していたキャラなのです。
たまに出てきて、大暴れして帰って行くというのでちょうど良いような
こってりしたこのオヤジを主人公にするなど・・・
始まる前からストーリーが破綻すること間違いなしです。

そして、その予想通り『舞勇伝キタキタ』はおやじ中心の
破天荒ギャグで塗り固められた作品となっています。
ギャグ成分でみたらグルグルよりもはるかにパワーアップしてます。
おそるべし、キタキタおやじ!
その代わり、話の本筋よりおやじの存在感の方がすごすぎて
メインストーリーはあってもなくてもどうでも良い感じに。
濃すぎるキャラも考えものですな・・・。




続いて紹介するのは、『地獄先生ぬ〜べ〜』のスピンオフ作品
『霊媒師いずな』です。

ぬ〜べ〜連載中期に登場し、圧倒的人気を得た女子中学生イタコのいずなが
女子高生となって主人公へ昇格しています。
物語のスタイルはぬ〜べ〜と同様に一話完結の怪異モノで、
霊との戦闘よりは霊に取り憑かれた人々の人間ドラマが
メインとなるところもぬ〜べ〜と共通しています。
ただ、ぬ〜べ〜が小学校で起こる怪異をメインに扱ってきたのに対し、
いずなでは現代社会に生きる大人たちに起こる怪異をメインに扱います。
必然、話はアダルティになり、(掲載誌も青年誌ですしね)
ぬ〜べ〜のときよりも遥かに過激なお色気シーンも多く挿入されます。

いずなはぬ〜べ〜登場時は未熟者まる出しの、半分ギャグ要員のような
キャラでしたが、この作品では大人の女性のような落ち着きを
見せています。(まだ少し未熟なところはありますが)


  本編からあの名脇キャラが!

この二篇に限らずですが、スピンオフで登場する本編のキャラは
なにもスピンオフで主人公となったキャラだけに限りません。
本編で脇を固めた懐かしのキャラが、ゲストや準レギュラーで
スピンオフ作品に登場することはよくあります。

これにはスピンオフ主人公と同様、本編で人気のあったキャラや
スピンオフ主人公と浅からぬ関係性のあるキャラが選ばれることが
多いように思います。



『舞勇伝キタキタ』では、本編『グルグル』でもひときわ濃い存在感を
かもした風の精霊「ギップル」が、第5巻にて満を持して登場します。
お約束の「ふんどし」のくだりや、「クサァー!」のくだりを
ギップル初見のキタキタオリジナルキャラたちに見せつける様は、
本編登場キャラの重々しい貫禄を感じます。

なお、『キタキタ』にはギップルのほかにも、愛すべきザコキャラ
「タテジワネズミ」が登場しています。




『霊媒師いずな』では、本編の主人公・ぬ〜べ〜のライバルキャラだった
「玉藻」が堂々の登場です。
登場巻も第9巻ということで、満を持したサプライズ登場でした。
それも、いずなが作中最大の「下げ」を経験した場面、
どん底の主人公を再び上昇させるような役割で現れるのです。
これは本編読者にとってかなり胸熱な展開だったのではないでしょうか。


このように、本編の重要脇キャラがスピンオフ作品に登場することは
読者を喜ばせ、作品を大いに盛り上げる効果があります。

では、脇キャラでここまで盛り上がるのだから、
いっそ本編の主人公をスピンオフ作品に登場させれば
作品としてさらなる盛り上がりも期待できるし、
最大級の読者サービスになるのでは?と、ちょっと思ってしまいます。

ですが、今や日本中に数あるスピンオフ作品には何故か
本編の主人公が大々的に登場している作品はほとんどありません。

まるで、スピンオフ作品には本編の主人公を登場させてはいけないという
暗黙のルールがあるかのように、各作品示し合わせたように
本編の主人公を登場させてはいないのです。


  スピンオフ作品には本編の主人公を登場させてはダメなのか?

上に紹介した二篇で見てみると、必ずしも本編の主人公が
まったく登場していないわけではありません。



『キタキタ』では冒頭の伝説が語られる場面で、本編の主人公
「ニケ」「ククリ」二人の姿が描かれています。
ただし、「※画像は伝説上のものです」と注釈されており、
ニケ・ククリのビジュアルが出るのはこの場面が最後となります。



『いずな』では、ぬ〜べ〜登場!?と思いきや、
テレビで放映されていたアニメの絵でした〜というオチだったり、



劇中のパチンコ「CR・ぬ〜べ〜」のキャラとして
登場したりはしています。

要は、二篇とも本編の主人公は
登場キャラクターとして物語には参加できていないのです。

これは他のスピンオフ作品でもほぼ共通していて、
たとえばドラマ『踊る大捜査線』シリーズからは多くのスピンオフ作品が
派生していますが、本編の主人公「青島俊作」はスピンオフ作品には
一切登場しません。

一体何故か?

理由はいくつか考えられます。
だいたいぱっと思いつくので、こんな感じでしょうか↓

 1.スピンオフ主人公の活躍の場を食われてしまうから
 2.本編主人公の物語は、本編ですでに完結しているから
 3.スピンオフ作品の物語上、登場させる必要がない

まぁ、おもに1.の理由が大きいでしょうね。
「主人公」という立場は、作品を構成する要素として
読者の印象に占める割合が非常に大きいのです。
どんなに素晴らしいストーリーでも主人公に魅力がなかった場合、
読者にとってその作品は名作にはなり得ません。

そんな作品に占める比重の大きい主人公というキャラが
スピンオフ作品にまで出張ってきては、たとえ「元・主人公」
だとしても、本編の印象を引きずっている読者からすれば
スピンオフ主人公と同等、もしくはそれ以上に心を持っていかれる
ことになるでしょう。
下手をすると、スピンオフ作品の印象そのものも
本編の印象に塗り替えられてしまうかもしれません。

上の二篇にあてはめると、『霊媒師いずな』にぬ〜べ〜が本格的に
登場しちゃった場合、「怪異を解決する」というキャラの性質が
いずなと丸被りしてしまって、ぬ〜べ〜にいずなの役割を
持って行かれてしまう様が簡単に想像できます。

『舞勇伝キタキタ』の場合は、ニケ・ククリとキタキタおやじでは
キャラの性質がまったく異なるので、役割を食われる心配はありませんが、
ニケ・ククリの物語はすでに本編で綺麗に完結しているのです。
(ククリはニケに告白までして、グルグルも使えなくなっています)
せっかくの本編の綺麗なエンディングも、キタキタおやじ大暴走の
スピンオフギャグ漫画で後日談が語られることになったとしたら
蛇足もいいとこでしょう。
これは上記の理由2.にあたりますね。

理由3.については、そもそもスピンオフ作品が本編とジャンル違いの
物語だった場合とかですね。
その場合、スピンオフ作品に本編の主人公が登場する必然性はまったくありません。
『サイコメトラーEIJI』(ミステリ)⇒『クニミツの政』(政治)とかそうかな?
あと、『くじびきアンバランス』などの劇中劇モノもこれに当たります。


以上のような理由から、
スピンオフ作品に本編の主人公を登場させることは好ましくない
といえます。


  こんなのもあります。ちょっと特殊なスピンオフ作品

…なんてことをごちゃごちゃ書いてきましたが、
本編の主人公が堂々と活躍してるスピンオフ作品ありましたね。

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『とある科学の超電磁砲(レールガン)』!

電撃文庫の大人気ライトノベルですね。おなじく電撃文庫の
『とある魔術の禁書目録(インデックス)』のスピンオフとなります。
アニメ版の知識しかありませんが、ちょっと解説してみます。
ぜんぜん見当違いのこと言ってたらスミマセン。

『超電磁砲』には、本編の主人公・上条当麻さんが準主役級扱いで
堂々と登場しています。
これはモロに上の理由1.に抵触しそうなものですが、
なかなかどうして、そうはなっていません。

これは多分主人公の性別の問題で、スピンオフ主人公「御坂 美琴」は
女性の主人公であり、本編主人公・上条当麻さんに惚れています。
なので、上条さんの存在は『超電磁砲』にとっては物語を盛り上げる上で
むしろプラスになるのです。
ヒロイン・ヒーローはお互いの役割を食い合うことはないというわけですね。
このアオリを喰らったのは、本編でメインヒロインを務める「インデックス」で、
『超電磁砲』にはインデックスはほぼ登場しません。
インデックスが登場したら、ヒロイン兼主人公である美琴の立場が
食われかねないですからね。
ちなみに、理由2.についても本編『禁書目録』がまだ完結していないから
ということでクリアできます。




『ちびまる子ちゃん』のスピンオフ『永沢君』は
本編と同時期に連載されていたスピンオフ作品であり、
『永沢君』初登場のキャラが、のちに本編にも登場するという
スピンオフ⇒本編への逆輸入をやってのけた珍しい例です。

具体的に言うと、

 暗くてお笑い好きの野口さん
 デブで愚鈍の小杉くん
 成績優秀のお嬢様な城ヶ崎さん

などのキャラは、『永沢君』に初登場して本編へ逆輸入された
キャラとなります。
また、「藤木君は卑怯」という今やアニメ版でもすっかり定番となっている
キャラ設定も、『永沢君』で初めて語られた設定なのです。


と、まぁこんな感じで「スピンオフ」についていろいろと考えてみました。
作品をつくる方法論として気を付けなければならないところも多そうですが、
うまく使えば作品世界がどんどん魅力的に広がってくれるはずです。
今回語らなかった「クロスオーバー」や「スターシステム」も
分析してみるとちょっと面白そうですね。
機会があれば、また。

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【魔法陣グルグル】スピンオフ漫画【舞勇伝キタキタ】を特集する


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あの頃の思い出のアニソンを振り返る〜【小学生編】【中学生編】

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2012年6月16日(土)に、NHK-FMのモンスター番組
『今日は一日アニソン三昧』がひさしぶりに放送されます。

この『今日は一日○○三昧』というラジオ番組は、不定期で
放送されている特番です。
世間一般からみるとマイナーと思われるような特定のジャンルの曲を
十数時間にわたってひとつのラジオ番組でかけ続けるという
その番組内容は、「NHKの本気」を感じさせるには十分な内容で、
特にこの『アニソン三昧』は選曲のガチさでアニソンファンの間では
生ける伝説となっているモンスター番組なのです。

アニソン三昧は2012年5月現在、過去4回放送されており、
そのどの回も、民放のアニソン特番でみられるような予定調和な
ベタさは微塵もなく、古きよき時代のアニメ主題歌から、
深夜萌えアニメのキャラソンまで分け隔てなくガチのフルコーラスで
お茶の間にお届けしてくれるところにNHKの番組に対する心意気を
感じずにはいられません。

→リンク先:ニコニコ大百科「アニソン三昧」
 で過去放送分の曲目が閲覧できます。

この番組、ただアニソンを機械的に垂れ流しているのではなく、
ちゃんとパーソナリティが視聴者からのリクエストのお便りを読んで、
リクエスト者のその曲に関する思い出が語られたり、
さまざまなゲスト(これもガチな人が多い…)のトークを挟みつつ
曲を聴けるので、「お祭り感」がすごく心地良いのです。

そもそもアニソンという媒体自体、曲にあらゆる種類の物語が
こもりやすい媒体となっています。
「思い出の曲」というものは人それぞれにあり、その曲を聴くと
その頃のことがドラマチックに思い出される…というのは
アニソンに限らず通常の曲でもそうですが、アニソンの場合は
それにプラスして、アニメの内容そのものも思い出として
よみがえるわけです。
だからこそ、この番組でトークを聴きながら次々とかかる
昔のアニソンや最新のアニソンによって、リスナーの心には
さまざまな物語が去来して言いようのない高揚感を抱くことになります。

この「お祭り感」がとっても心地良い番組の『アニソン三昧』の
季節がまたやってくるとは・・・楽しみすぎる!


さて、今回の記事ではそんな「アニソン」の持つ物語性に注目して、
私が今まで聴いてきたなかで特別に思い入れのあるアニソンを
初めて聴いた時期ごとに【小学生編】【中学生編】【高校生編】
【大学生編】【社会人編】に分類して、各編数曲ずつ選曲して
該当曲に関する思い出を、アニメの内容、曲自体の内容、
その当時の個人的な思い出、の3つの観点から語ってみたいと
思います。

ちょっと今まで書いてきた記事とは毛色の違う内容になってしまいますが、
お付き合いいただければ、と。
ではどうぞ


  【小学生編】〜1990年代初頭

1990年代初頭。
80年代を盛り上げに盛り上げたバブルもはじけ、
不況の時代が幕を開けます。
でも、そんなことは小学生の自分にとっては
ぜんぜん関係ないこと!

アニメは物心ついたときはテレビでやっていたのを
楽しく観ていた記憶はありますが、どハマリして熱中した
思い出のあるアニメはそれほど多くありません。
それよりも、自分の興味を強烈に持って行ったのは「TVゲーム」でした。
『ドラクエ4』にガッツリはまり、そこから『FF4』へ…。
90年代のRPGの面白さは尋常でなく、アニメを観るよりも
むしろゲームを! そんなピコピコ少年な自分でした。

でも、そんな自分がガッツリはまったアニメがありました。

『ドラゴンクエスト』ED 夢を信じて


アニメ版『ドラゴンクエスト』(アベル伝説)(1989-1991)
同時期に漫画連載されていた『ダイの大冒険』と共に激ハマりした
のを今でも憶えています。小学校低学年くらいだったかな。
当時のゲーム少年をアニメにくぎ付けにした
的を射たメディアミックスだったと思いますよこれは。
内容的には、ダイ大のように次々と強敵が襲いかかってくる
というようなスタイルではなく、ドラクエっぽく広野や
ダンジョンを探索しては次の土地へ・・・という冒険の要素が
強かったと思います。

ビデオに録画までして熱心に観てたのに、
なぜか突然打ち切りエンドみたいな展開となったんですよね、これ。
急に子どもたち相手に昔語りをするおばあちゃんみたいな場面に
なって、以降の話がダイジェストでおばあちゃんに語られて
しまうんですよ。で、そのまま終了。
子ども心に「どうしてこうなった!?」と嘆き悲しんだものです…。
(その後しばらく期間が空いたあと再開してちゃんと完結しました)

主題歌の「夢を信じて」(歌:徳永英明)は無茶苦茶良い曲でした。
エンディングは一枚絵連続表示というオーソドックスなものでしたが、
それがまたこの「夢を信じて」を上手い具合に引き立てていました。
歌詞も壮大な冒険を彷彿とさせ、ドラクエ世界観に非常にマッチしてる
と思います。
これは今でもカラオケで高確率で歌います。
歌いやすいし、同世代のリアクションも良いです。


さらに、同じような理由でハマったこのアニメ↓

『魔法陣グルグル』ED1 Wind Climbing 〜風にあそばれて〜


魔法陣グルグル(1994-1995)
アニメで初めて観たとき、そのドラクエのようなRPG世界を
パロったようなノリがとてつもなく面白く、テレビの前で
爆笑したものでした。
こんな面白い作品があったのか!とアニメ第一話を観てすぐに
コミックスを買いに走りましたが、当時3巻まで出ていたコミックスの
2巻だけがどうしてもみつからずに、我慢しきれなくなって
2巻飛ばして3巻読んじゃったのも良い思い出。
その飛ばした2巻で物語上大きな展開があって、
3巻のストーリーにぜんぜんついていけませんでした。苦い思い出。
このアニメ一期目は約1年間だったのですが、半年ほどで
当時の最新刊4巻までのストーリーに追いついてしまい、
残りの半年間はアニメオリジナルストーリーが展開されました。
最終回、魔王ギリのもとへ到達しながら、「やっぱりやーめた」と
引き返すというオチが衝撃的でした。

曲は、前期EDの「Wind Climbing 〜風にあそばれて〜」(歌:奥居亜紀)
を選んでみました。
後期OPの「晴れてハレルヤ」も捨てがたかったですが、やっぱりこれが
思い出深いかなー。
一枚絵連続表示のエンディングなんですが、その一枚絵が
ニケとククリの冒険の一場面の連続でドラマチックなんですよね。
二人楽しく冒険してる場面が次々と表示されて、ときにはケンカする
場面なんかもあったりするけど、最後はちゃんと仲直りして
二人で虹を見上げてるーというような、ほっこりするエンディングでした。
歌もとっても優しくて勇気付けられる良曲です。


『幽遊白書』ED4 太陽がまた輝くとき


幽遊白書(1992-1995)
ジャンプ黄金期を支えた傑作堂々のアニメ化です。
同時期のドラゴンボールとかと比べると、ちょっとダークで
大人っぽい感じが小学校高学年の自分のハートをガッチリつかみました。
原作の漫画とともにがっつりハマり、土曜18時半が毎日楽しみに
なっていました。
この作品がゲーム化されたものは当時もらさず買っていたなぁ。
GBの暗黒武術会格闘ゲーム、仙水編のアクションRPG。
ビジュアルバトルという画期的なシステムが魅力的だったSFC版…。
思えば、漫画・アニメ・ゲームというオールジャンルで『幽遊白書』に
しっかり包囲されてましたあの頃は。
アニメ版は原作と比べると、ちょっと表現がマイルドなんですよね。
原作ではエグく描かれていた仙水の過去や、魔界統一トーナメントの
躯の設定とか、タバコ・酒・パチンコを平気でやってた幽助の行動とか
もろもろ子どもが観ても大丈夫なように改変されていました。
また、漫画版でギャグテイストであっさりと片付けられていたような
場面も、アニメ版ではシリアスに描かれてたような印象があります。
どっちが良いとか悪いとかではないですが。

曲は仙水編のエンディング「太陽がまた輝くとき」(歌:高橋ひろ)を
選びました。高橋ひろさん亡くなられたんですよね。悲しいなぁ。
雨が降ると自然と口ずさんでしまう恐ろしい曲です。
エンディングアニメーションはキャラのプライベート写真がどんどん
表示されていくというものでした。
幽白のエンディングパートはオシャレですよね。
ED2「さよならbye-bye」の一枚絵背景の演出も好きだった!
そういえばOPはずっと「微笑みの爆弾」で変更がなかったというのも意外な感じ。

カラオケで歌うときは、「にじむシールーエー↑ット」と
上がる部分を間違えないように要注意です。
(1コーラス目は「シールーエー↓ット」と下がりますよー)

  中学生編〜1990年代後半

1990年代後半。
阪神・淡路大震災や、オウム真理教による地下鉄サリン事件、
凄惨極まりない酒鬼薔薇事件など、さまざまな事件が起きた
暗い時代でした・・・。
でも、そんなことは中坊の自分にとってはぜんぜん関係の
ないこと!

とはいえ、「アニメは小学校で卒業するのが普通」という風潮が
なんとなくあったこの時代、部活などで忙しくなるにつれ、
自然とアニメと疎遠になっていきました。

そんなアニメ閑散期の自分にも、ちゃんとハマった作品はありました。

『機動新世紀ガンダムX』ED ヒューマンタッチ(英語・日本語),銀色Horizon


機動新世紀ガンダムX(1996)
「ガンダム」という壮大なシリーズものにとって、
どのタイトルが入口となるか?という点は、人によって
ずいぶん違うと思います。
私の場合のガンダムの入口は「ガンダムX」でした。
それまでも一応、SDガンダムやコミックボンボンの漫画などで
「ガンダム」というコンテンツには触れてはいましたが、
TVシリーズのちゃんとしたガンダムに触れたのは「X」が初めてでした。
これがもう面白くて仕方がなく、この「X」を通じて
ガンダム世界へと足を踏み入れることになります。
この「X」は、「最終戦争後の荒廃した地球が舞台」という、
ガンダムで北斗の拳をやっているような世界観でしたが
内容はG-W-Xと続く富野監督以外の平成ガンダム勢の中では
最もガンダムらしい硬派な作品だったと思います。
関東地方では途中、放映時間が早朝に移動したようですが
私の暮らしていた愛知県では放映時間の変更はありませんでした。

エンディングパートは「次回予告一体型」であり、
ED曲が終わると同時に画面に出てくる
最後のキャラクターが次回実際に発声するセリフがそのまま
次回のサブタイトルになるという
当時においても現在においても非常に画期的な演出でした。
このカッコ良さが当時厨二病全開だった自分にクリティカルヒットし、
そのままガンダムの道へといざなわれることになります。


『機動戦士Zガンダム』OP2 水の星へ愛をこめて


上記の通り「X」を入口にガンダム道へ足を踏み入れました。
しかし、ガンダムといえば、やはり富野監督作品のガンダムを
観なければ王道とはいえません。
そんな中、夏休みのアニメ一挙放送で『Zガンダム』を放映するという
タイミングの良いイベントが起こりました。
こうして、夏休み中「Z」にどっぷりと漬かった私は
富野ガンダムの持つすさまじいエネルギーにすっかりやられてしまいました。
戦いのあと精神崩壊を起こす主人公という救いのないラストも
衝撃的でした。

曲は後期OPの「水の星へ愛をこめて」(歌:森口博子)
前期OP(Ζ・刻を越えて)がロック調の激しめな曲だったのに対して、
後期OPはどことなく優しいメロディーラインが特徴的な曲でした。
今にして思えば、ロボットアニメでこういう曲調の主題歌は
なかなか異色だったのではないでしょうか。
でも、作品の雰囲気にはとても合っていると思います。
サビの「もう泣かないで」の部分で、悲劇のヒロイン・フォウによる
幻想的なアニメーションが挿入されるのがとってもステキ。


「X」からはじまったガンダムマイブームは留まるところを知らず、
ついにOVAにも足を踏み入れることになります。

『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』OP 嵐の中で輝いて


機動戦士ガンダム 第08MS小隊(1996)
ファーストガンダムとほぼ同時期を描いた外伝作品です。
この頃、ガンダムのOVAは『0080』『0083』、そしてこの『08MS小隊』と
三作品が発売されていましたが、ほぼ同時期にこの三作品に触れました。
その中でもこの『08MS小隊』はことさら「戦場のリアルさ」が徹底して描かれ、
ガンダムが土埃をかぶって汚れていたり、ガンダムのコックピットで
パイロットがラジオを聴いていたりと、ガンダムがあくまで一兵器であること
が他のガンダム作品より際立って演出されていました。
この作品に触れる頃には、すでに大抵のガンダムシリーズは
押さえているほどになっていたので、こういったリアルな描写は新鮮でした。
特にラジオを聴いてる場面は面白かったなぁ。
後にも先にも、モビルスーツの中でラジオを聴いてる描写があったのは
多分、この作品だけだと思います。

OP曲の「嵐の中で輝いて」(歌:米倉千尋)はとにかくカッコ良い曲で、
歌詞の内容は本編とまったく関わりはないのに、OP映像と非常にマッチしていて
この作品の主題歌なんだなーと否が応にも納得させられます。
そのOP映像がまた、
「ガンダムが泥川を渡る」
「ガンダムがパラシュートで地上に降下する」、
「ガンダムの機銃掃射で、前方の歩兵が耳をふさぐ」
という「リアルな戦場」と「ガンダム」が上手く融和したもので
ことさら印象深くなりました。
このCDシングル、なかなか売ってなくて方々回って苦労して
手に入れた記憶があります。
今だったらAmazonでポチるか音楽サイトでダウンロードですね・・・。


・・・と、まぁ中学時代はガンダム一色という感じでした。
エヴァも同時期にやってましたが、愛知県は何故か
平日朝の学校行く時間帯に放映されていたため、リアルタイムでは
観れませんでした。
のちに深夜で再放送されてるのを観て激ハマりしましたが。

さて、次はいよいよ高校生編です。
ここで一気に道を踏み外してしまうことになります・・・。

とりあえず、ここいらで次回へ続きます。


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あの頃の思い出のアニソンを振り返る〜【高校生編】【大学生編】

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前回からの続き


  高校生編〜20世紀末

もうすぐ21世紀!
1000年に一度しか訪れないミレニアム・イヤーを
迎えたとき、私は高校生の少年でした。
世間では「2000年問題」が警戒され、コンピュータの
誤作動による社会機能の混乱が懸念されていました。
実際はフタを開けてみれば大きな事件は特に起こらず、
「なんだ結局なにもなかったじゃん」と拍子抜けしたものでした。
でも、それは社会の大人たちが連日夜遅くまでがんばって
システムを点検した結果の賜物なのだということは
自分も社会人になった今なら非常によくわかります。
本当にお疲れさまでありました。

さて、そんな大人たちの苦労も知らない高校生の私は
アニメの歴史的転換点を体験することになります。


『Serial Experiments Lain』OP Duvet


serial experiments lain(シリアルエクスペリメンツ・レイン)(1998)
仮想世界と現実世界の交錯を描いた深夜アニメです。
この時期、現在ではすっかり定着した深夜アニメという
概念はあまり深く根付いていませんでした。
アニメは朝か夕方に放映されるというスタイルはこの頃の定番であり、
平日の16時台〜19時台くらいにかけてとか、
日曜の朝8時台がアニメにとってのゴールデンタイムでした。

この『lain』は私が初めて観た「深夜アニメ」でした。
(1997に深夜再放送されたエヴァを観てましたが、それはノーカンで)
全話を通して観たわけではなく、深夜1時台にテレビをつけて
偶然目にした数回がとてつもないインパクトを放っていて、
「なんだこれは」と引き付けられたのを憶えています。
この作品、ネットワーク世界と現実世界の交錯を描いた物語で、
すっかりインターネット環境が普及した現在では
題材的に珍しいものではありませんが、「インターネット」が
少しずつ普及しはじめた当時としては非常に画期的なものでした。
また、作品全体的に漂う救いようのないダークな感じは
朝や夕方に放映されているアニメでは絶対に観られないような
特殊なオーラをまとっていました。

OP曲の『Duvet』(※デューベイと読みます)はイギリスのバンド
「bôa」の曲で、当然ながら全詞英語でまったく意味はわからないんですが、
とにかく不安感をあおるような歌声、メロディーライン、OP映像は
高校生少年の心の琴線にジャストヒットし、
数回しか観なかったアニメの内容はあまり憶えていないのに、
このOP曲は心に深く刻み込まれていて、メロディをバッチリ憶えている
という妙な倒錯を生みだしました。
そんなわけで、ヘンな感じに思い入れのある曲です。


『To Heart』OP Feeling Heart


To Heart(1999)
そして、この作品が品行方正に生活していた自分の高校生活を
想像もつかなかった方向へ迷走させる一番の原因となりました。
この作品は、同時期にプレイステーション用ソフトとして発売された
恋愛ノベルアドベンチャーゲーム『To Heart』のアニメ化作品で、
当時いわゆる美少女ゲーにまったく興味のなかった自分を
一気にそっちの世界へ引き込んだ恐ろしい作品でした。
元々はPCの18禁ゲームでありながら、個性的な美少女キャラたちとの
さわやかな学園生活を送るというゲーム内容で、かつてSFCで
流行したサウンドノベルの要素を取り入れたキャラと物語と音楽のみで
構成されたシンプルすぎるシステムが当時逆に新鮮でした。
ゲームの性質上、キャラクターが非常に魅力的に描かれており、
幼なじみ、メガネ委員長、金髪ハーフ娘などの今やテンプレと
なっている王道属性を押さえつつ、
格闘娘、超能力少女、オカルトお嬢様、メイドロボなどのちょっとぶっ飛んだ
属性のキャラクターも登場しています。
アニメ版は、PS版のプロモーションとも言うべき内容で、
物語らしい物語はなく、むしろキャラクターを魅力的に見せることを
重視して作られていました。
また、やはり当時浸透し始めた深夜枠での放送でした。
以降、こんな感じの美少女系のアニメも深夜アニメの定番となりました。
ゲームプレイ済みの人にとっては好みのキャラクターがアニメで動くことに
感動を覚え、未プレイの人にとってはゲームをプレイしてみたくなる
ような上手いつくりになっていたのを憶えています。

ゲーム/アニメ共通のOP曲『Feeling Heart』(歌:中司雅美)は
作品内容を代弁したかのようなさわやかな曲です。
この曲聴くと、当時の高校生活の思い出が走馬灯のように思い出されて
甘酸っぱい気持ちになりますぁ・・・。



『デジモンアドベンチャー』OP Butter-fly


デジモンアドベンチャー(1999)
ポケモンのアニメが始まったのは私が中学生の頃でしたが、
この「デジモン」のアニメが始まったのはポケモンから
すっかり卒業した高校生の頃でした。
「デジモン」は元々はたまごっちのような携帯育成ゲームで、
この『デジモンアドベンチャー』は言ってみれば子ども向け玩具の
アニメ化作品でした。
当然、元々のデジモンには一切なじみのない状態でアニメの視聴を
なんとなく始めたわけですが、(愛知県では平日16時台に放送してました)
これが、とても子ども向け玩具が原作とは思えないような重い話だったのです。
メインの登場人物で、それぞれにパートナーデジモンを持つ少年少女たちは
ひとりひとりに複雑な家庭事情があり、現実世界で問題をかかえています。
そんな少年少女たちがデジタルワールドの冒険を通じて成長し、
現実世界での問題をも克服していく姿はとても感動的でした。
メイン視聴者層であろう小学生のみならず、中学生や高校生でも
のめり込めるような本格的な少年少女群像劇の側面を持つ作品でした。
もちろん、肝であるデジモンのカッコよさも素晴らしいです。

OP曲『Butter-fly』(歌:和田光司)は、
パワフルで印象的なイントロから始まるロック調の熱い曲で、
これまた子ども向けアニメの主題歌とは思えないようなカッコよさがありました。
特に「むげぇぇぇんだぁぁぁぁいなぁぁゆぅめのぉぉあとのぉぉぉ!!」
というサビの熱さは特筆モノで、カラオケで上手く歌えたときのカタルシス
ったらないです。
最終回の印象的な場面で、このサビから入るバージョンの『Butter-fly』が
挿入歌としてカットインされたということもあり、この部分を歌ったり
聴いたりすると、その場面が頭に何度も浮かんで涙が自然に・・・。
恐ろしい曲です。
後年、ニコニコ動画で弾幕曲として定着したのには本当に納得できました。
みんな好きだったんだなぁー。


  大学生編〜21世紀初頭

ついに21世紀の到来です。
恐怖の大王が降りてくることもなく、核戦争が起きて
ヒャッハーな方々が跋扈する時代が来ることもなく、
ごく普通に日常は続きました。
自分も気が付けば大学生。
親元を離れ、一時的に手にしたかりそめの自由。
もてあますほどの時間を有効に扱い切れず、
授業にバイトに読書にゲームにネットに・・・。
そしてもちろんアニメの鑑賞にも、惜しげもなく時間を
投入してきました。後悔なぞしていません!


『フルーツバスケット』OP For フルーツバスケット


フルーツバスケット(2001)
「花とゆめ」人気少女漫画をアニメ化した作品です。
これまで少女漫画はほとんど読んだことがなく、少女漫画原作の
アニメもロクに観たことがありませんでしたが、
監督が大地丙太郎さんという大好きな監督さんだったため
なんとなく観始めたのがきっかけでした。
これが見事に激ハマりしてしまいました。
原作の雰囲気が大地監督の演出と非常にマッチしていて、
キャラクター同士のテンポの良いかけあいが実に心地よい作品でした。
異性に抱きつかれると十二支の動物に変身してしまう
という草摩家の人々と、主人公の女の子・本田 透との交流を
メインに物語が展開されます。
コメディとシリアスのバランスが良く、メインキャラの透-夾-由希-紫呉の
アホらしい会話のやりとりだけでニヤリとできたり、
特に「亥」の呪いを持つ楽羅の初登場回は爆笑の嵐でした。
かと思えば、十二支の物の怪に呪われた草摩家の人々の一人一人のエピソード
には涙がこぼれるほど切ない話もありました。
切ない話で特に印象深かったのは「辰」の呪いを持つはとりの
エピソードでしょうか。はーさん悲しすぎる・・・。
「雪が溶けたら何になるでしょうー?」
はい、わかる人だけわかってください。

OP曲『For フルーツバスケット』(歌:岡崎律子)は、
とてもOP曲とは思えないほど静かで優しい旋律が特徴の曲でした。
OP映像も非常におとなしく、キャラの後ろ姿が連続で表示されるだけ
というOPにあるまじき動きの少ないものとなっています。
でも、それが逆に視聴者に強い印象を刻み込んだのかもしれません。
作品の雰囲気にも異常なほどマッチしているこの曲、
現在もなお、聴いていると場面の数々が想起されます・・・!
タイトルがとても変わっているこの曲ですが、実は
作詞・作曲・歌のすべてを担当された岡崎律子さんが
楽譜に付けていた仮タイトルを大地監督が気に入り、
そのまま正式タイトルにしてしまったそうです。

岡崎律子さんは2004年に亡くなられています。
これは悲しかった・・・。


『明日のナージャ』 ED けせら・せら


明日のナージャ(2003)
今ではすっかり日曜朝の時間帯の顔となった「プリキュア」シリーズが
始まる前に密かにやっていた単発モノの作品となります。
視聴率的にも関連商品売り上げ的にも歴史的大敗を喫した
残念な作品というのが一般の評価となっていますが、
私は結構楽しんで観ていました。
まぁ、この作品の直前に放映されていた『仮面ライダー555』を
熱心に観ていて、そのまま惰性で観ていたというのが
きっかけですが、それでも徐々に引き付けられていったのを
憶えています。
物語の主旨は、まぁ言ってみれば「母をたずねて三千里」という
ことで、孤児院で育ったナージャが母親の存在を知り、
旅芸人一座と旅をしながら母親を探すというものでした。
舞台は20世紀初頭のヨーロッパの各地を転々とし、
各土地の風土が作品内に生き生きとあらわれて、紀行モノとしても
魅力的でした。
うーん、まぁちっちゃい女の子にとってはちょっと地味だったかも
しれません。
そもそも、『おじゃ魔女』シリーズをやってきた時間枠ですからね。

ED曲『けせら・せら』は、本作が声優デビュー作となる
小清水亜美さんが歌っています。
ヨーロッパ各地のワードがたくみに歌詞に取り入れられ、
言葉遊びとしても面白い曲です。小清水さんのちょっと
ぎこちない感じの歌い方も味がありますね。
「倫敦どんより晴れたら巴里〜♪」は今でも
ついつい口ずさんでしまう名フレーズだと思います。


『OVERMANキングゲイナー』 OP キングゲイナー・オーバー!


OVERMANキングゲイナー(2002)
かつて「皆殺しの富野」とまで言われた富野由悠季監督の作品です。
その作風は、『Vガンダム』や『イデオン』を作った人とは思えないほど
明るく楽しくハイテンションなものとなっていました。
一応、ロボットアニメの体をとっていますが、そのメインの題材は戦争ではなく、
目的地・ヤーパンまでの旅路を描くことがテーマとなります。
敵も異星人とか異国人とかではなく、「シベリア鉄道」というイチ鉄道会社。
微妙にスケールが小さいんだかなんなんだかという物語でした。
しかし、アクションシーンは動きまくりの撃ちまくりの斬りまくりで
かなり楽しいものに仕上がっていました。
しかも、本作のロボット「オーバーマン」には各機につき
「オーバースキル」という特殊能力が備わっており、
その特殊能力がジョジョのスタンドバトルのような緊迫感を付加し、
戦闘をさらに面白いものに演出しています。
また、キャラも濃すぎ!と思わず叫んでしまうほど濃いキャラばかりで、
ヤーパン(日本)を明らかにヘンに勘違いしているニンジャ暗殺者とか、
鉄道のダイヤ維持のためには手段を選ばないオカマの鉄道局員とか、
特務部隊の若きエリート実力者だが、そのエネルギーの原動力はすべて妹というテラ子安キャラ
とか、そんな奴等が織りなす物語です。
わりと本気で「毎回カオス回」と言うこともできます。
にもかかわらず、最終回には「俺たちのエクソダスはまだこれからだ!」と
明らかに打ち切り的なエンディングを迎えているのもネタに事欠かない
この作品らしいなーと納得してしまうような、
とにかくすごいエネルギーをもった作品でした。

OP曲『キングゲイナー・オーバー!』(歌:福山芳樹)は、
そのハードロック調な曲もさながら、OP映像の奇抜さも物凄かったです。
この曲を背景に、主要キャラたちがミュージカル調に舞い、オーバーマンたちが
激しくモンキーダンスを踊るという映像は、まちがいなくアニメOP映像の
歴史に刻み込まれるべき演出でした。
「キングキングキングゲイナー!」と、曲の中で主人公メカの名前を連呼するという
古き良きロボットアニメ主題歌の一面もある名曲です。



・・・と、ここまでにしておきましょうか。
本当なら社会人編まで一気に書き切ってしまいたかったですが、
思った以上に字数を使ってしまったのと、さすがに語り疲れたと
いうこともあって、ここいらで次回へ続くことにします。

次はいよいよ社会人編だ!

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最終回を語れ!〜【北斗の拳】編

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唐突に新コーナーを思いついたのでちょっと書いてみます。
だいたいタイトルからわかると思いますが、ある作品の
「最終回」を取り上げて徹底的に語ってみるコーナーになります。

物語にはいつか終わりが訪れます。
物語の始まりから終わりまで軸がぶれずに綺麗に終わる物語もあれば、
始まりからは想像もつかないような終わり方をする物語もあります。
また、長期にわたって連載される人気漫画作品などの場合は、
途中までは熱中して読んでいた読者も、長い連載期間の中でダレてしまい、
読むのをやめてしまって最終回は読んでいない、という
パターンもあるかもしれません。

そんなわけで、作品の「最終回」というものは
読者によって受け取り方がずいぶんと違うものになるはずです。

 夢中になって駆け抜けるように読んで、最高潮の盛り上がりまま迎えた最終回

 最初は面白く読んでたのにだんだんとつまらなくなり、
 とうとう惰性で読むようになった作品の「やっときたか」という最終回

 すごく好きな作品だったのに、読者アンケートの結果がふるわずに
 あえなく迎えた打ち切りによる消化不良な最終回

 いつしか読まなくなった作品が、いつの間にか迎えていた最終回

 ・・・・

今回取り上げる最終回は、週刊少年ジャンプのバトル漫画人気の
火付け役となった不朽の名作『北斗の拳』です!

皆さま、『北斗の拳』最終回おぼえていますか?

核戦争後の荒廃した地球を舞台にヒャッハァーな人達を相手取り
骨肉の死闘を演じたケンシロウ。
彼がどのような物語を辿り、どのように物語に幕を引いたのか。
では、以下にみてみましょう


  最終回直前までの展開

・・・まぁ、当時『北斗の拳』を読んだり、アニメで観ていた方々にとって
どうしても印象深いのは、北斗の長兄・ラオウとの戦いまででしょう。

ケンシロウに敗れたラオウが「わが生涯に一片の悔いなし!!」と拳をかかげ、
天が割れて光が刺すシーンは震えが来るほど興奮を与えてくれました。
あぁ、なんて素晴らしい最終回だったのだろう。

・・・あれ?

いやいや、最終回じゃないですね。『北斗の拳』はまだまだ続きます。
(アニメでは一応ここで最終回となって、以降は『北斗の拳2』扱いされますが)

でも、ラオウとの戦い以降の展開を憶えている人は、
ラオウとの戦いまでを憶えている人に比べて極端に少ないと思われます。

それもそのはず、作者のお二人はケンシロウとラオウの戦いの決着をもって
物語を完結する意向だったのが、当時のジャンプの方針によって
連載が引き延ばされたのです。
両先生は短い準備期間の中、ラオウ戦以降の話を作っていったのですが、
連載終了後は「ラオウ編以降はあまり覚えていない」と発言しています。

作者が「あまり覚えていない」とか言うくらいだから、
そりゃあ読者にとっても印象は薄いでしょう。

以下が、ラオウ編以降の物語のあらすじとなります↓

ラオウ戦以降、ユリアとともに荒野へ消えたケンシロウは
ユリアと静かな生活を送りましたが、やがてユリアは病により
帰らぬ人となってしまいます。
時は流れ、世は再び混迷の時代を迎えました。

世は「天帝」による圧政の時代。
成長したリンとバットは「北斗の軍」を率いて天帝に立ち向かいます。
そこには再び立ち上がったケンシロウの姿がありました。
天帝軍には「元斗皇拳」の使い手「金色のファルコ」ら強敵もおり、
ケンシロウと激闘を繰り広げます。

やがて、なんやかんやあってリンが「修羅の国」という場所に
連れ去られます。
修羅の国へ乗り込んだケンシロウは、そこが自分の祖国であることを知り、
生き別れた実兄・ヒョウと出会います。
また、ラオウの実兄・カイオウも修羅の国最強の敵としてケンシロウの
前に立ちふさがり、なぜかリンの記憶を奪ったりします。
激闘の末、カイオウを倒したケンシロウは修羅の国をあとにします。
(※アニメはここまでで終了)

修羅の国をあとにしたケンシロウは、なぜかラオウの息子・リュウと
旅をしています。(母親はだれだよ!)
リュウとの旅の途上、ケンシロウは内輪もめしてる国を和解させたり、
なんかそんな感じに活躍します。
やがて、もう大丈夫な感じになったリュウと別れ、
ケンシロウは亡きユリアの眠る地へ帰ります。

さて、記憶を失ったリンはバットと結ばれようとしていました。
しかし、リンが本当に愛しているのはケンシロウ・・・。
そのことを痛いほどわかっているバットはリンの偽りの愛を
良しとせず、リンの秘孔を突いて(バット秘孔突けたのかよ!)、
リンの記憶をリセットしてしまいます。
一方、ユリアの墓前に立つケンシロウはユリアの最期の言葉を思い出します。
「わたしのことは忘れてリンちゃんに幸せを」
ユリアはそう言っていました。
しかし、ケンシロウはリンとバットのもとへ姿を見せる気はありませんでした。
その夜、ケンシロウは涙を流すユリアの幻をみます。
そして、七つの傷が再び疼きだしたケンシロウはすべての記憶を失ってしまいました。
記憶をなくしたケンシロウはリンとバットのもとへ姿を現します。
バットは記憶をなくした者同士のリンとケンシロウをみて、
二人のために身を引きます。
同じころ、かつてケンシロウに両目を奪われたボルゲという男が
ケンシロウに復讐をくわだてていました。
(注:別にかつてやられた敵キャラではなく全くの新キャラさんです)
バットは記憶をなくしているケンシロウの身代わりに、ボルゲに挑みますが、
まるで歯が立たずに捕まって拷問を受けてしまいます。
そこへ現れたのは記憶をなくしたままのケンシロウでした。
ボルゲ相手に苦戦するケンシロウに、バットは思い切りケンの名を
叫びかけます。バットの魂の叫びにケンシロウの記憶は完全に甦り、
完全復活した北斗神拳で、ボルゲはあえなく葬り去られます。
満身創痍のバットを介抱したのはリン。リンもまた、ケンシロウと
同じように記憶が甦っていたのでした・・・。


・・・と、ここまでが最終回直前までの内容となります。
では、以下に最終回の内容をみてみましょう。


  最終話「さらば愛しき者たちよ…そして荒野へ…」



失われていたリンの記憶は完全によみがえっていました。
リンはいつも感じていたバットのさりげない優しさにあらためて
気が付きます。
記憶を失ったリンとケンシロウを結びつけようとしたバットの
目論見はここにきて外れてしまいました。
しかし、満身創痍のバットはすでに死にゆく身・・・。
バットは「死んでゆく人間の最期の頼み」として、
ケンシロウとリンのふたりで幸せになってくれと言います。

ケンシロウはバットの頼みを聞き入れました。



「おまえの受けた傷はオレやリンのために負ったもの
 おまえの優しさの証だ!!
 おまえは すばらしい男だった!!」

ケンシロウのその言葉で、バットはすべてが報われた
気持ちになりました。
これでもう何も思い残すことはない・・・。
バットはこれ以上ないほど満足そうに力尽きるのでした。



ケンシロウと一緒になれるように命懸けで手を尽くしてくれた
バットでしたが、リンはバットの死とひきかえに自分だけが
幸せになることに抵抗を感じました。
そして、同時に自分が誰を愛すべきか気がついたのです。
リンは一生バットの側から離れず、バットの墓とともに
人生をまっとうすることを決意します。
ケンシロウはそんなリンの決意を汲みとり、

「行くがいい オレの心はいつもおまえのそばにいる」

と言い残し、リンと別れました。



バットを手厚く葬ろうとしたリンは、バットの遺体の異変に気が付きます。
なんと、バットの心臓が動いているのでした。
ケンシロウがバットの身体の秘孔をついて、
生命力を与えていたのです。

リンとバットは長い月日を経て、ここにようやく結ばれるときが
来たのです。

ケンシロウは天に浮かぶユリアの幻に問いかけます。

「ユリア これでいいのだろう」

ユリアの幻はもう涙を流しておらず、静かにケンシロウに
ほほえみかけます。



「オレの墓標に名はいらぬ!!」

再び荒野に旅立った救世主・ケンシロウ。



彼は、今日も荒野に巣食う悪党どもを屠り続けるのでした・・・。


  語り尽くせ、最終回!

さーて、どうだったでしょう『北斗の拳』最終回!

最後に持ってきたエピソードが「ケンシロウ、リン、バットの三角関係」
というのはどうなんでしょう?
これは意外なようでいて、実は物語冒頭から潜在していた
伏線だったはずです。
第一話からあきらかにケンに惚れていたリンの気持ちに
最終話で決着を着けるというのも実に粋ですし、
リンの気持ちに気付きながらも、ずっと行動を共にするうちに
いつしかリンへの想いを募らせていったバットの心にも
スポットを当てたのはとても良かったです。

努力をかさねても自身はそれほど強くなれず、ケンシロウの背中を
あこがれるように見ていたバットは、まさに読者目線のキャラでした。
読者が自分を投影できるという意味では、バットは
『北斗の拳』におけるもう一人の主人公といっても良いかもしれません。

また、絶対的なヒロインオーラを持つユリアにかなわず、
ケンシロウへの想いを決して口に出すことのなかったリン。
第二部以降は、天帝の双子の妹という驚愕の事実も
発覚し、つぎつぎと現れるボスキャラに代わる代わるさらわれるという
その様は、まぎれもなくヒロインのそれでした。
リンはユリア亡きあとの、もう一人のヒロインでした。

読者投影型主人公・バットと、出世型ヒロイン・リンがメインとなって動く
最初で最後のエピソードが最終回という演出!
非常に良いエピソードチョイスだと思いました。

正直、直前までやってた「ラオウの息子編」に全然入り込めなかったので
ここに来てのバット主演回はとても感情移入できます。

強敵とひたすら戦い続けた物語のラストが、思いっきり色恋の話
というのには抵抗があるかもしれませんが、
そもそも『北斗の拳』は愛の物語であったはずです。

 愛するユリアのために戦いに身を投じたケンシロウ

は言わずもがな、

 ユリアへの深すぎる愛がゆえに大暴走をしたシン
 マミヤへの愛を抱いたまま自らの最期を迎えたレイ
 「愛などいらぬ!」と叫びながら、その実誰よりも愛深かったサウザー
 乱世に生きる子どもたちの未来のために精一杯の愛をそそいだシュウ
 自らの生命を犠牲にし、多くの人々の生命を救うために生きたトキ
 「愛」とは何かについて誰よりも真剣に向き合い、自分なりの結論を得たラオウ

 聖母のような出で立ちで、多くの男どもを愛に狂わせたユリア・・・。

というように、主要登場人物のほとんどが愛に生きています。
これほど作品内に「愛」という単語が飛び交う作品は
他にないんじゃないでしょうか。

そんなわけで、最後のエピソードにこういった直球の愛の話をもってくるのは
実に『北斗の拳』らしいと言えると思います。

ラスボスが本当にただの外道だったというのも良いですね。
いままでのボスキャラたちは最後はなんだかんだで和解っぽくなっちゃうんですが、
やっぱり『北斗の拳』は救いようもない外道を派手にぬっ殺す
のが文句なしに一番面白いです。
戦闘面が最後に原点回帰したのも非常に良かったです。
ラスボス・ボルゲの最後はあべし語連発で、

「はぶらばら」
「びィえ」
「かぴぶ」
「あぶた」
「びぎょへ!!」

と、一人であべし語を5ワードもつぶやいて爆死します。
最後だから余計にあべしっとります!


と、まぁこんな感じで、途中に中だるみはあったものの、
最後は非常にらしく終わった『北斗の拳』。
私は決してこの最終回を、引き延ばしの末の尻すぼみエンディングとは
思いません。

この最終回は、愛の物語である『北斗の拳』を綺麗にしめくくった
最後の愛のエピソードだったのだと思います。


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「今日は一日アニソン三昧Z」レポート

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2012年6月16日(土)に、NHK-FMのモンスター番組
『今日は一日アニソン三昧』がひさしぶりに放送されました。

以前、この番組が放送されるという前情報をもとに
 あの頃の思い出のアニソンを振り返る
という記事を、【小学生編】〜【大学生編】まで
書いてきましたが、残った【社会人編】を
この番組の視聴レポートに代えて書いてみます。

朝9:00からスタートして、翌1:30まで
ぶっ続け16時間という超長丁場な番組!

正直、聴いている方もかなりの体力・精神力を要します。
以下、番組の全内容になります。
聴いていた人はもちろん、もしよかったら聴いてなかった人も
読んでみてください〜


  第一部(午前の部)

 001. マジンガーZ(LIVE) / 水木一郎(「マジンガーZ」OP)

まずはいきなりの水木のアニキの生歌からスタート。
「アニソン三昧Z」のタイトルにちなみ、おなじみの「マジンガーZ」の
歌を熱唱です。
この番組的には一曲目に何を流すのかというのは毎回重く扱われて、
選曲方法も考えに考えられていたイメージがありますが、
今回はわりとあっさりと曲がかかりました。
まぁ、番組タイトルを考えればこれ以上ふさわしい曲もないですね。

 002. ボルテスVのうた / 堀江美都子、こおろぎ'73、コロムビアゆりかご会(「超電磁マシーン ボルテスV」OP)
 003. 行くぞ! ゴーダム / 水木一郎、ヤング・フレッシュ(「ゴワッパー5 ゴーダム」)
 004. LAST TRAIN -新しい朝- / knotlamp(「遊戯王5D's」OP)

オープニングの生歌が終わって、最初に流れた3曲です。
この3曲は、アニソン三昧が5回目ということで「5」にちなんだ
曲がリクエストから選ばれました。

 005. 星のシルエット(和也のテーマ) / 芹澤廣明(「タッチ」挿入歌)
 006. 愛がひとりぼっち / 岩崎良美(「タッチ」OP)
 007. 風のメッセージ(達也のテーマ) / 芹澤廣明(「タッチ」挿入歌)

続いてのブロックは『タッチ』の曲で固められています。
『タッチ』といえば、ド定番の「タッチ」を外して
あえてこの曲を!といった切実なリクエストが選ばれました。

 008. 10YEARS AFTER/米倉千尋(「OVA「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」ED)
 009. JUST COMMUNICATION / TWO-MIX(「新機動戦記ガンダムW」OP)
 010. Resolution / ROMANTIC MODE(「機動新世紀ガンダムX」OP)
 011. 君は僕に似ている / See-Saw(「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」ED)
 012. いくつもの愛をかさねて / 岩崎元是(「機動戦士Vガンダム」挿入歌)

そして、ガンダムづくしキタ!
毎回、ガンダムシリーズは「ガンダム特集」でまとめて流される
傾向にありますが、今回もそうでした。
結構早いうちからガンダム系やっちゃうんだなーと
ちょっともったいない気もしましたが。
締めが『Vガンダム』のじいさんたちがリーンホースで
特攻するときにかかる曲だったのが渋くて素敵でした。

 013. 夢をかなえてドラえもん / mao コーラス:ひまわりキッズ(「ドラえもん」OP)
 014. はじめてのチュウ / あんしんパパ(「キテレツ大百科」)

小田急線の駅メロディに、ドラえもんやキテレツ大百科などの
メロディが使われているというリクエストハガキから
この2曲がかかりました。
「夢をかなえてドラえもん」は今回初めてまともに聴きましたが、
とても素敵な曲ですぐ好きになってしまいました。

 015. ムーンライト伝説 / DALI(「美少女戦士セーラームーン」OP)
 016. 乙女のポリシー / 石田燿子(「美少女戦士セーラームーンR」ED)
 017. タキシード・ミラージュ / 三石琴乃、久川綾、富沢美智恵、篠原恵美、深見梨加(「美少女戦士セーラームーンS」ED)

このパートはセーラームーンづくしですね。
セーラームーンって魔法少女に入るんですかね?

さて、今回目玉企画として「アニソン大好き度チェック」ということで
イントロクイズが出題されました。
毎回、ある括りでもって選ばれた4〜5曲のイントロを流して
その曲名を当てるという、シンプルながらも熱いイベントです。

第一弾は「魔法少女」のくくりで下記5曲のイントロが
出題されました。

 018. ひみつのアッコちゃん / 堀江美都子(「ひみつのアッコちゃん」OP)
 019. 花の子ルンルン / 堀江美都子、ザ・チャープス(「花の子ルンルン」OP)
 020. ラブ・ラブ・ミンキーモモ / 小山茉美(「魔法のプリンセス ミンキーモモ」OP)
 021. デリケートに好きして / 太田貴子(「魔法の天使クリィミーマミ」OP)
 022. Catch You Catch Me / グミ(「カードキャプターさくら」OP)

曲目をみればわかる通り、古きから新しきまでまんべんなく
出題されている様がわかります。
答えがわかった人はメールフォームから解答するのですが、
このパートでの正解率は48%でした。
バランス良い難易度!

 023. 狼少年ケン / 西六郷少年合唱団(「狼少年ケン」OP)
 024. 黄金バット / ボーカル・ショップ(「黄金バット」OP)
 025. スーパージェッター / 上高田少年合唱団、ナレーター:市川治(「未来から来た少年スーパージェッター」OP)
 026. キューティーハニー / 前川陽子(「キューティーハニー」OP)
 027. 魔法使いサリー / スリー・グレイセス(「魔法使いサリー」OP)
 028. そばかすプッチー / フジ・ジュニア合唱団(「そばかすプッチー」OP)
 029. 王者 侍ジャイアンツ / ロイヤルナイツ(「侍ジャイアンツ」OP)
 030. ズッコのうた / 山田康雄、ヤング・フレッシュ(「アンデルセン物語」ED)
 031. ぼくはカリメロ / 山崎リナ(「カリメロ」OP)
 032. 異次元ストーリー / ポプラ(「夢戦士ウイングマン」OP)
 033. 陽だまり / 村下孝蔵(「めぞん一刻」OP)
 034. ニルスのふしぎな旅 / 加橋かつみ(「ニルスのふしぎな旅」OP)
 035. 天才バカボン / アイドル・フォー(「天才バカボン」OP)
 036. Happy Girl / 喜多村英梨(「パパのいうことを聞きなさい!」OP)

ちょっと、この時間帯から外出してしまったので
ここの部分を聴くことができませんでした。
曲目だけみると、オールド系が中心のようですね。
最後のハッピハピガーだけ妙に浮いてます。

と、ここで午前の部(第一部)が終了。
ニュース、交通情報をはさんで午後の部が開始します。

 
  第二部(お昼の部)

第二部冒頭で、アニソン三昧には皆勤賞で登場している
歌手のLiaさんがゲストで迎えられました。
まずはLiaさんのリクエストで、以下三曲がかかります。

 037. 君をのせて / 井上あずみ(「天空の城ラピュタ」挿入歌)
 038. 花のささやき / 下成佐登子(「小公女セーラ」OP)
 039. 裸足のフローネ / 潘恵子(「家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ」OP)

続いて、自身の曲ということで『Angel Beats!』から以下曲を。

 040. My Soul, Your Beats / Lia(「Angel Beats!」OP)

さらに、今やネット等で国歌(くにうた)と呼ばれている
あの曲をスタジオ生歌で披露します。
すごい優遇されてる!

 041. 鳥の詩(LIVE) / Lia(「Air」OP)

最後は自身の曲がもう1曲かかり、お別れとなりました。

 042. 時を刻む唄 / Lia(「CLANNAD AFTER STORY」OP)

思えば、Liaさんは前回は育児の関係で電話出演でした。
あのとき生まれたばかりだった娘さんも今は2歳。
時が経つのは早いものだなぁ。まさに時を刻む唄・・・。

さて、昼の部冒頭では、午前に一回あったイントロクイズが出題
されていました。
今回は「スポーツ」のくくりでしたが、これが超難問で
正解率はわずか2%!
正解は以下の5曲でしたが・・・

 043. ミラクル・ガール / 永井真理子(「YAWARA!」OP)
 044. アタックNo.1 / 大杉久美子(「アタックNo.1」OP)
 045. しゃにむにシェイクシェイク / SWITCH(「行け!稲中卓球部」OP)
 046. キラキラ キセキ / REDIEAN;MODE(「ガンバリスト! 駿」OP)
 047. 立ち上がリーヨ / T-Pistonz(「イナズマイレブン」OP)

これたぶん『稲中』が鬼門だったんじゃ・・・
だってスポーツじゃないもの!

ここで次のゲストが登場。
海外向けラジオ番組のスペイン語圏での放送担当のパーソナリティ
アルベルト・フォンセカ・酒井さんが登場します。
今回のこの番組も後日、スペイン語圏で一部が放送されるとか。
そんなわけで、ここでは海外からのリクエスト曲がかかります。

 048. DAN DAN 心魅かれてく / FIELD OF VIEW(「ドラゴンボールGT」OP)
 049. 君に贈るララバイ / WELCOME(「特装機兵ドルバック」ED)
 050. BON BON / Hey! Say! 7(「ラブ★コンED)
 051. 君がいない未来 / Do As Infinity(「犬夜叉・完結編」OP)
 052. Tattoo Kiss / r.o.r/s(「カレイドスター」)

「犬夜叉に人生狂わされた」とリクエストに書いてきた
外国人の方に笑わされました。
海の向こうでもアニメに人生狂わされてる人がいるとは…。

 053. CAT'S EYE / ANIMETAL USA(「CAT'S EYE」)

アルベルトさんとのお別れの際に、なぜか唐突に
アニメタルUSA版のキャッツアイが流れます。
一応、ちゃんとリクエストがきた曲だったようです。

 054. SCARLET KNIGHT / 水樹奈々(「DOG DAYS」OP)
 055. 純潔パラドックス / 水樹奈々(「BLOOD-C」ED)
 056. 逆光のフリューゲル / ツヴァイウィング《水樹奈々、高山みなみ》(「戦姫絶唱シンフォギア」劇中歌)

このパートは水樹奈々系三連続です。
録音でご自身からのメッセージがありました。

 057. Go!Go!MANIAC / 放課後ティータイム(「けいおん!!」OP)
 058. ごはんはおかず / 放課後ティータイム(「けいおん!!」劇中歌)
 059. U&I / 放課後ティータイム(「けいおん!!」劇中歌)
 060. Singing! / 放課後ティータイム(映画「けいおん!!」ED)

このあたりで放送時間も15時のティータイムに近づいてきた
ということで、それにちなんで「放課後ティータイム」の曲が
かかりました。
リクエストが読まれたのは、58.ごはんはおかずを除いた3曲でしたが、
なぜか「Go!Go!MANIAC」のあとに「ごはんはおかず」がかかるという
ハプニングが起こります。
途中まで流れたところであわてたように止められましたが、
どうせだったら最後まで流しても・・・と思いました。
中途半端に流れましたが一応、58曲目として認められました。

 061. ゲキテイ(檄!帝国華撃団) / 横山智佐+帝国歌劇団(「サクラ大戦」OP)
 062. ウィーアー! / きただに ひろし(「ONE PIECE 」OP)
 063. 勇者王誕生! / 遠藤正明(「勇者王ガオガイガー」OP)

このパートでは、作曲家・田中公平さんがゲストに迎えられます。
ご自身作曲の3曲が流れます。ぜんぶ熱い曲!

 064. エイトマン / 克美しげる(「エイトマン」OP)
 065. 魔訶不思議アドベンチャー / 高橋洋樹(「ドラゴンボール」OP)
 066. プラチナ / 坂本真綾(「カードキャプターさくら」OP)

つづいて、田中公平さんが評価する3曲が。
特に「プラチナ」については、以前NHK-BSの番組で
コード進行の素晴らしさについてさんざん解説していた曲
でしたので納得の選曲という感じでしょうか。

 067. DangDang気になる / 中村由真(「美味しんぼ」OP)
 068. NIGHT OF SUMMERSIDE / 池田政典(「きまぐれオレンジロード」OP)
 069. まっ白なリングへ / 堀欣也(「がんばれ元気」OP)

このパートは通常リクエストです。
「DangDang気になる」は、前に「DAN DAN 心魅かれてく」がかかってる
こともあり、ちょっとニヤリとする感じ。

で、ここで恒例のNHKアナウンサー藤崎さんによる
「マクロス特集」がやってきます。
今回の選曲は以下のようになりました。

 070. マクロス / 藤原誠(「超時空要塞マクロス」OP)
 071. ランナー(リン・ミンメイver.) / 飯島真理(「超時空要塞マクロス」)
 072. SEVENTH MOON / FIREBOMBER(「マクロス7」OP)
 073. VOICES / 新居昭乃(「マクロスプラス」OP)
 074. トライアングラー / 坂本真綾(「マクロスF」OP)
 075. 娘々FINAL ATTACK フロンティア グレイテスト☆ヒッツ! / May'n、中島愛(劇場版「マクロスF〜サヨナラノツバサ」挿入歌)

前回が「歌姫特集」だったので、今回は初代OPやFIREBOMBERの曲も入っていて
バランス取れてる感じがしますね。
最後の曲は劇場版でかかった超絶メドレーで、曲時間7分近くの
豪華な曲でした。

マクロス特集後、ゲストの「Kalafina」が登場。
3名の女性ボーカルによるユニットです。

 076. oblivious / Kalafina(劇場版アニメ「空の境界 第一章 俯瞰風景」)
 077. Magia / Kalafina(「魔法少女まどか☆マギカ」ED)
 078. to the beginning / Kalafina(「Fate/Zero」OP)

こんな感じで、あたらしめな曲がかかりました。
全部聴いたことある曲ですが、「Kalafina」と意識して
聴いたことはなかったなー。
3曲とも物凄い神々しい曲・・・。

 079. カントリー・ロード / 本名陽子(映画「耳をすませば」主題歌)
 080. Share The World / 東方神起(「ONE PIECE」ED)
 081. ゆずれない願い / 田村直美(「魔法騎士(マジックナイト)レイアース」OP)

この3曲は、Kalafinaの3人それぞれのリクエストです。

 082. ポプラ通りの家 / ピーカブー(「キャプテン・フューチャー」ED)
 083. 夢ノート / AZUSA(「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」OP)

ここは普通リクエストです。
そろそろ夕方の時間帯に入ってきます。

ここで、昼にスポーツもので解答者を苦しめたイントロクイズが!
今回のくくりは「ロボットもの」!
さて、どんな感じの曲目だったのでしょうか?

 084. ゲッターロボ! / ささきいさお(「ゲッターロボ!」OP)
 085. 勇者ライディーン / 子門真人、コロムビアゆりかご会(「勇者ライディーン」OP)
 086. コン・バトラーVのテーマ / 水木一郎、ザ・ブレッスン・フォー(「超電磁ロボ コン・バトラーV」OP)
 087. ドリーム・シフト / SILK(「絶対無敵ライジンオー」OP)
 088. Shangri-La / angela(「蒼穹のファフナー」OP)

前回反省したのかこれはわかりやすかった!
正解率も95%と極端に跳ね上がりました。

 089. KinKiのやる気まんまんソング / Kinki Kids(「ちびまる子ちゃん」OP)
 090. 勇気100% / Sexy Zone(「忍たま乱太郎」OP)
 091. Sunshine / MONKEY MAJIK(「ぬらりひょんの孫」OP)
 092. コールドフィンガーガール / 栗山千明(「レベルE」OP)
 093. READY!! / 765PRO ALLSTARS(「THE IDOLM@STER」OP)
 094. CHANGE!!!! / 765PRO ALLSTA(「THE IDOLM@STER」OP)
 095. 君が好きだと叫びたい / BAAD(「スラムダンク」OP)
 096. 1/3の純情な感情 / SIAM SHADE(「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」ED)
 097. YOU GET TO BURNING / 松澤由美(「機動戦艦ナデシコ」OP)
 098. ギリギリchop / B'z(「名探偵コナン」OP)
 099. コンディション・グリーン 緊急発進 / 笠原弘子(「機動警察パトレイバー」)

このパートは直球勝負の普通リクエスト。
やる気まんまんソングはさくらももこ先生作詞の非常にらしい曲。
勇気100%はどんだけバージョンあるの?
ぬら孫の曲なら、片手SizeのED曲が聴きたかったかも。MONKEY MAJIK好きだけど。
レベルEは最近アニメ化されましたが、OPはあんま印象なかったかも。
アイマスOP2曲は初めてフルで聴きました。素晴らしい。
ラスト5曲は90年代青春世代狙い撃ちだろうこれって感じのたたみかけでした。

ここで、お昼の部終了。
ニュース、交通情報をはさんで夜の部が開始します。


  第三部(夜の部)

 100. only my railgun / fripSide(「とある科学の超電磁砲」OP)
 101. YOU / YURIA(「SHUFFLE!」OP)
 102. 猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」 / ももいろクローバーZ(「モーレツ宇宙海賊」OP)

開幕3曲が夜の部の訪れを告げます。

 103. われらの旅立ち / 水木一郎(「宇宙海賊キャプテンハーロック」ED)
 104. サイボーグ009 / マイスタージンガー(「サイボーグ009」OP)
 105. 疾風ザブングル / 串田アキラ(「戦闘メカ ザブングル」OP)

ゲスト・ショッカーO野さんを迎えて渋めの3曲。
ザブングル!

 106. わが友マジンガーZ / 水木一郎(「マジンガーZ」挿入歌)
 107. 空飛ぶマジンガーZ / 水木一郎、コロムビアゆりかご会(「マジンガーZ」挿入歌)
 108. ルパン三世 愛のテーマ / 水木一郎(「ルパン三世」ED)
 109. バビル2世 / 水木一郎、コロムビアゆりかご会(「バビル2世」OP)

水木づくしの怒涛の4曲!
ここでショッカーO野さんとお別れです。

 110. ペガサス幻想(ファンタジー) / MAKE-UP(「聖闘士星矢」OP)
 111. 晴れてハレルヤ / 奥井亜紀(「魔法陣グルグル」OP)
 112. それでも明日はやってくる / 鈴木結女(「NINKU -忍空-」ED)
 113. Butter-Fly / 和田光司(「デジモンアドベンチャー」OP)

普通リクエストですが、この4曲はピンポイントで自分直撃でした。
忍空は物語の内容は全然憶えてないのにOP・EDだけはやたら
印象に残ってるという、自分のなかでは特殊な作品です。

 114. 心絵 / ロードオブメジャー(「メジャー」OP)
 115. Reckless fire / 井出泰彰(「スクライド」OP)

同じく普通リクエスト。
ススススクライドォ!(若本規夫ちゃんの声で)

さて、ここで恒例のイントロクイズの解答です。
今回は「効果音やセリフで始まる曲」のくくりでした。

 116. 燃えてヒーロー / 沖田浩之・小粥よう子(「キャプテン翼」OP)
 117. ゆけゆけ飛雄馬 / アンサンブル・ボッカ(「巨人の星」OP)
 118. がんばれドカベン / こおろぎ‘73(「ドカベン」OP)
 119. 夢を勝ちとろう / 水木一郎、セリフ:頓宮恭子(「プロゴルファー猿」OP)
 120. 翔べ!ガンダム / 池田鴻(「機動戦士ガンダム」OP)

なんと5曲中4曲がスポーツもの!
昼の部の問題はなんだったのか・・・。
正解率は50%でした。

 121. 空色デイズ / 中川翔子(「天元突破グレンラガン」OP)
 122. マジLOVE1000% / ST☆RISH(「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE1000%」メインテーマ)

普通リクエストです。
しょこたんこと中川翔子さんはFAXで水木のアニキの
似顔絵を送ってましたが、激ウマでびっくりします。
(番組HPで見られます)

ここで、ゲストの佐咲紗花さん登場です。
自身の曲がかかります。

 123. 星彩のRipieno / 佐咲紗花(「戦う司書 The Book of Bantorra」OP)

そして、以下3曲はゲストのリクエスト。

 124. わぴこ元気予報! / 内田順子(「きんぎょ注意報!」OP)
 125. もってけ!セーラーふく / 平野綾、加藤英美里、福原香織、遠藤綾(「らき☆すた」OP)
 126. Agape / メロキュア(「円盤皇女ワるきゅーレ」劇中歌)

「わぴこの元気予報!」は紗花さんの作詞の練習に
よく用いた曲だったとか。
3番、4番があったらこんな歌詞だろうと想像して
作詞を練習していたそうな。面白いことするなぁ

 127. 宇宙戦艦ヤマト / ささきいさお(「宇宙戦艦ヤマト」OP)
 128. Alright!ハートキャッチプリキュア! / 池田彩(「ハートキャッチプリキュア!」OP)
 129. サクラサク / 林原めぐみ(「ラブひな」OP)

普通リクエストです。
最初かける曲が間違えられて「キャシャーン」が一瞬かかりますが、
すぐに止められて、ちゃんとヤマトが流れました。
当然、キャシャーンはノーカンです。

 130. ブルー・ウォーター / 森川美穂(「ふしぎの海のナディア」OP)
 131. 輪舞-revolution / 奥井雅美(「少女革命ウテナ」OP)
 132. 路地裏の宇宙少年 / ザ・コブラツイスターズ(「地球防衛企業ダイ・ガード」OP)
 133. 覚醒ヒロイズム?THE HERO WITHOUT A "NAME"? / アンティック-珈琲店-(「DARKER THAN BLACK -黒の契約者-」OP)

普通リクエスト。
「輪舞-revolution」のリクエストでは、パーソナリティの緒方さんが
昨年6月9日に亡くなられた川上とも子さんを想って
言葉がつまるという場面がありました。
この曲(輪舞)の歌詞が、まるでとも子さんのことを歌ってるような
ところがあって・・・という話が涙を誘います。

さて、恒例のイントロクイズのコーナーです。
いや、今回は「イントロ」ではありません。
なんと、曲の終わりの部分「コーダ」当てクイズだといいます!
このクイズは想像以上に難しく、皆苦戦したと思われます。

 134. 緋色の空 / 川田まみ(「灼眼のシャナ」OP)
 135. モノクロのキス / シド(「黒執事」OP)
 136. ハレ晴レユカイ / 平野綾、茅原実里、後藤邑子(「涼宮ハルヒの憂鬱」ED)
 137. COLORS / FLOW(「コードギアス 反逆のルルーシュ」OP)
 138. コネクト / ClariS(「魔法少女まどか☆マギカ」OP)

フタを開けてみると「え、この曲だったの!?」という
ビックリっぷり。
あまり曲の終わりって意識して聴かないもんなぁ・・・。
カラオケでも終わり部分は演奏スキップで消しちゃうし。
でも正解率はお昼のスポーツしばりよりは良かったといいます。
ゲストの紗花さんも5曲中4曲当ててました。すごいな!

 139. Zzz / 佐咲紗花(「日常」ED)

ゲスト自身の曲をもって、ここで紗花さんとお別れです。
この曲「ズズズ」って読むんだね知らなかった。

 140. 残酷な天使のテーゼ / 高橋洋子(「新世紀エヴァンゲリオン」OP)
 141. アンバランスなkissをして / 高橋ひろ(「幽☆遊☆白書」ED)

さて、気を取り直して普通リクエストです。
90年代では定番曲な風格のある2曲。

 142. My Heart 言い出せない、Your Heart 確かめたい / GODDESS FAMILY CLUB (「ああっ女神さまっ」)

これは漫画家・藤島康介先生のリクエストです。
本番中、藤島先生がツイッターで「なかなかリクエスト通らないー」
とつぶやいていたのを緒方さんが見兼ねて取り上げた形となります。
藤島先生が5分で描いたというリクエストFAXには、
とっても可愛い女神さま・ベルダンディーの姿が!
これも番組HPで見られます。

 143. 恋愛サーキュレーション / 千石撫子(CV:花澤香菜)(「化物語」OP)
 144. もどかしい世界の上で / 牧野由依(「N・H・Kにようこそ!」ED)
 145. リトルグッバイ / ROCKY CHACK(「ゼーガペイン」ED)

普通リクエスト。透明感のある女性ボーカルが集まりました。
特に恋愛サーキュレーションはツイッター上で
多くの人が冒頭の「せーのっ」をツイートしており、
アニソン三昧を聴いてない人でも、タイムラインを見て
何の曲がかかってるかわかったという場面がありました。
おそろしい曲!

さて、最後のイントロクイズのコーナーがやってきました。
今回はコーダの問題じゃなく、正々堂々のイントロ勝負です。
でも、流すのはガチで一音だけという鬼畜っぷり。
最初のドラムとかギターのカッティングの一音だけとか
こんなのわかるのかー?

 146. 七転八起☆至上主義!/ KOTOKO(「ハヤテのごとく!」OP)
 147. オリオンをなぞる / UNISON SQUARE GARDEN(「TIGER & BUNNY」OP)
 148. 君の知らない物語 / supercell(「化物語」)
 149. 裏切りの夕焼け / THEATRE BROOK(「デュラララ!!」OP)

結構わかってる人いました。
正解率は28%とか。
これが・・・若い力か・・・

 150. おれはグレートマジンガー(LIVE) / 水木一郎(「グレートマジンガー」OP)
 151. グランプリの鷹 / 水木一郎(「アローエンブレムグランプリの鷹」OP)
 152. サバンナを越えて / 水木一郎(「ジャングル大帝」OP
 153. ムーへ飛べ / 水木一郎(「ムーの白鯨」OP)
 154. キャプテンハーロック / 水木一郎(「宇宙海賊キャプテンハーロック」OP)

ここから、一曲でも多く曲をかけるということで
トークをけずって曲加速タイムに入ります。
まずは水木のアニキが生歌で曲数をかせぎます。
さすがアニキだZ!

 155. oath sign / LiSA(「Fate/Zero」OP)
 156. 不完全燃焼 / 石川智晶 (「神様ドォルズ」OP)
 157. Break Out / JAM Project(「スーパーロボット大戦OG -ディバイン・ウォーズ-」OP)

燃える曲で一気に加速!
「不完全燃焼」から、完全燃焼系のJAM Projectの曲につながるという
コンボが面白かったです。

 158. 正解はひとつ!じゃない!! / ミルキィホームズ(「探偵オペラ ミルキィホームズ」OP)
 159. ゆりゆららららゆるゆり大事件 / 七森中☆ごらく部(「ゆるゆり」OP) 
 160. 侵略ノススメ☆ / ULTRA-PRISM with イカ娘(CV:金元寿子)(「侵略!イカ娘」OP)

萌える曲でさらに加速!
「侵略ノススメ」の最後の方にセリフパートがあるの知りませんでした。
TVサイズしか知らずにカラオケで歌って大怪我するパターンですね。

 161. キングゲイナー・オーバー! / 福山芳樹(「OVERMANキングゲイナー」OP)
 162. ヴィーナスとジーザス / やくしまるえつこ(「荒川アンダー ザ ブリッジ」OP)

田中公平ゲストパートでかからなかったので
もうないだろうと思っていたキングゲイナーがここで来ました。
キンゲで最高潮に燃えたあと、えつこさんのウィスパーボイスで
癒されるというのもステキな感じ。

さて、ここで最後の3曲の選曲となります。
最後の曲の選曲法は毎回非常に注目されています。

たとえば、前回は放送日の「5月6日が誕生日の主人公キャラのアニソン」
という選曲法で選ばれましたし、
大晦日〜年明けにかけて放送された前々回は
「年が明けて最初にとどいたリクエスト」でした。

で、今回の選曲方法はー?

アニソン三昧「Z」のタイトルにちなんで、「Z」の次は「A」に戻る
ということで、曲名か歌手名かアニメタイトルに「A」が入る曲
が最後にかかる曲ということになりました。
以下の3曲がラスト曲です!

 163. ハッピー☆マテリアル / 麻帆良学園女子中等部2-A「魔法先生ネギま!」
 164. おしえて A to Z / 田村ゆかり(「B型H系」)
 165. Morning Arch / 河野マリナ(「Aチャンネル」)

どうでしょう?

「AといえばターンAガンダムだろ!」とか
「AKIRAだろ!」とか
「Angel Beats!だろ!」とか
いろんな声を聞きました。

あと、そもそもリクエストしていたのにかからなかったー
という人もたくさんいることでしょう。
後になって曲目を見返してみると、
あのタイトルがないなー、あれもないなー
となんとなく気になってしまいます。

まぁ、たしかに自分で持ってる音源を一人で
聴いていれば良いことかもしれませんが、
この番組は全国のアニソン好き達と一緒に聴いてる感覚が楽しい
のであって、何百回と聴き込んでる曲であってもやっぱり
番組でかかってほしいというのは人情です。

でも、きっとアニソン三昧は次もあります。
今回かからなかったあの曲も、もしかして次回
みんなで聴けるかもしれません。

次は何年後になるかはわかりませんが、
次回の「アニソン三昧」を期待しつつ、日々を過ごしていきます・・・。


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思い出の一話〜【ちびまる子ちゃん 「まる子 おすし屋さんに行く」】

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印象に残ってる漫画やアニメの一話をピックアップして掘り下げる
「思い出の一話」のコーナーです。
今回は『ちびまる子ちゃん』を取り上げます。

現在では、日曜夕方6時放送のアニメとしてすっかり定着した
『ちびまる子ちゃん』。
その後に放送されている『サザエさん』と双璧をなして
過ぎゆく日曜を象徴する国民的アニメとなっています。
夕方の時間帯、家族で安心して観られるような内容であり、
ものすごくインパクトのある話はあまりないイメージがありますが、
原作コミックや、アニメ放映初期の話はさくらももこ先生の味のある
描写で大きな笑いを誘う、コメディの要素が非常に濃いものでした。

原作は90年代前半に連載されていたということもあり、
現在からすれば20年以上も前の作品となりますが、
いまだに忘れられない原作エピソードは多数あります。
そんな中でも、ひときわ大きなインパクトを誇ったのは
この「まる子 おすし屋さんへ行く」というエピソードでありました・・・。

一体どんな話だったのか?
以下に見てみましょう


  まる子 おすし屋さんへ行くの巻



もうすぐまる子の誕生日ということで、年金をはたいて
なんでも好きなものを買ってやるという祖父・友蔵ですが、
さすがにまる子は遠慮してトランプをねだります。

まる子の喜ぶ顔がみたい友蔵はまる子に遠慮せずに
本気を出してほしいものをねだるように言います。

「わかったよ 全力をだすよ 本当にいいんだね?」

そんなまる子の警告に、友蔵は

「いいともさ、年寄りの年金の底力をとくと見せてやる」

と自信満々です。
しかし、それが友蔵にとっての悲劇のはじまりでした・・・。



まる子が欲しがったのは「ローラースルーゴーゴー」
という玩具です。
これは1970年代当時実際に流行った玩具で、
本体価格5500円もの当時としては非常に高価な品物でした。

本気を出したまる子にさすがの友蔵も舌を巻きます。

「…さすがじゃ さすがに全力を出しただけのことはあるのう まる子よ」
「うん、わたしが全力を出せばこのくらいの物はねだるよ」

孫の遠慮の一切ないおねだりが聞けて友蔵は満足です。
即決してまる子にローラースルーゴーゴーを買い与えることにしたのでした。

そして、ここでやめとけばいいのに
友蔵のまる子へのサービスはとどまることを知りません。
続いて、友蔵はまる子にごちそうを食べさせてやろうとするのです。

「まる子は何が食べたい?トンカツでもうなぎでも何でもいいぞ 全力で言っとくれ」

友蔵の虎の子の年金は、ローラースルーゴーゴーの
5500円ごときに消えるものではありません。
まる子がどんな豪勢なものをねだろうが所詮は子どもの食事。
なにがきても決して揺るぐことはないはずでした。
ところが・・・!



なんとまる子がねだったのはカウンターのおすし屋!
これは完全に友蔵の予想のナナメ上を行くおねだりでした。
まる子のおねだりあなどりがたし!
しかし、年金の力はカウンターのすし屋一回の食事で
無くなってしまうほどヤワなものではないはずです。
友蔵は内心動揺しつつも、まる子のおねだりを受け入れます。



まる子が選んだ店は"高い"で有名は「石松寿司」でした。
友蔵は安めの光りモノでまる子の腹を満たそうとしますが、
全力のまる子が光りモノで満足するはずがありません。
初手からウニ!
まる子の全力が友蔵の財布をおびやかします。



ウニ→イクラと、明らかに高価なネタを狙い撃ちに注文する
まる子にドキドキしつつ食事を続けていると、花輪クンが来店します。
超絶金持ちである花輪家の御曹司が通うようなすし屋・・・。
友蔵のドキドキ感は止まりません。
しかも、花輪クンの寿司は特別製だといいます。
聞いたこともないキャビア寿司におどろきたまげる友蔵。
まるでここは違う世界のよう・・・。



「まる子も花輪クンとおんなじやつ食べたい」

一瞬、時が止まりました。
まる子・・・そこまで全力とは・・・
もうここまで来れば友蔵も腹をくくります。



「同じのをくれ」

清水(しみず)の舞台から飛び降りた友蔵はキメ顔でそう言いました。
ヒデじいと石松の店主がドン引きする中、なぜか不敵に笑う花輪クン。

食事を終えた花輪クンはいつものように「ツケ」で勘定をスルーしたため
友蔵に特別製すし盛りの値段はわかりませんでした。
花輪クンと同じ特別製をパクつくまる子を横目に、びびりすぎて
シメサバしか食えない友蔵。



さらに、まる子の全力はとどまるところを知りません。
キャビアをもう一回!

 まる子に全力を出せなんて言ったわしがバカだった…
 おそろしい事になってしまったわい…

ここにきてようやく自らの過ちを認めた友蔵。

 まる子よもう全力はいいからたのむ!ブレーキをかけてくれ!!
 わしの年金の力もまる子の全力にはかなわぬ!

しかし、友蔵のねがいもむなしく、まる子の全力は続きます。



みやげェ・・・!!

もうやめて、友蔵の年金は多分とっくにゼロよ!
ようやく漕ぎつけたお勘定の最中、神に祈ることしかできない友蔵。
そして、審判の時来たる



食いも食ったり7万5千円!

おおよそ食事代とは思えぬ天文学的数字に絶句する友蔵。
だが、よかった。たしか年金は8万円あったはず。

が、足りないっ!?
そうだった!
5500円のローラースルーゴーゴーを買っていたのだった!



動転した友蔵は小脇にローラースルーゴーゴーをかかえて全力で
おもちゃ屋に走りました。
たった500円が足りないがために。
ナレーターも言ってるけど、いっそそれに乗って
家まで金を取りに行ったらどうだ?

が、もう完全にわけがわからなくなっている友蔵に
そんな冷静な判断がくだせるはずもなく、
あわれ一度まる子に買い与えられたローラースルーゴーゴーは
おもちゃ屋へ返品されることになったのでした・・・。


  感想

どうでしょう?
ものすごくインパクトのある話ではないでしょうか。
まる子の容赦の一切ない全力と、それに動揺しまくる友蔵の
内心の描写が非常に痛快なエピソードです。
これは当時読んだとき腹がよじれるほど爆笑しました。面白すぎて。
初期の友蔵は本当にまる子に振り回されてアワアワするのがよく似合う
おじいちゃんだったなァ・・・。

この『ちびまる子ちゃん』。作者であるさくらももこ先生の幼少期を
ネタにした作品なので、実話を元にしたエピソードなの!?と
ちょっとざわっとしてしまいますが、そもそも実際の友蔵は
さくら先生たち家族にとって、非常に嫌なじいさんだったらしいので
多分これは作り話だと思います。そらそうだよ。

さて、このエピのみどころをどこから語っていいか悩みますが、
やっぱり友蔵の心の葛藤がメインということで、
友蔵のキャラの象徴ともいえる「心の俳句」が
大放出している点に注目してみましょう。

まずは、年金をもらった友蔵がまる子になんでも買ってやると言う
シーンに挿入される俳句がこちら↓

 孫のため 年金つかう 覚悟せむ
 (友蔵 心の俳句)

うーん、これは結末を知った上で詠むと非常に味わい深い句です。
このときの「覚悟」がのちに起こる友蔵の悲劇を確定させたのですからね。
つづいて、すし屋に入ってからの句がこちら↓

 ウニなんて わしも食べたい だけどシメサバ
 (友蔵 がまんの俳句)

これは涙なしには詠めない名句・・・!
まる子の全力にびびり、自分は安い光モノしか頼めない友蔵の
つらさが伝わってきます。
他人の金で遠慮なく食う高級品は本当に美味いもんですが、
自腹を切って、しかもいくらになるかもわからないような高級店で
する食事などそりゃあ味わう心の余裕もないでしょう。
シメサバとはいえ高級店の寿司なんだから、それなりに美味い
はずですが、友蔵から一切寿司の味の感想が出ていないことから
その辺りの苦が伝わってきます。

また、このエピソードの次のエピソードでも、
友蔵は心の俳句を詠んでいます。

 100円で 喜ぶ孫よ 我ゆるせ
 (友蔵 罪ほろぼしの俳句)

ローラースルーゴーゴーを返品してしまったことで
まる子に負い目を感じる友蔵が、せめてもの罪ほろぼしを
ということでまる子に100円のおこづかいをあげたときに
詠んだ句です。
明らかに悪いのは異常な金額のすしを食い荒らしたまる子の
はずですが、それでも全力を出せと言ったのは自分…。
そのあたりを自分の「罪」として罪ほろぼしと称すのは
ちょっと友蔵にとっても酷じゃないでしょうか。

しかし、マジで食いも食ったもんです75000円も。
75000円ったら、居酒屋でちょっと高めの5000円コース
15人分ですよ。
現在の価値でも十分高いのに、これが70年代当時の金銭価値に
当てはめたらどうなるのかちょっと想像もつきません。
75000円で友蔵が絶句してるときに、横でまる子がにこにこしてるのも
75000円が具体的にどんな価値を持つのかまるで
わかってないからでしょう。
まる子はただ友蔵の言われるがまま全力を出しただけなのですから。

まる子の全力に対する友蔵のリアクションも本エピソードの
みどころのひとつですね。
まずは、すし屋のカウンターと言われて後頭部に矢が突き刺さって、
いきなりウニを注文されて、殻付ウニがビシビシ降りそそぎ、
まる子の全力に気おされて清水の舞台から飛び降りたり、
キャビアまさかの再注文で銃で額撃ち抜かれたり、
トドメのおみやで戦車の集中砲火喰らうというフルボッコっぷりです。
まる子無双にもほどがある!
その連続攻撃で追い詰められた末の友蔵の行動が最後のおもちゃ屋への全力ダッシュ
というのだから、もう友蔵このエピソードで死んじゃってもおかしくないくらいの
ダメージを受けてるんじゃないでしょうか。

こんだけ密度の濃いエピソードがたった16ページに集約されていると
思えば、そりゃ印象にバッチリ残るわけですよ。
この次のエピソード「まる子 ローラースルーゴーゴーがどうしてもほしいっ!」の巻
も面白いんですけどね。
次へつながるという点からみても、この一話の占める
ウエイトはでかいです。

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【ちびまる子ちゃん】の青春時代

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【故キャラを偲ぶ】〜仙水忍編(幽遊白書)

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物語途中で死んでしまうキャラを取り上げ、そのキャラの
生前の活躍などを省みてその死を悼もうというコーナー記事です。

このコーナー、記事タイトルでネタバレしてしまうという
致命的な欠点をはらんでおり、なんとなく書くのを避けてきたんですが
まぁこの際開き直って書いてしまいます。

今回は『幽遊白書』の「仙水 忍(せんすいしのぶ)」を取り上げます。
作品の人気を確立し、戸愚呂(弟)をラスボスとした「暗黒武術会編」が
完結し、次なる展開として「魔界の扉編」が始まります。
仙水は、その「魔界の扉編」のラスボスでした。
今まで妖怪を相手に戦ってきた幽助たちにとって初めての人間の敵と
いうこともあり、ちょっと異色な戦いが続いた本シリーズ。
ストーリー展開も暗くて重く、必然読者も仙水に対しては
ネガティブなイメージを持ったのではないでしょうか。

そんな仙水の心の闇にも触れつつ、彼の少年時代から
そのキャラクターをみていきましょう。


  仙水の幼少期〜少年期

仙水は生まれたときから強い霊力を持っていました。
そのため、仙水は子どもの頃から邪霊や妖怪に命を狙われ続けながら
生きてきました。
仙水はずっと不思議に思っていました。

 「どうしてボクだけ見える生き物がいるんだろう」
 「どうしてそいつらはボクを嫌っているんだろう」
 「殺そうとするんだろう」

答えがわからないまま、戦い方だけが上手くなって行きました。
やがて仙水は安易な二元論にたどり着きます。

 「きっとボクは選ばれた正義の戦士で」
 「あいつらは人間に害を及ぼす悪者なんだな」

幼少期に確立したこの二元論は少年へと成長を遂げてもなお
揺らぐことはありませんでした。



胸に正義感を抱き、妖怪を屠り続ける仙水はやがて「霊界探偵」となります。
霊界からの指令によって犯罪を行った妖怪をとらえたり倒したりするこの使命は、
強い正義感を抱く仙水にとって最適なものでした。
が、彼の正義感は少々極端であり、仙水はすさまじい数の妖怪と戦い、
倒した妖怪はすべて殺しました。

 「仙水を見て生きて帰った魔物はいない」

闇の世界でそうささやかれるほど、仙水のあり様は苛烈でした。



そんな中、仙水が唯一殺さなかった妖怪がいました。
"闇撫(やみなで)"の樹(いつき)。
トドメを刺される直前に、ほんの少し「人間臭さ」を口にした樹は
「妖怪はすべて悪」と信じ込む仙水にとって天地がひっくり返るほど
衝撃的でした。



樹の存在は、仙水に「妖怪にもいろんなやつがいる」ということを
悟らせました。
二人は打ち解け合い、やがてお互いを信じあえるパートナーとなりました。




そして、樹がパートナーとなってほどなく、
仙水の立場を180度変えてしまう事件が起こりました。
密売組織・ブラックブッククラブを追っていた仙水は
その途中、自分の持っていた価値観とは全く逆の光景を
目の当たりにしました。



それは、人間が欲望のままに妖怪を喰いものにしている光景でした。
今まで人間を守るために妖怪と戦っていた仙水にとって
衝撃的な光景が目の前に広がっていました。



仙水はその場にいた人間をすべて殺しました。
この事件で仙水は人間に生きる価値があるのかと疑問を持ち、
やがて霊界探偵の任務を放棄して行方をくらませます。
その際に、霊界の資料館から人間の非道な行いを記録した
「黒の章」というビデオテープを持ち出しました・・・。

仙水が霊界を相手取り、大きな動きに出るのは
この10年後となります。

この事件がきっかけかはわかりませんが、仙水は自らの内に複数の
別人格を創り上げています。
自分自身(忍)を主人格とし、自分の他に6人の人格が発現します。
戦いを担当する3人に、その他のことを担当する3人。
それは、いつ終わるともしれない戦いの日々で仙水が身に付けた
生き残るすべでした。

忍を含めて7人の人格とのことですが、忍以外で実際に作中で登場したのは
理屈屋の『ミノル』と殺し専門の『カズヤ』の2人だけでした。
あとは唯一の女性人格で泣き虫役の『ナル』という人格がいるという
ことが語られたのみで、残り3人の人格は設定のみが存在します。
他には、武器商人の『ジョージ』と、炊事・洗濯等の雑用係の『マコト』。
飼育している動物の世話をする『ヒトシ』という人格がいるようです。




10年後、仙水はある妖怪と出会います。
暗黒武術会で弟の全力グーパンでぶっとばされた戸愚呂(兄)です。
戸愚呂から話を聞いた仙水は、自分の後継者である霊界探偵・浦飯幽助
の活躍を知りました。
仙水は今こそが自らの計画を実行に移すときと悟ります。
人間界と魔界をつなぐ穴を開け、人間界へ強力な妖怪を引き入れる
という壮大な計画です。



穴の完成を阻止しようとする、霊界探偵の後輩・浦飯幽助
との戦いがここに始まります!


  仙水のバトルスタイル

「魔界の扉編」のいっこ前の「暗黒武術会編」のラスボス・戸愚呂(弟)が
レベル(%)を上げて物理で殴るタイプの敵だったのに対して、
仙水は戸愚呂ほどのパワーを持たないまでもトリッキーな動きで
相手の攻撃をいなし、チクチクダメージを与えるタイプの敵でした。



こんな感じ。
上半身は防御に徹し、足技で攻撃する「裂蹴拳」という拳法を使います。
まぁ、ここで戦ってるのは「ミノル」の人格ですが、初めて幽助と
交戦したのがこのミノル式・裂蹴拳なので、どうしても
仙水のバトルスタイルの印象が強いです。
他に、幽助の霊丸と同じ様な霊気の球を蹴って攻撃する「裂蹴紅球波」や
散弾式の「裂蹴紫炎弾」などを使います。
パワーは幽助よりも下ですが、命中精度の高い攻撃を確実に相手に食らわせているのが
とてもスタイリッシュです。
また、霊気の全容量が幽助の10倍ということで、
霊丸数発撃ったらカラっぽになる幽助とは違って、霊気を使ったハデな攻撃を
何回も繰り出すのは圧巻でした。

でも、幽助の奇策で動きを封じられてからはフルボッコでしたが。



腕に仕込んだサイコガンのような「気功銃」を使うのはカズヤ人格です。
でも、腕に銃を仕込んでいるという意外要素があるだけで、あとは
特にこれといった強みもないという・・・。まぁ、トドメ専門だそうですしね。



そして、満を持した主人格・忍のバトルスタイルは「聖光気」という
究極の闘気をもちいたものでした。
この聖光気、身体に纏って空は飛べるは、物質化して武器にも防具にもなるは、
『幽遊白書』内で、仙水一人だけが後の『ハンターハンター』の念能力を使えるかのような
ものすごく応用の効く能力でした。

こんな感じで、仙水のバトルスタイルは実にバラエティに富んでおり、
戦闘シーンを見ていて非常に楽しいキャラでした。
戸愚呂戦のあとに、戸愚呂よりもっとパワーのあるヤツを持ってくるとか
じゃなくて本当によかったと思います。
戦闘を担当する人格のもう一人であろう「武器商人のジョージ」のバトルスタイルも
見てみたかったなぁー。


  仙水 珍場面集

ネガティブかつダークネスな印象が強い仙水さんですが、
実は結構お茶目なところもあります。



ミノル人格のさわやかな笑顔での挑発!
これには幽助もブチギレます。



かと思えば、カズヤ人格の濃ゆい顔でものすごく汚い罵詈雑言!
コエダメって・・・
こんな悪口聞いたのは後にも先にもここだけです。



そして、忍人格のなんだか怖い笑い!!
笑い方が下手な人が、笑えよって言われて笑ったらこんな
笑い方になるような、なんかそういうアレです(うまくいえない怖い



おまけ。


あとは、重度の厨二病引きずってる感じもたまらんです。
思春期に人間の醜さを知って人間を憎悪するのは割と誰もが通る道ですが、
それを26歳になっても引きずってるところからしてすでにアレ・・・。
能力者でもないのに、コードネーム「暗黒天使(ダークエンジェル)」とか
名乗っていたのにも要注目です。



ゲームが得意ってのもなかなか意外です。
「ゲームマスター」の能力を得る天沼とも互角以上のプレイができます。
案外、姿くらましてた10年間ひたすら引きこもってゲームばかりやってたんじゃ・・・

そして、その疑惑はこんな場面でさらに濃厚になります。



デタァ、ここイチの場面をRPGで例える仙水さん!
必ずレベルMAXに上げてからラスボスに挑むって、
それ時間がありあまってる暇人のプレイスタイルですから!

また、こんな場面も。



魔界の扉を開ける洞窟にわざわざテレビとビデオデッキ持ち込んでるのも
どうなんですかね? 電源用のバッテリーとかも持ち込んでるんでしょうか。
しかも、さんざん観てきただろうお気に入りっぽい映画もあえて
内容が実に陳腐とか、でもエンディング曲がとてもきれいとか、
エンディング曲が流れる頃には魔界の扉が開くとか言っちゃったりなんかして
非常に香ばしいことこの上ないです。

パートナーの樹は、こんな感じの仙水の厨二っぷりが大好きらしく、
こんなことを言っています。

 オレは彼が傷つき、汚れ堕ちていく様をただ見ていたかった
 「キャベツ畑」や「コウノトリ」を信じている可愛い女のコに
 無修正のポルノをつきつける時を想像する様な下卑た快感さ
 その点、人間の醜い部分を見続けた仙水の反応は実に理想的だったな
 割り切ることも見ぬふりもできずに、ただ傷つき絶望していった
  (中略)
 変わっていく彼を見守り、彼の望むままに手を貸していただけだ
 そして、これからもそうするだろう

樹、あきらかに仙水の行動を面白がって見てるでしょ。
この、ちょっと歪んだ樹と仙水の関係はリアルタイムで読んでいた当時は
非常にわかりづらいものでしたが、今はなんとなく樹の気持ちもわかります。
なんていうか・・・こう、見守ってあげたくなる感じ!


  仙水の本当の目的、そして死・・・

真面目な話に戻ります。



かつての上司・コエンマと対峙する仙水。
既に開きかけている魔界の穴をふさぐため、霊界最高の防御呪文
「魔封環」を使うというコエンマ。
どうしても仙水がこれ以上事を続けようと言うのなら・・・
というコエンマ苦渋の決断でした。

仙水は、それでも魔界の扉を開くことをやめませんでした。

コエンマの魔封環を防ぎ、浦飯幽助の息の根を止めた仙水は
魔界へと足を踏み入れます。



「素晴らしい」

魔界の光景を見た仙水が思わず感嘆の言葉をもらします。
人間を滅ぼすため、魔界の穴の開通を望んだはずの仙水は
何を思ったのでしょうか。



そして、仙水の目の前に驚くべき光景がありました。
たしかに息の根を止めたはずの浦飯幽助の姿が、そこにはあります。

「魔族大隔世」

浦飯幽助は、はるか昔に人間と交配をした大妖怪の子孫だったのでした。
魔族として覚醒を果たした元・人間を目の当たりにし、何かを思う仙水。



そこで出てきたのはやはり感嘆の言葉。

・・・。



仙水が魔界の穴にこだわったのは、人間を滅ぼすためではなく
ただ魔界へ来てみたかった。本当にそれだけだったといいます。

実は仙水の体内は悪性の病巣に蝕まれており、
あと半月足らずの命でした。

人間の醜さを知った仙水は、自分にもその生き物の血が
流れていることが耐えられず、いっそ魔界に生まれたいと
思うようになっていました。
そして、自分がもう長くはないと悟ると、
ただ魔界で死ぬためだけに、今回の計画を実行したといいます。



仙水は魔族として生まれ変わった浦飯幽助をまぶしそうに
見つめながら語ります。

 戦っているときの君は・・・すごく楽しそうだ
 オレもほんの一瞬だが初めて楽しく戦えた

 ありがとう

 次こそ魔族に生まれますように・・・


仙水の生命は尽きました。

「死んでも霊界には行きたくない」という遺言の通り、
仙水の魂は樹が霊界に渡すことを拒みました。

 これからは二人で静かに時を過ごす
 オレ達はもう飽きたんだ
 お前らはまた別の敵を見つけ戦い続けるがいい

そう言い残し、樹は仙水の魂と姿を消します。
その後二人がどうなったのかは誰も知りません・・・。


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最終回を語れ!〜【寄生獣】編

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ある作品の最終回を取り上げて徹底的に語るコーナーです。
今回は『寄生獣』の最終回について語ってみようと思います。
コーナーの性質上ネタバレ全開となりますので未読の方はご注意ください。

一応、最終回について語る前に『寄生獣』がどんな物語だったのか
おさらいしておきましょう


  『寄生獣』概要

ある日、空から多数の正体不明の生物が飛来した。
その生物は人間の脳に侵入・寄生して全身を支配し、他の人間を
捕食するという性質を持っていた。



寄生後も見た目は人間そのものであった彼ら「パラサイト」は、
高い学習能力から急速に知識や言葉を獲得し、人間社会に紛れ込んでいった。

主人公・泉 新一(いずみしんいち)もパラサイトに寄生された一人だが、
脳への寄生はまぬがれて、右腕に寄生されてしまう。
これにより、新一と「ミギー」と名付けられたパラサイトの
奇妙な共生生活が始まった。


以上が、『寄生獣』の概要です。
物語は、偶然にも寄生生物と人間の中間に位置することとなった
新一の目を通して描かれます。

寄生生物でありながら、高い知能を持つミギーはあっという間に
言葉や人間社会のことを学習し、やたらと知的なしゃべり方をします。
でも、その知的なしゃべりをしてるのが右手・・・というシュールな画が
読者を引きつけます。

寄生生物自体の気味の悪さや、人間を捕食するシーンのグロさから
モンスターパニックやスプラッターホラーの要素が強いですが、
新一&ミギーが他の寄生生物と出会って交戦となるバトルの要素もあり、
寄生生物が人間を捕食するのは何故か?それは他生物や人間が食事を
するのとではどう違うのか?というような、生命について考えさせられる
要素もあり、
非常に幅の広い楽しみ方ができる作品です。

新一とミギーの関係性がどんどん深まっていくのも素晴らしいところで、
初期は知的な言葉を話しつつも、人間の「情」のような部分は
ほとんどなかったミギーが終盤に新一に対して「友情」を感じる場面は
涙なくしては読めません。

また、ほとんどが敵となる他の寄生生物ですが、回を追うごとに
新たな要素を持ったキャラが出てきて読者を飽きさせることがありません。
最初は、誤って犬に寄生してしまったパラサイトとの交戦に始まり、
スタンダードな人間寄生型のパラサイトとの交戦を経て、
やがて、パラサイト側も人間社会への溶け込みがたくみになるにつれ
個性的なパラサイトがちらほらと登場します。
中でも、
パラサイトでありながら自分たちは何のために生まれてきたのかを
真剣に考えつづけ、人間の子どもまで産んだ異色の存在「田村玲子」と
一体の人間に5匹のパラサイトが宿り、その司令塔として最強ともいえる
戦闘能力を発揮した「後藤」は非常に印象深い存在でした。


物語は最強のパラサイト・後藤との戦いをクライマックスとして、
収束を迎えます。
後藤との戦い以降、生物として新たな可能性に目覚めたミギーは
外面活動を停止して「別の方角に歩いてゆく」と新一に言い残して消えました。
新一の右手は、ただの右手に戻りました・・・。

それから、一年後。
『寄生獣』は最終話を迎えます。


  最終話「きみ」



ミギーが新一の右手からいなくなって一年が過ぎました。
高校を卒業し、浪人生となっていた新一は意外な人物と再会します。

「パラサイトに寄生された人間を見破ることができる」という能力を持つ
連続殺人犯の浦上。
一年前の市役所での「殲滅戦」の折、新一と一度だけ顔を会わせた際、
新一に対して、「寄生生物ではないが何か他の人間とは違っている」という
ことを見抜いた人物です。



浦上は新一のガールフレンド・村野里美を人質に取り、
新一に問いを投げかけます。

「寄生生物どもが人間を殺すなァわかりやすい。ただの食事だ…
 でも、このおれァ何だと思う?」

浦上は、人間はもともとお互いを殺したがっている生き物のはずで、
連続殺人犯の自分こそが人間として正直に生きているといいます。



そのことについて、人間と寄生生物の中間の立場の新一の目から
意見を聞きたいという浦上。
ミギーのことは里美には秘密にしていた新一だったが、
新一が人間と寄生生物の中間の存在だと知ったら里美はどう思うのか…



新一が何かを答えようとした瞬間、里美は新一の言葉を
さえぎるように声をあげました。

「警察…呼んできてよ。こんなヤツにつきあってる必要はない
 こんなヤツのどこが正常な人間よ!あんたこそ寄生生物以上のバケモンじゃない!!」

気丈に浦上を非難する里美。
興味をひかれた浦上のナイフが里美の喉元に当たろうとする時、
新一は走りました。

 助ける! 間に合うさ! そうともおれは脚が速い!
 ただの人間じゃないんだ!
 ヤツの動きなんざ止まって見えるぞ!
 左でナイフをはねあげそのままアゴを砕く!
 同時に右で彼女を! 1秒もかからないさ!



しかし、新一は浦上にビルから突き落とされた里美の手を
掴むことができませんでした。
里美はスローモーションのようにビルから転落して行きます。



悲しみに泣く新一。
モノローグがカットインします。



 道で出会って 知りあいになった生き物が ふと見ると死んでいた
 そんな時 なんで悲しくなるんだろう

 そりゃ 人間がそれだけヒマな動物だからさ
 だがな それこそが人間の最大の取り柄なんだ
 心に余裕(ヒマ)がある生物 なんとすばらしい!!
 だからなあ・・・
 いつまでもメソメソしてるんじゃない 疲れるから自分で持ちな



次の瞬間、なんと新一の右手は確かに里美を掴んでいたのです。
ミギーが・・・戻ってきた!?



空を見上げていて、いつかの死んだ子イヌのことを思い出しました。

かつて、新一は道路で死にかけていた子イヌを助けて、
その最期を里美と共に看取ったことがありました。
子イヌが死んだあと新一はその死体をゴミ箱に捨て、
里美に激しく叱責されました。
その後、ミギーの言葉を受けて新一は子イヌを樹に埋めなおしたのですが、
それを今この場で思い出していました。



里美は「知ってるよ」と答えます。

「それは新一くん・・・きみが新一くんだから・・・」



里美を抱きとめる新一の右手。
ミギーが本当に戻ってきたのかはわかりません。



何かに寄りそい・・・やがて生命が終わるまで・・・


  語り尽くせ、最終回!

さーて、どうだったでしょう『寄生獣』最終回!

最強の敵・後藤と戦ったあとの最後の相手が
ただの人間の殺人鬼・浦上だとは、『寄生獣』をモンスターバトルもの
として読んでいた読者は拍子抜けしたことでしょう。
でも、後藤と戦ったあとだからこそ、最終回での浦上と新一とのやりとりは
興味深いものがあります。

後藤にトドメを刺す際、新一は

「正直言って必死に生きぬこうとしている生き物を殺したくはない…
 そうだ…殺したくないんだよ!殺したくないって思う心が
 人間に残された最後の宝じゃないのか」

というようなことを思っています。
殺したくない気持ちを認めつつ、結局トドメは刺すのですが
新一としても十分に悩んだ末の結論でした。

一個の生物の生命を奪うのに思い悩んだ新一に対して、
浦上の持論は完全に極北です。

「人間はもともととも食いするようにできてるんだよ
 何千年もそうしてきたんだ!」

今まで新一とミギーが戦ってきた寄生生物たちは、
ただの人間の浦上よりよっぽど戦闘能力に秀でていましたが、
「自身の生命維持のために敵を殺す」の一線を超えてはいませんでした。
ところが、浦上の殺人動機は「ただ殺したいから殺す」という
だけであり、殺人動機の理不尽さで言ったら究極です。
そういう意味でいうと、ラスボスにふさわしい存在ともいえます。


途中、いきなり入るモノローグでミギーが人間について語るシーンがあります。
「心にヒマがあるのが人間の最大の取り柄」と人間を称賛します。
他生物からみた人間の評価としては高評価です。
浦上の言うような「お互いを殺し合うのが人間」とか言われなくて
本当良かったと思います。
「別の方角へ歩く」と言い残して消えたミギーですが、
生物としてどのような動きをみせるのか気になっていたところ、
こういう人間を肯定するような発言があるのは安心できるところですね。
そのうえ、里美を助けてくれるというおまけまでつけて。
ちなみに、ミギーが人間のことを良く言うのはこれが初めてです。

結局、ミギーは「戻って」きたのかどうか?



最後の新一の右手のアップのところで、作者の岩明先生は

 目玉をキョロっとか出そうかとちょっと迷いましたが、
 でもあれでいいんです。

と発言しています。
個人的な考えですが、僕は「戻ってきた」と思いたいです。
先のモノローグの、「心にヒマがあるのが人間の最大の取り柄」という
ミギーの人間評ですが、消えてるあいだに何らかの形でミギー自身が
そういう結論にたどり着いて、人間の友達であるところの新一のもとへ
帰ってきて再び共生しようとしたんじゃないかと、
そう思いたいんですよね。


最後に、サブタイの「きみ」ですが、
これは里美がラストに言った「きみが新一くんだから」という言葉に
象徴されるサブタイだと思われます。
そもそも、この里美ちゃんは3話目くらいから

「きみ・・・泉新一くんだよね?」

と発言しており、新一の"変化"を微妙に感じとっています。
このセリフはその後、新一に"変化"があったときにしばしば
登場しており、里美が新一が本当に新一であるかどうかを
常に疑問に思っていたことがわかります。
それが一番顕著だったのが、ラストに話に出てきた
「子イヌのエピソード」だったわけですが、
死んだ子イヌをゴミ箱に捨てるという、それ以前の新一からは
想像もつかないような感情の切り替え方に、里美は激しく戸惑い、
その場を逃げ出しました。

そのあと新一は子イヌを樹の根元に埋めなおしたんですが、
それを里美は知っていたという、ずいぶん時間を開けたネタばらしでした。

結局、里美も新一が知らないところでずっと思い悩んでたんですね。
ミギーに寄生されて、パラサイトたちと交戦するようになってから
新一はものの考え方や外見までもがずいぶんと変わりました。
里美は急速に変化してゆく新一が、本当に新一なのか不安だったと思います。
でも、この「子イヌのエピソード」やその他の出来ごとから、
やっぱり新一は新一なのだと結論したことと思います。
浦上とのやりとりで、新一がパラサイトに寄生されているかもと
わかったところで、新一が新一であることに変わりはありません。

そのようなことをすべて含めての、

「きみが新一くんだから」

というセリフ、引いては「きみ」というサブタイトルなのだと思います。




最後のこのコマも良いですね。
人間も言ってみれば地球に寄生して生きてるわけで、
その「寄生」っていうのを「何かに寄りそい生きる」と
表現したのはこの物語を締めくくる言葉としてはぴったりだと思いました。


と、いうわけで『寄生獣』の物語は素晴らしい最終回でもって
幕を閉じました。
岩明先生も、

 『寄生獣』は私が考えうる最良の形で終了できました。
 最良とは、例えば出版社のスケジュールだとか、
 どっかから抗議や圧力があったとか、作者の金銭欲だとか、
 そうしたものは一切関係なく、純粋に物語の自然な流れの命ずるままに
 何者にもじゃまされることなく最良の形を模索して、
 無事終着点にたどり着けたという事なのです。

と発言しており、この最終回が作者も望んだ形なのだということがわかります。
当時かなり人気があったはずのこの作品を終わらせるという
英断を下したアフタヌーン編集部もなかなか粋ですね。

いまなお「名作」との呼び声も高い『寄生獣』。
その最終回は、作者も太鼓判を押す「最良」の形での最終回だったのでした。


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歴代ドラクエシリーズを振り返る[I〜III]

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本年、『ドラゴンクエスト』シリーズが25周年を迎え、
8月2日には待望のナンバリングタイトル最新作『ドラゴンクエストX』が
発売されました。

DQ25周年を記念して、こんな面白いファンブックが発売されていました。

【送料無料】ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書

【送料無料】ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書価格:1,785円(税込、送料別)



このファンブックでは、ドラクエシリーズの「I」〜「IX」までの
ナンバリングタイトルを「ゲームシステム」「キャラクター」「冒険の旅路」
などの観点から解説しており、それがなかなかに詳細かつ編集愛にあふれていたので、
ついつい自分のなかのドラクエの思い出を引っぱりだされて
おもしろ懐かしく読むことが出来ました。

そこで、今回は自分なりに今まで遊んできたドラクエシリーズの
ナンバリングタイトルを自分なりに振り返り、語ってみようと思います。
上記ファンブックはネタバレないように作られていましたが、
本記事ではネタバレ全開で突っ走ろうと思うので、
未プレイのタイトルがある場合はご注意ください。

では ・・・ 

 ⇒ これまでのぼうけんをおもいだす


  ドラゴンクエストI



  〜STORY〜
 精霊の恵みを受けた美しく豊かな大地、アレフガルド。
 かつて伝説の勇者ロトは、この地を支配していた悪しき大魔王を
 討ち、神から授かりし光の玉で、魔物の軍勢を封じこめたという。
 しかし、時が流れ、アレフガルドをふたたび闇が覆いはじめる。
 悪魔の化身である竜王が魔物の軍勢を率いて光の玉を奪い、
 この地を絶望に閉ざそうとしていたのだ。
 ここに、ロトの血を引く新たな勇者が立ち上がる。
 竜王を倒し、世界に光を取りもどすために―。

  プレイ雑感
 さすがにリアルタイムではプレイしていませんでしたが、
 SFCに移植された「I・II」や携帯アプリ版で大いに
 楽しませていただきました。
 オリジナル版もちょっと触ったことがありますが、
 キャラが常に正面向きのカニ歩きや、やたらと細かい
 「とびら」「とる」「かいだん」コマンドが衝撃的で
 逆に新鮮な感じがしたりしました。
 とにかく、日本においてのRPGのパイオニアということで
 シンプルすぎるシステムながらも、RPGの楽しさのキモが
 しっかりと詰まっていました。

  システムについて
 敵と常にタイマンという戦闘はゲームとして単調かも
 しれませんが、「呪文」や「アイテム」の存在が
 良いアクセントとなっています。
 薬草やMPの残量を気にしつつ、フィールドやダンジョンの
 探索をするというのがメインの楽しみで、敵との戦闘は
 あくまでも主人公の薬草やMPが減る不確定要素なわけです。
 そういう敵との戦闘のリスクを見込みつつ、今回の探索で
 薬草、たいまつ、かぎなどの消耗系アイテムをどれだけ
 持って行くか?という駆け引きや、レベルアップすることで
 着実に自分が強くなっていく感覚が達成感を与えてくれます。
 制作者の堀井雄二氏は、RPGの楽しさをたくさんの人に知って
 もらいたいと思って制作したのがドラクエのはじまり
 とコメントしており、当時敷居の高かったコンピュータRPGを
 一般のゲームユーザーにもわかりやすく伝え、その後の
 日本におけるRPG文化の出発点となりました。

  物語について
 「勇者が魔王を倒す」という非常にシンプルな物語です。
 しかし、シンプルながらも「かつて勇者ロトが大魔王を倒した」
 という伝説が、なにかしら壮大なバックグラウンドを彷彿とさせます。
 すべては、のちの「III」のラストで判明する衝撃的事実のための
 伏線なのです・・・。

  キャラについて
 「I」の主要キャラの数は少ないです。勇者である自分と、ラダトームの王様と
 ローラ姫とラスボスの竜王くらい・・・。
 主人公は「勇者ロトの血を引いている」という以外一切素性不明の人物です。
 角付き兜がトレードマークな彼ですが、『剣神ドラゴンクエスト』
 (DQIの世界が舞台の剣を振って敵を倒す体感ゲーム)では
 まるで超サイヤ人のような金髪逆立ちツンツンヘアであることが判明します。

 ↓こんな感じ。
 

 それにしてもローラ姫がかわいい。
 ローラ姫をドラゴンから助けた際、お姫様だっこでお城へ連れ帰ることに
 なります。その際に宿屋へ泊ると・・・という超有名イベントがありますが
 この姫の外見で想像すると・・・なかなか良いですな!
 ちなみに、ドラクエの主人公は「イコール自分」であるため、
 作中セリフが一切ないのが全シリーズ一貫した特徴となっていますが、
 「I」は例外で、なんとエンディングでしゃべります(!?)


  ドラゴンクエストII 悪霊の神々



  〜STORY〜
 その昔、竜王を討ちアレフガルドを救ったロトの勇者は、助けた姫を
 連れて別天地へ渡り、新たな国を創った。
 勇者が去りしのち、彼の国はローレシア、サマルトリア、ムーンブルク
 の3つに分かたれ、子孫たちの手で平和に治められてきた。
 だが、100年後――ムーンブルク王国滅亡の報が、人々を恐怖に包む。
 それは、まがまがしき神を呼び出して世界に破滅をもたらそうとする
 邪教の大神官ハーゴンの軍勢のしわざだった。
 悪しき陰謀を断つべく、勇者の血を引く3人の男女が、いま旅立つ。
 

  プレイ雑感
 「シリーズ最高難易度」とウワサ高い本作。リアルタイムではプレイして
 いませんが、プレイしたとき自分は小学生でした。
 たしかに難易度は鬼のようだった…。
 キングコブラに苦しめられながらも最初の仲間を探して歩きまわったり、
 やっとみつけたその仲間はすぐ死ぬわ非力だわでガッカリしたり、
 二人目を仲間にするためにあんまりなヒントでラーの鏡を
 延々と探しまわったり、船を入手して見知らぬ土地で
 ものすごい強い魔物に瞬殺されたり…
 鬼畜のごとき落とし穴トラップのロンダルキア洞窟を抜けても
 ほこらにたどり着く前にブリザードにザラキされちゃったら、
 それまでの苦労も水の泡になりかねないという…
 そして、難易度云々以前にプレイヤーを悩ませたのは、やっぱり
 「ふっかつのじゅもん」!!
 「I」とは比べものにならない文字数をへろへろになりながら書きとめ、
 それが間違ってたときの「じゅもんがちがいます」の無常感。
 もうこの世の終わりくらいに思っちゃいますね・・・
 でも、それだけに思い入れの強いタイトルでもあります。
 音楽も「II」が一番好きかも知れない。
 特にフィールドのBGMが仲間が3人揃った途端に変わるという演出が
 素晴らしく、一気に世界が広がった感覚が音楽によってもたらされます。

 ドラクエII フィールドBGM



  システムについて
 前作との最大の違いはなんといっても主人公が「3人パーティ」である
 というところでしょう。
 もちろん、敵も複数で出現し、主人公たちと入り乱れてのバトルと
 なります。これによって戦闘の戦略性が一気に増し、
 戦闘の面白さが格段に増しました。
 また、フィールドマップが前作の6倍ということで、
 海を船で移動するという、乗り物による冒険が可能となりました。
 船を手に入れてからの世界の広がり方はすさまじく、
 どこにでも行けそうな反面、どこに行ったらいいか迷うことも
 しばしばでした。


  物語について
 「I」と同じく、「勇者が魔王を倒す」という王道ド真ん中を踏襲してますが、
 アレフガルドを創ったという精霊ルビスが登場するなど、例のロト伝説に
 厚みが加えられています。すべては「III」のラストのために・・・


  キャラについて
 メインキャラとなる3人は、それぞれほとんどセリフがないのですが、
 ステータス面などからおのずとキャラが定まってきます。
 主人公であるローレシアの王子は呪文は一切使えない脳筋物理攻撃野郎で、
 サマルトリアは回復にしろ攻撃にしろ体力にしろすべてが中途半端なお荷物くん。
 加えて、妹や父親から聞くことのできる「ぼーっとしている」という人物評が
 よりキャラを立たせています。
 さらに、リメイク版で追加されたイベントでは、ハーゴンの呪いによって
 一人だけ寝込んでしまうという始末。なんでこんなイベント追加されたん??
 そんなダメ王子に比べてムーンブルクの王女はずいぶん頼りになります。
 最初からベホイミが使えるし、すぐにバギも覚えるので攻撃・回復どっちも
 イケます。キャラは王女だけあって清楚なイメージかな?
 仲間になる直前まで犬にされていたことが印象的だったのか、王女のイラストを
 検索すると、よく犬耳が付いてたりします。


  ドラゴンクエストIII そして伝説へ…



  〜STORY〜
 それは、勇者ロトの伝説のはじまりとなる物語……。
 昔々、邪悪な魔王バラモスが世界の支配に乗り出し、あまたの戦士
 が魔王討伐を試みるも、志なかばにして散っていった。
 その戦士のひとり、アリアハン国の勇者オルテガが消息を絶って
 十数年後、16歳になったばかりのオルテガの子が、父の遺志を
 継いでバラモスを討つべく旅に出る。
 各地をめぐる長い冒険の果てに、若者が知る真の黒幕――
 そして、地の果てに隠されたもうひとつの世界とは?
 

  プレイ雑感
 おそらく、今でもこのタイトルを「シリーズ最高傑作」に推す人は多いでしょう。
 ルイーダの酒場でのパーティ編成により、自由なパーティ編成で冒険ができるシステム。
 さらに魔王バラモスを倒したあとに登場する大魔王ゾーマを追って闇の世界へ突入すると
 そこには「I」「II」でおなじみのアレフガルドの世界が広がる…
 そう、この「III」は「I」「II」より過去の物語であり、
 伝説の勇者ロトは自分のことだったのだと気付かされるストーリー。
 戦闘、フィールド、ダンジョン、どれをとっても印象深い音楽。
 どれをとっても完成度が高いです。
 「ふっかつのじゅもん」から解放されたのも大きいかもしれません。
 これでもうじゅもんの書きとりミスに悩まなくて良いようになりましたからね。
 でも、今度は違う敵と戦わなければならないハメに・・・。そう。
 デンデロデンデロデンデロデンデロ 「おきのどくですがぼうけんのしょ1はきえました」
 イヤー!!


  システムについて
 前述の通り、ルイーダの酒場で好きな職業の仲間を登録し、
 自由にパーティ編成ができるというのが大きな特徴となっています。
 さらに、ストーリーが進むと登場するダーマの神殿で転職すれば、
 いままで覚えた呪文を引き継いで、別の職業になることができる
 ということで、呪文が使える武闘家や戦士をつくったりと、さらに
 工夫の余地を広げることもできます。
 転職システムは他のナンバリングタイトルでは「VI」「VII」「IX」「X」
 にも登場する恒例のシステムにもなりました。
 (転職システムの仕様は各タイトルで多少異なります)


  物語について
 「I」「II」と同じく「勇者が魔王を倒す」という構造を踏襲しつつも、
 物語のラストで自分が伝説の勇者ロトだということがわかるという
 ストーリー展開が衝撃的でした。
 ロトの武具も、自分が装備していた王者の剣と光の鎧と勇者の盾
 だったとは…
 まぁ、ロトの兜は一体なんなのかということはよく議論されますが、
 細けぇことは(ry

 「I」「II」「III」と三部作続いたロトの物語はこれにて完結となります。
 「II」以降のロト世界がどうなるかは後のタイトルで思わぬ形で
 明らかになりますが、それはまた別のお話。
 次作「IV」からは「天空シリーズ」という新たなストーリー展開となり
 ロトシリーズとの関連は完全に絶たれたかのようにみえましたが、
 リメイク版「III」にて、天空城の元となったゼニス城の主・ゼニス王の
 始祖らしき人物が登場しており、(↓画像参照)
 

 まさかのロトシリーズと天空シリーズが関連し合っているという
 可能性を提示したのでした。


  キャラについて
 パーティキャラには固有人名を持った人物はおらず、セリフもないため
 各キャラがどのような性格であるかはプレイヤーの想像の域を出ませんが、
 むしろそこが逆に各キャラに色んな脳内設定を付けられて
 良かったかもしれません。同人的楽しみ!
 せっかく主人公が男か女を選べるのに、グラフィック的に差がない
 というのも、脳内補完に拍車をかけましたね。
 後にシリーズが刊行される「ドラクエ4コマ劇場」が物凄く面白かった
 のも、ゲーム中ではほとんどしゃべらないキャラたちが
 縦横無尽に暴れまくるってギャップが良かったからかもしれません。

 ちょっと前のコミケでこの「III」の後日談を扱った同人ゲームが
 頒布されていましたが、あれは良かったなぁ。
 動画探したらありました↓

 伝説のかけら


 このゲームの制作者さんの「III」パーティではこんなキャラたちが
 大冒険を繰り広げていたわけですね。
 
 
と、天空シリーズである「IV」〜「VI」の語りは次回(中編にあたるかな)にまわします。
ということで、次回へ続きます…。

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歴代ドラクエシリーズを振り返る[IV〜VI]

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[I〜III]からの続き


「I」〜「III」が「ロトシリーズ」と呼ばれる物語体系であるのに対し、
「IV」〜「VI」は「天空シリーズ」と呼ばれる物語体系となります。
双方のシリーズの世界観的つながりは一見、無いようにみえます。
ロトシリーズが「III」で「I」「II」より過去の話を取り上げたように、
天空シリーズも「VI」で「IV」「V」より過去の話を取り上げている
といった共通点もみられます。


  ドラゴンクエストIV 導かれし者たち



  〜STORY〜
 はるか昔、禁断の術「進化の秘法」を己の身にほどこし、この世ならざる
 力を身につけた、地獄の帝王エスターク。
 神に封じられたその恐るべき魔物が、いまよみがえろうとしていた。
 帝王復活に備えて魔族は暗躍し、世界は破滅の色を帯びていく。
 だが、希望の光は消えてはいなかった。
 真面目な王宮戦士、おてんばな姫君と従者、世界一の武器屋を夢見る商人、
 父の仇を捜す姉妹――7人の男女が、運命に導かれて集う。
 世界を救う力を持つという、天空人の血を引く勇者のもとへ……。


  プレイ雑感
 天空シリーズ第一弾にして、ファミコンで発売されるドラクエの
 最後のタイトルです。ここにきてついに自分がリアルタイムで
 プレイしたドラクエの登場です。
 第一章〜第五章と章立てで区切られた物語は、明らかに今までの
 ドラクエとは毛色が違っていました。
 加えて、章ごとに登場するキャラが異なり、最後の五章でようやく
 冒頭で名前を付けた主人公が登場するという演出が胸熱で物語を
 盛り上げてくれていたのですが、いかんせん五章にたどり着くまで
 が長く、小学生にとっては非常に高難易度だったので、主人公が
 出てくる前に何度もくじけそうになってしまいました。

 「IV」の最大の特徴はなんといっても「キャラ」です。
 今までのドラクエのプレイヤーキャラというのは割と空気というか、
 ある程度プレイヤーの想像力でこういうキャラだろうと補完しなければ
 ならない面が大きかったのですが、今回の「IV」では仲間キャラの
 ひとりひとりに物語があり、必然的にキャラの掘り下げが
 深くなされます。
 同時期に刊行されはじめた「ドラクエ4コマ劇場」の力も借り、
 キャラクター主体のRPGとしてドラクエの新たな可能性を提示したのでした。


  システムについて
 物語が一章〜五章まで分かれたオムニバス形式をとっているとはいえ、
 戦闘などのシステムががらっと変わったわけではありません。
 少なくとも、一章〜四章まではいつもの通りのプレイし慣れた
 ドラクエです。・・・が、
 プレイ感覚がガラッと変わるのは第五章に入ってから。
 なんと、五章は戦闘でのコマンド入力ができるのは主人公だけ。
 他のキャラたちはAIが戦闘での行動を決めるのです。
 プレイヤーとして出来るのは「ガンガンいこうぜ」「じゅもんをつかうな」といった
 作戦変更のみ。あとは仲間が自分で判断して効果的な行動をするわけです。
 まぁ、仲間の内には困ったやつも結構いて、
 初見の敵にとりあえずザキが効くかどうかを何回かためすクリフトとか、
 「III」の遊び人かってくらい戦闘中に奇妙な行動をとるトルネコとか、
 呪文使うキャラ全般そうですが、MP配分を深く考えずに呪文を使う
 のもプレイヤーにとっての頭痛のタネでした・・・。
 特にクリフトのザキ・ザラキ厨っぷりはいまだにネタにされてるくらい
 インパクトがあったわけですが、これはFC版「IV」のAIの仕様が
 戦いながら敵の耐性を学習していくというものであり、
 初見の敵にはどの呪文が効くかわからないので、とりあえず
 ザキ・ザラキを試してしまう(ボスにも)というクリフトの
 一見異常な行動が目立ってしまったことになります。
 ここでの反省を生かしたのか、「V」以降からはAIの仕様が変わり、
 最初から敵の耐性をぜんぶ把握しているようになりました。

 また、本作から「馬車システム」が初登場しており、控えのメンバーを
 フィールド探索中や戦闘中に即座に入れ替えることが可能となりました。
 

  物語について
 いままでの「勇者が魔王を倒す」というシンプルな物語構造から打って変わって
 本作では章立てオムニバス形式の物語ということで、随分と変わった構造と
 なっています。
 ラスボスの存在も最初から明らかにはなっておらず、各章を進めるうえで
 徐々に「デスピサロ」や「エスターク」という魔王の存在が明らかになっていきます。
 また、今回は魔王側にもドラマがあり、ピサロの恋人のエルフ・ロザリーが
 人間たちに殺されるエピソードによってピサロが復讐と狂気に走る様子が
 描かれます。
 主人公も主人公で、第五章の冒頭、ピサロたちの襲撃によって村が襲われ、
 幼なじみの女の子・シンシアが主人公の身代わりとなって殺される
 エピソードがあり、「IV」の物語は全体的に暗く重い空気が漂っています。

 「天空シリーズ」ということで、第五章で導かれし者たちがすべてそろった後は
 「天空」の装備を集めることが物語の主軸となります。
 剣、盾、兜、鎧の4つの天空の装備を集めることにより、天空の塔より
 天空城へと登ることが出来、主人公はそこで自らの出生の秘密を
 知ることとなります。


  キャラについて
 個性的なキャラが多く登場した本作ですが、各キャラにそれほど
 セリフが用意されていたわけではありません。
 キャラがしゃべるのは各章で一場面二場面程度、五章で勇者の
 仲間になるときくらいなものです。
 にもかかわらず、「IV」のキャラというとすぐに見た目と性格が
 イメージできる人が多いです。
 これは、当時刊行されはじめた「ドラクエ4コマ劇場」の力が
 非常に大きく、この4コマ漫画で描かれたキャラの性格や
 しゃべり方やネタなどが、そのまま各キャラに定着していきました。

 生真面目なライアンは、ぽややんとしたホイミンとのかけあいが
 よくネタにされました。
 アリーナ・クリフト・ブライについて、クリフトが姫様大好き
 という設定がすっかり定着してしまったのはよく4コマのネタに
 されたからでした。(本編ではそれほど姫様姫様言ってない)
 トルネコに関しては、妻・ネネや息子とのふれあいが
 ネタで掘り下げられてた感があります。
 トルネコは単身でスピンオフ作品の主人公を張ったりと
 導かれし者たちの中で一番良い目にあっている気がします。
 マーニャ・ミネアに関しては、カジノのスロットでよく
 スッカラカンになる姉と、それに振り回される妹という場面が
 本編中にもありますが、4コマでは殊更ネタになっていました。

 「IV」のキャラは、こうした二次創作でイジられて
 初めて成立したような部分があります。
 ニコ動などでも今ではすっかり有名人の「ヒャダイン」氏の動画では、
 よく「IV」のキャラを題材にした動画が投稿されていました。

DQ4 導かれし者たちで、「明日への旅」【ヒャダイン】




  ドラゴンクエストV 天空の花嫁



  〜STORY〜
 天空の勇者と導かれし者たちが帝王を封じてから数百年。
 空に浮かぶ城はいつしか天の高みから姿を消し、人間界では
 人々を幸せの国に誘うという怪しい「光の教団」が力を増しつつあった。
 そんななか、屈強な戦士である男性と、神に選ばれし種族の
 女性とのあいだに、ひとりの男児が誕生する。
 家族との別れ、伴侶との出会い、そして明かされる己の素性――。
 さまざまな経験を経て彼は成長し、強き心は父から子へ、
 またつぎの世代へと受け継がれていく。
 

  プレイ雑感
 ハードをスーパーファミコンへと移した天空シリーズ第二弾のドラクエです。
 ゲーム中盤、プレイヤーを悩ませる「結婚イベント」が話題となりました。

 「おまえ、ビアンカ派?フローラ派?」

 世のドラクエプレイヤーたちは、さながら源平合戦のように
 金髪の幼なじみ・ビアンカ か 青髪の令嬢・フローラ
 どちらを選ぶかで意見(ときに拳)を交わし合いました。
 物語の流れや結婚しなかった方のその後の人生などを考えると
 ビアンカを嫁にするのが当然の流れではありますが、
 フローラの方が能力的に断然有利+ルドマン(フローラの養父)
 から贈り物がもらえるということで、実利を取るか
 感情を取るかでさらにプレイヤーを悩ませます。
 フローラ、イオナズン覚えるんですよね。
 結構ね、これがデカイんですよ…

 ちなみに、私はSFC版(当時小学生)ではビアンカを選び、
 PS2版ではフローラを選び、DS版でもフローラを選びました。
 (デボラ?そんなん知らん)
 リメイク版では会話システムの導入により、フローラが
 めちゃ可愛いんです、すんません。

ドラクエ5 フローラ会話集



  システムについて
 上記の結婚イベントもそうですが、「V」にはさらに特徴的な
 システムがあります。
 それは、モンスターを仲間にできるシステムです。
 ゲーム中盤になると、倒した敵がまれに仲間になることがあります。
 これがなかなかに面白いシステムで、歴代ドラクエで
 かつて苦しめられたあのモンスターや、あんなモンスターまで
 仲間にできて、自分の手で成長させられる。
 この快感は多くのプレイヤーに感動を与えたようで、のちに
 「ドラクエモンスターズ」シリーズを誕生させるきっかけにも
 なりました。

 あとは細かなシステム変更でいうと、戦闘に参加できる人数が
 なぜか3人に削減されています。(リメイク版では4人に戻る)
 馬車システムによる入れ替えを活用してほしかったからでしょうか?
 また、前作で初登場したAIのシステムは引き続き登場していますが、
 「めいれいさせろ」という作戦が追加されているため、
 AIまかせにせず「III」以前の完全マニュアル戦闘も可能です。


  物語について
 親子三代かけて魔王を倒す物語というコンセプトが根底にあるため、
 必然的に物語は大河的に、より壮大になります。

 いままでのシリーズのように、最初から魔王の存在が明らかに
 なってはおらず、序盤は主人公の幼少期の、おばけ城を探検したり
 妖精の国を救ったりといった無邪気なイベントが続きます。
 しかし、ある事件で主人公の父・パパスと死に別れてからは
 一気に物語に暗い影が射します。
 主人公は「光の教団」にさらわれ、あわれ奴隷の身に。
 そのまま何年も時が過ぎ、たくましい青年へと成長した
 主人公はついに教団を脱出。幼少の頃育った村で父の手紙を読み、
 父が天空の勇者を探して旅をしていたと知ります。
 父の意志を継ぎ、天空の勇者と天空の装備を探すことを
 決意した主人公は、その後運命的な結婚を経て、
 やがて自らに流れる王族の血統のことを知ります。
 そして、大切な女性の身にはいつしか新たな生命が宿り、
 主人公は男女の双子の父親となります。
 しかし、別れは突然やってきます。
 かつて父・パパスを葬った宿敵によって妻ともども
 石にされてしまう主人公。
 そのまま何年も時が過ぎ、石化した主人公はやがて
 成長した自分の子どもたちに助けられることになるのですが、
 驚くべきことに双子の男の子の手には、天空の勇者以外は決して
 装備することのできない天空の剣が握られていたのでした―。

 と、まぁここまで語っただけでもずいぶんとドラマチックです。
 世界中を探し歩いた天空の勇者が、実は自分の子どもだった
 という衝撃的な事実は、当時のプレイヤーを驚かせたことと思います。
 いままでのドラクエでは、主人公=勇者という鉄則が
 あったため、それが覆されたという意味でも衝撃展開です。
 このあとも物語的にドラマの連続なのですが、キリがなさそうなので
 ここらでやめときます。ふー


  キャラについて
 本タイトルでキャラについて語ると、やっぱりどうしても主人公の話に
 なってしまいます。
 もう本当に人生が波乱万丈すぎて・・・

 幼少期6歳から冒険の旅がスタートし、(当然ドラクエ主人公史上最年少)
 父との死別後10年間の奴隷生活を強いられ、
 その後、話の流れでなんとなく結婚してしまい、
 自分がグランバニア王家の血を引いていることが判明(同時に妻の妊娠も判明)し、
 双子が生まれたと思ったら、速攻で妻がさらわれ、
 助けに行った先の塔で宿敵に妻ともども石にされ、
 数年の月日を経て、成長した自分の子どもたちに助けられ、
 その際に息子が天空の勇者であると判明(妻が天空人の血を引いていたことも判明)する。
 それから2年もの歳月をかけ、ついに石化された妻を救出する
 やがて明らかになった魔王を討つべく魔界へ入り、そこで母親と再会。
 しかし、再会もむなしく母親は魔王の攻撃によって命を落とします。
 悲しみをのりこえ、ついに魔王を討ち滅ぼすのでした・・・。

 まとめてみると本当すごいな・・・。
 シリーズ初の勇者じゃない主人公というのもレアですが、
 魔界の民の血を引いているというのもダークヒーローみたいで
 格好良いです。(あと、グランバニア王家の血も引いてるな)

 子どもが双子で、
 男の子の方が天空人の母親の血を濃く受け継ぎ、
 女の子の方が魔界の民の父親の血を濃く受け継いでいる
 という設定もステキです。

 とにかく「V」は血統とか家族の物語でしたね。



  ドラゴンクエストVI 幻の大地



  〜STORY〜
 竜神住まう天空城が大空に現れるよりも昔のこと――。
 魔王ムドーの脅威が忍び寄る世界にて、17歳になるひとりの少年が
 片田舎の村ライフコッドで暮らしていた。
 ある日、村の外に出かけた少年は、自分の姿がまわりからは見えない
 不思議な世界に迷いこむ。
 そこは、古い言い伝えで"幻の大地"とされている場所だった。
 もといた世界と"幻の大地"を行き来するうちに、少年はふたつの
 世界の驚くべき関係と、見失っていた己の正体を知る。
 

  プレイ雑感
 天空シリーズ第三弾にして、ロトシリーズと同じように
 他の二作品よりも過去の物語となります。
 「上の世界」と「下の世界」の2つのマップを行き来しながら
 ストーリーを進めるというプレイスタイルが最大の特徴です。
 「V」がドラクエにしては珍しい、物語に沿った一本道の冒険
 だったのに対して、「VI」は自由度がものすごく高いです。
 次にどこへ行ったらいいか?という目的地の指示はほとんどなく、
 上の世界や下の世界で行ける場所を自分で探し出して進んでいく
 しかありません。
 といっても、ロマサガのようなフリーシナリオというわけではなく、
 現状の自分たちの手持ちの乗り物やアイテムで行ける場所が
 限られており、必然的に物語を進めるルートはほぼ決まってきます。
 あくまでも、そのルートをプレイヤーの力で「発見」すること
 に楽しみを見出せるようなつくりがなされているのです。
 2つの広大なマップ(+海底マップ)、明確な目的地の指示がない、
 ということで、非常に冒険に行き詰まりやすいというのも
 本作の特徴となっています。

 また、「III」以来のダーマの神殿による「職業・転職システム」が
 登場しています。
 システムとしては「III」とは別物になっていますが、ゲームとしての
 ドラクエの新たな方向性を示したシステムとなりました。
 (詳細は事項の「システムについて」で)


  システムについて
 「III」で好評を博した「職業・転職システム」が復活していますが、
 システムの仕様としてはほぼ別物です。
 「VI」のシステムでは、転職してもレベル1からやり直しではありません。
 (装備できるものやキャラグラフィックも変わりません)
 転職をしたキャラは、ベースとなるパラメータから職業固有の補正がかかり、
 パラメータが変化します。

 「VI」ではキャラのレベル・経験値とは別に、職業ごとの経験値ともいえる
 「熟練度」があり、☆の数で表現されます。
 熟練度が上がると、その職業固有の特技や呪文を覚え、
 他の職業に転職してもそれは失われることはありません。
 熟練度の☆が8つまで点灯すると、その職業をマスターしたことになります。
 複数の職業をマスターすることで、さらに新たな「上級職」に就くことができます。
 (戦士・武闘家をマスター⇒上級職・バトルマスター など)

 「III」と明らかに違う点は、職業によってパラメータがまるっと変わるわけ
 ではなく、あくまでもパラメータを補正するというものなので、
 必然的に各キャラに向いている職業が決まっています。
 (力が強くMPが低いハッサンは戦士・武闘家には向くが魔法使いには向かない等)

 また、「V」で好評だった「モンスターを仲間にできるシステム」も存在しますが、
 職業「まものつかい」のキャラがパーティにいなければならない等、条件があるため
 前作ほど大々的にお世話になるシステムではなくなりました。
 (リメイク版では廃止されてます)


  物語について
 物語冒頭でいきなり魔王ムドーとの決戦から始まるという超展開に
 ぎょっとしますが、夢オチ的なサムシングで、かわいい妹に起こされる
 ことになります。
 片田舎のライフコッドの村から物語は始まり、大地に空いた大穴から
 「幻の大地」と呼ばれる下の世界へ辿り着いた主人公は、
 上の世界と下の世界を交互に冒険するうちに、「幻の大地」が
 人々の見ている夢の世界だということに気がつきます。
 さらに驚くべきことに、主人公の冒険が始まった上の世界=夢の世界、
 下の世界=現実世界ということが判明します。
 これは一体どういうことなのか・・・?

 物語冒頭の魔王ムドーとの戦い。
 あれは、夢などではなく現実に起こった出来事なのでした。
 主人公たちはあの時魔王ムドーと戦い、肉体と意識体を分断されていた
 のでした。
 肉体を下の世界に残したまま、意識体を上の世界に飛ばされた主人公は、
 意識体のみの状態でライフコッドの村から旅立ったのでした。

 物語中盤で魔王ムドーを倒したあとは、下の世界のどこかにいる
 主人公の肉体を探すという「自分探し」がメインストーリーとなります。
 そして、主人公が本当の自分を見つけ出す頃には、夢の世界を実体化して封じ、
 現実世界をわがものにしようとする大魔王の存在が明らかになります。

 物語の始めから終わりにかけて、まったく天空シリーズの匂いがしない
 本作ですが、天空シリーズとのつながりはエンディングで明らかになります。
 夢の世界を束ねるゼニス王の住まう城。
 夢の世界を実体化させていた大魔王デスタムーアが倒れた今、
 ゼニス王の城も夢の世界(上の世界)ともども消え去るはずでした。
 しかし、人々の強い望みによって上の世界消滅後もゼニス王の城のみは
 天空に存在し続けることになったのです。
 つまり、ゼニス王の城がのちの天空城となったというわけですね。

 勇者について。
 「VI」では、「V」のように主人公は勇者扱いされません。
 しかし、他に勇者らしき存在もおらず、ダーマの神殿では
 上級職としての「勇者」に誰でもなることができます。(ものすごく大変ですが)
 ただし、主人公だけは上級職をひとつマスターするだけで勇者に
 なることができるので勇者の素質が飛び抜けているとも解釈できます。
 また、「IV」「V」の天空の装備に形状がよく似た、伝説の武具を装備
 できるのも主人公だけとなります。
 なので、「IV」の勇者や「V」の男の子は「VI」主人公と血のつながりがある
 はずだと解釈することもできると思います。

 ロトシリーズとのつながりについて。
 一見、ロトシリーズと関連のなさそうな天空シリーズですが、
 なんと「VI」の海底世界でアレフガルドを創った精霊ルビスらしき
 人物と会うことができます↓
 


  キャラについて
 以下、「VI」のメインキャラについてひとりひとりコメントしていきます。

 【主人公】
 青髪ツンツンヘアが特徴の少年です。
 意識体と肉体が離れていた時間が長すぎて、融合したあとも
 もとの人格とは少し変わっているという設定があります。
 もとの人格がどういう性格だったかは不明ですが、
 ドラクエでは主人公=自分なので、もとの人格から自分の人格になった
 のだと解釈するのが良さそうです。
 あとは、ターニアとの関係が好きですね。
 現実世界では惚れられていて、夢の世界では妹って、裏山。
 最終的に就く職は、当然「勇者」が似合います。
 
 【ハッサン】
 筋肉ムキムキのたくましい男です。
 「かっこよさ」のパラメータがずいぶん低いですが、
 筋肉美はシステム的にかっこいいと評価されてない悲しい男・・・。
 戦闘では本当に頼りになります。常にスタメン。
 上級職は「パラディン」か「バトルマスター」がお似合い。

 【ミレーユ】
 ミステリアスな金髪美女です。
 過去にシャレにならないほどつらい目にあっているはずで、
 (ミレーユが語らないため詳細不明)
 いろいろと妄想がつきません。
 「かっこよさ」パラメータが高いので上級職「スーパースター」が
 お似合いだと思うのですが、スーパースターになるために
 遊び人をマスターしないといけないのでちょっと違和感。

 【バーバラ】
 天真爛漫な少女です。
 個人的に「VI」のヒロインだと思ってます。
 他のキャラと違って、バーバラの肉体はすでになく意識体だけ
 なのでエンディングでまさかのお別れが・・・
 上級職は「賢者」がお似合い。マダンテがうなる!

 【チャモロ】
 メガネとヘンな帽子。
 チャモロをメインで使ってた人は少ない気がします・・・。
 物語的にいてもいなくてもって感じだしパラメータも中途半端だし。
 とりあえずフィールドサポートをおまかせしてました。
 「しのびあし」とか「とうぞくのはな」とか・・・
 そんなわけで上級職は「レンジャー」になるのが自然かも。

 【テリー】
 さすらいの美少年剣士。
 行く先々で主人公たちの敵としてたびたび登場していて、
 仲間になるのは物語終盤です。
 ミレーユの弟でお互い探し合っていました。(早く気付けよ…)
 終盤に仲間になるってさぞかしお強いんでしょうね?イケメンですしね。
 ところがどっこい、ぜんぜんそんなことないんですね。
 パラメータは実に中途半端で、極めている職業も仲間になる時期から
 すると絶望的に少ないです。
 (戦士をマスター。武闘家はマスターせずに「バトルマスター」に就いている)
 必然的に、仲間になって速攻で馬車かルイーダの酒場行きです。
 もっと言うと、テリーがいると仲間にすることができる「ドランゴ」と
 いうモンスターキャラが非常に強キャラであるため、そのネタ性も手伝ってか
 テリーはドランゴ引換券といまだに揶揄されています。
 後にスピンオフ作品『テリーのワンダーランド』の主人公となりましたが、
 これは本編で活躍の場を与えなかったエニックスのテリーに対する
 贖罪なんだと思ってます。


と、天空シリーズである「IV」〜「VI」について語ってきました。
次回、特にシリーズものではない「VII」〜「IX」、あとはちょっと
「X」についても語ろうかなと思います。

ということで、次回へ続きます…。

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歴代ドラクエシリーズを振り返る[VII〜IX]

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[IV〜VI]からの続き


「VII」〜「IX」は、今までのロトシリーズや天空シリーズと違い、
「○○シリーズ」という括りはありません。
当然、世界観的なつながりはないはず・・・なのですが、
ちょっとしたところでちらっと垣間見える繋がりが
ドラクエファンにとってはにやりとさせられる要素となります。
ちなみに、この頃から主人公=勇者という概念は完全に消え、
VIII以降は「勇者」という概念すら出てきません。


  ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち



  〜STORY〜
 広大な海にたったひとつ浮かぶ平和な楽園―エスタード島。
 そこには"禁断の地"と呼ばれる、謎めいた古い遺跡があった。
 ある日、その遺跡を好奇心から探索していた3人の少年少女は
 発見した不思議な石版の力で、見知らぬ場所へ飛ばされてしまう。
 石版は、かつてエスタード島とともに世界を構成し、悪しき力に
 よって封印されてしまった土地の記憶を宿すものだった。
 石版が示す土地を旅するなか、この世界の本当の姿を知った
 少年たちは、すべての元凶である魔王の正体に迫っていく。


  プレイ雑感
 ハードをプレイステーションへ移し、物語のボリュームや
 やりこみ要素が満載されたやりごたえのある一本・・・
 なのですが、おそらくこのタイトル、ドラクエ史上もっとも
 賛否両論なタイトルかと思われます。
 よく指摘されるのが、ふしぎな石版を集めて世界をつくっていく
 という本作最大の特徴となるシステムについてです。
 冒険を進める途中でちらほら手に入る石版のかけらを
 パズルのように組みあわせ、完成させることでマップが
 実体化し、世界地図に大陸や島がどんどん増えていくという
 一聴すると胸躍るようなワクワク感あふれるシステムですが、
 実はその石版をあつめるのが結構大変という・・・。
 というのもこの石版、物語を進めていれば必ず手に入るような類のもの
 ではなく、町のなんでもないツボやダンジョンの宝箱に入っている
 という非常に雑な方法で手に入れるものなのです。
 当然、一個二個取り漏らすプレイヤーが続出し、しかもどこで取り逃したのか
 わかりづらく、モチベーションをへし折られて脱落するプレイヤーも
 多かったと思います。
 町のツボやタンスや宝箱をあさるのはドラクエ特有の楽しみではありますが、
 いままでのドラクエではプレイヤーの自由な楽しみでした。
 それが、本作ではストーリー上それを強要しているわけで、
 こういうところはちょっと不親切だったように思います。

 ちなみに、自分は初めて訪れた町のタンスやツボはもらさず調べる派なので
 この石版探しで詰まることはありませんでした。
 本タイトル自体も、歴代ドラクエシリーズの中でもっとも思い入れがあります。
 でも嫌いな人が多いのもまた本作・・・。


  システムについて
 上で触れた石版を集めてマップをつくっていくシステムが
 本作の最大の特徴ではありますが、まぁそれはどちらかというと
 物語に関係する要素なので、ここでは純粋にゲームシステムに
 ついて語ろうと思います。
 本作では、のちのいくつものリメイク作品に影響を与えた
 非常に面白いシステムが初めて登場しました。
 それは、「仲間との会話」システムです。
 フィールドや町などで、前に誰もいない状態で「はなす」を
 選ぶと仲間たちの話が聞けるという非常に地味なシステムですが、
 これは基本的に受け身一辺倒なドラクエのストーリーに
 新しい風を吹き込んだ画期的なシステムでした。

 歴代ドラクエのイベントにおいて、主人公や仲間は基本的に
 「観客」の立ち位置でふるまいます。
 イベント主の人物が一方的に話をふっかけ、それに対して
 主人公や仲間がイベント中にリアクションすることは基本ありません。
 プレイヤーは主人公や仲間のリアクションを想像して脳内で補完する
 しかありませんでした。
 それがドラクエらしさで良さでもあったのですが、物足りないと
 感じる人も多かったと思います。
 そんな物足りなさもこの「会話システム」で一気に解消!
 イベントが終わった後に、仲間と会話するとそのイベントについての
 感想を仲間が思い思いに発言します。
 仲間によって意見や感想が違ったりするのも面白い点です。
 また、イベント内で攻略上重要なヒントが提示されていた場合、
 仲間がちゃんとそれに触れてくれるので攻略上の役にも立ちます。
 このシステムの地味にすごいところは、特別なイベントだけでなく
 町の一般市民の本当になんでもない話に対してもいちいち各キャラの
 リアクションが用意されているという点です。
 仲間のリアクションも含めて、町の人と話すのが楽しくなる
 良システムだと思います。
 特に鬱イベントの多い本作においては、イベント後のマリベルの
 リアクションで溜飲を下げてた人も多かったのでは。

 外部リンク:「ドラクエ7 マリベルの台詞を貼っていく」


 他の要素として、「VI」のシステムをベースとした職業・転職システムが
 導入され、就ける職業や上級職もかなり増えています。
 また、「移民の町」や「モンスターパーク」などのやり込み要素も
 充実していました。


  物語について
 世界にただひとつ存在する平和な島・グランエスタード島から
 物語は始まります。
 ある日、漁師の息子の主人公とグランエスタード王子のキーファ、
 2人に強引についてきた網元の娘マリベルは島に存在する謎の遺跡にて
 石版のかけらがはめこまれた台座を発見します。
 3人は町で入手した新たな石版のかけらを台座へはめこみ、一枚の
 石版を完成させることに成功しました。
 その瞬間、台座は光を放ち、3人はどこかの島へと飛ばされたのでした。
 飛ばされた先の島での悲しい出来ごとを経て、ふたたびグランエスタード
 へと戻ってきた3人は、驚くべきことに世界でたったひとつの島だった
 はずのグランエスタード島の北に、あらたな島が出現していることを
 発見するのでした。
 新たに出現した島は、まさに3人が飛ばされていた島と同じ場所でした。
 しかし、3人が体験した悲しい出来ごとは遥か昔のこととして
 記録が残っていました。
 あの台座の石版を完成させたとき、3人は過去へ飛ばされていたのでした…。

 物語はこんな感じで、

 台座の石版を完成させる → 石版に描かれた土地の過去世界へ飛ばされる
 → 過去世界でのイベントをクリアする → 現代にその土地が復活

 という流れを繰り返すことで、少しずつ世界の謎に迫っていくことに
 なります。
 土地ごとでさまざまな毛色のイベントを体験することになるので、
 あたかも短編連作の物語を読んでいるような感覚になります。
 過去世界での出来ごとが現代ではどのように伝わってるかという点も
 興味深い点で、過去で活躍した主人公たちの記録が残っている土地も
 あれば、逆に主人公たちが貶められ、どうしてこうなった!?と
 なっているような土地もあります。

 総じて、「VII」のシナリオの印象としては暗くて重く、
 その鬱さは「IV」の比ではありません。


  キャラについて
 本作でもっとも語り甲斐のあるキャラはやっぱり「キーファ」
 じゃないでしょうか。
 主人公の親友にしてグランエスタード王国の王子ですが、
 ぜんぜん王子っぽくなく、好奇心旺盛で心躍る冒険を求める
 自由人です。
 本作の物語は彼の好奇心がきっかけで始まります。
 序盤の物語をみているとさながらもう一人の主人公のようでも
 あり、パーティ内で非常に頼りになる彼をどう育てるか
 プレイヤーをwktkさせたことと思います。

  と こ ろ が

 そんな彼、なんと物語が中盤にさしかかろうとする頃に、
 パーティを永久離脱してしまうのです。
 もともと王子としての決められた人生を嫌がり、自分が本当にやりたいことを
 探していたキーファは、とある土地の過去世界にて、主人公たちとの
 旅をやめ、その場所に永遠に留まることを決意します。
 キーファのその決意には、多くのプレイヤーがとまどったことでしょう。
 ゲーム的にはキーファ離脱イベント直後、超難関イベントが控えているので
 彼がどれだけ頼れる存在だったのかをかみしめることになります・・・。

 また、このキーファの少年時代を主人公としたスピンオフ作品
 『ドラゴンクエストモンスターズ・キャラバンハート』では、
 なんとローレシアやサマルトリアなど、「II」の世界を舞台に
 大冒険を繰り広げるという面白い状況に。
 グランエスタード城には「王者の剣」なる装備も隠されている
 こともあり、キーファはロトの血統に関係のある人物なのでは?
 と推測することもできます。

 「VII」のエンディングにて、漁師となった主人公のはじめての漁で
 魚網に古ぼけた石版がひっかかって水揚げされました。
 そこには、過去世界にひとり残ったキーファから主人公にあてた
 文章がきざまれていました。
 その石版の手紙をもって「VII」の物語は終了しますが、そのときの
 切なさはドラクエ歴代エンディングで随一といえます。

 ちなみに、「キーファラスボス説」という説がありますが、
 あまりにも救いがないのでこの説は個人的にはパスです。



  ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君



  〜STORY〜
 かつて暗黒神がこの世を恐怖で包まんとしたとき、
 7人の賢者が神鳥の力を借りて、ひと振りの杖に暗黒神を封じた。
 それから長い年月を経たある日、災いはふたたび起こる。
 杖を守ってきた由緒正しき国トロデーンに、悪しき道化師
 ドルマゲスが呪いをかけ、王と姫君を人ならざる姿へ変えて
 しまったのだ。
 ただひとり呪いをまぬがれた兵士の青年は、王や仲間とともに
 ドルマゲスを追って旅をはじめる。
 それが暗黒神と七賢者をめぐる冒険の幕開けになるとは知らずに・・・。
 

  プレイ雑感
 ハードをプレイステーション2へと移した初のフル3Dグラフィック
 によるドラクエです。
 当時(2004年)のフル3DのRPGは、キャラの頭身が上がるにつれ
 フィールドマップをどう表現するかで苦労していた印象を受けます。
 だいたい大別すると、通常マップでは頭身高く表現されていても、
 フィールドにでるとちょっと頭身を下げて表現するタイプと、
 フィールドの概念を一切排して通常マップの連続だけで
 表現するタイプのRPGが主流だった記憶があります。
 そんな中、このドラクエVIIIのガチな3D世界の表現は
 ひときわ目を引きました。
 主人公たちと同じ目線で広大な世界がプレイヤーの眼前に
 広がり、しかもそれがどこまでも続いているという
 圧倒的存在感を持つフィールドマップや町、ダンジョンに
 多くのドラクエプレイヤーは感動を覚えたことと思います。
 堀井雄二氏も、「VIII」のプロトタイプを見たときに
 「VIII」はこれでイケると確信したようで、
 ストーリー自体は複雑にせずに、フル3Dのドラクエ世界を
 じっくり楽しめるようなゲームメイクを行ったようです。
 サブタイトルに「空と海と大地と」とかわざわざ付いてるのも
 空と海と大地が眼前に広がる広大な世界を一番の売りにしてる
 からでしょう。


  システムについて
 「VIII」はグラフィックの変化が最も顕著に目を引くタイトルですが、
 ゲームシステムとしてもドラクエとして新しい要素がいくつも
 採用されたタイトルでした。
 中でも「錬金」のシステムはドラクエに新たな楽しみを
 提示した良システムです。
 馬車に常備されている「錬金釜」に素材となる2〜3個の
 アイテムを投入し、新しい別のアイテムを作り出せるという
 システムで、まぁRPGとしてはよくある合成の要素をドラクエでも
 取り入れてみましたという印象ですが、これがなかなかどうして
 面白く、素材集めはもちろん、錬金のレシピも世界各地の
 本棚等から入手できるのでレシピ目当てに町を探索する
 楽しみもできました。

 また、戦闘面においては「テンション」のシステムが導入されました。
 戦闘中、テンションを上げることで次の行動の攻撃値や回復値を増加
 させるシステムです。テンションは上げれば上げるほど増加値が
 増えていきます。(5アップ⇒25アップ⇒50アップ⇒100アップ)
 なので、何ターンも使ってテンションを上げ続けた方がより強力な
 攻撃が可能なわけですが、最後の100アップは必ず成功するわけでは
 なく、テンション上げの最中に敵の「いてつくはどう」などで
 テンションがリセットされるリスクもあるので、このあたりが
 駆け引きとなり、ドラクエの戦闘に新たな楽しみを与えました。
 うまくテンションをMAXまで上げれば、ドラクエでは破格となる
 4桁ダメージが体験できます!

 成長システムとしては、「スキル」のシステムが新要素となります。
 各キャラはレベルアップによっても特技や呪文を覚えますが、
 レベルアップ時に獲得できるスキルポイントを各キャラの持つ
 スキルに振ることで新たな特技・呪文を覚えます。
 スキルは、「剣」「ヤリ」「ブーメラン」など、武器の種類ごとに
 分かれており、従来のシリーズでは武器の種類はそれほど考慮する
 ものではありませんでしたが、本タイトルはキャラを育てる上で
 装備させる武器の種類にも検討がいることになります。
 「VI」、「VII」と続いた転職システムは今回なくなっています。


  物語について
 物語はこれまでのシリーズと比べると極めてシンプルで、
 トロデーン国に呪いをかけた道化師・ドルマゲスを追うという
 のが大筋となります。
 その過程で訪れた町や城などでの単発イベントをこなしていくわけですが
 その単発イベントもあまり凝ったシナリオにはなってはいません。
 冒頭で述べた通り、堀井雄二氏は本タイトルのストーリーは極力シンプル
 にして、フル3Dの世界観を十分に楽しめるようにゲームを
 つくったようです。

 本タイトルもまた「VII」と同様に特定の○○シリーズに属するもの
 ではありませんが、他タイトルとの関連がみられる箇所が何箇所かあります。
 それが最もあらわれていたのが、本タイトルに登場する神鳥レティスです。
 主人公たちを背中にのせておおぞらを飛び、人語も自由に操るこの神鳥、
 なんとエンディングで衝撃的な発言をするのです。

 「わたしは異世界ではラーミアと呼ばれていました」

 な、なんだってー!?
 「III」との関連はさることながら、「異世界では」という発言が
 非常に気になります。
 もしかして、すべてのドラクエ世界は並行世界として隣あっているのでは・・・?


  キャラについて
 本作は馬車が登場していますが、戦闘に参加するキャラは全4人と少ないです。
 パーティ構成はドラクエでは王道の、
  勇者タイプ+戦士タイプ+魔法使いタイプ+僧侶タイプ
 のシンプルな4人構成。一応、以下に簡単な解説を付けてみます。

 【主人公】
 トロデーン城の近衛隊長でしたが、トロデーンがドルマゲスによる呪いで
 壊滅的打撃を受けたあとは呪われた姫と王とともにドルマゲスを追う旅に
 でます。なぜか彼ひとりだけが呪いをまったく受け付けない体質を
 もっていますが、その理由がわかるのはかなり後です。
 彼は人間と「竜神族」とのハーフであり、記憶を封印する呪いをかけられて
 人間界へ追放されていたのでした!(ダイの大冒険みたいだ…)
 彼が呪いに耐性を持っているのは、先にかけられたこの記憶を封印する呪いが
 あまりに強力なためでした。

 最初は主人公らしい要素の少ないキャラだなという印象ですが、
 最後の最後でこういう設定を暴露されると、やっぱりドラクエの
 主人公だなーって感じです。
 また、この竜神族の長が竜に変身した姿が、竜王やマスタードラゴンの
 姿に非常によく似ているため、竜神族という種族全体が、
 竜王やマスタードラゴンに関係がある可能性があります。

 【ヤンガス】
 主人公を「アニキ」と慕う元盗賊のオッサン。
 トルネコのようなまんまる体系に、悪い目付きと
 ヘンなイガイガ帽子という、美形とはほど遠いキャラですが、
 スピンオフ作品『少年ヤンガスと不思議のダンジョン』の主役を張る
 あたり、どうもドラクエシリーズのスピンオフ主役には
 負の要素を持ったキャラが選ばれる気が・・・
 トルネコ、テリー、キーファ、そしてヤンガス・・・
 これで「II」のサマルトリアくんが主役張れば完璧ですね。

 【ゼシカ】
 パーティの紅一点でかんぜんにお色気担当。
 装備に関してもゼシカ専用の装備は付けるとグラフィックが
 変わるものも多いです。
 固有スキルの「お色気」を伸ばせばドラクエ名物「ぱふぱふ」
 を戦闘中の特技として使うことも可能です。
 (注:ドラクエVIIIは全年齢対象ゲームです)

 ちょうどゼシカのセクスィーなショットを集めた動画がありました。
 (PAR使ってますが)↓
 ドラクエ8 ゼシカ ぱふぱふとお尻


 【ククール】
 調子のいい色男。
 パーティの位置づけは僧侶ですが、わりとなんでもこなす
 器用な男です。仲間のテンションを上げられる「ふしぎなタンバリン」が
 手に入ったら、まず間違いなくククールがこのタンバリンを叩くこと
 になるでしょう。
 その姿を想像するともう完全にホスト。



  ドラゴンクエストIX 星空の守り人



  〜STORY〜
 星々きらめく空の高みから人間を見守りつづけてきた存在―天使。
 彼らは、人々の感謝の思いから生まれる「星のオーラ」を世界樹に
 捧げながら、「天の箱舟」で神の国へ運ばれる時を待っていた。
 だが、驚くべき事件が起きて、世界樹に実った「女神の果実」が
 人間界の各地に散ってしまう。
 「女神の果実を集め、人間と世界を救ってください」
 ―不思議なお告げを聞いたひとりの新米守護天使は、果実を探す
 道中で、神と天使、そして人間にまつわる禁断の過去に触れていく。
 

  プレイ雑感
 ハードをニンテンドーDSに移した、携帯機初のナンバリングタイトル
 となります。発売前はそのことで反発もあったようですが、
 実際に発売されてみると、あっさりと歴代ドラクエ最高出荷記録を
 塗り替えてしまうほどの人気を博しました。
 ニンテンドーDSの強みをほぼ生かしきったと言っても良いドラクエで、
 特にすれちがい通信を利用した「宝の地図」の交換はなかなか
 熱かったです。
 世界のどこかに隠された宝の洞窟を「宝の地図」によって
 探し出し、そのランダム生成ダンジョンをクリアすることで
 新たな宝の地図が手に入り、次の宝の洞窟を攻略する・・・
 というエンドレスに楽しめる要素でしたが、すれ違い通信によって
 他のプレイヤーが発見した宝の地図が手に入るので
 自力でちまちま発見しているよりはより効率の良い地図が手に入ります。
 当時すれ違い通信で交換が行われた地図のなかでも
 ほとんど伝説的に有名となったのが通称「まさゆきの地図」と
 呼ばれるもので、この地図の宝の洞窟にはなんと
 メタルキングしかでてこないフロアがあるという
 夢のような宝の地図です。
 偶然にもこの地図を発見した「まさゆき」というプレイヤーが
 秋葉原周辺でこの地図を配り歩いたのに始まり、またたくまに
 ほぼ日本中のプレイヤーに行きわたったことからこのすさまじさが
 わかると思います。当然、私も持ってますまさゆきの地図。
 他にも、レア宝箱が大量に出現する「川崎ロッカーの地図」と呼ばれる
 地図もあり、多くのプレイヤーが本編そっちのけで宝の地図攻略を
 楽しんだことと思います。(本編?そんなのあったっけ?)


  システムについて
 特筆すべきは前述の「宝の地図」ですが、その宝の地図の洞窟を
 攻略するプレイヤーのモチベーションを強力に支えたのが、
 「キャラクターメイキング」と「錬金」のシステムでしょう。
 本タイトルの操作キャラは、主人公を含めてすべて名前、性別、容姿を
 プレイヤーが完全に自由に決められます。
 言ってみれば「III」のシステムに近いわけですが、「容姿」までメイキング
 できる点はかなり大きいです。
 加えて、今回は装備品が見た目に反映されることもあり、
 プレイヤーの数だけパーティキャラがいるといっても過言ではありません。

 今までのタイトルでは、装備品は性能がすべてであり、それ以外を
 望む理由がなかったわけですが、今回は「見た目」も
 プレイヤーによってはかなり大事な要素となりました。
 現に、私は守備力よりも見た目最優先で仲間の装備をそろえてしまい
 ました。守備力?そんなんどうでもいい。

 当時のプレイデータを読み込んでみると、こんな感じのパーティでした↓
 
 
 
 

 キャラの装備は終盤は「錬金」でつくり出すのが主であり、
 その貴重な錬金素材が手に入るのが主に「宝の地図」の洞窟であるので、
 必然的に多くのプレイヤーは「宝の地図」の洞窟の攻略に
 積極的になります。
 また、「VIII」ではなかった職業・転職システムも復活しています。
 仕様は「VI」「VII」とは変わっていますが。


  物語について
 主人公は「天使」と呼ばれる種族でしたが、ある日天使界で大事件が起こり、
 世界樹に実っていた「女神の果実」が地上に四散してしまいます。
 この果実を回収することが、物語のメインとなります。
 果実は口にした者の願いを叶える力を持っており、この果実をめぐって
 世界各地でさまざまな事件と対峙・解決して、果実を回収することになります。
 やがて、果実を回収するうちに300年前に起きた
 「エルギオス」という天使とガナン帝国の確執にたどり着きますが・・・

 と、まぁこんな感じにメインストーリーはあるのですが、
 どうしてもメインストーリーはおまけという印象があります。
 というのも、クエストシステムによってラスボスを倒したあとも物語が続いたり、
 空飛ぶ乗り物に乗って自由に世界を探索できるようになるのはラスボス撃破後
 という本タイトルの構造がそう感じさせているのだと思います。

 なお、本作も他のドラクエタイトルとの関連はあまり見られませんが、
 「創造神グランゼニス」という神が登場しており、「VI」のゼニス王を
 彷彿とさせます。でも関連性は不明・・・。
 また、宝の地図の洞窟では、歴代ドラクエのラスボスが登場します。


  キャラについて
 パーティキャラが自由自在にメイキングできる本タイトルにおいて、
 一番に語るべきキャラといえば・・・
 やっぱりギャル妖精の「サンディ」でしょう。
 妖精・サンディは主人公のパートナーとなりますが、
 その見た目も言動も完全な「ギャル」という・・・
 本タイトルでは、主人公や仲間が完全にしゃべらないため、
 イベントにおけるリアクション担当はこのサンディちゃんになります。
 また、戦歴画面の管理も彼女の担当で、イベント画面からステータス画面
 にいたるまで、とことん付き合わないといけないキャラとなります。
 これがギャルに嫌悪感を抱くような人には結構苦痛なのではないかと…。
 慣れると可愛いんですケドね。

 
 
 こんな彼女ですが、エンディング時に気になるセリフを残します。
 主人公とサンディの別れ際。もう二度と会えないかもしれない主人公に、
 サンディは自分の秘密を明かそうとします。

 「アタシってね・・・!!・・・ネ・・・に・・・」

 その声は風にかき消され、最後まで聞きとることはできませんでした。
 って、何言おうとしたんだー!?
 今生の別れ際に告白する内容なので、よほどの秘密だとは思いますが、
 そのままゲームはエンディングを迎えてしまいます。
 サンディのこのセリフの全貌は、後日配信された追加クエストで
 明かされることになります。ずいぶんなひっぱりよう・・・。
 その内容は、

 「ネイルアーティスト検定に合格した」

 ということでした。
 どーーーでもいい。


・・・と、まぁ以上です。
「I」〜「IX」にかけて振りかえってみました。
こうしてみると、ドラクエって一作一作コンセプトがあって
それぞれ新しいことに挑戦してるんだなーってことに気が付きます。
古参のドラクエプレイヤーの人のなかで「ドラクエは変わらなくていい」
みたいなことを言う人をたまに見かけますが、いやぁ、結構変わってますよ?

最新「X」はドラクエ初のMMORPGということで、さすがに
これはスルーかなぁと発売前は思っていましたが、発売されたら
やっぱり買っちゃいました。そして、どハマりしてしまいました…。
最近更新が滞りがちなのはこれのせいですスンマセン・・・。

またドラクエについて語る機会があったら「X」についても
語ってみたいですね。

では、このへんで。

 おつかれさまでした。このままでんげんをおきりください。


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映画『るろうに剣心』を原作と見比べつつ大いに語る[前編]

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2012年8月25日より、実写映画『るろうに剣心』が公開されています。
本ブログでも、2年くらい前のこんな記事↓や、

 【るろうに剣心】実写映画化記念:トンデモ必殺技特集

1年くらい前のこんな記事↓

 【るろうに剣心】実写映画化正式決定記念:実写でこの場面が観たい!特集

で注目してきましたが、ついにその大注目の映画が
封切られたということで、公開日も待ち切れずに先行公開で観てきました。
今回は、その映画『るろうに剣心』の内容について、原作と見比べつつ
大いに語ろうと思います。

公開から1か月以上も経ってこともあり、容赦なくネタバレしていくので
まだ観に行く予定のある方やDVDなどで観ようと思っている方は
ご注意ください。

では、どうぞ


  映画『るろうに剣心』ストーリーダイジェスト

原作と見比べる上で映画版のストーリー展開を把握しておく必要があるので
以下にダイジェストを記載します。
なお、1か月まえに観に行った記憶を頼りに列挙するので
抜けがあるかもしれません。抜けがあったらご指摘ねがいます


 幕末。鳥羽伏見の戦い。新撰組・斎藤一と人斬り抜刀斎が刃を交わす。
 やがて錦の御旗を手に入れた新政府軍の勝鬨により、戦闘は終結する。
 戦闘終了後、抜刀斎が捨てた刀を屍のなかから現れた鵜堂刃衛が拾った。

 ――時はながれ、明治十一年、東京。

 神谷活心流・人斬り抜刀斎を名乗る男が辻斬りを繰り返していた。
 その正体は、武田観柳の私兵・鵜堂刃衛であった。
 神谷活心流の師範代・神谷薫は、道場の誇りを守るため無謀にも刃衛に
 立ち向かうが、返り討ちに遭いそうになってしまう。
 そこを、通りかかった緋村剣心によって救われた。

 武田観柳とは、裏社会で阿片の密売を行っている悪徳実業家である。
 交易用の港をつくるために地上げを行っており、神谷道場の土地を
 手に入れるため、鵜堂に神谷活心流を騙らせて凶行を行わせていたのだった。
 そんな観柳の愛人兼、阿片製造の担当者である高荷恵は、
 ある日観柳のもとから逃亡をこころみる。

 人斬り抜刀斎の悪評により、神谷道場からは門下生がことごとく去り
 いまでは門下生は居候の少年・明神弥彦のみとなっていた。
 そんな神谷道場にさらなる悲劇が。
 観柳が雇ったとみられるチンピラ連中が道場を襲撃。
 薫と弥彦はチンピラの横行になすすべもなかった。
 そこへ現れた緋村剣心は逆刃刀をふるい、チンピラ連中を
 たった一人で打ちのめしてしまった。
 剣心はかつて幕末の京都で「人斬り抜刀斎」と呼ばれた伝説の人物であった。
 剣心は駆けつけた警官隊により、暴動の中心人物として
 拘束されてしまう。

 拘束先の留置場で剣心は、元新撰組の斎藤一と再会する。
 また、旧知の仲であった山県有朋とも再会し、
 山県から陸軍に誘われるが、今は流浪人の身と辞退した。
 その際、剣心の変わりように失望した斎藤一と少々刃を交わした。

 留置場を出た剣心は、留置場の前で待っていた薫に呼び止められる。
 薫は剣心を人斬り抜刀斎と承知しつつ神谷道場へ留まってほしいと
 申し出るのだった。
 薫と剣心が神谷道場へ戻ると、そこには観柳のもとから逃げてきた
 高荷恵が弥彦によってかくまわれていた。

 剣心、薫、弥彦、恵の4人は薫のなじみの牛鍋屋「赤べこ」に
 食事に来ていた。
 そこへ噂の武田観柳があらわれる。(恵はとっさに姿を隠した)
 剣心の強さを見込み、金で私兵として雇いたいのだという。
 もちろん、剣心は丁重に断った。
 「なら俺を雇わないか」とその場へ現れたのは、東京で
 喧嘩屋をしているという相楽左之助であった。
 左之助は観柳へ自分の強さをアピールするために剣心に勝負を挑む。
 巨大な斬馬刀を振りまわす左之助の怪力はたしかにすさまじかったが、
 その巨大な刀は剣心の姿をとらえることはできなかった。
 しかし、剣心は決して左之助に反撃しようとはしなかった。
 「戦う理由がない」ということだったが、これには左之助も
 毒気を抜かれた。同時に剣心という男を気に入り、あっさりと
 武田観柳の私兵となることをやめてしまうのだった。

 後日、神谷道場の周辺の地域の井戸に毒が投げ込まれた。
 道場に次々と運ばれてくる重傷患者に剣心たちはなすすべもなかったが、
 この事態に、恵が医者のような振る舞いをみせ解毒治療を開始。
 毒に蝕まれた人々は恵の適切な治療によって一命をとりとめたのだった。
 剣心はこの一件で観柳お抱えの阿片製造者であるという恵の正体に気付き、
 恵と話をする。
 その際に、自分の十字傷についても少し話をした。
 「この傷は・・・若い侍と、その妻につけられたものでござる」

 その夜、恵は武田観柳のもとへと戻った。
 不穏を察知した剣心は左之助とともに観柳の屋敷へ乗り込み、
 観柳の私兵250人を相手どり大立ち回りを繰り広げる。
 観柳の私兵の中でも幹部クラスの外印、戌亥番神を倒した
 二人だったが、観柳の持ちだしたガトリングガンによって
 窮地に追い込まれる。
 が、駆けつけた斎藤一の助力もあり、観柳を倒すことに成功。
 阿片密売などの罪により、武田観柳は逮捕された。

 神谷道場へ戻ると、鵜堂刃衛によって薫が連れされている
 ことが判明する。
 伝説の人斬り抜刀斎との斬り合いを切望する刃衛が、
 剣心を抜刀斎に立ち戻らせるために仕組んだ計略であった。
 怒りに燃える剣心は、刃衛との決闘の場へと赴く。
 刃衛との戦いは人斬り抜刀斎との戦いでもあった。
 剣心は自らに誓った「不殺(ころさず)」の誓いを
 守り通すことができるのか、すべてはこの戦いに象徴されていた。
 刃衛は「お前がいつまで流浪人などと言ってられるかあの世で見ててやる」
 と言い残し、自ら命を絶った。
 「不殺(ころさず)」の誓いを胸に、これからも剣心の戦いは続く・・・


・・・と、ストーリーダイジェストはこんな感じです。
要は原作序盤のイイトコ取りで、筋も上手くまとめてあります。
観柳編の目玉キャラであった四乃森蒼紫と隠密御庭番衆は登場しませんが、
これは幕末の人斬りが明治の世に生きるという剣心の物語に
よりスポットを絞るためでしょう。


  映画『るろうに剣心』のキャラについて語る

ストーリーダイジェストを把握したところでキャラについて
語って行きたいと思います。



 緋村剣心 / 人斬り抜刀斎
  演:佐藤健

剣心のポイントとなるところは、普段は「おろ」とか「ござる」とか
やわらかい口調が特徴の優男ですが、幕末時代は「人斬り抜刀斎」の
志士名で伝説となった最強の人斬りで、ひとたび抜刀斎のスイッチが
入ってしまうと雰囲気がガラッと変わり、一転して冷徹な暗殺者に
なってしまうところでしょうか。

演じている佐藤健さんは、大河ドラマ「龍馬伝」で岡田以蔵を
演じていたこともあり、人斬り役の実績があります。
(ちなみに龍馬伝の監督は、この映画・るろ剣の監督でもある大友啓史氏)
その実績が関係あるかはわかりませんが、佐藤健くんは
まさに剣心の雰囲気にぴったり!という感じでした。
漫画だからこそ成立していた「おろ」という剣心の口ぐせも、
わざとらしすぎない、絶妙な力加減で成立させていましたし、
なにより剣心特有の物腰やわらかな感じが非常によくでていました。
道場に足を踏み入れる際に一礼するなど、漫画ではオミットされる
細かい所作もとても良かったです。

抜刀斎モードでは一転して、寡黙になり目もするどくなって
凄味を出していました。
特に幕末回想で相手を無言のうちに何度も斬りつける様は
鬼気迫るものがあり、なかなか迫力がありました。

そして、剣心といえばもちろん、飛天御剣流の現実離れした動きです。
詳しくは「戦闘シーン」を語る項を別に設けますが、
最初はとにかく速く駆ける姿に度肝を抜かれます。
漫画では割と荒唐無稽感もあった飛天の剣技の数々も、現実の殺陣として
アリだろというぎりぎりのラインで再現していたのはおみごとです!

映画・るろ剣のストーリー展開は原作序盤の再現でしたが、
原作でいう「追憶編」の内容にも少しふれており、
剣心の頬に最初の傷をつけた清里明良を斬るシーンもみることができます。
もうひとつの傷をつけた、清里の妻・巴は後ろ姿のみの
登場となっています。
剣心も十字傷のことを「若い侍と、その妻につけられた」と
語っており、少々続編のにおいも感じさせます・・・。




 神谷 薫
  演:武井 咲

ヒロインの神谷薫ちゃんです。
原作では、「剣術小町」と呼ばれ他道場の門下生からも人気者という
設定がありましたが、飛び抜けて美少女というデザインでは
なかったため、イマイチぴんと来るものはありませんでしたが、
実写で武井さんがやってると、物凄い美少女感が伝わってきます。
ある意味、原作の薫よりヒロインオーラがあります。
刃衛にさらわれて「心の一方」で呼吸を止められるという原作おなじみの
シーンも完全再現されており、泥だらけの地面を這いつくばってる様の
痛々しさもよかったです。

ストーリー上、アクションシーンではほとんど活躍することは
ないですが、続編があるなら、十本刀・鎌足との戦闘という
原作唯一の戦闘的な見せ場も再現してあげてください。




 相楽左之助
  演:青木崇高

刀でアクションを魅せる剣心と対をなして、拳でアクションを魅せる左之助です。
特筆はやはり、斬馬刀でのアクションでしょう。
ストーリー上、まだ「二重の極み」が使えないので斬馬刀シーンを
入れてもらえたことは左之助というキャラにとって非常にありがたいこと
だったのではないでしょうか。
詳しくは別項で語りますが、非常に良いシーンでした。
演じている青木崇高さんも佐藤健くんと同じく「龍馬伝」に出演していた組で、
龍馬伝で演じていた後藤象二郎のどこかキレた感じがとても印象に残っていました。
また、現在放映中の大河ドラマ「平清盛」では、弁慶役を演じていることもあり、
左之助の荒々しい感じにはぴったりの役者さんです。

アクション面で見せ場をもらえている左之助ですが、
原作の元・赤報隊の準隊士であるという過去は映画では
まるっとオミットされているので、左之助のドラマは
みることができません。
素直にアクションのみを楽しみましょう。




 明神弥彦
  演:田中偉登

映画に取り上げられている原作の範囲上仕方ないのですが、
弥彦に関しては完全に"居るだけ参戦"です。
観柳邸に乗り込むこともないです。
また、スリのエピソードもなく、最初から神谷道場の居候として登場します。
見せ場も特にないので、言うことあまりなし!




 斎藤 一
  演:江口洋介

映画に取り上げられている原作の範囲上、登場しないはずのキャラですが、
剣心の過去や武田観柳を睨む警官としてうまいこと物語に絡めて
登場していました。

幕末パートでは、ボロボロの新撰組の羽織にくわえ煙草という
出で立ちで迫力ある殺陣をみせてくれました。
明治パートでは、オールバックの髪型に警官服という
かっちりしたスタイルに日本刀がよく映えます。

斎藤に関しては、原作に雰囲気ぴったり!と思うより前に
抑えきれない江口洋介感が前面に出ているため、
原作とは少々印象の違う斎藤一として観るのがよさそうです。
明治の世で刀を逆刃刀に持ち替えた剣心に失望し、斬りかかるシーンは
とても面白く、鍔迫り合いで逆刃刀の逆刃を剣心の肩に押し付け、
「自分に向いた逆刃は自分を傷付けるぞ」
というような意味のセリフを吐く原作にはないやりとりが
印象的でした。

斎藤の代名詞ともいうべき必殺技「牙突」も登場しますが、
これに関しては少々もの申したいことがあるので
別項で語ることにします。




 高荷 恵
  演:蒼井 優

恵は原作キャラにそっくり感では、かなり上位に入るでしょうってくらい
雰囲気ぴったりでした。
演じている蒼井 優さんは、個人的にいまだに実写映画版「ハチミツとクローバー」の
はぐちゃんのイメージがあるので、恵を蒼井さんが演じると
聞いたときは、正直イメージがあまり掴めませんでしたが、
実際にスクリーンで観てみると、恵だ!って納得しちゃいます。

原作と異なる点としては、恵が阿片の製造者・兼、観柳の愛人として
寵愛されていることや、原作では阿片がどんな薬か最初は知らなかった恵ですが
映画では最初からわかってて造ってるというところですかね。
あと、原作では罪の重さに耐えかねて自害しようとするシーンがありますが、
映画ではそれが無いので、阿片製造の罪をつぐなう気がないようにみえる
というのは少々残念な点かもしれません。




 武田観柳
  演:香川照之

斎藤一とおなじく、抑えきれない香川照之感が前面に出ていますが、
原作以上に味のある悪役としてより印象的に登場しています。
映画では、維新後に急激に台頭した商人が落ちぶれた士族を私兵として雇うという
新時代の立場逆転の構図を観柳をつかって際立たせる演出がとられていたので、
よりそう感じるのかもしれません。
原作でおなじみのガトリングガン掃射のハッスルタイムもしっかりあり、
非常に楽しい悪役として最後まで強烈に存在しつづけました。





 外印
  演:綾野剛

 戌亥番神
  演:須藤元気

二人とも原作では「人誅編」の敵キャラで、本来は序盤に登場するキャラでは
ないのですが、武田観柳パートで隠密御庭番衆が登場しない代わりに
埋め合わせで観柳の私兵として登場します。

外印は、原作本編のからくり人形師の老人とはまったく違うキャラになっており、
おそらく完全版の剣心再筆にて描かれた美形バージョンの外印として登場しています。
戦闘では二丁拳銃をつかったちょっと変わった戦いがみられます。
また、原作の「般若」の役割も兼ねており、神谷道場に逃げ込んだ恵の前に
姿を現し、警告するシーンもあります。(ニュアンスは若干原作と違いますが)

戌亥番神も、とても原作のキャラとは似つかないです。
ていうか、「戌亥番神」って言われないと映画オリジナルの新キャラ
のようにもみえます。
左之助と観柳邸の厨房で拳で殴り合う戦いを繰り広げるのですが、
その際に、左之助が一時休戦として落ちていた肉を食い、
「お前も食べるか?」と差し出すと、
「俺は菜食主義者だ。かわいそうに…」と肉に掌を合わせるという
謎やりとりがはさまります。
当然、原作にはないやりとりで、なにこれ?と非常にもやっとしたのですが
後で調べたら、どうやら番神を演じていた須藤元気さんが
菜食主義者だったという誰得中の人ネタでした。
ラストまで、この「菜食主義」発言でもやっとしてしまったんですけど・・・。




 鵜堂刃衛
  演:吉川晃司

ザ・原作と雰囲気ぴったりで賞ナンバーワンのキャラです。
もう吉川さんの目力がすごい。
原作の刃衛は、白目と黒目の色が反転した印象的な目が特徴のひとつとして
ありましたが、それが完全再現されているのがそっくり賞の大きな要因でしょう。
残念なことに(?)、原作で特徴的だった「うふふ」という妙な笑い方は
再現されてはいませんでしが、
冒頭の鳥羽伏見の戦い終結の場面で、剣心(抜刀斎)が捨てた刀を、
屍のなかから立ちあがった刃衛が掴むという、原作にはないシーンがあり、
しかもストーリー構成上、ラスボスという体で剣心に立ちはだかるので
映画・るろ剣におけるかなりの印象値を獲得したのではないでしょうか。

トンデモ技かと思われた、二階堂平方"心の一方" "居縮の術"も
完全再現されているのもかなりポイント高しです。
(さすがに、心の一方を自分にかけてマッチョ化はありませんでしたが…)

なにより、刃衛との斬り合いのシーンでいちばん感動したのは、
"背車刀"のシーンが完全再現されていたことです。

 ↓"背車刀"のシーン


剣戟から背車刀までの流れも非常にスムーズで、
吉川さんこれ相当練習したんだろうかと思わず感嘆してしまいました・・・。

刃衛は、剣心が人斬りをやめて「不殺」を掲げるうえで、
その対極に位置する非常に重要なキャラで、刃衛戦を最後にもってきたのは
本当にしっくりとくる展開でした。



 おまけ・こんなキャラも出てました。



赤べこの妙さんと燕ちゃん!
赤べこで牛鍋を食べるシーンがありますが、そこでちょこっと出てきます。
妙さんはともかく、燕は最後のスタッフロールでああ、いたんだと気付きました。

あとは、ヒゲメガネでおなじみの浦村署長なんかも、ああいたんだ系キャラですね。




本来は「追憶編」のキャラである、清里明良も回想で登場しています。
演じていたのは窪田正孝さん。
原作以上に、「死ねない、死んでたまるか」感が出ており、
剣心の斬撃に何度も立ち上がり、何度も斬り倒されるさまが
非常に迫力がありました。
妻の巴は後ろ姿のみの登場にとどまりました。

幕末系だと、あとは桂小五郎もちょっと出てましたね。
山県有朋も明治パートで剣心を陸軍に誘う役として登場しています。
高杉晋作は未登場です。


と、ここらで後編に続きます。
後編では、主に戦闘シーンについて語ろうと思います。


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細かすぎて伝わらない名場面【るろうに剣心編】
【るろうに剣心】緋村剣心の物語を追う
【るろうに剣心】弥彦の物語を追う

最近のラブコメ主人公は『密・リターンズ!』の主人公を見習うべき

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前後編記事の後編を書いている最中だったんですが、
今週号(2012年10月6日発売)のジャンプで、好評連載中の
ラブコメ『ニセコイ』にて気になる展開があったので
触発されて突発的に筆をとってしまいました。

気になる展開とは、ざっと以下のようなものです↓



これは先週号のヒキです。
主人公・一条楽に想いを寄せるヒロインの一人、
小野寺小咲ちゃんがとつぜんの「キスしてもいい?」発言!
普段の小野寺さんはとても奥手の性格で
とてもじゃないけどこんなこと言う娘ではないので、
これには読者も相当驚いたことかと思います。
で、それに対する今週号の展開がどうなったかというと・・・?



で、でたぁ〜〜〜!!!
出ました、昨今のラブコメ主人公共通の秘奥義・「まるで聞いてない」
だぁ〜〜!!

たいていは強風とかで聞こえてないパターンだったりしますが、
この一条さんは寝ぼけてて聞いてないということで、かなりタチが悪いです。


このあまりにもあんまりな一条さんを見て私は危惧を覚えました・・・。
昨今のラブコメ主人公どものひよりっぷりといったらどうだ!
だいたいこの手のどたばたラブコメの主人公は判で押したように
似たような感じのやつが多いです。
特徴としては、

1.没個性である
 キャラとしてクセのない造形がなされる場合が多いので、
 主人公でなかったらモブキャラにでもなってるんじゃないかってほど
 無個性なやつが多いです。
 一条さんの場合は、「ヤクザの頭の息子」「料理が得意」といった 
 付加価値はありますが、キャラに強烈に影響を与えている要素ではありません。

2.鈍感である
 自分に好意を寄せる女子がいても、決して気が付きません。
 また、自分がだれが好きなのかということに対しても気が付いていない
 パターンが多いです。
 気が付きそうになっても、必ず何らかの理由をつけて否定します。

3.自分から行動することはあまりない
 意中の女子とどこかへ行くというシチュエーションがあったとしても、
 それは決して自分発信の行動ではありません。
 たいていは友人からのお誘いとかです。
 イベント発生待ちが基本スタイルです。

4.八方美人である
 意中の女子以外にもフラグを立てるのはラブコメ主人公のパッシブスキルです。
 フラグを立てられた女子は、なんとなく主人公を好きになってしまいます。

5.優柔不断である
 上記の八方美人に関係しますが、フラグを立てた女子に対して、
 そのフラグを自分から折ることはまずありません。
 たいていの主人公には意中の女子がいますが、関係ない女子の
 フラグも無自覚に温存します。
 この辺、2.の鈍感スキルも併用しているのでかなりタチが悪くなっています。

6.ラッキースケベである
 犬も歩けば棒に当たると言いますが、ラブコメ主人公の場合は
 歩けば、女子の裸に当たります。

7.すべてにおいてタイミングが悪い
 最初に紹介した一条さんの「女子の重大発言を聞いていない」に象徴されますが、
 ラブコメ主人公は、関係のない女子といるところを偶然、意中の女子に見られたり
 言葉や行動の一端だけ取られて誤解されたりすることを宿命的に体験します。


以上、ラブコメ主人公七つの大罪を挙げてみましたよっと。
なぜこんな大罪をもった輩がヒロインからモテまくるのか不思議でしょう?

まぁ、ここで私が言いたいことはですね。
ここで挙げた大罪の何個かが引っかかってしまうような主人公君は
ぜひとも、『密・リターンズ!』の主人公・端島 密(はしじまひそか)を
見習っていただきたい、とこう声を大にして言いたいのです。

前置きが長くなりましたが、
今回は『密・リターンズ!』の主人公・端島 密の魅力に迫ります。


  『密・リターンズ!』概要



まず、『密・リターンズ!』は週刊少年ジャンプに
1995年〜1996年まで連載されていたラブコメ作品です。
詳しい作品内容は別記事でさんざん書いたので、
密を知らない人はあとでそれを読んでいただくとして、
一言で作品内容を言ってしまうと、



 他人の姿になってしまった主人公が、かつての恋人と再び恋をする
 (その際、自分の正体を告げてはいけない)

というのがコンセプトとなっています。
主人公の高校教師・端島密は一度死んでしまい、
高校生の鳴神源五郎の姿に転生します。
ヒロインの星崎理都は密の婚約者でしたが、
密が死んでしまったことですっかり消沈してしまいます。

自分が死んでしまったことによってどん底に
陥ってしまった理都と、他人の姿で結ばれなければならない
という、密にとって非常に困難な状況からの物語スタートとなります。

と、前提条件が把握できたところで、
以下より密かの魅力を語っていきます↓


  ここがすごいぞ、端島 密!



密が転生した鳴神源五郎は、川に身投げをした高校生で、
端島密はそんな源五郎を助けようとして川に飛び込み、
帰らぬ人となりました。
理都にとって源五郎は、恋人を(間接的にとはいえ)
死に追いやった人間であり、ヒロインとの好感度が最悪の状態
から物語は始まります。

たいていのラブコメ主人公はヒロインから潜在的に好かれているものですが、
密(が転生した源五郎)の場合はガチで嫌われており、
恋愛成就への道は超ハードモードです。




普通の人はこの時点でくじけてしまうものですが、密は違います。
密が理都に対して行った最初の大きな事。
それは、いつまでも端島密の死に消沈する理都の部屋へ乗り込み、
端島密の形見であるアンモナイトの化石を叩き壊すことでした。

いくら生前の自分がプレゼントしたものとはいえ、
故人の大切な形見をぶっ壊すって・・・。
案の定、理都からこれ以上ないくらい嫌われてしまいますが、
この事件がきっかけとなり、自室に引きこもっていた理都は
教師の職に復帰することになりました。




好感度はどん底になりましたが、密はあくまで前向き。

「大嫌い」って気持ちは一度裏がえっちまえば「大好き」になる
いちばんよくねえのは「好きでも嫌いでもねえ」ってやつだからな

って超名言だと思いませんか。
密は自分の気持ちに極めて正直であり、前向きです。
上で延べた七つの大罪の「鈍感」なんて言葉は密には絶対に当てはまりませんね。




そして、行動はきわめて計算的です。
端島密が生前に世話をしていた猫の餌やりを口実にして、理都と話をする作戦!
密はイベント発生をただ待っている日和見主人公とは違い、
必ず自分から行動を起こしてヒロインに接近するようにしています。
この辺り、七つの大罪の3番目とは真逆ですなー。



さらにすごいのは、猫の餌やりの時間だけではラチが開かないと、
理都が教師を務める高校に転校してしまうのです!
他のラブコメで、主人公を追って幼なじみの新ヒロインが転校してくる
というシチュはよく見ますが、主人公自らがヒロインを追って転校する
なんて、こいつぐらいなものでしょう。





まぁ、こんな彼なので当然、他の女子からも注目されます。
源五郎として転入した先のクラスは、かつて端島密が担任を
務めていたクラスです。
そのクラスをわざわざ指定して入ってきたこの源五郎って何者?
と興味を持ったクラス委員長の鶫原ちなみちゃんが
ちょっとした勘違いから一気に密(源五郎)に惚れてしまいます。



ちなみちゃんは想いこんだらまっすぐ!といった娘で、
伯父さんちでつくったロールキャベツが会心の出来だったという
だけで、それを源五郎に食べてもらおうと大雨のなか
十数キロも歩いて届けに来るという、今で言ったら
ちょっとだけ愛が重い娘なのですが、



密は、そんなちなみの想いをしっかりと受け止めます。
あれ、八方美人にならない?大丈夫?



大丈夫でした。
密はちなみの本気の想いを感じつつ、中途半端な付き合いはできないと
きっぱりとちなみを拒絶することを決意します。
これは優柔不断でも八方美人でもないぞ!

でも、大雨のなか長距離を歩いたあと高熱を出したちなみに
今そういう話をするわけにはいかないといった気遣いもみせます。
大人の対応ですな!
(おっと、そういえば中身は大人だった)




まぁ、でもちなみに惚れられていることは
理都にばっちり気付かれてちょっと誤解されているので、
この辺「タイミングが悪い」という属性はどうしても
付いてしまいます・・・。

でも、密の偉いところは付いてしまった誤解やらそういったものを
自分で行動してなんとかしようとするところです。
とはいえ、自分は車も経済力もない高校生の姿・・・。
自分が理都に対して出来ることといえば・・・?



身体を張って好きな女を守ることだ!

うむ、たいへんシンプルかつ爽やかな答えがよろしい!!
ここでは、酒癖のわるい父兄のもとへ家庭訪問に行った理都を追い、
オジサンに絡まれていた理都を見事助け出しました。
お見事・・・!


こんな感じで、密は理都の好感度を上げ続け、
ついにはデレる状況をつくり出すまでに至りました。



うーん、ここまで長かった。
感慨無量です。



この後、恋のライバルとなるイケメン教師の烏丸が登場しますが、
高校生の姿で互角に渡り合えそうな頼もしい姿もみせてくれます。
いいねぇー。



まぁ、こんな感じで順当にいけばあと一歩で、理都が
源五郎の姿をした密にデレてくれるかなーというところまで
物語が進んだところで、この作品としては悲劇となる
ストーリー展開へのテコ入れが入ってしまうのが
非常に残念ですが、ここまで書いた段階で、『密・リターンズ!』の
主人公の魅力を伝えられたかなーと思います。

テコ入れに関しては、以下の記事に詳細書いてますので
興味のある方はどうぞ↓

 打ち切りさんいらっしゃい! 【密・リターンズ!】


まぁ、ここまでさんざん語ってきましたが、
別に本気でラブコメ主人公に怒ってるわけじゃなく、軽い「ネタ」です。
じっさい、密は姿は高校生でも中身は酸いも甘いもかぎ分けた
大人であるので、こういった行動を取ることができるという面もあり、
それを現役中高生だかの小僧に押し付けるのもいかがなもんでしょう。
うん、いろいろ言ってすまんかった一条くん。
でも、ヒロインの重要発言中に居眠りはやっぱりまずいぞ?

『密』タイプの主人公は、物語をつくる上での欠点もあって、
ヒロインを魅力的に見せづらいという状況をつくってしまいがちです。
『密』のヒロイン・理都は良いところもたくさんあるのですが、
密の動きっぷりが目立つせいか、どうしても受け身で地味な印象を受けてしまいます。
密がそんな惚れる要素がどこにあるのかーって・・・。
おっと、これじゃラブコメ主人公とヒロインの立場が逆転?

うーん、難しい!
この辺のラブコメのキャラクター考察はまた別にやってみたいかも。
とりあえず、今日はここまで!

※追記※
なお、『密・リターンズ!』は、現在「Jコミ」で全巻読むことができます。
興味を持った人は以下URLへGO!!
http://www.j-comi.jp/book/comic/3441


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映画『るろうに剣心』の戦闘シーンの描かれ方について

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今回は、以前書いた映画『るろうに剣心』を原作と見比べつつ大いに語る
という記事の「後編」にあたる記事になりますが、
結構間が空いてしまったので前後編云々はいったん忘れて下さい^^;

仕切り直して、今回は映画『るろうに剣心』の戦闘シーンの描かれ方に
ついて語ってみようと思います。


映画『るろうに剣心』の戦闘シーンについて一言で言ってしまえば、

 漫画版特有の超人的バトルとリアルな殺陣の両立を目指している

といったとこでしょうか。
原作を読んだ方なら百も承知だと思いますが、
『るろうに剣心』という作品は、一見すると硬派なチャンバラ時代劇の
ようですが、その戦闘シーンを見ていくと、まるで格闘ゲームのような
トンデモ要素をともなった技が飛び交う超人的バトルが非常に楽しい作品です。
その超人っぷりを象徴するのが、剣心の使う「飛天御剣流」という剣術で、
超神速で地を駆け、空を舞い、刀一振りで複数の敵を同時に
しとめることができます。

映画ではこの飛天御剣流のキモである「神速の動き」と「天を駆けるような跳躍」
を再現しつつ、ギリギリリアルな絶妙なバランスの殺陣を撮ることが
できていたのは素晴らしいと思います。

佐藤健くんの地を這うような走りは本当に速くみえましたし、
壁を蹴ったりして高く跳躍する様も、まさに「飛天」!
って感じがして楽しめました。
刀を抜いてからはさらに迫力が出て、特に神谷道場のチンピラ相手に
無双する場面では、複数の敵を同時にしとめる飛天御剣流のすごさが
十分出ていたと思います。

剣心以外でいうと、まず左之助ですが、
左之助は斬馬刀の見せ場をつくってもらえたことがよかったですね。



剣心は「戦う理由がない」ということで(赤報隊のエピソードもないので)
回避するだけでしたが、原作とは違って戦いの舞台が夜の橋の上で
まわりに観衆もいるということで、絵的に面白い演出が成立していました。
剣心が船の櫂を使って、斬馬刀をかわしつつ川の向こう岸に渡るといった
立ち回りも非常に面白かったです。

左之助はまぁ、それで良かったんですが、
問題は斎藤一・・・。



観柳がガトリングガンで大ハッスルしてるところへ満を持して出てきて、
斎藤の代名詞ともいうべき「牙突」の構えをとるわけですよ。
とうぜん、観客としては「牙突」で派手にガトリングガンを
デストロイすると思うじゃないですか・・・
ところがちがうんですよ・・・。

「牙突」の構えをとった斎藤は、次の瞬間、ワイヤーアクションで
びょーんと飛び上がる!!(ように見えました)
そして、そのまま天井のシャンデリアを攻撃!
シャンデリアがガトリングガンに落ちて観柳あぼーん!

もう、えぇー・・・って感じでした・・・。
牙突・・・よりによって対空の牙突でシャンデリアを攻撃とは・・・。

対空の牙突↓



まぁ、話を飛天御剣流に戻します。

「龍槌閃」や「龍翔閃」等、漫画ではおなじみの飛天御剣流の技名は
極力作中で叫ばないようにしていたのもリアルさを演出する効果を
上げていたと思います。
あと、明らかに現実離れした技が出てこなかったのもリアルさを
出すのに一役買っていたのかもしれませんね。

飛天御剣流の技を思い出して行くと、そのほとんどが実際の殺陣に
組み込むのをためらってしまう技で占められています。
以下に、飛天御剣流の技を

 1.現実に再現可能で剣術的にもアリ
 2.現実には可能かもしれないけど、剣術的にちょっとどうか
 3.剣術的以前に現実で再現不可能

の3パターンに分類してみようと思います。


  飛天御剣流の華麗なる技の数々

まずは、1.現実に再現可能で剣術的にもアリな技を見ていきましょう。
これが意外と少なかった・・・!



まずは、飛天御剣流「龍巣閃(りゅうそうせん)」
全身を攻撃する高速乱撃技です。
現実的に再現可能とは思えますが、実際に高速で全身を斬りつけるのは
かなり難しいかもしれません。
龍巣閃には派生技として、「龍巣閃・咬(がらみ)」というものもあります。
こちらは全身攻撃ではなく、一部分のみ集中乱撃する技となります。



つづいて、剣神の十八番といわれる「龍槌閃(りゅうついせん)」
高度跳躍からの斬撃ということで、剣術としてアリかどうかは
微妙なラインですが、映画でも使われていたので(技名は叫ばない)
まぁ、ギリギリアリでしょう!
龍槌閃にも派生技があり、上空から切っ先を相手に突き刺すタイプの
「龍槌閃・惨(ざん)」もあります。



「龍巻閃(りゅうかんせん)」も現実可能で剣術としてもアリな技でしょう。
回転による遠心力を利用した技で、相手の攻撃を反転してかわし、
そのまま回転しながら相手の背に一撃を加える、返し技として有効な技です。
派生技に、「龍巻閃・凩(こがらし)」「龍巻閃・旋(つむじ)」「龍巻閃・嵐(あらし)」
がありますが、この派生技の方はちょっと現実的には再現不可能かもしれません。
(きりもみ状態で相手に突進する旋・・・。前方宙返りから攻撃する嵐・・・)


剣術的にアリな技は以上!(えっ、もう!?)
あ、二段抜刀術の「双龍閃」も現実可能で剣術としてもアリな技でしょう。
映画でも使用されています。双龍閃については後ほど言及します。

では、次。
現実的には可能でも、剣術としてねーよそれ!って技いきます。



まずは、「龍翔閃(りゅうしょうせん)」!
いや、まぁ現実に再現は容易でしょうが、あまりの格闘ゲーム臭に
剣道とかで使っちゃったら反則とられそうな感じもします。
万能タイプの格ゲーキャラが必ず持っている昇龍拳的な技ですね。



つづいて、「土龍閃(どりゅうせん)」!
・・・うん、ないわこれ。
刀で地面をえぐって土石で攻撃・・・って、もう剣術じゃないですよね…。



そして、これも問題の技です。「飛龍閃(ひりゅうせん)」
刀を親指でバチコンはじいて飛ばすという、なんというかもう・・・
これで相手をしとめられなかったら、自分丸腰になって逆にピンチに
なるんじゃないでしょうか。
二本差しの脇差とかでやるべき技なのかな?(それもどうかと思うけど)



いよいよこのあたりから現実的にも可能なのか怪しくなってきましたが、
「龍鳴閃(りゅうめいせん)」です。
神速抜刀術の逆回し。いわば、神速の「納刀術」ともいうべき技で、
神速で鞘におさめられた刀の鍔が発する超音波で相手の聴覚を
狂わせる技ですよー


そして、ついに現実的に再現不可能な技がヴェールを脱ぐ・・・



でましたァー、飛天御剣流「九頭龍閃(くずりゅうせん)」!
九つの斬撃を同時に打ち込むという超人技です。
漫画では、「壱」「弐」「参」「肆」「伍」「陸」「漆」「捌」「玖」
というエフェクトによって九頭龍閃の発動がわかりましたが、
現実ではどういう動きになってるんですかね、これ。
仮に志々雄編が映画化されるとして、この九頭龍閃はたぶん存在自体が
カットされると思います・・・。



そして、「天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)」!
飛天御剣流の究極奥義が堂々の登場です。
神速を超えた超神速の抜刀術ということで、聞こえはシンプルですが、
その実態はとんでもない技です。
飛天御剣流の抜刀術はすべて隙を生じない二段構えになっていますが、
それはこの奥義も例外ではなく、仮に一撃目をかわされたとしても、
超神速で弾かれた空気が相手の動きを阻害、さらにその弾かれた空間に
空気が戻ろうとすることで相手を引き寄せ、そこに強力な二撃目が入るという
非常に理にかなった(?)技ですねー。

剣心の師匠の比古は、天翔龍閃の一連の仕組みを

 天翔ける龍の牙をかわしたところで、吹き荒れる風に自由を奪われ
 爪によって引き裂かれる

と例えています。
うまいこと言った!


・・・まぁ、こうして見てきた通り、飛天御剣流の技を実写で
魅せようとすると、どうしてもリアルな殺陣としては成立しなくなります。
なので、映画では極力、飛天御剣流の現実離れしすぎている部分を見せずに、
象徴的な「神速」な部分などを際立たせて、殺陣として成立させていた
わけですねー。

そんな映画るろ剣の戦闘シーンですが、鵜堂刃衛との対決だけは例外で、
ほぼ原作に忠実な戦闘シークエンスがとられています。
以下、詳しく見てみましょう。


  原作・映画 鵜堂刃衛戦を見比べる

そもそも、原作での鵜堂刃衛との対決は、
もっとも剣客同士の戦いとして成立していたバトルでした。

刃衛の攻撃を剣心がかわす場面では、





こんな感じで、刃衛の使う「二階堂平法」という剣術の特徴を
剣心が理解し、攻撃の型を読んで対応しています。





しかし、十文字型唐竹割りの後に刃衛が繰り出した背車刀までは
読めずに攻撃をくらってしまうという一連のシークエンスが
攻撃の読み合いによる剣術の戦闘の面白さを上手く演出していました。

このリアルな刃衛との剣術対決は映画の演出方針とも合致していたのか、
刃衛戦だけはほぼ原作通りの戦闘シーンが再現されているのです。

まぁ、さすがにこういうのはなかったですが…↓


ただ、こういう読み合い対決は漫画というメディアだからこそ
実現可能な演出です。





刃衛が剣心の抜刀術の構えに直面してからの、この心理描写!
抜刀術をかわすことができるかを考察しての、逆刃刀の鞘走りに
考えが至る場面なんかは、現実では数十秒も経ってないでしょうが、
考察は非常に論理的で何分も考えて出したかのような結論です。



このあと、抜刀術をかわした刃衛は勝ちを確信しますが・・・!



鞘によるまさかの二撃目をくらい、敗北します。



この抜刀術は飛天御剣流「双龍閃」
仮に初撃が回避されようとも、そのまま斬撃の勢いを利用しての
鞘の第二撃が来るという二段構えの技です。
高度な読み合い対決を制したのは剣心でした!!

映画でも双龍閃の解説はあり、この技が映画で技名が登場した
唯一の飛天御剣流剣技となりました。

この刃衛戦を映画で見てて思ったんですが、
こういった心理戦をおりまぜたバトルは漫画メディアで読むのが
一番面白いなーとつくづく感じました。

映画では一連の思考演出が一切ありませんでした。
思考描写をはさむと殺陣のスピード感がそこなわれますし、
そもそも実写でそういう演出をすると観客が冷めてしまいます。
なので、映画の刃衛戦は解説一切ナシで上記の戦闘が繰り広げられます。

原作読んでる組は、映画の一連の戦闘シーンの中で
刃衛と剣心の心理的かけひきを十分に想像できたと思いますが、
原作読んでない組は淡々と戦闘が進んでいるようにしか
みえなかったかもしれません。

漫画で読む場合は、読むリズムを読者の方でつくれますから、
心理描写をじっくり読んだ後、動きだけをスピーディに
追い直すこともできます。
刃衛戦の最大の面白味は、やっぱりこうした剣客同士の心理対決に
あると思うので、原作未読で映画だけ見たという人は、
ぜひ一度原作に目を通した上で、再度映画の刃衛戦をみていただき、
二人の心理を想像しながら実写での迫力ある戦いを
鑑賞するとより面白いかもしれません。


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『魔法陣グルグル2』は【外伝1】につながるか?

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先日より、「ガンガンONLINE」にて往年の名作漫画『魔法陣グルグル』の
続編となる『魔法陣グルグル2』の連載がはじまりました。

グルグルの連載終了より9年・・・
スピンオフ作品『舞勇伝キタキタ』の完結も冷めやらぬうちの
まさかの続編スタート決定でした。

『2』の物語開始は魔王ギリが倒されてからわずか2週間後(!)
世界はまたもや魔王の力に屈しようとしています(!!)
14歳になったニケとククリは再び冒険の旅に
出ることになりました・・・(!!!)

という、衝撃の第一話をかますこととなったグルグル『2』。
超懐かしい勇者マニアのニケのおやじバドの名言が冴えに冴えます。

「おいしい物には『II』がある!」「勇者は『II』が真骨頂なのだ!!」

うん、相変わらず過ぎてやっぱ好きだー、ニケのオヤジ。

ところで、前作のエンディングでククリはグルグルを使えなくなったはず
でしたが、今回始まった『2』で再びグルグルの力に
目覚めることになります。

なにからなにまで、そんなバカなー!?と思われがちな『魔法陣グルグル2』ですが、
実は長年の未回収伏線を回収する大いなる可能性を秘めているのです。


  外伝1



増刊少年フレッシュガンガン平成5年冬季臨時増刊号に掲載された
『外伝1』と呼ばれる話があります。

タイトルの通り、グルグルの「外伝」ともいうべき作品で、
本編の物語とは関連のないニケとククリの冒険が描かれています。
注目すべきは、この作品におけるニケとククリ自身です。



ククリ(14歳) レベル15!



ニケ(14歳) レベル16!!

14歳なうえに、レベルもずいぶん上がっています。
グルグル本編でニケとククリがギリを倒したときのレベルはわかりませんが、
ここまでは上がった描写はなかったので、おそらくこの外伝の時系列は
ギリ討伐後と思われます。
また、冒頭でククリがチョコレートを買う場面もあります。
グルグル本編でククリがチョコレートを初めて食べるエピソードが
あるので、やはりこの外伝はグルグル本編終了後と言えるでしょう。

この外伝が長年の疑問だったんですよねぇー。



ギリ討伐後のはずなのに、ククリがグルグルを使ってるというのが
最大の疑問でした。
あるぇー、ギリ戦後はグルグルが使えなくなったはずなのに??と。

まぁ、この外伝執筆当時は本編ラストまで考えてなかったとか
この外伝はパラレルワールドとか、そういう野暮なことはいくらでも
言えますが、それでも真っ当に解釈したい!というのが
ずっと胸のひっかかりとして今の今まであったのです。

 と こ ろ が !!

そんな長年の胸のつかえも、『魔法陣グルグル2』を読んで
一気にスッキリしました!

ククリは使えなくなったはずのグルグルの力に
再び目覚め、二人は冒険を再開します。
しばらくは魔王ギリ打倒後のクリア後の世界的な冒険が
繰り広げられると思われますが、やがてはこの
「外伝1」につながるんじゃないかと、そう思えてならないです。
そのときがきたら、俺泣いちゃうかも・・・



あと、この外伝でちょっと気になったのは
ニケが普通の剣を使ってるというところでしょうか。
魔法剣キラキラを習得しているニケは普通の剣を必要とせず、
というかむしろ魔法剣使用者の特性上、普通の剣はうまく扱えないはずです。

これは、もしやニケがキラキラの力を失う展開がくるー??

・・・と、まぁ妄想は尽きません。
いずれにせよ、『魔法陣グルグル2』は私の長年の胸のつかえを
あざやかに解消してくれました。
これから毎月、あたらしいニケとククリの冒険がみられる!
『魔法陣グルグル2』、今後の展開に期待して見守っていきましょう。

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