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打ち切りさんいらっしゃい! 【放課後ウインドオーケストラ】

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打ち切り漫画にスポットを当てて、その魅力に迫る
「打ち切りさんいらっしゃい!」のコーナーです。
今回は2008年4月~2009年6月までジャンプスクエアで連載されていた
『放課後ウインドオーケストラ』を取り上げます。
(コミックス全4巻 宇佐悠一郎 著(女性の先生です))

ジャンプはジャンプでも「SQ」の方で連載されていた
作品なので、知名度は低いかもしれませんが、
ジャンプ系の雑誌で「本格的な部活モノ」というジャンルに
真正面から向き合った稀有な作品だと思うので、
今回このコーナーで取り上げてみることにしました。
また、「打ち切りにならなければもっとこういう話がみてみたかった!」
という部分が個人的にかなりある作品なので、そういうところも
含めて語ってみようと思います。

では、どうぞ↓


  放課後ウインドオーケストラ概要

『放課後ウインドオーケストラ』は、高校の吹奏楽部のお話です。

主人公・平音佳敏(へいおんよしとし)は、春から高校一年に
なったばかり。
中学時代の趣味は睡眠。特技は授業中気配を消すこと。
成績は中の下。帰宅部。
そんな彼が入学した高校は、私立千代谷高校。通称チヨコー。
勉強もスポーツも全てにおいて平凡で実に目立たない高校。
そんなチヨコーは彼の性分にぴったり合った学校でした。
なんといっても、家から5分の好アクセス!
平音はこれからはじまる低燃費な学生生活に
期待していました。



当然、高校も帰宅部と決めていた平音でしたが、
偶然にもクラスイチの美少女・藤本鈴菜(ふじもとりな)と
一緒に部活動見学に行くことになります。
鈴菜は中学のときから続けていた吹奏楽部に絶対入ると
決めていたようでしたが・・・



なんと、チヨコー吹奏楽部は本年度をもって廃部!
対外成績が悪かった部を廃部とするという、
チヨコー校長の方針によるものでした。

ものすごく落ち込む鈴菜に、吹奏楽の楽しさや
何故部活動にこだわるかの熱弁を聞いた平音は、
今回のこの鈴菜との会話だけで中学3年間の
女子会話量を越えたことを実感します。

鈴菜と吹奏楽部の見学に行くことになったのは、
音楽室を探して迷っている鈴菜へかけた
「一緒に行こうか?」
のたった一声でした。
一歩踏み出したともいえない、「半歩」の踏み出しで
何も起こらなかった中学時代とはこんなに違ったことが
起こったのです。

平音はさらに思います。

 一歩踏み出したら・・・どうなるんだろう?



他の人から見たら小さな一歩かもしれませんが、
平音にとっては大きな一歩を踏み出しました。
なんと、吹奏楽部への勧誘活動!!

楽器も初心者。音楽の成績もよくない平音が
吹奏楽部を再興しようと思ったのは、ただ単純に
吹奏楽部に入れなくて落ち込んでいる鈴菜のためでした。



そして、なりゆきの上での「部長」発言!
このやりとりを見ていた元・吹奏楽部の2年生は感心し、
部活のみんなに声をかけると言ってくれました。
さらに、初心者だけれどもなんか楽しそうと興味を持った
1年生も数人加わり、チヨコー吹奏楽部は
同好会として再興することになりました!

・・・平音にとって非常に密度の濃い一日が終わりました。

「今日一日で中学の3年分くらい疲れた・・・」

そんな彼に、中学時代決して女子からなど
届くことのなかったメールが届きます。

 件名:藤本です
 本文:
  藤本鈴菜です。今日はどうもありがとう。
  おかげで明日からまた吹奏楽やれそうです。
  平音くんが力になってくれて、
  びっくりしたけど嬉しかった。
  ちょっと涙出ちゃいました。
  それではまた明日。
  藤本鈴菜

入学早々思いも寄らない展開。
彼の胸中は複雑でした。
ひとつは、とてつもなく大きな不安。
そして、裏腹に
これから先、毎日新しいなにかが
待っているんじゃないかという予感――。


  放課後ウインドオーケストラの特徴1~主人公部長モノとして



こうして始まった『放課後ウインドオーケストラ』の物語!
主人公・平音はまったく楽器に触れたことがなく楽譜も読めない
完全な音楽初心者です。
物語の大きな流れとしては、そんな平音くんの音楽家としての
成長と、吹奏楽部部長としての悪戦苦闘を同時進行で描く
ような形で展開されます。

まずは、吹奏楽部部長としての平音の物語をピックアップしてみましょう。



最初はただ鈴菜のために部長を引き受けた平音でしたが、
思った以上に大勢の人たちから感謝されることになります。
元々在部していた2,3年生はもちろん、吹奏楽部に
入ろうと考えていた新1年生からも平音に感謝の言葉がかかります。
こんなに誰かから感謝されたのは初めてでした。
もちろん、悪い気はしません。

とはいえ、音楽はまったくの初心者。
練習メニューは考えられない、合奏の曲目も決められない、と
音楽的なことではまるで部長としての務めを果たすことはできません。

そもそも、吹奏楽部は同好会として再興したにすぎず、
コンクール等に出場するには部として正式に発足しなければ
なりません。
そのためには前の吹奏楽部を廃部にした張本人の校長に
認めてもらわなければなりません。



平音にできること。
それは、知り合った全国一位のトランペットの腕前を持つ
月川海澄(つきかわかすみ)に協力を仰いで
校長に認めてもらうための演奏曲目を考えてもらう、
さらには校長を実際に引っぱって来て、吹奏楽部の
演奏を聴いてもらうということでした。

この作品では、主人公が秘めたる音楽の才能に突然目覚める!
ということは一切ありません。
あくまでも音楽初心者の無力な部長という立ち位置の彼が、
それでもなんとか自分にできることはないかと
試行錯誤する様に読者は感銘を受けるのです。



時には、部員同士のいざこざの中に入って行き、
時には、部員たちの練習に的確なアドバイスをくれる
強力な助っ人を引っぱってくるための代償として
楽器屋で働き、
時には、他校の部長から全く異なった価値観の
思想を披露されてへこみながらも、

彼は"部長"として少しずつ成長していきます。



そんな平音くんの部長としての奮闘ぶりは、
間違いなくこの作品の魅力の大きな部分を占めています。


  放課後ウインドオーケストラの特徴2.~"本格"部活モノとして

音楽マンガというと、主人公たちの天才的な演奏による
ビジュアル的にも派手な演奏シーンなんかをイメージしてしまう
かもしれませんが、この作品は演奏シーンは全体的に少なく、
全17話中、主人公たちの合奏シーンがあったのは
たったの2回のみ(!)

そうなんです。
これは、吹奏楽"部"の物語。
部活といえば・・・「練習」!!
なんと、このマンガ、作品の大部分を練習シーンが占めているのです!



走る!



吹く!



合わせる!

ありとあらゆる練習が登場し、さまざまな登場人物たちが
奮闘します。
ジャンプ系マンガなのに修行シーンが作品の大半を占めている
・・・と書くとなんだかつまらなそうに聞こえますが、
決して、そんなことはない!!
彼らがいろんな練習にみんなで一生懸命取り組む様は、
見ていて非常に気持ちが良いです。



地味な基礎練習もしっかりと描写され、
初心者も結構交じっている吹奏楽部の面々の
音楽的成長にも説得力がもたされますし、
何よりメンバーの一体感を演出するのに大きな効果を
もたらしています。
このあたり、ラストで効いてくるので要注目です。



まさに、「本格」部活モノ!
主人公・平音のトランペッターとしての成長も
非常に見モノです。


  放課後ウインドオーケストラの特徴3.~部員の個別エピソード、各々の音楽への想い



練習シーンと並行して、部員の個別エピソードも要所に
挿入されます。
個別エピソードでは、そのキャラが音楽にかける想い、
そのキャラの担当する楽器の合奏での役割について
掘り下げがなされます。



読者としてはここの個別エピソードで
そのキャラの魅力を感じたり、そのキャラが担当する
楽器について知ったり、そのキャラがかかえている
人間関係やドラマなどを読みとることができます。



惜しむらくは、吹奏楽部員の数は結構いるはずなのに
個別エピソードで掘り下げがなされたキャラが少なく、
コマにはよく出てくるのに本編中のエピソードがほとんど
ないキャラがいたり、ほとんどモブ扱いのようなキャラが
多かったのは残念でした。
このあたり後で詳しく言及しますが、ストーリーの進行と
キャラの掘り下げを同時並行で行うには月刊連載という
スタイルはあまりにも不向きでした。

ホルン、フルート、ユーフォニアムなど
作中で触れられることのなかった楽器があったのも
残念でした。


  ラストにむけて

『放課後ウインドオーケストラ』の打ち切りが具体的に
どの時点で決定したかは定かでありませんが、
ラストにむけての流れを以下にさらってみます。



夏合宿中、平音は賢洋高校という吹奏楽強豪校の
部長・副部長と知り合いました。
彼らの吹奏楽へのガチな取り組み方は、
真剣に取り組みながらもどこかまったりとしたチヨコーの
それとは明らかに異なり、
平音は部長としてかなり戸惑います。

とはいえ、チヨコーにはチヨコーのやり方がある。
夏合宿中、チヨコー吹奏楽部は練習と遊びを交互に
織り交ぜつつ、楽しく練習をしました。
強豪ではないものの、吹奏楽と真剣に向き合ってきた
自分たちにも奏でられる音楽があるはず!

途中、賢洋の1年生だけのコンサートに招待されて
格の違いをみせつけられたりしましたが、



この日、賢洋吹奏楽部の顧問から励まされ、
チヨコー吹奏楽部はそっと背中を押された気がしました。



まずは目の前にせまった、吹奏楽コンクールの地区予選!
吹奏楽の甲子園ともいえる普門館は無理だとしても、
せめてこれくらいは・・・!
地味に妥当な目標をかかげ、チヨコー吹奏楽部の士気も上がります。



そして、迎えるコンクール当日。
最前列で見学する老人がこんなことをつぶやきます。

 贅沢な演奏じゃの
 プロも大人もこんな音楽の作り方はせん
 同じ曲を何十回何百回と同じメンバーで繰り返したりはせん

 どの学校も12分の間にこれほどの若さと熱を込めて…
 羨ましくなる
 じつに贅沢な12分だ

その老人のつぶやきに対して、一人の大人がこう返します。

 そうですね
 本当に・・・その通りだと思います
 俺も高校時代は吹奏楽部でしたが
 今後の人生においてあれほど一曲をやりこむことは
 決してないと思う

 コンクールの成績はいつか忘れても
 放課後の音楽室で聞いていた音や仲間の笑顔は…
 決して俺のなかで色あせることはないと
 そう思います

そして、いよいよチヨコーの演奏が始まります。



合奏しながら、平音は思います。

 ――今日この舞台で吹くために毎日やってきたわけだけど
 舞台で吹いてると本当に実感する

 音楽は時間芸術だ

 かたちのないものを作り出し、それが一瞬でその場で消え去っていく
 そのたよりなさや切なさや
 それゆえの価値のようなものを・・・
 舞台で吹くとき一番実感する



 どの一瞬もすごいスピードで俺たちの前を
 通り過ぎていくけれど

 その間にかたちないものを作ってるんだよ きっと

 ・・・・・・



チヨコー吹奏楽部のヨロヨロとした初舞台は一応、
無事着陸を果たしました。
自分たちとしては会心の音楽を奏でたという
手ごたえがたしかにありました。



みんなと一緒にみえない何かをかたちづくった実感は
部員それぞれに不思議な感情を抱かせます。



そして、平音は。
みんなが演奏後こうやって笑っているのだから
素直によかったんだと思えました。

コンクールの成績は「金」「銀」「銅」の
三つの賞に分けられ、どの高校も必ず
どれかの賞が与えられます。
金賞のうち何校かが次の大会へ進めることとなります。

チヨコー吹奏楽部のコンクールの成績は……
残念ながら「銅賞」でした。


チヨコーの夏は終わり、2学期。
来る次のイベント・文化祭へと、チヨコー吹奏楽部は動きだします。
あたらしいスタートと同時にいくつかの別れ。
コンクールまでと決めていた部活動を辞め、プロをめざす者。
引退してゆく3年生たち。
さまざまな出来事を経て、これからもチヨコー吹奏楽部は
続いていきます・・・!!


  こんな放課後ウインドオーケストラがみたかった

・・・と、まぁラストまでこんな感じでした。

コンクールの地区予選をクライマックスとして、
今まで積み重ねてきた練習の描写や、各部員のドラマなどが
舞台での合奏に一気に集約するような演出は見事でした。
平音が舞台で吹きながら、
音楽はかたちないものをつくる時間芸術だけど、
自分たちの音楽以外のなんでもない高校生活だって、
かたちないものをつくっているんだって気付くシーンは
実際、胸に来るものがあります。
いろいろ思い出すなァ・・・

ちょっと残念なのは、コンクールに行くまでに
キャラ的に掘り下げがあった部員の数が少なかったこと。
また、各楽器の役割の掘り下げも少なかったこと。

たぶん、月刊連載ということもあり、のろのろと
キャラ個別エピソードを展開していてはストーリーの進行が
遅くなるとかそういう事情もあったのでしょう。
ストーリーを進行しつつ、その間にできるだけキャラを
しゃべらせたり、せめてこのキャラだけでも~という感じで
泣け無しの一話を使って個別エピソードを展開できたキャラもいたり、
コミックスではおまけページの4コマを使って
本編で目立ってないキャラを補完したりと
さまざまな工夫でもってキャラを活かそうとする努力のあとが
みられます。
そのおかげか、全4巻17話という短い尺のわりに、
各キャラの印象はくっきり深いです。
チューバの桜井さんとか、個別エピソードほとんどないのに
存在感すごいですからね!(個人の感想です)



あと気になる点としては、吹奏楽ガチ勢・賢洋高校との
絡みが消化不良におわったところでしょうか。

楽しく部活をするというチヨコーと対照的な存在として
登場したわけで、チヨコー吹奏楽部が賢洋とは違う
やり方でちゃんと素晴らしい音楽を奏でられるんだ!
という展開にするのが妥当な流れと思いますが、
地区予選の一回の演奏だけで、賢洋の部長が
まーこういう音楽もアリかなと
あっさり納得してしまったのはちょっと不自然でした。
ストーリーが続いていれば、賢洋とチヨコーの音楽観の
問題は来年のコンクールまで持ち越しーとかできて、
その間のいろんなエピソードを経ての
次年度のコンクールではチヨコーの演奏がどうなってるかー!?
みたいな展開にできたんですけどね。



賢洋の天才トランペッター・天野と、
チヨコー吹奏楽部にいろいろ協力してくれている月川との
関係エピソードも、展開したはいいけどすぐに
たたまなければならなくなったので、実に
中途半端に終わってしまったのも残念でした。


まー、結局なにが言いたいかっていうとですね。

もっと、放課後ウインドオーケストラを読みたかった!!

これに尽きます。

あのモブ一年生やあの先輩のエピソードも読んでみたかった!
この楽器がぜんぜん掘り下げなかったのでちゃんと紹介して
ほしかった!
部長として、トランペッターとして成長していく平音くんを
もっと見守りたかった!

いろんな可能性があった作品でした。
それだけに打ち切り終了が本当に残念でした。



吹奏楽に打ち込む、天才でもなんでもない普通の人たちの物語。
大好きでした。

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思い出の一話~【ターンエーガンダム 43話「衝撃の黒歴史」】

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印象に残ってる漫画やアニメの一話をピックアップして掘り下げる
「思い出の一話」のコーナーです。
今回は『∀(ターンエー)ガンダム』を取り上げます。

『機動戦士ガンダム』誕生20周年記念作品として
製作されたTVアニメシリーズであるこの作品。
主人公機であるガンダムがヒゲづらという
強烈なインパクトでもって、放映当時はガンダムファンの
相当な話題をさらいました。
が、この作品ガンダムの見た目のインパクトのみならず、
さまざまな部分で視聴者に驚きを与えた作品でした。

ガンダムとは思えないほど牧歌的な世界観で展開される物語。
尖ったデザインの個性的なキャラクターたち。
山を掘ったらザクやカプールなど旧作のモビルスーツが発掘される

などなど、
一話放映されるたびに驚きのない回がないんじゃないか
というほど、毎回印象深い話が続きました。

なかでも取り分け視聴者の度肝を抜いたであろう問題の回
第43話「衝撃の黒歴史」に注目してみましょう。


  本題に入る前に

さて、本題へと入る前に初代『機動戦士ガンダム』から始まり
『∀ガンダム』に至るガンダムシリーズの流れをざっと確認してみます。

 1979 機動戦士ガンダム [TVアニメ]

1979年、富野由悠季(喜幸)監督によって『機動戦士ガンダム』が世に出ます。
それまでのロボットアニメは主人公メカを正義の味方として扱い
地球を侵略にきた悪の異星人と戦うといった勧善懲悪モノがほとんどでした。
しかし、『ガンダム』ではロボットを「モビルスーツ」と呼ばれる
兵器として扱い、人間同士の戦争を描きました。

 1985 機動戦士Zガンダム [TVアニメ]
 1986 機動戦士ガンダムZZ [TVアニメ]
 1988 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア [劇場アニメ]
 1991 機動戦士ガンダムF91 [劇場アニメ]
 1993 機動戦士Vガンダム [TVアニメ]

以降のガンダムシリーズでもそれは一貫しており、
上記に挙げた富野監督によるガンダム作品はほとんど
宇宙に住む人々と地球に住む人々とのいざこざが
大枠の舞台としてあり、そのなかで人類の新しい進化の形である
「ニュータイプ」と呼ばれる主人公の少年が、戦争を通じて
さまざまなことを感じ取り成長していく物語構成となっています。

 1994 機動武闘伝Gガンダム [TVアニメ]
 1995 新機動戦記ガンダムW [TVアニメ]
 1996 機動新世紀ガンダムX [TVアニメ]

Vガンダム以降の上記3作品は、富野監督以外の人物が監督を務めた
テレビアニメシリーズでのガンダム作品となります。
それぞれの作品の特徴として、

「G」
世界各国を代表する格闘家達が操るガンダムを用いた
格闘技大会「ガンダムファイト」で争うという異色作

「W」
5機のガンダムと5人の美少年を主人公に据えた
女性人気を確立したガンダム作品

「X」
荒廃した地球を舞台にしたガンダム作品。
「ニュータイプ」など富野監督のガンダム作品を
意識した要素を取り入れている。

という特徴があり、3作品とも従来の富野監督のガンダムとは
雰囲気が大きく異なっています。(特にG)
また、富野監督のガンダム作品が「宇宙世紀」という
時間軸を用いた世界観的に連続していた作品だったのに対して、
上記3作品の世界観はそれぞれ独立しており、
宇宙世紀のガンダム世界に対するパラレルワールド的な
印象も受けます。

そして、今回の記事で語る『∀ガンダム』は
こうしたガンダムシリーズの流れのなかで放映開始した
ガンダム作品となります。

 1999 ∀ガンダム [TVアニメ]

本作品では、富野監督がVガンダム以来5年ぶりに
ガンダム作品の監督を務めます。

今作では地球に住む人々と、月に住むムーンレィスと
呼ばれる人々との対立を描いており、
対立構造はいままでの富野ガンダムに似ています。
しかし、決定的に違うのは物語の雰囲気で、
今までの富野ガンダムの物語の雰囲気は殺伐としており、
全作品とも登場人物に死者が多く出ました。
特に『V』の死者数はすさまじく、登場した主要人物は
敵味方陣営あわせて大半が死亡しています。

対して、今作『∀』は戦争を題材としながらも
どこか牧歌的な雰囲気のなかで物語が展開されます。
死者数も他作品と比べて少なく、登場人物が
多く死亡する作風から「皆殺しの富野」と俗称される
こともあった富野監督の作品とは一線を画した内容でした。

『∀』の世界では地球人の文明レベルは19世紀の産業革命レベルに
とどまり、兵器もプロペラ機や戦車など、とてもでは
ありませんがモビルスーツを用いてどうこうという
レベルではありませんでした。
対して、ムーンレィスは高度な技術力を誇り、
軍隊にはモビルスーツを兵器として配備しています。

主人公・ロラン=セアックはムーンレィスでありながら
∀ガンダムを操り地球側に立って戦っています。
物語は、地球側に立ちながらも月と地球双方の争いを
収めようとするロランや、
月側の女王として地球帰還作戦を実行したが、地球の先住民と
争うつもりはまったくなく、軍部の暴走をおさえきれない
ディアナ=ソレル、
地球側・イングレッサ領の領主であり、表向きは月と地球の
和平のために動きながら、内に大きな野望を秘める
グエン=サード=ラインフォード
など、さまざまな人物の視点を通して描かれます。

物語前半は地球を舞台にして、地球人とムーンレィスとの
戦いを中心に描かれましたが、
後半になるとムーンレィス側の内部事情も怪しくなり、
女王の家系であるソレル家を守護する役のはずの
武門・ギンガナム家が、冬の宮殿と呼ばれる施設を管理する
メンテナー家と共謀して月の支配権を得るべく反乱を始めます。

第43話は、ロランたち地球側の人々がディアナ=ソレルを伴って
月に訪れ、ギンガナム艦隊と対峙するところから始まります。

では、以下に第43話を見てみましょう。


  『∀ガンダム』 第43話「衝撃の黒歴史」みどころ




冒頭、∀ガンダムを操るロラン=セアックは、
ギンガナム艦隊の御大将・ギム=ギンガナムと対峙します。




ギム=ギンガナムは月のマウンテンサイクルから発掘された
ターンXという機体を操っていました。

このターンXは前話より登場したターンAのライバル機体です。
∀ガンダムと同じくアメリカの工業デザイナー・シド=ミード氏の
デザインで、左右非対称のシルエットと胸のX字の傷が特徴です。

『Gガンダム』のシャイニングガンダムの必殺技である
「シャイニングフィンガー」を使用したり、
全身がバラバラになって、ファンネルのようなオールレンジ攻撃が
可能だったりと、この先登場するたびに絶大なインパクトを
視聴者に与えることとなる機体です。
搭乗者のギム=ギンガナムの強烈な印象も伴って、
そのインパクトの相乗効果たるや、筆舌に尽くしがたいものがあります。

この話ではまだ顔見せ程度ですが、
「∀の監視役」
「かつてターンXは∀を倒しそこなった」
「胸の傷は∀につけられた」
など、意味深なキーワードがちらちらと聞こえます。






お互いそっくりの容姿を持つ月の女王・ディアナ=ソレルと
地球人の令嬢・キエル=ハイムが
実は入れ替わっていた時期があったということが
主要登場人物に知らされた回でもありました。

この二人、ディアナのほんの遊び心でお互いの衣装をチェンジ
したのですが、その後のゴタゴタで入れ替わったままの
状態でお互い離れ離れになってしまい、そのまま立場が
入れ替わってしまったのでした。
入れ替わった時期はなんと第10話!
主人公・ロランは早い段階からディアナとキエルが入れ替わった
ことを知らされていましたが、その他の人物が
入れ替わりをネタばらしされたのが、この第43話というのだから
驚きです。
このときの各々のリアクションはちょっとした見どころです。






ディアナ親衛隊・ハリー=オード大尉の無双アクションも
見どころのひとつ。
3機のマヒロー相手にハリーの駆るスモーがバッタバッタの
大立ち回りを演じます。
アクの強い外見のキャラが目立つ本作で、ハリー大尉はまれなイケメンです。
(ちょっとディアナ様LOVE過ぎますが)

「ディアナ様の尻と言ったか?…おのれぇ!」

というちょっとズレたキレ方をしてみせたのもこの回でした。






・・・が、なんといってもこの回最大の見どころはこれです。
冬の宮殿に逃げ込んだアグリッパ=メンテナー。
彼はギム=ギンガナムと共謀して月の支配権を握ろうとしていました。
彼の逃げ込んだ冬の宮殿という施設は、「黒歴史」と呼ばれる
封印された古代史を管理する施設でした。

この冬の宮殿にて、ディアナ=ソレルは黒歴史の記録の封印を解き、
地球人やムーンレィスたち全員に公開します。
その記録映像は、地球人やムーンレィスたちにとっても、
そして我々視聴者にとっても非常に衝撃的なものでした。



なんと、古代史だという黒歴史の映像には、
初代ガンダムがザクと戦っている姿が映っているではありませんか!

初代ガンダムだけではありません。
ZガンダムやZZガンダムの姿も見られます。
『∀ガンダム』は、宇宙世紀の時代よりも
気の遠くなるほど遥か未来のお話だったのです。



そして、さらに衝撃的な映像が。
宇宙世紀ではない、パラレルな世界を舞台にした
今ではアナザーガンダムと呼ばれる、富野監督以外の
ガンダム作品に登場した機体も映像の中にありました。

つまり、この『∀ガンダム』第43話にて、
すべてのガンダム作品は実は同じ時間軸で展開されていた物語だった
ということが明らかになったのです。
すべてのガンダム作品は、この『∀ガンダム』につながっていたのです。




ディアナが公開した黒歴史の映像は、驚きの結末をもって締めくくられます。
そこには、「月光蝶システム」によって
地球文明を滅ぼす∀ガンダムの姿がありました。

文明の発展によって最終戦争まで行き着いた歴史は
∀ガンダムの散布したナノマシンによって解体・リセットされ、
黒歴史として葬り去られました。

やがて、リセットされた地球は少しずつ復興しましたが、
そこにかつての文明の姿はなく、せいぜい19世紀の
産業革命時程度のレベルに留まっていたのでした。

『∀ガンダム』の世界観は、そうした文明リセット後の
世界だったわけです。


これにて、第43話は終了となります。

この話は本当に衝撃的でした。
当時はまだ『G』『W』『X』の三作品は
監督が富野由悠季でなく、舞台が宇宙世紀でないことからも、
あまりガンダム作品とは認められていないような風潮が
あったと思います。
それが、富野監督自らが同一時間軸の物語であると解釈した
ように取れる、この『∀ガンダム』第43話は、
間違いなくガンダム作品史上最重要なエピソードであると
言えるでしょう。

なお、『∀』以降に放送された『SEED』や『SEED DESTINY』
『00』や『AGE』なども同一時間軸に含まれるのか?
という疑問が持ち上がりますが、
『∀』以降に放送された作品であっても、『∀』につながる
というのが現在の定説であるように思います。

また、現在でもネットなどでよく使用される「黒歴史」という言葉
が封印された忌まわしい歴史という意味で初めて実体をともなった
エピソードということも非常に重要なポイントです。

サブタイトルの「衝撃の黒歴史」とはよく言ったものです。
まさに、衝撃的な一話でした・・・。

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【ハイスコアガール】各巻のヒキについて語る

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最近は寝ても覚めても『ハイスコアガール』のことを考えてしまいます。

『ハイスコアガール』は、90年代のアーケードゲームをめぐって
ゲーム好きな主人公・矢口ハルオと、天才的なゲームテクニックを持つ
良家のお嬢様・大野晶の微妙な恋愛(?)関係を描くラブコメ作品です。

作品内に、作中時間に実際に稼働していたアーケードゲームや
コンシューマゲームが多数登場し、それらのゲームを通じて
登場人物たちの恋愛物語が展開されるのが最大の特徴です。

現在(2013年7月)まででコミックス4巻が刊行されており、
第一話は1991年、主人公・ハルオたちが小学生の頃からスタートし、
最新4巻では1995年、ハルオたちは高校生になっています。
途中、中学編からはゲームとは無縁の女子・日高小春が
ニューヒロインとして登場し、現在ではハルオ-晶-小春の
三角関係の行方が注目されています。

さて、本記事の本題。

この『ハイスコアガール』という作品は、物語構成が非常にすぐれており、
単行本1,2,3,4巻それぞれに大きな山場と絶妙なヒキが
用意されていて、読者の心を次巻までしっかりとつなぎとめる
仕掛けになっています。

今回は『ハイスコアガール』各巻のヒキの部分を取り上げ、
詳しく語ってみようと思います。
当然、ネタバレ全開でいきますので未読の方はご注意をば。
また、本記事は『ハイスコアガール』を単行本が初見読みと
なることを前提に書いています。
そのため、雑誌購読派の方はいまいちピンと来ない記事に
なっているかもしれません。ご了承ください。

では、どうぞ↓


  第1巻 小学生編

『ハイスコアガール』記念すべき第1巻はまるまる"小学生編"と
なっています。
小学6年生のハルオは勉強もスポーツもできない平凡以下の
子どもでしたが、唯一誇れるものがありました。

それはゲームの腕前!

特にゲームセンター稼働当初からやり続けてきた
『ストリートファイターII』の対戦に関しては
大きな自信がありました。
自分よりもはるかに年上の相手も打ち負かし、
何十連勝も勝ちを重ねることができたハルオ。
しかし、そんなハルオにある日大きな壁が立ちふさがります。
ハルオが『ストリートファイターII』の対戦で
手も足もでないほどに打ち負かされた相手。

大野 晶(おおの あきら)・・・。

ハルオと同じ6年2組の
成績優秀で皆から慕われ、しかも金持ちの娘ときています。
ハルオとは別世界の人間かと思われた彼女が、
何を間違ってかハルオと同じ世界に立っていたのです。

ハルオにとって晶は憎くてウザくて忌々しくて
いけすかない存在でした。
しかし同時に、晶のゲームの腕を尊敬し、
ゲームに対する心意気に惚れ惚れもしてしまいます。
初めて同志ができたと胸も躍りました。



1巻では、そんな小学生ふたりの心の交流が
さまざまなゲームを通して描かれました。

しかし、別れの時は突然ふたりに訪れます。
大野家の親の都合で、晶は日本を離れることに
なってしまいました。



1巻のクライマックス。
ハルオは空港で晶に自分の気持ちを正直に告げ、
しばらくの別れを惜しみました。



本編ラスト2ページ。
晶の乗る飛行機を見送るハルオ。
次のページでカットインするように現れる「SPECIAL THANKS」。
そして、本編ラストカットにそのまま著作権表示の記載。
まるで、ゲームのエンディング画面のような演出です。



そして、おまけページをはさんでの次巻予告!
なんと2巻からは中学生編のスタートとのこと。
しかもニューヒロインの登場とは。
2巻の発売日は1巻発売の4か月後。
なげー・・・。

でも、物語としてはこの1巻単体だけみても
綺麗に区切りがついており、読者としても
すっきりとした読後感を迎えることができます。
そして、同時にハルオたちのその後について
思いを巡らせてしまいます。
次巻予告の情報から、第2巻は2年後の1993年とのことです。

第1巻をリアル発売日に読んでいた読者は、
第2巻が発売されるまでの4か月間、
なんとなく心の片隅にハルオと晶の物語が
ちらついていたことかと思います。


  第2巻 中学生編1



長いような短いような微妙な4か月間を経て、
『ハイスコアガール』第2巻は発売されました。

導入部分は1巻第1話とまったく同じ演出。
作中年代を一般的な社会現象と発売されたゲームとを
交互に紹介する形で説明しています。

1巻の導入とまったく同じということで、
読者としては既視感と新しい物語への期待とが
織り交ざった不思議な感覚を味わうことになります。



天才的ゲーム技術を持つ良家のお嬢様・大野晶がヒロインとして
登場した1巻とは打って変わって、
2巻は特に趣味をもたないフツーの女の子・日高小春(ひだか こはる)が
ヒロインとして登場します。
無趣味な自分に反して、ゲームに異様な情熱を傾けるハルオが
気になりはじめた小春は、やがて自分がハルオに対して
恋心を抱いていることを自覚します。

晶がほとんどしゃべらず何を考えているのかわからない女の子だった
のに対し、2巻はほとんど小春のモノローグで進行するため
彼女の心境の移り変わりは読者のよく知るところとなります。
そういうところもあり、コミカルな描写が目立った小学生編に対して
中学生編は静かに淡々と進んでいくような印象があります。



しかし、2巻のラスト近く。
物語は大きく動き出します。


ハルオたちが中学3年生に進学した1994年4月。
なんと、あのお嬢様が帰ってきた・・・?



真打登場で波乱の予感を残しつつ、物語は次巻へヒキます。
本編ラストページも1巻と同じクレジット表示演出。



おまけページを経ての次巻予告も1巻と同様です。
3巻の発売は・・・2013年2月!?
8か月後!? 長っ! 長くないか・・・!?

とはいえ、やはり物語的に区切りはついています。
2巻は主に小春視点で物語が展開されており、
小春がハルオに対して興味を持ってから恋心を
はっきりと抱くまでが丁寧に描かれていました。

ラスト近くでの晶の再登場は言ってみれば、
舞台が整ったようなもの。
真の中学生編は第3巻より始まる。
2巻はそのための助走だった・・・とも思えます。

読者は3巻が発売されるまでの間、
これから始まる物語について期待と不安を
募らせることになります。


  第3巻 中学生編2



3巻の発売日はなぜか予告で提示されていた2013年2月ではなく
2012年12月でした。
なんで前倒し!? まぁいいけど。

物語は小春がハルオと晶の関係を気にするところから始まります。
小学生の頃、涙の別れを交わしたふたりでしたが、
中学生になって再会してからはぎくしゃくしていました。
ハルオの念願だった晶との『ストII』再戦もスカされ、
再会を喜び合うという雰囲気にはとてもなりませんでした。

が、すぐに転機は訪れます。

修学旅行にて。
自由行動を抜け出したハルオは関西の『スーパーストリートファイターII X』
の大会に出場します。
そこに偶然、晶も出場していたのでした。
はからずも、ハルオの望んでいた晶との再戦は、
大会という大舞台で果されることになりました。

・・・その大会での出来事をきっかけに、
ハルオと晶は小学生の頃の絆を取り戻すことになります。

そして、ハルオにはある決意が。



半年後に訪れる高校時代を晶と一緒に過ごしたい。
ハルオは、晶が受験する上蘭高校という高レベルの進学校を
受験することにしたのでした。
ハルオの学力では無謀とも思える志望校です。
9月から受験当日までの半年間、
ハルオは大好きなゲームを一切断って勉強に専念しました。

そうして迎えた、合格発表の時。



ハルオの受験番号「1942」は、
合格者番号一覧のなかにはありませんでした・・・。

これにて、3巻は幕を閉じます。
読者に受験番号を探させるラストカットは
なかなかに胸をしめつけられる演出でした。



そして、恒例のおまけページをはさんでの次巻予告。
次なる舞台は高校生編で1995年6月。

4巻の発売日は3巻発売より半年後の2013年6月25日です。
長いですが、やはり物語的にきれいに区切りがついているので
読後感はすっきりとしています。
が、結局ハルオの念願だった晶との高校生活は実現できなそう
ということで、次巻が一体どういう展開になるのか
読者としては非常に気になるところです。



  第4巻 高校生編1



第4巻。
読者が待ちに待っていた巻が発売されました。
ページを繰って、第1巻、2巻と同じ導入部分を見たとき、
気付かされるものがありました。

巻ごとにすぐれた構成できれいに区切られ、テンポよく進む物語。
巻と巻の発売日の切れ間のリアルな時間の間隔に
対応するかのように、作中時間もある程度が経過する・・・。

新巻の刊行をリアルタイムで追っている読者のリズムに、
物語展開が合わされているのです。

各巻が区切りをもって終わっているので、次巻を読むときに
読者はすんなり物語に入り込めますし、前巻より多少経過した時間は、
巻と巻の発売日の切れ間を待っていた読者の感覚に一致します。
だからこそ、各巻の冒頭を読むときのワクワク感が
他作品とくらべて抜きんでています。

さらに言うと、この『ハイスコアガール』という作品は
巻と巻の発売日の切れ間の余韻を楽しむことができる作品ともいえます。
それを決定的にしているのが、各巻の"ヒキ"と"次巻予告"の部分!

"ヒキ"のクレジット演出で、きれいな読後感と
"次巻予告"の演出で、次への期待感を同時に読者に抱かせる
のはもう匠の仕事を感じてしまいます。

・・・まぁ、ぜんぶ個人の感想なのですが、
同じように感じられた方も少なくないんじゃないでしょうか。

作品の内容によって、

 単行本をある程度まとめて一気に読んだ方が面白い作品
 (スポーツやバトルジャンルがそうでしょう)

 雑誌掲載をぽつぽつ追っていても一気に読んでも
 同じように楽しめる作品
 (一話完結モノやギャグなど)

などがあるかと思いますが、この『ハイスコアガール』という
作品は

 単行本の各巻の切れ間の余韻も含めて楽しめる作品

だと思います。
今回、ただこれだけ言いたくて本記事を書きました。
最後に、4巻の内容をさらって、例の"ヒキ"と"次巻予告"を
みてみましょう。



4巻のびっくりサプライズはなんといっても
日高小春ちゃんの急成長っぷりでしょう。
ゲーマーとしての成長もそうですが、人間的にも成長しています。
いままでどこか内向的でおとなしめだった彼女ですが、
高校生になってからは打って変わってアクティブな女子と
なっていました。
それというのも、ハルオが晶のためにゲームを断って勉強に専念するのを
目の当たりにし、ふたりの間に自分が付け入るスキがないことを
悟ってから、ハルオと同じ土俵に立つためにゲームの修行を始めた
ことがそのまま彼女の成長につながっていました。



そして、4巻のヒキでは、こんなことになってしまいます!
行ったなァおい、小春ちゃん。



次巻予告はこんな感じ。
5巻は2013年12月発売!!

長い・・・けど、5巻への隙間の期間を
あれこれ妄想しながら、4巻の余韻を楽しむことにします。

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【寄生獣】田村玲子について考える

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今回は『寄生獣』に登場する「田村玲子」について語ってみようと思います。

『寄生獣』では、多くの人間の脳を奪った寄生生物が登場しますが、
その寄生生物の中でも、「田村玲子」はかなり特別な位置づけにいる
寄生生物でした。

寄生生物がなぜ生まれてきたのかを真剣に考え続けた彼女の行動は、
『寄生獣』という物語のテーマにも、
主人公・泉新一の心情にも、大きな影響を与えました。

今回は「田村玲子」の思想や行動を登場時から仔細に追いつつ、
彼女が求めたものはなんだったのかを考えていこうと思います。

では、どうぞ↓


  教師・田宮良子

田村玲子が『寄生獣』の物語で初めて登場したとき、
彼女は「田宮良子」という名前で登場しました。

寄生生物でありながら、人間固有の身分を失わず
そのまま引き継いだ珍しい存在

田村玲子の初登場時の物語的位置づけはそんな感じでした。
ミギー(主人公・新一の右手に宿った寄生生物)も

「あんなヤツがいるとは驚きだ!」
「しかも教師として人間にものを教えている。これは大変な才能だぞ!」

と大絶賛をしていました。

『寄生獣』の物語開始当初、人間の脳を奪った寄生生物たちは
手近な人間たちを無差別に襲撃し「食事」をしました。
その際のズタズタに引き裂かれた食べかすが世界各地で発見され、
人間社会では「ミンチ殺人」と恐れられることになっていました。
寄生生物たち全体が食べかすを完璧に隠し、人間社会に溶け込んだ方が
よいと学習するのはこのしばらく後になるのですが、

田村玲子は完璧に人間社会に溶け込んだ寄生生物として
初めて物語に登場したのでした。



しかも、さらに驚くべきことに彼女は男性に寄生した
寄生生物と性交をし、妊娠することに成功していました。
田村玲子の肉体に宿した生命は、どうやら何の変哲もない
人間の赤ん坊のようでしたが、その上で彼女は
主人公・新一に問います。

「だとすると、わたしたちはいったい何なの?
 繁殖能力もなくてただとも食いみたいなことをくり返す…
 こんな生物ってある?」

どうやら田村玲子は、自分たち寄生生物は一体なにものなのか…
ということを真剣に考えているようでした。
彼女は人間でありながら寄生生物を右手に宿した泉新一という
存在に強い興味を抱きます。



新一から

「なぜ人を殺すんだ…」
「おれの右手はおれの血で生きている!
 つまり普通の人間の食い物でだ!」
「おまえらだって人間なんか食料にしなくても
 生きられるんじゃないのか!?」

と問いかけられた田村玲子は、その問いに
「たぶん可能だろうな」と答えます。
しかし、さらに下のような答えも新一に返します。

 ハエは…
 教わりもしないのに飛び方を知っている
 クモは教わりもしないのに巣のはり方を知っている
 ……なぜだ?

 わたしが思うに…
 ハエもクモもただ「命令」に従っているだけなのだ
 地球上の生物はすべてが何かしらの「命令」を
 受けているのだと思う…

 わたしが人間の脳を奪ったとき
 1つの「命令」がきたぞ…



 "この「種」を食い殺せ"だ!


生物としての「本能」めいたものを、彼女は地球からの「命令」
と表現しました。
寄生生物たちが宿主と同種の生物を食うのも、
この「命令」からきているのだ、と。

この時点での田村玲子の寄生生物に対する考え方は
このようなものでした。



  「田宮良子」から「田村玲子」へ


完璧かと思われた「田宮良子」としての人間社会への溶け込みも、
ささいなことで亀裂が入ります。

高校教師である田宮良子が誰が父親とも知れぬ子を妊娠している
という事実が高校内で問題視されてしまったのです。

こうなってしまった以上、余計な注目を集める前に
田宮良子という身分を放棄するより他はありません。



妊娠を問題視されてほどなく、田宮良子の母親と思われる人物が
訪ねてきましたが、母親はすぐに今の田宮良子が
田宮良子ではない別のなにかであることに気付きます。

完璧に近い寄生生物の擬態を、何の特別な能力を
持っているようにはみえない人間の中年女に
みやぶられたという事実は少なからず驚きでした。

いずれにせよ、早々に「田宮良子」という身分を
捨てなければなりません。


こうして、「田宮良子」は『寄生獣』の物語から退場します。
次に「彼女」が物語に登場するとき、彼女の名前と身分は
別のものになっていました。


  寄生生物の未来のために



「田宮良子」が「田村玲子」となって物語に再登場したとき、
彼女は東福山市の寄生生物たちのコミュニティの中にいました。

すでに人間社会への溶け込みが巧妙になっていた寄生生物たちは、
なんと地方自治体をまるまる牛耳って、より自分たちが
暮らしやすいコミュニティを形成するという域にまで
達していました。
東福山市の市長・広川を中心として、寄生生物たちは
社会的・組織的な行動を取れるまでに成長していました。
このコミュニティの形成には、田村玲子の尽力が
すくなからずあったと言います。

コミュニティに所属する大部分の寄生生物たちは、
「食事」のしやすさ等、自身の生命維持のために
都合好しとしてコミュニティに所属しているようでしたが、
田村玲子はそのような単純な視点ではなく、
もっと先のなにかを見据えているようにもみえました。



そして、彼女が生んだ人間の赤ん坊・・・。
彼女自身、この赤ん坊をどう扱うかを決めかねていましたが、
漠然と、寄生生物と人間の関係を考える上で
重要な役割を果たすはずであると、考えたのではないでしょうか。


  泉新一への興味


田村玲子にとって、泉新一は非常に興味深い存在でした。
田宮良子だった頃に泉新一と相対したとき、
泉新一のなかにわずかだが混じっているという印象を受けました。

この「混じっている」というのは彼女独特の表現であり、
具体的にどういったことを指すのかは不明ですが、
人間と寄生生物の中間に位置する存在として、
泉新一を強く意識したことは間違いありませんでした。


田村玲子はすでに「島田秀雄」という寄生生物と組んで
泉新一の調査を行っていましたが、島田は先頃、泉新一の
通う高校で大量の人間を殺害し、自身も死亡してしまっていました。

生前の島田からの報告で、泉新一が田宮良子の頃に出会ったときとは
まるで違った印象になっているように思えましたが、
その理由を探るためにはより詳しい調査が必要でした。



田村玲子は倉森という人間の探偵を雇い、泉新一の調査を開始します。



ところが、倉森という探偵は泉新一の調査の過程で
泉新一の右手に宿る寄生生物を目撃してしまいました。
今、ここで寄生生物の存在を知る人間が増えるのは
寄生生物たちにとって不都合となります。

田村玲子は倉森に一方的に調査の終了を告げました。
その際、中途半端な調査終了に納得いかない倉森は
激しく食い下がりましたが、そのときの倉森のあわてぶりは
田村玲子に不思議な印象を与えました。



自然とこみあげてきた"笑い"の感情。
かつて抱いたことのなかった、非常に人間的な感情を
抱くことのできた瞬間でした。



結局、泉新一とは自分自身で直接会うことになります。
たしかに島田や倉森からの報告通り、泉新一は以前に
会ったときの印象とはがらりと変わっていました。

どういう混じり方をしたんだろう・・・

ここでまた彼女特有の"混じる"という表現でもって泉新一の
変化を語っています。


  人間のこと寄生生物のこと



田村玲子は母親の身でありながら、たびたび近所の大学にでかけて
講義を聴講していました。
この日聴講していた講義の主題は「動物の利他行動とその疑問点」。

自分たち寄生生物は、生物として何者なのか。
人間たちにとって自分たち寄生生物とは一体なんなのか。
自分たち寄生生物にとって人間とは一体なんなのか。

いずれにせよ、田村玲子は寄生生物と人間の関係について
考える機会を多く持ちました。




そして、そのことで周りの寄生生物(なかま)たちから
浮いた存在にもなっていました。
特に「草野」という寄生生物からは存在自体を危険視され、
闇討ちめいた行為をしかけられるほどでした。

寄生生物は人間に比べ行動・考え方が徹底して合理的かつ単純
であることから一糸乱れぬ組織づくりもたやすいと
考えていた田村玲子にとって、これは意外なことでした。
このことは、寄生生物それぞれがこれほど大きな個体差・個性を
もつに至ったと受け取り、むしろ喜ばしく思いました。

結局、「草野」の闇討ちは荒が多く、田村玲子はあっさりと
これを撃退します。





不思議だ・・・
おまえは不思議だ・・・

この世界は不思議が多い・・・

なぜわたしは・・・

寄生生物(われわれ)はなぜ生まれてきた・・・?



  田村玲子の最期



この日、田村玲子はかつて泉新一の調査を依頼した探偵・倉森と対峙していました。
倉森は妻と子を「草野」ら寄生生物に殺されており、
寄生生物への復讐めいた感情から田村玲子の赤ん坊を
連れ去りました。

田村玲子はいろいろと人間のことを研究してきて、
今では倉森の一見不合理な行動もなんとなく理解できました。
ですが、倉森は田村玲子にこう言います。

だがやっぱりあんたにゃわかってねえよ!
人間の何たるか・・・
人の子の親の気持ちってものがな!

いまここでこの子供を殺しても
おまえは悲しんだりはしないだろう
「ああそうか」と思うだけだ
・・・違うか?



倉森が赤ん坊を頭上に振り上げた瞬間、
田村玲子の触手は倉森を貫いていました。

自分の子供を守ろうとほぼ無意識に行った攻撃。
これには自分でも驚きました。



田村玲子はこの日、泉新一を呼び出していました。
寄生生物と人間の中間の存在である泉新一に
いろいろと話しておきたいことがありました。



人間にとっての寄生生物(われわれ)
寄生生物(われわれ)にとっての人間とは
いったい何なのか

そして、出た結論はこうだ

あわせて1つ

寄生生物と人間は1つの家族だ
我々は人間の「子供」なのだ


いままで人間について研究してきたこと、
それに、今さっき倉森に対して自分が行ったことを
加味しての結論でした。

その結論を体現しているかのような貴重な存在
・・・泉新一とミギーの二人には、自分の考えを
聞いておいてもらいたかった。
田村玲子はそう考えました。


・・・そして、田村玲子に最期の時が迫ります。




倉森を追っていた刑事が田村玲子のもとにたどり着きました。
刑事は田村玲子を寄生生物と見抜き、銃撃を開始します。

田村玲子は反撃を行いませんでした。
ただ、泉新一をもとめて銃弾の中を歩きました。



ずうっと・・・考えていた・・・
・・・わたしは何のためにこの世に生まれてきたのかと

1つの疑問が解けるとまた次の・・・
疑問がわいてくる・・・

始まりを求め・・・終わりを求め・・・
考えながら、ただ・・・ずっと歩いていた・・・

どこまで行っても同じかもしれない・・・
歩くのをやめてみるならそれもいい・・・



すべての終わりを告げられても・・・
「ああ、そうか」と思うだけだ

しかし・・・
それでも今日また1つ・・・
疑問の答えが出た・・・



新一・・・
この子供・・・結局使わなかった・・・
何の変哲もない人間の子供だ・・・

人間たちの手で・・・
普通に育ててやってくれ・・・



・・・
この前人間のまねをして・・・
鏡の前で大声で笑ってみた・・・

・・・
なかなか気分が良かったぞ・・・


田村玲子の肉体はそこで力尽き、
寄生生物としての彼女の命もまた尽きました。

最期まで彼女は戦うことも逃げることもせず、
赤ん坊を泉新一に託すことを第一の目的として、
その目的が果たされると安心したように
死んでいきました。



この出来事は泉新一が長く思い煩っていた"胸の穴"を
解消するきっかけになりますが、それはまた別の話・・・。


  田村玲子を考える

思えば、田村玲子の存在は最初から異質なものでした。

寄生生物を人間に対する未知の脅威として描いていた序盤から
彼女はすでに生物としての寄生生物は一体なんなのかという考えを
披露していました。

単純に学術的探究心からのみの思索かと思えばそうでもなく、
寄生生物たちの未来のためにコミュニティ形成に尽力するなど
同種のなかまたちのために行動していたふしもあります。

一方で、人間に対する興味・関心も他の寄生生物たち以上にあり、
さまざまな方法で人間を研究していたようです。
なにより人間の子供を実際に育てるという行動が
彼女の思想に大きな影響を与えたのは間違いないと思います。

「これまでに38人殺した」

と、寄生生物にとっては食料でしかない人間の
生命を奪った数をちゃんと数えて覚えているあたり、
人間を単なる食料や実験材料として見ていないことが
うかがえます。

考えに考え抜いて、彼女の出した結論は

 寄生生物と人間は1つの家族

でした。

冷血な存在として描かれつづけてきた寄生生物である彼女が
このような人間的暖かみのある結論にたどり着いたのは驚きでした。

思えば、田村玲子は作中、人間的感情が芽生えかけたことが
たびたびありました。
その顕著な例が、倉森の狼狽を思い出し笑いする場面だったり
最期、自らが死ぬことをいとわずに新一に自分の子供を託す場面
だったりするわけですが、
これは寄生生物である彼女が徐々に自分を変化させて
「人間的」になっていっている(進化?)ことを表しています。

『寄生獣』の物語のラストでは、
寄生生物たちはそれぞれの個体差(個性)でもって
さまざまに変化してゆくことが示唆されますが、
「田村玲子」は物語上、最初にあらわされた
寄生生物たちの変化の前兆と言っていいでしょう。

余談ですが、
彼女は泉新一を「人間と寄生生物の中間の存在」として
自分の考えを聞いてほしいと言って、
先に書いたような「人間と寄生生物は家族」というような
考えを新一に伝えました。

これに対比するかのように、『寄生獣』最終回では
人間の殺人鬼・浦上が同じように「人間と寄生生物の中間の存在」
である新一に自分の考えを披露します。
その考えは、「人間はもともととも食いする生き物。寄生生物なんて必要ない」
だったわけで、寄生生物・田村玲子が物語中に提示した考えと
ラストで人間・浦上が提示した考えとが対立するようになっていて
物語にほんのスパイスを一味添えています。

こういった物語の深みの部分においても、
田村玲子の存在は大きなものでした。



死に際もひときわ印象的で、
多くの読者の心になにかしらの影響を与えたことと思います。


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【幽遊白書】原作とアニメの演出方針の違いについて語る

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『幽☆遊☆白書』が好き! という人はたくさんいると思いますが、

 アニメだけしか観てない人
 原作だけしか読んでない人
 アニメにも原作にも両方触れた人

によって、この作品に対する印象はまるで違うと思います。

要するに『幽☆遊☆白書』はアニメと原作の印象が結構違うと
本記事では言いたいわけですが、
最初に断わっておくと、特別アニメ版が原作を無視した物語展開を
していたわけではなく、むしろ幽白のアニメはジャンプアニメとしては
比較的原作に忠実につくられた作品だったと思います。

ストーリーの改変はもちろん、オリジナルストーリーの挿入も
ほとんどなく、人気マンガのアニメ化には宿命的につきまとう
原作引き延ばし展開もありませんでした。

じゃあ何をもってそんなに原作とアニメで印象が変わったのかというと、
それは演出方針であったと思われます。






結論から書いてしまうと、
アニメ版幽白は低年齢層の少年(小・中学生)くらいを意識して
つくられていたため、後半どんどん暗く重くなっていった原作との
印象のかい離が起こりました。

では、以下に幽白の原作とアニメ版との違いをいくつかのポイントから
確認していきましょう↓


  物語展開

なんといっても、アニメ版と原作との最大の違いは
原作前半の幽助が霊体の頃のエピソードと
原作終盤の魔界統一トーナメント後の幽助たちの
日常を描いたエピソードがアニメではほとんど
省略されていたということでしょうか。



原作序盤(1話~17話まで)は、死んで霊体になってしまった
幽助が生き返るための試練を受け、霊体の状態で
さまざまな人助けをして徳を積むという
ちょっとイイ話がメインストーリーとなっていましたが、
アニメではこういう類の話を大胆にカット!

原作1話~17話までの中でも桑原がメインを張った
テストのエピソードと、螢子がメインを張った
火事のエピソードをやるにとどまりました。
原作では18話で幽助が復活しますが、アニメでは5話でスピード復活でした。




話は飛んで、原作終盤へ。
原作終盤では、魔界統一トーナメント後、171話から最終話の175話まで
その後の幽助たちの日常を描いたエピソードが展開されましたが、
やはりアニメではここらのエピソードを一網打尽にしています。
アニメでは魔界統一トーナメントが終了した次の回を
最終回としています。


これらが示すことはどういうことかというと、
アニメ版は幽白の物語の中でもバトル要素を大幅にフィーチャーしていた
といえるでしょう。

原作では、序盤の幽霊ほっこりエピソードや、終盤の冨樫先生の次回作「レベルE」
のような怪奇現象をミステリータッチで料理したような渋いエピソードも
味わいのひとつとなっていましたが、低年齢層の少年が望んでいるのは
単純にカッコイイバトル展開だろうと、バトルの一切ないような類のエピソードは
思い切りよくバッサリと省略されていました。

逆に暗黒武術会編など、全編通してバトってるようなエピソードでも
さらに大幅な戦闘描写が追加されていました。



  キャラの描かれ方

また、ストーリーのバトルフィーチャーだけでなく、
メインのキャラも、子供向けを意識した描かれ方を
されていました。



特に顕著だったのは主人公・浦飯幽助!

自分で「超不良」とか言っちゃう通り、
原作では中学生でありながら酒・タバコはもちろん、競馬にパチンコ、
果ては万引き・カツアゲ、ケンカと、
PTAのおばさま方が読んだら卒倒するような
反社会的行為の描写がさらっと入りました。

これはこの時期よくあったヤンキー漫画の主人公としては
むしろ当たり前の行為だったのですが、
さすがに子供向けを特に意識したアニメの主人公がそれでは
都合が悪かろうということなのか、
上に挙げた反社会的行為はケンカを除いて一切がカットされました。
なので、アニメ版幽助は不良というより
ケンカ好きのヤンチャ中学生といった印象が強かったと思います。

ちなみにアニメでは決め台詞として多用されていた

「伊達にあの世は見てねぇぜ!」

という台詞は原作では一言も言ってません。




飛影は原作では妙に悟った面も目立つキャラで、
特に垂金編ではずっと探してきた妹の雪菜が、垂金権造によって
長い間虐げられてきたことがわかって、その垂金を前にしても

「殺しはせん。貴様のうす汚い命で雪菜をよごしたくないからな」

と物分かりのよさを見せました。
このシーンが、アニメだと垂金をボコりにボコってトドメすら刺そうと
したところを雪菜に止められるという取り乱しっぷりを
披露していました。

おそらく、原作でのこのあたりの飛影の感情の機微が
少年にはわかりづらく、アニメではああいった形に
なったのだと思います。

また、戦闘描写では、原作では一撃必殺なパターンが多く、
飛影が戦う場合は1ページで決着が着くことも
珍しくないのですが、アニメでは戦闘描写を重視していることもあり、
多少の苦戦をみせることがありました。




蔵馬に関しても飛影同様、原作での悟った面が
アニメでは少々補完されていました。
原作では眉ひとつ動かさなかった場面でも、
アニメでは動揺する描写が入るなど、より感情が
人間臭く描かれることが多かったように思います。

蔵馬の声優の緒方恵美さんは、今でこそ
緒方恵美といえば? → 蔵馬 というイメージが
すっかり定着していますが、
この蔵馬役がデビューということもあり、
蔵馬の声が無名の女性声優だということで
アニメ放映当時は結構な批判があったようです。

今では蔵馬の声優は緒方さん以外はとても考えられないくらい
ぴったりと定着してしまいましたね。




桑原は他の3人とは違って、アニメと原作のイメージが
あまり変わりません。
もともと原作でも少年にとってわかりやすいキャラだったので
あまりイジる必要がなかったからかもしれません。

ただ、声優の千葉繁さんの強烈な演技はインパクト十分で、
原作以上の存在感を醸し出していました。

アニメでは「男・くわばら~」という口上めいた
セリフまわしが入ることもありました。



  サブキャラの追加・削除

アニメ版には、幽白アニメの特徴を体現しているかのような
個性的なアニメオリジナルキャラクターが追加されています。

その名も、ジョルジュ早乙女

コエンマの秘書の鬼という立ち位置の彼ですが、
その親しみやすい風貌とコミカルな立ち振る舞いは
子供のハートをガッシリとキャッチしたのではないでしょうか。

彼とコエンマのやりとりはそのまま小さい子供にもわかりやすい
ギャグパートとして映え、シニカルで子供にはわかりづらかった
原作のギャグ要素を子供向けに補完していました。

また、幽助たちの戦闘の様子をコエンマとジョルジュが
モニターで観戦しながらの会話は、そのまま戦闘シーンの
解説にもつながり、バトル描写の補強といった役割も果たしていました。


ジョルジュ早乙女のような、アニメで追加されたサブキャラが
いた反面、原作よりも出番が減らされたサブキャラもいました。



それは、幽助の母親・浦飯温子さん!
原作では暗黒武術会で息子の戦いっぷりを観戦していましたが
アニメではそもそも暗黒武術会には同行せず、
武術会編での登場は一切ありませんでした。

たしかに、原作での温子さんの様子はどこかのんきで、
暗黒武術会の雰囲気に対してちょっと場違い感はありました。
100%戸愚呂を目の前にして「くされマッチョ」とか
「てめーあたしが相手だ」とか言っちゃうくらいでしたからね。

原作ではわりとシリアス目な展開でもこういった
ゆるいノリはちょいちょい挿入されていたのですが、
アニメはギャグはギャグ、シリアスはシリアスできっちり
分けて演出されていたので、温子さんのこーゆーノリは
演出方針にそぐわなかったのでしょう。
それか、自分の息子が命がけの戦いをしているのを
酒飲んで観戦っていうのが倫理的にどうなのか、とか
そういう配慮もあったのかもしれません。

皮肉にも、ジョルジュ早乙女の追加と温子さんの除外が
そのままアニメと原作のギャグ演出の違いにも
つながっています。


  残虐な描写・わかりづらいセリフまわしの変更



特に魔界の扉編以降の話になりますが、
原作では残虐な描写やエグめな話が目立つようになっていきます。
原作読者はこのあたり、トラウマもののエピソードや演出に
いろいろ思うところあったと思いますが、
さすがに健全な少年が観るようにつくられたアニメ版では
こういった残虐描写は緩和されていました。



また、ちょっと子供には意味合いがわかりづらいセリフまわしも
原作では多くなっていましたが、こういったセリフもことごとくわかりやすく
差し替えられていました。

原作では魔界の扉編以降は序盤から考えると明らかに
ノリが変わっており、暗く重い雰囲気と、大人っぽい
エピソードや演出が魅力となっていましたが、
アニメでは極力話の雰囲気が暗くなりすぎないように
気を配られていたような印象があります。


  最終回のちがい



魔界統一トーナメントは、原作では幽助VS黄泉戦の途中で
戦闘シーンのばっさりカット&幽助の人間界帰還が
あっさりとしたタッチで描かれました。
その後、日常回や初期のオカルトコメディノリの話を
数話ほどやったあとに最終回となりました。

アニメでも黄泉戦後にトーナメントの内容が省略されたことには
変わりませんが、蔵馬VS時雨戦や飛影VS躯戦がきっちり描かれる等、
やはり戦闘描写が充実していました。
蔵馬は時雨との戦闘において、終盤は南野秀一の姿で戦うことで
妖怪よりも人間として生きるということが象徴されました。
飛影は原作ではトーナメント後の日常回で展開された躯との
心の交流を、この戦闘において行ったということで、
戦闘を通じてエピソードを進めるというアニメ版初期からの
演出方針はいまだ健在といった感じでしょうか。

そして、飛影・蔵馬の戦闘終了後、幽助VS黄泉戦が行われ、
この戦いの後、アニメ幽遊白書は最終回を迎えます。
原作では何回かやった日常回はやらずに、戦闘が終わったら
すみやかに大団円を迎えるという、アニメ版の演出方針を
とことん貫き通した形となりました。

アニメの最終回はこんな感じ↓




原作ではあっさりとしていた幽助の帰還が
最大のヤマ場として描かれ、ヒロイン・螢子との
軽いラブでもってさわやかにシマりました。


これに対し、原作のクライマックスはこうです。



最終回前話。
幽助たちの最後の戦いの相手は、なんと霊界の宗教テロリスト。
これまた原作終盤のブラックノリを最後まで貫いた形となります。
異次元砲の三つのボタンを前にした幽助にとっての究極の選択問題が
最大のヤマ場として描かれました。




そして、それから・・・

月日はたち、亡くなった幻海師範の遺言状の開示の場が
最終回の舞台となります。





夕日の海岸で幽助が究極の選択の答えを
選んだクサい理由が公開され、それを聞いた螢子が
幽助をともなって海へダイブ!
みんな笑顔でのハッピーエンドとなりました。


  自分なりに語れ!

自分は『幽☆遊☆白書』という作品を、原作はもちろん、
アニメにも触れて楽しんできました。

年代を正確に特定されることを恐れずに書きますが、
自分が幽白に触れたきっかけとなったのは、
小学校高学年のときに観たアニメ版の乱童だか四聖獣だか
あのあたりのエピソードからだったと記憶しています。
その後、すぐにどハマりして原作本を買い込み、
たしかその当時は暗黒武術会編真っ最中の
小学生にとっては一番盛り上がる時期でした。

その後始まった魔界の扉編もわりとすんなり受け入れ、
いや、むしろ中学校入学直前の思春期の少年にとっては
興味深いエピソードの数々であり、その頃増えてきた
原作のブラックな演出にも徐々に染められていったのを
憶えています。

たぶん、中二病の一種だったのだと思いますが、
原作のシニカルなノリを好むあまり、だんだんと
アニメ版のベタなノリが苦手になっていきました。

アニメでは魔界の扉編の後半や魔界統一トーナメント戦は
ほとんど観てなかったかもしれません。

今思うともったいないことをしたなーと感じます。
アニメはアニメで明確なターゲットがあって
つくられているわけで、ごちゃごちゃ言わずに
原作とアニメ両方満喫して違いを楽しむくらいの
気概が当時の自分にはなかったのかと、
ほとほと昔の自分の狭量さにはあきれます。

まー、それも今となってはよきおもひで・・・。

こんな感じで最後ちょっとグダりましたが、
幽白の原作とアニメについて語ってみました。
シマらないですが、ここらで終わりにしときます。

余談ですが、アニメ幽白の演出を担当していたスタッフに
今ではアニメ製作会社・シャフトでよく監督を務めている
新房昭之氏の名前があります。
今では印象的な演出の代名詞になっているような氏ですが、
この当時はどんな演出をしてたのかなーとちょっと
興味あるところです。

機会があったらアニメ版をまとめて観返してみたいですね。
原作はもう何十回も読み直してますが・・・。

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【ダイ大・ロト紋読み比べ】魔物との戦闘シーンについて

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以前、【ダイ大・ロト紋読み比べ】作中の経過時間についてという記事で
『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』と『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』
について読み比べを行いましたが、今回も別の観点から
この二作品を読み比べてみようと思います。

今回の観点は、ずばり魔物(ザコ敵)との戦闘シーン!
言うまでもなく、この二作品は『ドラゴンクエスト』の名を
冠している通り、ドラクエシリーズに登場するモンスターたちが
主人公一行の前に立ちふさがり、物語を盛り上げてくれます。
ゲームに登場するおなじみのモンスターたちが、
漫画作品の中に登場して大暴れすることもドラクエ漫画の
醍醐味のひとつです。
しかし、この二作品にはザコ敵との戦闘シーンの印象に
大きな隔たりがあることが、読み比べてみると
よくわかります。

それは一体どういうことなのか?
以下に見て行きましょう


  ザコ敵バトル in ダイの大冒険

あらためて読み直してみると、『ダイの大冒険』では
ザコ敵との戦闘シーンが意外と少ないことがわかります。
以下、ザコ敵との戦闘シーンがあった場面を
箇条書きで列挙してみます。


 ・魔の森にて、じんめんじゅ・リカントと交戦
 ・魔の森にて、ライオンヘッドと交戦
 ・(ロモス襲撃戦ではクロコダインと直接交戦のためザコ戦なし)
 ・パプニカにてがいこつと交戦
 ・(地底魔城ではほとんど逃げてやりすごしたためザコ戦なし)
 ・バルジ島から逃げる気球船上でフレイム・ブリザードと交戦
 ・バルジ島決戦にて、さまようよろい・きとうし等と交戦
 ・ベンガーナにてドラゴン・ヒドラと交戦
 ・パプニカサミット会場にて、さまようよろい・ガストと交戦
 ・北方海上にてバルログ・サタンパピーと交戦
 ・破邪の洞窟にてスライムと交戦(ムチの一閃で逃走)
 ・破邪の洞窟にてミミック、シルバーデビル、ゴーレム等と交戦
 ・バーンパレス下の処刑場でさまようよろいと交戦
 ・バーンパレス最終決戦にて魔界の魔物(DQ4,5の強敵)との交戦


全編通してもこんなもんです。
意外でしたか?
そして、リストをよくみてみるとふと気づくことがあります。

それは・・・



圧倒的なさまようよろいとの交戦率!

いや、キラーアーマーとかかもしれませんが(笑)
それにしてもズガッとこのよろいモンスターが砕かれる
シーンの多いこと多いこと。
他の交戦メニューも見てみると、なんかこう、
無機質な魔物との交戦が多いように感じます。

三条陸先生のなにかのインタビュー記事で読んだのですが、
実はこれには理由がありました。

それは、
鳥山明先生のかわいいデザインのモンスターが
痛ましくやられる姿を描きたくない
という理由だったようです。
考えてみれば、鳥山先生のかわいいデザインが生きる動物っぽい
魔物はことごとくクロコダインの配下だったわけで、
クロコダインが早々にダイたちの仲間になったことで
以降の物語では動物っぽい魔物と交戦する理由がほとんど
なくなってしまってます。
うーん、なるほどー。

しかも、注意深く各戦闘シーンを見てみると
派手にズバッと斬られたり砕かれたりしてるのは
さまようよろい系の敵だけで、他の生き物っぽい
魔物は打撃でのされたりといったマイルドな表現で
KOされている描写が目立ちました。



↑まあ、一部例外はありましたが。ノヴァ・・・。


ドラクエシリーズは人間キャラも魔物キャラも
鳥山明風のかわいらしいデザインのキャラクターたちで
構成されているので、三条先生のこういった配慮も
うなずけます。

あと、それを抜きにしてもザコ戦闘自体が少ないのは、
ジャンプ漫画の特性上、次々と現れる強敵たちとの
タイマンでの戦闘シーンに重きを置いたからでしょう。


  ザコ敵バトル in ロトの紋章

さて、それに対してロト紋はどうだったかというと・・・。

これがザコ戦闘描写はダイ大とは比較にならないほど
多かったです。
あまりに多かったので、いちいちリストアップはしません。

それよりも注目すべきポイントは他にあります。



それはザコ敵のやられっぷりの容赦の無さです!
前述の鳥山先生のかわいらしいデザインの敵が痛ましくやられる描写を
避けたダイ大の極北を行くような、まるで容赦のない描写!
あのラブリーなももんじゃが内臓ぶちまけてますからね!

この獣王グノンの軍勢と勇者一行の激しい戦闘シーンは
かなり見ごたえがあります。
たしかに描写はエグいですが、それでもこのシーンは
これくらい容赦のない描写がないとこれほどの
読みごたえにはなりません。





勇者ロトの故郷・アリアハンを獣王グノンの十万頭の軍勢が囲み、
ロトの子孫・アルスを差し出さないと町を滅ぼすと脅しをかけた結果、
アルスはアリアハンの人々から追い立てられ、たったひとりで
十万の軍勢に挑むことになります。
そのときのアルスの怒りはアリアハンの町の人々にではなく、
人々の恐怖心をあおった獣王グノンに向けられました。

こんな状況になってまで、町の人々のことを想って戦うアルスに、
読者は「勇者」の姿を見ます。
それは、たったひとりで数え切れない相手に立ち向かい、
肉を断ち、返り血を浴び、呪文で何十匹も同時に焼き尽くし、
自分たちの周囲に魔物たちの死体の山ができていくという
激しい描写でもって、十分な説得力となって
読者に訴えかけてきます。



実際、獣王グノンの軍勢との激しい戦いのシーンが
もっともロト紋で印象に残っているという人も
少なくないでしょう。



鳥山明デザインのかわいい魔物が、という視点では
このグノン編での醜悪なバブルスライムもかなりインパクト強いです。
かつて、これほど醜悪にスライム系モンスターを描いた
ドラクエ漫画があっただろうか・・・。

ちなみに、この獣王グノン編での描写もなかなかのものでしたが、
後の冥王ゴルゴナ編では、ゾンビ化されて傷ついた部分が
異種再生していくモンスターが多数登場し、
グノン編とは別の意味で容赦のないザコ敵戦闘が描かれました。



でも、まぁこんなネタっぽい一場面もありました。
左下・・・。



以上、こんな感じでダイ大とロト紋を作中のザコ戦闘描写の観点から
読み比べてみました。

まとめとしては、以前の作中経過時間の比較からも感じたことと同じく、

根本的に強敵とのバトル漫画のダイ大 と、
リアル志向の冒険漫画のロト紋 といったところでしょうか。

どっちがイイとかはないですが、(どっちもイイので)
たまには限定的な観点で真剣に読み比べてみると
より面白いですよー。

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【魔法陣グルグル2】を語る

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1992年~2003年にかけて、伝説のギャグファンタジーマンガ
『魔法陣グルグル』が連載されていました。

当サイトにちょいちょい来て下さってくれている方は
おわかりかと思いますが、本作品に対する私の思い入れは
飛び抜けて大きいです。

ざっと、今まで以下のような記事を書いてきました。

『魔法陣グルグル2』は【外伝1】につながるか?
【魔法陣グルグル】詳細解説付き・アイテム大全集
【魔法陣グルグル】くどいカオのネコを偲ぶ
細かすぎて伝わらない名場面【魔法陣グルグル編】
【魔法陣グルグル】ククリの失敗特集
【魔法陣グルグル】進化する魔法"グルグル"の魅力
【舞勇伝キタキタ】3巻発売 見どころ特集
【魔法陣グルグル】スピンオフ漫画【舞勇伝キタキタ】を特集する

正直、これでもまだ書き足りていないくらいで
まだまだ掘り下げれば記事の2,3本は書けるくらいの
ネタはつかめそうです。

・・・まぁ、それはさておき。

そんな『魔法陣グルグル』ですが、
本記事を書いているちょうど一年前、2012年11月から
ガンガンONLINEにて正当な続編となる『魔法陣グルグル2』の
連載が始まっています。
2013年7月にはコミックス一巻目も刊行されています。

で、そういえばこの『魔法陣グルグル2』について
メインを張って記事にしたことがなかったなと
ふと思い立ち、今回記事にしてみることにしました。

案外、初代グルグルの熱心な読者だった方でも、
「2」は読んでない、もしくは存在自体知らないという方が
多いかもしれないので本記事で「2」の魅力を伝える
ことができたら幸いです。

では、どうぞ


  魔王ギリとの戦いから・・・



『魔法陣グルグル2』はなんと前作からわずか2週間後の物語です(!)
前作の連載終了から「2」の連載開始までに約9年間もの間が
あいているのに、このギャップがすごい・・・。

ですが、これは過去ヒット作の久々の続編によくある、
前作主人公の子供なり後継者なりを主人公にした「二世もの」ではない
正当派続編作品であることも意味しています。



冒頭のニケのおやじのセリフでこの続編を
メタ的に茶化してるのもちょっと面白いです。

「おいしいものにはIIがある」
勇者は「II」が真骨頂なのだ!

いいこと言うなぁ。



そして伝説のシーンの再来。
あらたな魔王が出現した(かも)という国王からのおふれを見て、
ニケのおやじ渾身のカンバンダッシュが炸裂します。
このカンバンダッシュは前作グルグル第一話の再現です。
オールドファンにとっては懐かしい笑いがこみあげるところ。

ともかく、こうして勇者の真骨頂たる魔法陣グルグル「2」が
封切られました!


  ニケとククリの関係は?



前作のラストで、ククリがニケに告白し、

「勇者様という呼び方じゃなくて、これからはニケと呼んでくれ」

と、かなりイイ感じに進展した二人の関係でしたが、
それからわずか二週間後である本作ではどうなっている
かというと・・・



 ま っ た く 進 展 な し 。

うん、お約束お約束。
ちなみに、ニケとククリは前作ラスボス・魔王ギリ討伐後、
超エリート学校に入れられたようです。

二人とも14歳になり、少し大人になっていますが
結局、関係性は前作とほとんど変わっていません。


  使えなくなったグルグルは?勇者の力は?

前作終了時、少し大人になったククリはグルグルを使えなくなりました。
タイトルが『魔法陣グルグル』なのにグルグルが使えないとはこれいかに!?

また、ニケは前作さんざん苦労して手に入れた、地水火風の自然界の剣を
使用できる能力があり、これはしばらくはニケ独壇場の展開か・・・?



と、おもいきや第一話でバッチリのククリのグルグル復活きました。
本来、子供にしか使えないはずのグルグルですが、

「学校の授業がつまんない」「勉強がイヤだ」「勇者様とまた旅に出たい」

といった子供のような心がククリに再びグルグルの力をさずけます。
14歳になり大人になったかと思われたククリの心は、
まだまだ子供のままのようです。

これで、晴れてニケの光魔法キラキラと、ククリの闇魔法グルグルの
共演ふたたびか!?



と、おもいきや、ニケの方はなんやかんやで光魔法キラキラが
使用不可の模様。

結局しばらくは、ニケが敵を足止めしてククリがグルグル使用という
前作中盤あたりまでの定番スタイルでやってくことになりそうです。


  前作仲間にならなかったあのキャラたちが!?



前作最初の大きなイベントは、「キタの町」での大冒険でした。
ここで出会った3人の子供たちとともにノコギリ山の大ボスの
肩のうしろの2本のツノのまんなかのトサカの下のウロコの右
の弱点部分を突き刺して、見事討伐に成功したのでした!

前作ではキタの町の3人の子供たち「ザザ」「ミグ」「トマ」のうち、
トマだけは後の冒険で再会し、ニケたちとたびたびパーティを組むことになります。
トマはキタの町登場時は地味なキャラでしたが、
最終的には前作では「最強キャラ」との呼び声もあるほど成長しました。
反面、ザザとミグの出番は序盤っきりでした。

しかし、今回の「2」ではなんと・・・!



まさかの勇者パーティ入り!!!
これはいいサプライズ!
単行本一巻ではまだ活躍の場はありませんが、
今後の展開に期待しましょう。

そして、二人と同時に仲間になったのは前作のマスコット的キャラで
あったあの精霊・・・



こうして冒険の準備はととのいました!
勇者パーティの行く先に待つものは果たして・・・!?


  絵柄について

グルグル作者・衛藤ヒロユキ先生といえば連載中の絵柄の変動が大きい
ことで有名ですが、最近は絵柄を安定させたようで、
この『グルグル2』が始まる前に連載していた『舞勇伝キタキタ』では
ほとんど絵柄の変動もなく、安定した絵柄で連載が続きました。

本作『グルグル2』も、基本的に『舞勇伝キタキタ』の絵柄を
引き継いでいます。
とはいえ、初代『グルグル』からすると結構な変化があると思います。
この変化は進化といってよいかもしれません。

衛藤先生の、さまざまな作品の執筆を経て進化した最新の絵柄で
描くククリの多彩になった表情をみよ!↓
















個人的に、かなりククリかわいくなったと思うのですが、どうでしょう?



でもパンチラはあいかわらずのかぼちゃぱんつ。
エロさはかけらもありません。


  おまけマンガ健在!くどい顔のネコの後継者とは・・・?

グルグルおまけマンガといえば、ファンのあいだでは超有名な
くどい顔のネコですが、この記事で書いたとおり、
22歳の超長生きを経て、残念ながら永眠してしまいました。

しかし、本作『グルグル2』の単行本一巻のおまけページには
その後継ネコというべき2匹のネコの姿がありました。



ほっそり軽い「コパン」(メス)
でっぷり重い「ユンタ」(オス)

の二匹です。この二匹の今後のおまけマンガでの活躍にも
期待しましょう。
さりげに、先代くどい顔のネコの名前が「トラマル」だった
と書かれている点にも注目です。


  今後登場してほしい前作のあのキャラ

単行本一巻の収録範囲より少し先になりますが、
今後ククリが「おともだち召喚」というグルグルを習得します。

このグルグルは、要はRPGでいうとパーティ編成が自由にできる
システムで、ククリが出会った人物を呼び出していっしょに冒険する
ことができます。

今後このグルグルを利用して、冒険によってパーティ編成を
変えながら物語が展開していく可能性が高く、
そうなると前作のあのキャラとか、あのキャラとか、
いろんなキャラが出るといいなぁと妄想する次第です。



前作のひとコマ。
ここをみるだけでも、ザザ・ミグ以外に

トマ、ジュジュ、キタキタおやじ、闇のおねえさんルンルン、
闇魔法結社総裁、服職人ミウチャ、草の精霊モゲル、
高僧ガタリ、盗賊のおかしらスライ、ミルカ姫、
闇魔法使いデリダ

など、さまざまな懐かしキャラがいます。
ぜひとも「おともだち召喚」をフルに生かして
ちょいちょい登場させてくれたらなー、と
期待してます。


・・・と、思いのたけを語ってきましたグルグル2。

最新話はガンガンONLINEで無料で読めるので、
前作が好きだった人も、グルグルに初めて触れる人も
ぜひ読んでもらいたい作品です。

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週刊少年ジャンプ一年間の歩み[2013年]

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2013年も週刊少年ジャンプの記録を付けようと思います。

[昨年のまとめ記事↓]
週刊少年ジャンプ一年間の歩み[2012年]

週刊少年ジャンプの、作品内外で起きたさまざまな印象的出来事、
連載が始まった作品、終わった作品などを月単位で
列挙して簡単な感想を添えて記録に代える記事です。

2013年は少年ジャンプ創刊45周年のメモリアルイヤーです。
以下に見ていこうと思います↓

  1月

~主な出来事~

【黒子のバスケ】
VS海常戦クライマックスで巻頭オールカラーの高待遇。
(ただし彩色は委託)

【ナルト】
ネジ死亡。

【ハイキュー!】【ニセコイ】
コラボ作品「ニセキュー!!」が掲載。
ニセコイメンバーとハイキューメンバーが
ビーチバレーする話

【銀魂】
PSPでバンダイナムコからゲーム化されるということで
バンダイナムコをきわどくいじったネタあり

【クロガネ】
連載終了。一年半の連載ののち打ち切り終了のかたち。
ジャンプでは珍しい剣道マンガとして一瞬の存在感をみせたが、
題材の難しさもあり、盛り上げ切ることができずに終わってしまった。

【読み切りなど】
犬まるだしの大石先生の特別読み切り『氷上布武』掲載。
フィギュアスケートが題材。シリアスとギャグの配分に個性が光った。

~感想~

2013年一発目のジャンプは『黒子のバスケ』の
巻頭オールカラーから始まりました。
2012年の夏頃から本誌での人気が確定したこの作品、
その勢いはとどまりをみせません。
2013年の黒子の快進撃を象徴するような
巻頭オールカラーでした。


  2月

~主な出来事~

【斉木楠雄】
斉木の女体化版・斉木楠子登場

【食戟のソーマ】
前年の11月より始まったこの作品。
連載9回目にして「人気絶好調食欲増進漫画」のアオリ付き
センターカラーで掲載され、存在感をみせる

【暗殺教室】
堀部イトナの登場により殺せんせーの秘密の一端が
垣間見える

【スケットダンス】
ボッスンとサーヤの関係に決着がつく

【ハイキュー!】
連載一周年突破で表紙&巻頭カラー。
VS青葉城西戦白熱。

【伊達センパイ】
連載終了。キャラの個性で笑いをとる変人系ギャグ漫画は
ジャンプでは早々に討ち死にしてしまう印象があるが、
これもまさにそんな感じだった。

【恋するエジソン】
新連載。以前『メルヘン王子グリム』であえなく打ち切り終了
をくらった渡邊先生のリベンジ作品。前作と同じ変人系ギャグ漫画。
昨年読み切りで掲載されたものの連載化。

【ワールドトリガー】
新連載。以前『賢い犬リリエンタール』であえなく打ち切り終了
をくらった葦原先生のリベンジ作品。前作同様SFチックな作品だが、
新連載作者コメントで「今回はきびしめの世界を描こうと思います」
とある通り、前作ほどほのぼの感はない。
以前読み切りで掲載された『実力派エリート迅』の世界観を
引き継ぎ、主人公を変えて連載化。

~感想~

1作品が連載終了、2作品の新連載が投入されています。
伊達先パイ終了、エジソン開始ということでジャンプの
変人系ギャグ枠保守は継続。
そして、個人的に注目している葦原先生の新連載開始と
いうことでこの月は心躍ったものです。
この二作品の明暗については後ほど。


3月

~主な出来事~

【べるぜバブ】
連載4周年記念表紙&巻頭カラーあり。
アニメは昨年終了済だが、まだ一定の人気維持は
できている模様。

【暗殺教室】
表紙&巻頭カラーあり。
以前、連載開始3か月でもう表紙&巻頭カラー経験済の
この作品としては堂々としたもの。
学園モノではある意味定番な野球回。

【めだかボックス】
不知火不知編終了でセンターカラー。
球磨川を含めた3年生が卒業。

【銀魂】
表紙&巻頭カラー回で性転換ネタ

【食戟のソーマ】
3号連続センターカラーという無茶目の展開をみせるが
人気が確立した証拠。

【黒子のバスケ】
海常戦決着で物語は過去編へ。表紙&巻頭カラーあり。

【ワンピース】
作者急病による休載。代原で『明るい人』という
かなり個性的な4コマ作品が掲載される

~感想~

『食戟のソーマ』の人気確立が注目点と思います。
3号連続センターカラーなんてちょっと作画の
tosh..じゃなかった佐伯先生のお身体を心配してしまいます。


4月

~主な出来事~

【特別読み切り企画】
春のSP企画として、過去にジャンプで連載経験のある
(そして微妙に打ち切りっぽく終わった)作家先生方の
特別読み切り5作品が5号連続掲載されました。
作品一覧は以下

1.『さくらん(仮)』 PSYRENの岩代先生
2.『ジェダの通学路』 magicoの岩本先生
3.『W.C.フレンズ』 保健室の死神の藍本先生
4.『ぶんらんにゅーSCHOOL DAY』 針須川の叶先生
5.『てとくち』 あねどきの河下先生(原作付き)

また、上記とは別枠でベテラン先生の特別読み切りも
掲載されました。(以下)

1.『DARK PAWN-闇の質屋-』 ぬら孫の椎橋先生
2.『Moon Walker LTD』 テニプリの許斐先生
3.『マリオ』 ナルトの岸本先生。SQに本編掲載の読み切りのプレ版。

【暗殺教室】
異常教官・鷹岡に対して渚の暗殺の才能が発揮される回で
「服を引っ張ったら殺(ころ)んだので」という表現があり、
この作品らしい表現だなとほとんどの読者が違和感なく
スルーしたところ、後日ただの誤植だったことが判明。

【ワンピース】
エースのメラメラの実を賭けたコロシアム始まる

【ワールドトリガー】
第9話にしてセンターカラーあり。
派手さはないが着実に人気は獲得している証拠。
読み切り版の主人公だった実力派エリート・迅が登場

【こち亀】
連載1800回突破記念の表紙&巻頭カラーあり。

【めだかボックス】
連載終了。センターカラーにて円満終了。
連載期間はほぼ4年間。コミックス全22巻。
2期に分けてのアニメ化の機会もあり、まずまずの
人気を確立した作品といえる。


~感想~

特筆は連載経験者の特別読み切りラッシュですが、
『めだかボックス』の終了にも注目したいところです。
体裁上円満終了のような形をとっていますが、
最終回にいたるまでの掲載順の低迷をみる限りは
人気絶頂の中堂々の完結というわけではなさそうでした。
キャラ数の異常な多さとメタ演出の目立つクセのある作品で
好き嫌いがはっきり分かれた作品だったと思います。


5月

~主な出来事~

【ニセコイ】
進級して2年生編始まる。 
小野寺さんの妹登場。

【ワンピース】
作者急病による休載。代原で『磯部磯兵衛物語』という
浮世絵調のかなりインパクトのあるギャグ読み切りが掲載され、
ネット上でちょっとした話題となる。

【ナルト】
サスケのいけしゃあしゃあとした「火影になる」発言で
作中のあらゆるキャラと読者の度肝を抜く

【スケットダンス】
最終章「ラストダンス」開始。
開盟学園に新理事長が就任。その方針は生徒の個性を
抑圧するものだった。
スケット団最後の大仕事が始まる。

【ハングリージョーカー】
連載終了。天才科学者を主人公とした能力バトルモノ。
読み切り版の設定を一切投げ打っての連載開始が
印象的だったが、良いところをみせられずに終わった感。

【新米婦警キルコさん】
連載終了。元傭兵の婦警・キルコさんを中心としたドタバタギャグ。
連載開始時のネット上の人気は結構すごかったが、
バブルがはじけたように徐々に掲載順が落ちていき
最終回と相成った。
しかし、連載終了後も「ジャンプLIVE」(ジャンプのスマホ向けコンテンツ)
で『帰ってきたっ!新米婦警キルコさん』が数話掲載されるという
異例の展開をみせた。

【ソウルキャッチャーズ】
新連載。特殊能力系吹奏楽マンガというかなり個性的な作品。
他人の心が「見える」主人公が吹奏楽の指揮者に挑戦し、
さまざまな問題を抱える吹奏楽部を導く。

【無刀ブラック】
新連載。ギャグのようなタイトルだが、
中身は硬派な時代劇柔術マンガ。
 
【スモーキーB.B.】
新連載。高校野球が題材。
技巧派(スモーキー)にみえて
実は本格派(パワーピッチャー)という
主人公投手の意外性を描く。 

【読み切りなど】
他誌から出張3作品。
ヤングジャンプから『キングダム』
最強ジャンプから『魔神のガルド!』
ジャンプSQから『終わりのセラフ』
の出張読み切りが掲載。

~感想~

連載作品入れ替えの時期で、前月のめだかもあわせると
3作品が終了。さらにスケットダンスも最終章に入ります。
新連載は3作品。ですが、ソウルキャッチャーズ以外は
少し地味な印象を受けました。
ワンピースの代原の『磯部磯兵衛物語』の反響は
すごかったようで、以降ちょくちょく読み切りで登場し、
最終的には新連載となって帰ってきます。
まさに代原ワンチャンを絵に描いたような作品。


6月

~主な出来事~

【ニセコイ】
TVアニメ化決定発表記念表紙&巻頭カラー

【ワンピース】
またも作者急病による休載。そして代原は
ふたたび『磯部磯兵衛物語』

【トリコ】
連載5周年突破記念表紙&巻頭カラー
トリコVSスタージュン戦が佳境。
少し昔っぽいノリな殴り合いバトルが心地よい

【斉木楠雄】
連載1周年突破記念表紙&巻頭カラー
修学旅行編はじまる

【スケットダンス】
スイッチ、ついにしゃべる

【読み切りなど】
ワンピース代原で話題をさらった
浮世絵ギャグ漫画の作者・仲間りょう先生の
動物ギャグ読み切り『知恵熱!!ダビットさん』が掲載。

~感想~

注目はニセコイのアニメ化でしょうか。
ジャンプ作品においてアニメ化というのは
ひとつの到達点です。
マガジンやサンデーと比べてラブコメが生き残りにくい
印象のあるジャンプで、昨年のラブコメ戦国時代をも
勝ち抜きよくここまできた、といった感じです。
この時点ではまだ発表されていませんが、
ニセコイのアニメ制作は『魔法少女まどかマギカ』等で
有名なシャフト&新房昭之監督が手掛けるというのは
驚きでした。


7月

~主な出来事~

【暗殺教室】
連載1周年突破記念表紙&巻頭カラー。
殺せんせー「リアル時間で1年生き延びられてうれしい」発言。
第一回ヌルヌル黒板アート選手権を募集

【スケットダンス】
連載6周年で堂々の完結。コミックス全32巻。
ほぼすべての複線を回収したが、ボッスンとヒメコの
関係だけはうやむやのまま終わった。
ギャグありシリアスあり。バトルに走らない
ちゃんとした学園モノでここまでの期間連載できた
というジャンプでは稀有な作品だった。

【ワールドトリガー】
オサム、ユーマ、チカの3人でボーダー玉狛支部へ入隊。
このチームでA級昇格、遠征部隊選抜を目指すという
中長期目標が提示される

【ハイキュー!!】
青葉城西戦が白熱のすえ、まさかの主人公チーム敗北という
かたちで幕を閉じる。
負け演出が神がかっていた。

【クロス・マネジ】
連載終了。女子ラクロス部の男子マネージャーが主人公という
異色のスポーツマンガ。
試合描写がわかりにくかったりとスポーツマンガとしては
欠点も目立ったが、キャラ描写等魅力も多かった。
コミックス全5巻。ジャンプNEXTに特別編掲載という
やや優遇された打ち切りとなった。

【恋するエジソン】
連載終了。やはりジャンプで変人系ギャグ漫画の生存は
難しいのか。
毎週2話掲載というトリッキーな展開をするも
あまり効果はなかったようだ。

【銀河パトロールジャコ】
ここにきてまさかの鳥山明先生の新連載。
少年ジャンプ創刊45周年特別記念特大号にて
連載が開始される。
初回の鳥山先生のコメントは
ちょっと古臭い感じの内容ですが最後まで読んで
いただければなぜかわかりますよ」
と意味深な内容。全11話構成と最初から決まっていた。

【クロクロク】
新連載。妖怪専門の市役所の役員を主人公とした
妖怪どたばたモノ。ライトノベルっぽいノリが特徴。

【ひめドル!】
新連載。特殊な専門分野を学ぶ"総高専"を舞台に
美容師志望の主人公と、アイドル志望のヤンキー女子の
恋愛を描くラブコメ。

~感想~

特筆はなんといっても鳥山明先生の新連載でしょう。
読み切りではなく連載というのが驚きでした。
(1クール限定でしたが)
同時期に連載開始した新人二人には結構なプレッシャー
だったかと思います。
また、長期連載の『スケットダンス』が終了を迎えました。
昨年に引き続き、ジャンプ連載陣のフレッシュ化が促進されます。


8月

~主な出来事~

【37・38合併号のJヒロイン水着グラビアポスター】
食戟のソーマの佐伯先生渾身のJヒロイン水着グラビアポスター
連載中の作品すべてのヒロインが描かれる素晴らしき逸品。
この号直前で最終回を迎えていた無刀ブラックが
ちょっとかわいそうだった。



【黒子のバスケ】
表紙&巻頭カラーで帝光中が全中決勝戦でエグい勝ち方をする。
藤巻先生も作者コメントで「巻頭なのに暗い話ですみません」
と謝った。

【無刀ブラック】
連載終了。全12話というかなり早い打ち切りとなった。
人気低迷の原因はいろいろあったと思うが、まず題材が地味すぎた。
あとは主人公の弟子・継春にあまり魅力がなかったのも気になった。

【読み切りなど】
『いぬまるだしっ!』番外編が掲載。なぜかタイが舞台。
また、「ジャンプ異才読み切り3連弾」という企画で
ちょっと変わったタイプの読み切り掲載企画あり。
第一弾の『火ノ丸相撲』はジャンプで珍しい相撲マンガ
だったが、かなりの快作だった。

~感想~

毎年この時期になると、表紙に全作品のキャラが集合することがありますが
ここに描かれているキャラの大きさがそのまま作品の格付けにも
つながります。



ここではルフィ・ナルト・トリコが最前列
その後ろを銀さん、黒子、殺せんせー、楽
さらに後ろを両さん、創真、斉木、男鹿、日向、
あとはその他、といった感じです。
(一護がいないのはブリーチがこのときちょうど
休載中だったからです)
まだまだ、ワンピ・ナルト・トリコが三枚看板のようです。


9月

~主な出来事~

【食戟のソーマ】
表紙&巻頭カラーあり。
まだ若いこの作品ですが、表紙・巻頭を任されたら一線級で
活躍を認められている証拠です。
ここらのシリーズではからあげが実に美味しそうでした。

【ニセコイ】
少女漫画『俺物語!』との異色のコラボ漫画掲載。
なんでかニセコイは異色のコラボをすることが多い。

【ブリーチ】
プチ休載していたのが連載再開。「千年血戦篇・訣別譚」突入。
…千年血戦篇はもう1年以上前からやってますが。。

【斉木楠雄】
人気投票結果発表。応募総数は5884通。

【暗殺教室】
黒板アート大賞受賞作発表


【スモーキーB.B.】
連載終了。全15回。
無刀ブラックと同じく早い打ち切りとなりました。
原作付きだった割には物語展開に特別みどころ
がなかった気がします。

【銀河パトロールジャコ】
予告通り11話にて終了。
最終回で『ドラゴンボール』のブルマが登場し、
この物語が『ドラゴンボール』の前日譚であったことが判明する。
サプライズな展開だが、気付く読者は早い段階から気付いていた。

【HACHI】
新連載。ムヒョとロージーの西先生が描く
ダークファンタジー。
半神(ハーフ)に乗っ取られた東京を
奪還するレジスタンスたちの戦いを描く。
 
【恋のキューピッド焼野原塵】
以前に読み切りが掲載されたものが連載化。
一生モテない運命にある主人公のもとに魔王が降臨し
主人公の恋路を助けるという怪人系ギャグ+ラブコメ。
絵は荒いが主人公のモノローグによるツッコミの
言葉選びがなかなか秀逸。

~感想~

注目は銀河パトロールジャコでしょうか。
なんとドラゴンボールの前日譚だったとは…
…まー、とは言ってもそれはあくまでもオマケ要素。
鳥山先生の最終回掲載号での作者コメントにもありますが、
「ずっと描きたかったライトな漫画絵本が完成して大満足」
というのが真理でしょう。
物語構成もほとんど人気を意識しているとは思えず、
(毎回ヒキらしいヒキもなく淡々と進んで行ってた)
本当に描きたい話をのんびり描いてるんだなーって印象でした。


10月

~主な出来事~

【ハイキュー!】
TVアニメ化決定記念表紙&巻頭カラー。
作者・古舘先生
色々と楽しみですが「音」が加わることがとても楽しみ」
と渋いコメント。

【黒子のバスケ】
長い過去編が終わり、ようやく洛山戦がスタート
アニメ2期がはじまる。

【べるぜバブ】
新展開突入。舞台はなんとアメリカに!?

【こち亀】
ガールズ&パンツァーネタあり

【磯部磯兵衛物語】
新連載。ワンピースの代原がきっかけから
何度か読み切りが掲載されていたが、まさかの連載化。
異例のスピード出世浮世絵ギャグ。

【読み切りなど】
『岸辺露伴は動かない 密漁海岸』が掲載。
昨年の岸辺露伴もこの時期掲載だった。
キルコさんの平方先生の残念系ヒーローモノ読み切り
『31HEROES』が掲載。

~感想~

ハイキュー!のアニメ化がトピックス。
アニメ制作は黒子のバスケと同じくProduction I.Gが担当で
黒バスアニメヒットの実績を見込まれた形かもしれません。
2011年スタートのニセコイ、2012年スタートのハイキュー!
と相次いでのアニメ化決定はジャンプ次期主力作品の
存在感を示しています。
 

11月

~主な出来事~

【高橋和希先生の特別読み切り掲載】
『遊☆戯☆王』で超絶ロングヒットを飛ばした
生けるレジェンド・高橋和希先生の特別読み切り
『DRUMP』が掲載されました。
この号の予告では読み切りでは異例の見開き2ページを
使った大々的な予告がされていました。
内容としては、初期遊戯王を思わせるような、
トランプを使ったオリジナルゲームによる心理戦を
描くというような感じ。

【ニセコイ】
連載2周年で表紙&巻頭カラー。
第2回人気投票募集。小野寺さんの過去話。

【食戟のソーマ】
連載1周年で表紙&巻頭カラー。
秋の選抜編開幕。カレー料理対決。
それにしてもソーマは今年カラー多すぎである。

【ソウルキャッチャーズ】
コミックス2巻超人気御礼センターカラーのアオリが付き、
一時期人気が危ぶまれる掲載順だったが持ち直して
安定感が出た印象。

【クロクロク】
連載終了。同じ号で『ひめドル!』とあわせて終了という異例の形となった。
ジャンプではどの時期にも微妙な存在感の妖怪モノ漫画が
連載されているが、この作品もそんな感じだったかもしれない。
果たして次の妖怪枠は?

【ひめドル!】
連載終了。同じ号で『クロクロク』とあわせて終了。
『ニセコイ』人気の確立したジャンプではもうラブコメ
の枠は残っていないのだろうか?

【読み切りなど】
ヤンジャンから『ワンパンマン』の出張読み切りあり。

~感想~

特記は高橋和希先生の読み切りでしょうか。
見開き予告、掲載号表紙の扱いの大きさ、綴込付録付きなど
ただの読み切りとは思えないほどのプッシュっぷりでした。
内容は・・・まぁ遊戯王と同じような後出しジャンケン式
テーブルゲームバトルマンガでしたが。


12月

~主な出来事~

【ワンピース】
ルフィが泣くほどの人物登場!?というヒキで
2013年が締めくくられる。
その人物が誰なのかは年明けにわかるはず。

【銀魂】
連載10周年記念表紙&巻頭カラー。
2014年のジャンプ背表紙はオール銀魂でいくようで
まだまだジャンプ一線での牽引役の務めはある模様。

【黒子のバスケ】
連載5周年突破表紙&巻頭カラー。
皮肉にも、昨年以前からずっと続いていた
黒子のバスケ脅迫犯が逮捕されたタイミングと
この号が発売されたタイミングがほぼ一致。

【暗殺教室】
心理ゲーム「ワンナイト人狼」とのコラボで
特別綴じ込み付録が付く。
コミックス7巻にはアニメDVD同梱版もあり
これはTVアニメ化目前か?

【食戟のソーマ】
大人気御礼センターカラーでえりな様番外編。
本当にカラーが多い作品だった。
佐伯先生、一年間おつかれさまでした。

【アイアンナイト】
新連載。異形のものたちに乗っ取られた世界が舞台の
ダークヒーローもの。
少し前に始まった『HACHI』と題材がカブり気味。

~感想~

『黒子のバスケ』脅迫犯の逮捕と連載5周年突破記念が
重なったのは偶然とはいえおどろきでした。
一個人が長期間にわたって文化作品へテロ行為を行うことが
できてしまったというのは嘆くべき事実です。
今後このようなことが二度と起こらぬよう願うばかりです。


2013年のジャンプ総括

さて、週刊少年ジャンプの2013年を振り返ってまいりました。
ジャンプ創刊45周年記念のメモリアルイヤーでもある
2013年のポイントは大体以下2点というところでしょうか。

1.歴代の売れっ子作者が集結した特別企画
『ドラゴンボール』で伝説を築いた鳥山明先生の新連載
『銀河パトロールジャコ』の開始には驚かされました。
もう充分ドラゴンボールで稼いでる鳥山先生は
たまにあるイラストの仕事くらいで連載マンガを描くことは
もうないだろうと思っていただけに。
短期集中連載でしかも自分の描きたい話をのんびりと描くという
スタイルでしたが、オチでドラゴンボールと話がつながる
という読者サービスをしっかりと入れてくれたあたり
やっぱりプロの漫画家さんなんだなぁと思いました。

『テニスの王子様』で継続的大ヒットを飛ばしている
許斐先生の読みきりもありました。
許斐先生はジャンプSQで『新テニスの王子様』連載中にも
かかわらずに本誌に読みきり掲載という精力っぷりをみせています。
作品内容も許斐節炸裂しまくってて痛快でした。

そして、"ジャンプ創刊45周年最後の衝撃"として大々的に
登場したのは『遊戯王』の高橋和希先生の読みきりです。
内容は本文で触れたとおり。

こういった過去に一大レジェンドを築いた漫画家さん達が
同一年内に作品を発表する企画は45周年という
節目の年ならではこのことでしょう。

2.ジャンプ連載陣あらたな布陣
この年、若手有望作品の『ニセコイ』『ハイキュー!』の
アニメ化が決定しています。
昨年から爆売れが始まった『黒子のバスケ』のアニメ2期も開始。
また、始まったばかりの『暗殺教室』『食戟のソーマ』の人気も
ジャンプ看板を背負えるんじゃないかという勢いがあります。
長期連載であった『スケットダンス』『めだかボックス』も終了し、
新しいジャンプ連載陣の布陣がなんとなくみえてきました。

『ワンピース』『ナルト』『トリコ』が3枚看板なのは
変わらずも、そのすぐ後ろをフレッシュな看板候補
『暗殺教室』『食戟のソーマ』が担います。
昨年から快進撃を続けている『黒子のバスケ』も看板候補でしょうか。
さらにアニメ化で勢いある『ニセコイ』『ハイキュー!』
アニメ化の話こそないものの表紙&巻頭カラーを
任されることもある『斉木楠雄』が真ん中を守ります。
長期連載で安定感のある『銀魂』『ブリーチ』『こち亀』『べるぜバブ』
が両脇を固め、じわじわ人気を集めている
『ワールドトリガー』『ソウルキャッチャーズ』が後方より
うかがっているという感じでしょうか。
しんがりであわよくば人気爆発を狙う他の連載陣も
あなどれません。


以上、こんなとこでしょうか。
2014年もジャンプに楽しませてもらいます!!

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週刊少年ジャンプ一年間の歩み[2014年](上期)

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御無沙汰してます。
すっかり更新が止まってしまった本サイトですが、
細かい時間を突いてちょいちょい記事をアップして
いこうと思います。

2014年も週刊少年ジャンプの記録を付けようと思います。

[過去のまとめ記事↓]
週刊少年ジャンプ一年間の歩み[2012年]
週刊少年ジャンプ一年間の歩み[2013年]


週刊少年ジャンプの、作品内外で起きたさまざまな印象的出来事、
連載が始まった作品、終わった作品などを月単位で
列挙して簡単な感想を添えて記録に代える記事です。

2014年は少年ジャンプにとってどんな年だったでしょうか。
以下に見ていこうと思います↓


  1月

~主な出来事~

【ニセコイ】
アニメ放映直前で一挙2話掲載の号あり。
一本目はなんとオールカラーで温泉回

【トリコ】
人間界編完結。
美食會に連れ去られた小松を助けに!というヒキで
人間界編を終える。
しばしお休みで新章スタートは2月から。

【ワンピース】
昨年、ルフィが泣くほどの人物登場!?というヒキを
展開するも、その人物が誰なのかが一向に明らかにならない。
(熱心な読者にはバレバレだが・・・)

【こち亀】
艦これを題材にした回あり。

【べるぜバブ】
掲載が巻末になり、終末ムードが漂う。

【読み切り】
過去、惜しくも打ち切りを食らった作家
『パッキー』のレツ先生、『恋するエジソン』の渡邉先生
『恋染紅葉』のミウラ先生の読み切りあり。
また、後に連載化される『E-ROBOT』の読み切りも掲載される。

【その他】
・葦原先生事故による負傷でワールドトリガー1週分休載


~感想~

ワンピースのヒキに対するフェイント的な話の展開が
印象的な2014年の幕開けでした。
また、べるぜバブの終末の予感を余所に、
最終章をもう2年近く続けているブリーチが
相変わらず「最終章大熱戦センターカラー!」とかやってるのは
ちょっと滑稽な感じがしました。


  2月

~主な出来事~

【トリコ】
新章グルメ界編スタート。(本編2年の時間経過)
開幕、普通に小松がトリコと一緒に行動しており、
まさかの小松を助け出す過程を完全カットするという
大胆な演出がみられた。

【食戟のソーマ】
人気投票の結果開票。
総投票数8225票と少なめ。(1位は主人公・創真で956票)
他作品も含めてこれら人気投票の分析は後ほど行います。

【暗殺教室】
主要生徒として登場回数は多かったものの、
ほぼ話の中心となることはなかった茅野主演のエピソードが
ようやく登場する。巨大プリンを作る話。

【ニセコイ】
人気投票の結果開票。
こちらはソーマとは打って変わって高投票率。
後ほど分析します。

[完]【恋のキューピッド焼け野原塵】
魔界の王が主人公の少年の恋の手助けをするという
面白い設定のラブコメマンガでしたが、
力及ばず打ち切り終了となりました。
少し絵が粗めで、そこを敬遠されたのかもしれませんが
設定の面白さや、キャラのしゃべりの巧みさで
読ませてくれる良作だと思いました。

[完]【HACHI-東京23宮-】
上記の焼け野原塵と同じ号でのダブル打ち切りとなりました。
珍しいパターン。
半神たちに乗っ取られた東京を舞台に繰り広げられる
怪物バトル・・・が売りだと思いますが、
いまいちぱっとしなかったと思います。

[完]【べるぜバブ】
連載5年の長期連載作品でしたが、この度完結となりました。
最終回はセンターカラー。
どたばたコメディ、学園モノ、バトル、ファンタジー、
ヤンキー、育児、ラブコメとありとあらゆる要素の詰まった
一言では言い表しにくいバラエティに富んだ作品でした。
2011年-2012年までTVアニメ化もされています。
最終話は学園モノの鉄板、卒業式のエピソードで締めています。

[新]【イリーガル・レア】椎橋寛
『ぬらりひょんの孫』の椎橋先生の新連載。
モンスターハンターから狩られる立場の希少種。
その希少種達が自らを守るため、希少種犯罪対策課を
設立する。
昨年の読み切り『DARKPAWN』のキャラも登場する。

[新]【i-ショウジョ】高山としのり
最強ジャンプ出身の高山先生の新連載。
魔法のアプリをめぐる少年少女のドタバタを描く
ちょいエロラブコメ。
ジャンプでは珍しい(アウターゾーン以来?)
オムニバス形式のエピソードが特徴的。

[新]【ステルス交境曲】
(作画)天野洋一 × (原作)成田良悟
『デュラララ!』作者の成田先生が原作の新連載。
あらゆる種族が集まる街「神保町」を舞台に、
自分への攻撃を倍返しするという装置を背負った
少年・ジグを主人公に物語が展開する。

[新]【TOKYO WONDER BOYS】
(作画)伊達恒大 × (原作)下山健人
アニメ銀魂の脚本家も務めたことのある下山先生が
原作の新連載。
瀕死のサッカーチームが巻き起こす奇跡の
大逆転ストーリー。
ほんとは3月に入ってからの新連載でしたが
便宜上ここで紹介します。

【その他】
・11号にて、「ニセコイヒロインバレンタインポスター」の付録あり。
 表面はニセコイヒロインたち(千棘、小野寺姉妹、鶫、マリー、るりちゃん)
 がチョコを差し出しているイラストで、
 裏面はジャンプが誇る残念男子たちがチョコをもらうべく手を差し出しているイラスト。
 残念男子のメンツは以下
 ・古市、磯辺、殺せんせー、燃堂、新八、田中センパイ


~感想~

特筆は長期連載作品であるべるぜバブの終了でしょう。
一昨年、昨年からジャンプのフレッシュ化が進んでいますが
ここでさらにフレッシュ化が加速したことになります。
作品改編期ということで、新連載作品も4作品投下されました。
4作品の中でも、ライトノベル作家が原作者である
『ステルス交境曲』は目立っていました。
ポストめだかボックス?


3月

~主な出来事~

【トリコ】
トリコのフルコースメニューの「ドリンク」が
「ビリオンバードの卵」に決定する。
トリコのフルコースメニューの決定はセンチュリースープ以来。

【ワールドトリガー】
連載一周年突破で表紙・巻頭カラーあり。
キャラ人気投票を募集。

【磯辺磯兵衛】
ぬいぐるみ発売記念センターカラーあり。
初の長編である高尾山地獄修行編が開幕する。

【黒子のバスケ】
キャラ人気投票の結果発表あり。
詳細は後ほど。

【ソウルキャッチャーズ】
新章突入。
神峰と同じく人の心を視ることのできる力をもつ
黒条が登場。

【斉木楠男】
斉木のツンデレ祖父登場。

[完]【アイアンナイト】
ゴブリン化した人間による荒廃した
世界を舞台にしたダークヒーローもの。
ジャンプっぽくないハードな展開も目立っていたが、
あえなくの打ち切り終了となってしまった。

【読み切り】
スケットダンスの篠原先生の読み切り
『永久不滅デビルポイント』が掲載。

【その他】
・しまぶー体調不良でトリコ1週分休載


~感想~

キャラ集合系の表紙が目立った月でした。

PS3/PSVITAソフト『Jスターズビクトリーバーサス』の
(ジャンプキャラによる格ゲー)
発売に併せて、現連載陣での出場メンバーによる
集合表紙があり、

さらにはジャンプ連載の作品群を
「現実系」と「ファンタジー系」に分け、
それぞれの分類で集合表紙を展開するという
面白い試みもありました。

分類は以下の通り。納得できます??

(現実系)
ハイキュー!
ニセコイ
こち亀
暗殺教室
黒子のバスケ
斉木楠男
ソウルキャッチャーズ
i-ショウジョ
TOKYO WONDER BOYS

(ファンタジー系)
ナルト
ワンピース
トリコ
ブリーチ
銀魂
ワールドトリガー
磯辺磯兵衛
イリーガルレア
ステルス交境曲


4月

~主な出来事~

【ワンピース】
昨年のヒキの人物の正体がようやく判明。
なんと死んだと思われていたルフィの義兄「サボ」が
革命軍参謀総長として登場する!

【暗殺教室】
堀部イトナがE組に加入する。

【銀魂】
人気投票結果発表あり。
人気投票は銀さんを除いたキャラで行い、
1位になったキャラが銀さんと一緒にジャンプ表紙を
飾るという珍しいパターンでの人気投票だった。
やはり詳細は後ほど。
本編では、真撰組隊士・斉藤終が登場する。

【ニセコイ】
ここにきて新たな鍵持ちヒロインが登場。
楽が幼い頃、羽姉(ゆいねえ)と慕った
中華マフィアのボスが楽たちの担任として赴任!

【読み切り】
リボーンの天野先生の『眠寝太郎現る!!』と、
マジコの岩本先生の『黒き妖のゴゴゴ』が掲載。
また、まるで少年チャンピオンに載りそうなジャンプ
っぽくない尖った格闘技漫画『あばれ猿』が掲載。

「オールギャグカーニバル」と銘打って
以下のメンバーによるギャグ読み切りが一挙掲載された。
・大石浩二
・うすた京介
・ますだこうすけ
・地獄のミサワ

このうち、うすた京介の描いた『くまモンじゃないやつ物語』は
熊本のご当地ゆるキャラ・くまモンを面白おかしくイジった内容であり、
これを読んだ本物のくまモンが現実に集英社に直接乗り込んできて
抗議を行う、という寸劇が作品外で展開された。

また、「オールスターコラボマンガ」という
連載陣の先生方がそれぞれ選んだ他の作品世界に
自分のキャラを投入するという変わった企画が実施された。
どの作品がどの作品を選んだかは以下。

こち亀→磯辺
暗殺→ワートリ
ワンピ→ナルト
ソーマ→黒子
ナルト→黒子
ワートリ→斉木
ブリーチ→暗殺
ソルキャ→黒子
銀魂→ワンピ
イリーガル→ブリーチ
トリコ→磯辺
i-ショ→ニセコイ
ニセコイ→銀魂
ステルス→ソルキャ
ハイキュー→ナルト
東京湾→斉木
斉木→ソーマ
磯辺→こち亀


~感想~

昨年もそうでしたが、4月には変わった企画が行われる
伝統なのかもしれません。
コラボマンガはその特性上、単行本に収録されにくいので
こういった企画は切り抜きで保存しておくと
のちのち貴重な資料になりそうです。


5月

~主な出来事~

【黒子のバスケ】
ついに赤司がゾーン突入。

【ソウルキャッチャーズ】
連載1周年でセンターカラー。
作中で「作者と担当以外誰も続くと思っていなかった
吹奏楽マンガが1年続くことがスゴくないですか」
というセリフがあり、苦労が垣間見える。
キャラ人気投票募集開始。

【ハイキュー!】
連載2周年で巻頭カラー。
宮城県代表決定戦、条禅寺VS烏野戦始まる。
第二回キャラ人気投票募集開始。

【食戟のソーマ】
田所ちゃんVS黒木場のラーメン対決で
ジョジョネタあり。

[完]【TOKYO WONDER BOYS】
異例の早さでの打ち切りとなった。
明らかに6月開催のサッカーW杯を見越しての
連載だったが、まさかのW杯開幕前での終了となった。
目新しい、面白い要素がほとんどなく、
ジャンプでサッカーマンガは成功しにくい
イメージをますます決定付けた問題作。

[新]【火ノ丸相撲】 川田
昨年8月に読み切りが掲載された作品の連載化。
ジャンプで珍しい相撲マンガ。
身体の小さな主人公・潮火ノ丸が巨漢相手に
横綱相撲で立ち向かう爽快な内容が評価されたか、
連載後すぐに人気を博すこととなる。

【読み切り】
『クロガネ』の池沢春人先生の『カミドリ』掲載。
のちに連載化する後藤秀平先生の『ハイファイクラスタ』掲載。

【その他】
・『バクマン』実写映画化の情報掲載
・この頃、『ニセコイ』のアニメ終了
・どういうことかはよくわからないが、
巻末コメントでワンピの尾田先生と、
磯辺の仲間りょう先生が以下のようなやりとりを
繰り広げた。

尾田「仲間りょうのせいで侍のセリフにうっかり候ってつけそうになる。
   仲間りょう・・・」
仲間「尾田栄一郎・・・」

仲間りょう先生の『磯辺磯兵衛物語』はもともと
『ワンピース』の代原で成り上がった作品であり、
そのへんの絡みでなんらかの交流があったのかもしれません(適当)


~感想~

ジャンプ打ち切りマンガ愛好家にとってひそかに注目される
いわゆる「10週打ち切りマンガ」が久々に誕生しました。
『TOKYO WONDER BOYS』…。
ジャンプでヒットしたサッカーマンガとしては
『キャプテン翼』が超有名ですが、逆に言えば
それしかジャンプで成功したサッカーマンガはないと
言っていいかもしれません。
一応、『ホイッスル!』がアニメ化まで漕ぎ着けた
ジャンプサッカーマンガでしたが、アニメ放映中に
打ち切り終了を迎えているため、ヒット作とは言いづらい
ものがあります。

そんな東京湾とは裏腹に、読み切りで好評だった
『火ノ丸相撲』が新連載として現れました。
ジャンプでは珍しい相撲マンガとして降臨し、
すぐに人気を確立することになります。


6月

~主な出来事~

【ハンター×ハンター】
2年以上の沈黙を破り、ついに連載再開。
前回の壮大なヒキからの再開となる。
本編にてクラピカが十数年ぶりにセリフ入り登場。
(過去編の読み切り除く)

【トリコ】
連載6周年で表紙・巻頭カラー。
グルメ界を冒険する四天王は妖食界へと入る。

【ワールドトリガー】
アニメ化決定の情報が公開され、表紙・巻頭カラー。
人気投票の結果発表あり。詳細は後ほど。

【斉木楠男】
連載2周年で表紙・巻頭カラー。
「キミの好きな回投票」という少し変わった
人気投票の募集を開始。
本編では、斉木の兄・空助が登場する。

【暗殺教室】
アニメ化・実写映画化決定の情報が公開され、表紙・巻頭カラー。
キャラ人気投票の募集が始まる。

【黒子のバスケ】
真の赤司が覚醒し、洛山のメンバー全員がゾーンに突入するという
驚きの演出がなされる。

【読み切り】
のちに連載化される岩代俊明先生の『式神トワイライトデイズ』掲載。
のちに連載化される古屋樹先生の『卓上のアゲハ』掲載。
ヤングジャンプから『東京喰種』が出張掲載。
サッカー日本代表岡崎慎司選手のノンフィクションマンガ
『岡崎慎司ヒストリー 一生ダイビングヘッド!』掲載。
作画担当は過去にジャンプでサッカーマンガを連載していた村瀬克俊先生。

【その他】
・尾田先生扁桃腺切除手術のため、ワンピース2週分休載。
・葦原先生急病のためワールドトリガー1週分休載。

~感想~

やはり一番のトピックスは『ハンター×ハンター』の連載再開です。
前回の掲載から実に2年3か月ぶりの連載再開でした。
たしか、休載直前の雑誌巻末コメントで「ヒキがヒキだけになるべく早く戻ってきます」
というようなことを言っていた気がしますが・・・。
ともあれ、連載再開です。(8月から再び休載しますが)
新章・暗黒大陸編は、ゴン・キルアがほとんど登場しない物語展開となりました。

物語の構成としては、
レオリオ・クラピカが十二支んに加入し、
ハンター協会として暗黒大陸への渡航を目指す、
ジン=フリークスがカキン帝国の暗黒大陸探検チームに加入し、
パリストンをけん制しながら暗黒大陸への渡航を目指す、
カキン帝国の王子たちが次期国王の座を争いながら暗黒大陸への渡航を目指す、
という3本ほどのストーリーラインを並行で走らせるような
構成を取っており、やや難解な展開が目立ちました。


以上、2014年の1~6月までのまとめです。
ひとまずここまで。
7~12月まではまとめ完了次第アップします。

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