『あずまんが大王』という伝説の4コマ漫画をご存知ですか?
「月刊コミック電撃大王」にて1999年2月号〜2002年5月号まで、
約3年間にわたって連載された4コマ漫画作品です。
作者は現在『よつばと!』を連載中のあずまきよひこ先生です。
女子高生のキャラを中心として、彼女たちの日常生活のなかに
笑いを見出すその作風は、現在ではすっかり定着した
日常系4コマ漫画の走りとなりました。
2009年に刊行された新装版の帯には、
21世紀の4コマ漫画は、ここから始まりました
とやや大げさとも取れるコピーが掲載されていますが、
これは決して過言ではなく、
2006年に文化庁が発表した「日本のメディア芸術100選(マンガ部門)」に
選出されています。
今回は、この『あずまんが大王』に登場する不思議な関西系キャラクター
「大阪さん」こと、春日 歩(かすが あゆむ)について語ってみようと思います。
大阪からきました
大阪からはるばる東京の高校へ転校してきた春日歩。
クラスでは先生をはじめ、生徒たちの過剰な「大阪人」への
期待にちょっと戸惑います。
「春日さんってあんまり大阪人って感じしないね?
もっとうるさそーな人を想像してたけど」
というクラスメイトに
「大阪人みんながうるさいわけやないから」
と至極もっともな返答をする歩ちゃんでしたが、
「にせものー!」
と無茶苦茶言われます。
「な なんでやねん」
そして、早々についたあだ名が「大阪」!
由来はそのまんま大阪からきたから。
「そんな安直な!」
生まれは和歌山で、幼少期の育ちは神戸なんだけど
語呂の良さでほぼ強引に大阪に決まっちゃいました。
大阪にいる時はとろいとかぼーっとしてるとか
言われてきました。
「しっかりせな・・・」
大阪ではずっと走りはクラスで一番遅かった。
でも、このクラスには飛び級の小学生がいる!
まけられへん!
「まけたー!」
「やっぱ天才にはかなわへんねやろかぁー」
と、まぁ大阪さんのツカミはこんな感じです。
この頃の関西系キャラとしてはかなり異色です。
当時は関西系キャラといえば男も女も元気いっぱいで
ハキハキしたキャラばかりでしたから。
この、妙にぽーっとした関西系キャラである大阪さんは
不思議な存在感でもって、世に現れたのでした。
そして、この大阪さんの存在感は『あずまんが大王』の
回を追うごとにどんどんくっきりしていくのです・・・。
きになる
「なー パンツ一丁の「丁」ってなに?」
大阪さんが突然妙なことを言い始めます。
パンツの数え方の単位である「丁」に疑問を持ち、
さらには拳銃とパンツが同じ数え方をするのにも疑問を持ち、
「(パンツと)武器と関係が?」
どうだろう。
体育祭で綱引き激闘中!
「オーエス!オーエス!」
「オーエスってなんやろう?」
この言葉が大阪アンテナにひっかかります。
「オーエスってなんやー!?」
なんだろうね。
「赤鼻のトナカイ」の歌詞について。
「でもトナカイもトナカイやで!」
「夜道を照らす鼻ってどんなん!? なんでそんな事に!?」
「もしかしたらそいつトナカイとちゃうで!?」
はあー
そうなんです。
日常にあふれるちょっとした疑問。
普通の人ならスルーしてしまうような細かいことが
大阪さんはどうしても気になってしまいます。
こういった大阪さんの独特の感性は作品を通して
ちょいちょい披露され、大阪さんのアイデンティティー
となっていきました。
みなさんも、こういった大阪さん的感覚、どうですか?
「あるあるー」ってうなづいた人は実に大阪さん的感覚の持ち主です。
その感覚、大事にしましょう。
夢
大阪さんは、毎年1月頃になると妙な夢をみます。
その妙な世界観の夢は『あずまんが大王』作品期間
3年間を通しての新年の風物詩となりました。
一年目の夢はこんな感じ。
ちよちゃんがおさげで空を飛んでいますが、
そのおさげが不吉なことをつぶやくのを聞いた大阪さんは、
「ちよちゃんはあれに操られとるんや!」
と察知し、ちよちゃんを助けるために両のおさげを
引きぬきます。
ところが・・・
ってな感じ。
二年目はなんと大阪さん自身が他人(榊さん)の夢に入り込みます。
「たかー なすびー めざめよー」
あら縁起が良い。
三年目。
榊さんの夢の登場人物(?)であったはずの
「ちよちゃんのお父さん」に、なんと大阪さんも
会うことができました!
ちよちゃんのお父さんに、「森前首相に似てる」とか言って
激怒されたり、「ネコ舌」をアピールして
「ならばその舌ひっこ抜いてくれる!」とすごまれてました。
この一連の夢のくだりも大阪ワールドそのもの。
シュールなんだけれども「まー大阪だしなー」で
妙に納得してしまうこの感じ。
なんやろう。
たのしい
かふんしょお。
自分のくしゃみを花粉症だと指摘された大阪さん。
なぜか嬉しそうです。
「そうやねん花粉症やねん」
「へーちょ」
嬉しそうだなー
台風来る!
「うわー大変やー!」
とはしゃぐ大阪に、ずぶ濡れの智とよみが
「台風がそんなにたのしいか?」
そんな大阪さんの将来の夢は、
ドモホルンリンクルをつくる人!
「一滴一滴じっと見とくねん」
うわー適職だねー。
こんな具合に、大阪さんなりに「たのしい」と感じるポイントは
ちょっとズレてます。
ちょっとでも大阪さんに共感できたあなたは、
大阪さん的感覚の持ち主です!
大阪さんの意外な一面
作中唯一(?)大阪さんが激昂した場面があります。
兼ねてより割り箸をうまく割れなかった大阪さんですが、
ちよちゃんに割り箸をうまく割る技を教えてもらってからは
得意満面です。
この日も大学入試の願かけに割り箸をうまく割ろうとみんなに提案し、
裏技を披露しようとした矢先、話も聞かずにそうそうに割ってしまった
智ちゃんに対して、これでもかってくらいキレます。
「ご ごめんなさい… え?なんで怒られてるの?」
智ちゃんもちょい引き・・・。
運動も勉強もイマイチな大阪さんですが、意外な才能が
開花した場面が!
天才だけど頭ガチガチなちよちゃんが全然解けなかった
なぞなぞを即答に次ぐ即答!
これには天才・ちよちゃんも感心しきりでした。
「私ってどういう仕事が似合う思う?」
と大阪さんから相談されたちよちゃんは
「学校の先生なんてどうでしょう」
「大阪さんは柔軟な発想の生徒を育てます!」
とか割と本気で言い出します。
いや・・・それはちょっと・・・
ちゃうねん
「ちゃうねん」
は、大阪さん的感覚をぎゅっと凝縮して詰め込んだようなワードです。
ちよちゃんが「大阪さん弁」と言ってるのが言い得て妙すぎです。
作中ちょいちょい使われていますが(大阪さん以外も)
その使われ方は単純に「違うんですよ」というニュアンス
の範疇を超え、使用者が絶対的に困った場面でその言葉をつぶやくと
困った状況がぜんぶなかったことになるような、そんな魔法の言葉と
して使われていました。
さあ、みなさんも困ったときに使ってみましょう。
「ちゃうねん」
ザクとはちゃうねん
「ちゃうねん」はまさに魔法の言葉だったわけで、
『あずまんが大王』の連載終了からほどなくした
2002年8月に開催されたキャラクターコンベンション
「C3」の企業ブースに「よつばスタジオ」
(※あずまきよひこ先生と編集の里見英樹氏のプロダクション)
の姿がありました。
なんと、そこでは大阪さんをはじめとしたあずまんがキャラが
『機動戦士ガンダム』のモビルスーツを形態模写したイラストが展示
されるという、ちょっと聞いただけではなに言ってるのか
よくわからない個展が開かれたそうです。
具体的には、こんなイラストが展示されました↓
大阪さんがグフに! ギャンに!!
(なわとびとか傘持ってるだけだけど・・・)
こんな感じで誰が得するんだからわからないガンダム+あずまんがな
イラストと脱力必至な解説文のもと、このシュールな個展は
展開されたようですが、そもそもこういうことをやろうと思った
きっかけは、よつばスタジオの里見氏の脳内で大阪さんが
「ザクとはちゃうねん・・・」
とつぶやいたからだそうで、作品の連載終了後もなお残留する
「ちゃうねん」の大阪さん的魔力がうかがえるエピソードでした。
おわりに
なんというか、大阪さんの魅力を語るために書き始めた本記事ですが、
なにをどう書いたものやらわからずにこんな感じの
ふわっふわしたものになってしまいました。
最後、なんとかまとめようと思ってましたが全然まとまりません!
・・・ちゃうねん。
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