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Channel: 紫の物語的解釈
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【故キャラを偲ぶ】〜パクノダ編(ハンター×ハンター)

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物語途中で死んでしまうキャラを取り上げ、そのキャラの
生前の活躍などを省みてその死を悼もうというコーナー記事です。

今回は『ハンター×ハンター』の「パクノダ」を取り上げます。
危険度Aクラスの盗賊集団「幻影旅団」の構成員である彼女。
物語序盤からのクラピカの旅団への憎悪っぷりから、
幻影旅団という集団は一体どれだけ極悪な集団なのだろうと
初期からの読者は想像をつのらせていたことでしょうが、
彼女の存在が読者の旅団に対するイメージをがらりと
変えたことだと思います。

ちょうどリメイクアニメ版ハンターでもパクノダのエピソードをもって
旅団編が終結したこともあり、ここらでちょいと記事にしてみます。
では、どうぞ


  特質系念能力者・パクノダ



パクノダの念能力は記憶を探る能力。
系統でいうと「特質系」にあたります。
人や物体に触れることで、記憶の底の最も純粋な原記憶を引き出すため、
相手が別のイメージをうかべて偽証したり表面上忘れてしまっていても
正確に情報を引き出すことが可能であり、彼女の「調査」は
幻影旅団の団長の最も信頼する情報となります。



また、引き出した記憶を「記憶弾(メモリーボム)」と呼ばれる
具現化した弾丸に込めて撃つと、撃った相手にその記憶を
植え付けることができます。
記憶を引き出された本人がこの弾で撃たれるとその人は
記憶を失うという設定もありますが、こちらの設定は
物語中では登場していません。

特質系能力者ということもあり、かなり希少価値の高い念能力者であり、
旅団のなかでも能力者としての彼女は重要視されています。


  幻影旅団



パクノダが所属する「幻影旅団」について触れておきます。
幻影旅団は、通称「クモ」と呼ばれます。

団長を蜘蛛の頭、団員を12本の蜘蛛の足に見立てた13人で構成されます。
以下、簡単なメンバーリストです。

 クロロ=ルシルフル (団長)(特質系能力者)
(画像上段左から)
 ノブナガ=ハザマ (特攻)(強化系能力者)(団員No.1)
 ウボォーギン (特攻)(強化系能力者)(団員No.11)
 フランクリン (特攻)(放出系能力者)
 マチ (伝令・治療)(変化系能力者)
 フェイタン (特攻)(変化系能力者)
 ヒソカ (特攻)(変化系能力者)(団員No.4)
(画像下段左から)
 パクノダ (情報・処理)(特質系能力者)(団員No.9)
 ボノレノフ (特攻)(具現化系能力者)
 シズク (情報・処理)(具現化系能力者)(団員No.8)
 シャルナーク (情報・処理)(操作系能力者)(団員No.6)
 フィンクス (特攻)(強化系能力者)
 コルトピ (撹乱)(具現化系能力者)

このうち、結成当初からのメンバーは、
クロロ、ノブナガ、ウボォーギン、フランクリン、マチ、
フェイタン、パクノダ、シャルナーク、フィンクス
の9人となります。
最初は9人だったとかではなく、おそらく最初から13人いたのでしょうが、
多少の欠員を出しつつ、今のメンバーに至っているのでしょう。
欠員が出た場合は団長がスカウト、もしくは団員の推薦のち団長の決定により
メンバーが補充されます。
また、欠員無しのときでも入団志望者は在団員を倒すことで入団できるようです。

活動目的は主に盗みと殺しで、たまに慈善活動もします。
盗品は団長が一頻り愛でるとすべて売り払うという割り切りっぷりで、
特にお宝コレクターという側面はない模様。
団員は普段は各自が自由に行動しており、団長の招集により特定のメンバーが
特定の場所へ集結して活動を行います。
全員が集結することは数年に一度あるかないかという頻度。

旅団内には最低限のルールが定められており、団員はそれを順守します。
特徴的なのは「団員同士のマジギレ禁止。もめたらコイン」というルールで、
団員同士で意見が割れた場合、コイントスで勝った方の意見が優先されます。
頭である団長の命令は絶対ですが、生死は別で、必ずしも団長を最優先に生かす
必要はありません。
「生かすべきは個人ではなく旅団(クモ)」というこの考え方は
彼ら独特のものであり、手足はおろか頭ですらも、死んだら代わりを
補充し、旅団という組織を存続させることを最優先に考えます。

こんなきわめて特殊な組織に所属する彼らですが、
仲間意識は非常に強く、個性的なメンツながらも互いが互いを
認め合っている感じは伝わってきます。


  9月、ヨークシンシティにて

9月にヨークシンシティで行われる闇オークションの商品を
強奪するため、幻影旅団としては3年と2か月ぶりに
全員集合することになりました。
ただ、3年2か月前とはメンツが多少変わっており、
4番のヒソカと8番のシズクが新しい顔ぶれとして加わっています。



何を盗むのかという団員の問いに、
団長・クロロは「全部丸ごとかっさらう」と告げました。
歓喜に沸く団員たちは早速仕事にかかります。

が、しかし不測の事態が幻影旅団を襲います。

なんと、肉体の強さは旅団イチであったウボォーギンが
何者かに殺害されてしまったのです。

ウボォーギンを殺害したのは鎖を使う念能力者。
圧倒的な戦闘能力を誇ったウボォーギンが敗れるのはにわかに
信じがたい出来事でしたが、大暴れするのが大好きだった
彼へのレクイエムとして、幻影旅団はマフィアを相手に派手に暴れます。
オークションの品物もある程度は入手することができました。

9月4日土曜日。
団長クロロはこの夜で品物をすべて頂戴し、ヨークシンを引き上げる決断をします。
ウボォーギンを殺した鎖野郎への報復がまだだということで
引き上げることについて団員のノブナガが反対しましたが、
クロロは念能力による占いの結果を提示して引き上げる根拠をしめします。

 大切な暦が一部欠けて遺された月達は盛大に弔うだろう
 加わり損ねた睦月は一人で霜月の影を追い続ける

 菊が葉もろとも涸れ落ちて血塗られた緋の眼の地に臥す傍らで
 それでも蜘蛛は止まらない 遺る手足が半分になろうとも

この占い詩は、クロロがある女性から盗んだ念能力でした。
4〜5行詩からなり、それが今月の週ごとに起こる出来事を暗示しています。
この占いの場合、「大切な暦が〜」の詩が9月第一週目の出来事、
「菊が葉もろとも〜」の詩が9月第二週目の出来事を暗示しています。
最初の詩はウボォーギンの死を他の団員たちが盛大に弔っている様子を
暗示させ、すでに起こった出来事が予知されています。
問題は2行目の「菊が葉もろとも〜」の詩で、蜘蛛の手足が半分になる
という表現がまるで旅団員の半数が死亡することを暗示しているようでした。



ノブナガ以外の団員を占った結果、4人の団員に死を暗示させる予言が出ます。
そのなかにパクノダもいました。
パクノダの2行目の詩にはこう出ています。

 暗くてわずかに明るい日 貴方は狭い個室で2択を迫られる
 誇りか裏切りしか答えはないだろう 死神が貴方の側に佇む限り

悪い予言には必ず警告が示され、それを守れば予言を回避できると
いう点がこの能力の最大の利点であり、パクノダの場合は
迫られた2択を正しく選ぶことができれば、死を回避できることが
できるようです。

今日は9月第一週の土曜日。
来週の9月第二週には各自が死の予言を回避するように
行動することが絶対となります。
なので、クロロとしては鎖野郎とやり合わないよう9月二週目を迎える前に
ヨークシンを離れるつもりでしたが、ヒソカの占いの結果に気になる
表現があることに気が付きます。

 仮宿から出てはいけない

つまり、ヨークシンから引きあげてはいけないということになります。
クロロはこの占いの結果を受けて、結局はヨークシンに留まる決断をしました。


  鎖野郎との戦い



来週に起こるであろう鎖野郎との戦いに備えていた幻影旅団でしたが、
ふとしたきっかけでクロロが鎖野郎の所在を掴むことができました。
9月第一週のうちに鎖野郎を葬ることができれば、悪い予言は成就しないはず。
幻影旅団は鎖野郎を急襲します。

しかし



鎖野郎の仲間と思しき二人の子どもを捕えたまでは良かったものの、
一瞬の隙にクロロが鎖野郎に捕えられてしまいます。
二人の子どもの記憶を読んだパクノダは鎖野郎の顔や能力を
掴むことができましたが、「2人の記憶話せば殺す」という
鎖野郎からのメッセージを受け取りました。



この一瞬で鎖野郎(名前はクラピカというらしい)を理知的で頭の回転が速く
秘密主義の上に基本は冷徹と推察したパクノダは、このメッセージが
脅しではなく真実であると判断しました。

旅団(クモ)ではこういう場合・・・

パクノダは旅団結成当初のクロロの言葉を思い出していました。



 生かすべきは個人ではなく旅団(クモ) それを忘れるな

この場合は どうなのだろう
パクノダは悩みます。
二人の子どもから引き出した記憶から、クラピカの能力とその弱点は
わかりました。
これを今旅団のメンバーに話せばクラピカを倒すことは容易です。

でも、それにはクロロの死が高い確率でつきまといます。
話すべきか、黙すべきか・・・。
悩むパクノダに占いの一節がよぎります。

 暗くてわずかに明るい日 貴方は狭い個室で2択を迫られる
 誇りか裏切りしか答えはないだろう 死神が貴方の側に佇む限り

しかし、この占いは来週の出来事。
すくなくとも今ここで2択を迫られているわけではない・・・。
パクノダは、クロロに生きていてほしいと思いました。
パクノダは黙す決断をします。

 たとえ、それが旅団(クモ)に対する裏切りでも・・・!!




リンゴーン空港に8時。パクノダ一人で来ること。
パクノダはクラピカの要求にしたがいます。



空港でパクノダとクロロはクラピカから念の刃を心臓に刺されます。
そのうえでクラピカはパクノダに条件を提示します。

 一つ、今夜0時までに二人の子ども(ゴンとキルアというらしい)を解放すること
 二つ、クラピカについて一切情報を漏らさないこと

これに従わない場合、念の刃がパクノダの心臓を貫くことになります。
パクノダはゴンとキルアを解放するため、アジトへと戻ります。



案の定、一部の仲間からはそんな要求は飲めないと反対されました。
旅団はパクノダ支持派と不支持派に分かれ、あわや仲間割れ寸前まで
緊張が高まりましたが、ゴンの一喝によって静まります。
そして、しぶしぶながらも仲間の同意も得て、パクノダは
ゴンとキルアを連れてふたたびリンゴーン空港へと向かうのでした。

パクノダ一人から逃げようと思えば逃げられるはずなのに、
ゴンとキルアは何故か逃げようとはしません。
二人は、クラピカの仲間だからこそクラピカに人殺しは
して欲しくない、だから交換で済むならそれが一番いいと言いました。
仲間を想う気持ちに理解を示してくれたゴンとキルアに、
パクノダはただ感謝します。

そして、人質は交換され、クロロは解放されます。
ただしクロロはクラピカの念の刃により、念能力の使用禁止と
旅団員との接触禁止という制約が付けられた上での解放となります。



クロロの解放が無事に済み、ふたたびアジトに戻るパクノダに
ヒソカが告げます。
実はヒソカの「仮宿から出てはいけない〜」という占いは
偽装だったと。
ヒソカは幻影旅団員の振りをした偽りの団員でした。

ヒソカの本当の占いでは、今日この出来事が起こるのは
来週の火曜日だったはずで、しかもヒソカが退団するときには
団員は半分になっているはずだったといいます。

 運命は少しずつだけどズレてきてる




雨の中、パクノダはアジトへと戻ります。
ひとつの決断を胸にひめて。



記憶弾(メモリーボム)・・・。
一度に撃てる弾は6発。
奇しくもちょうど結成時のメンバー分でした。



パクノダは弾丸に自分の記憶、想いのすべてを込めて発射します。



仲間に自分の記憶を植え付けると同時に、
「クラピカの情報を漏らしてはいけない」という制約を受けた
念の刃がパクノダの心臓を貫きました。

 お願い 私で 終わりに・・・



パクノダの記憶を受け取った仲間たちはすべてを理解しました。

鎖野郎(クラピカ)の能力のこと。
念能力を封じられた団長のこと。
パクノダの仲間への想いのこと。

パクノダの死をもって、旅団と鎖野郎との闘争は終息します。
以降、9月にこれ以上団員が死ぬことはありませんでした。


  予言詩とパクノダの死について

この旅団のエピソードは解釈が非常に難しいエピソードです。
解釈を難しくしてるのが、予言詩。
クロロが旅団員全員分(生年月日・血液型がわからない人以外)を
占っているはずですが、作中提示されたのは一部のメンバーの
一部の詩だけ(2行目だけとか)なのが歯がゆいです。

クモの手足が半分死ぬ(つまり6人死ぬ)ことがはっきりと出ているのに、
実際に死の予言が出たのは、シズクとパクノダとシャルナークのみ。
ウボォーギンはすでに死んでいるのでこれで4人です。
あと2人はデータ不足で占えなかったフィンクス、フェイタン、コルトピの
うちの2人というところでしょうか。
クロロとしては、9月二週にそなえて死を回避するようにメンバーを
班分けしましたが、結局クラピカとの対決は9月一週目の土曜に行われます。

で、ここでパクノダの予言詩にあったような出来事が起こるわけですが、
この時点ではまだ9月一週なので予言詩にあるような「2択」は
まだ迫られないはずでしたが、パクノダは旅団にとっては
「裏切り」ともいえる行動を選択しました。

人質交換が終わったとき、時間は0時を過ぎたはずなので
ここで曜日が日曜日にかわります。
つまり、9月の第二週に突入です。
パクノダは決意を秘めて仲間のもとへと戻ります。

アジトにて、パクノダは仲間に自分の記憶を撃ちこみ
念の刃に貫かれて死亡します。
この状況こそがパクノダの予言詩に出ていた状況ではないでしょうか。

 暗くてわずかに明るい日 貴方は狭い個室で2択を迫られる
 誇りか裏切りしか答えはないだろう 死神が貴方の側に佇む限り

「暗くてわずかに明るい日」というのは、「0時過ぎたばかりの日曜日」
「狭い個室」は、「パクノダの頭の中」? それとも人質交換の現場「飛行船の個室」か?
「誇りか裏切り」は、「仲間に真実を伝えるか黙するか」ということでしょう。
「死神」というのは、「クラピカの念の刃」だと思います。

パクノダ自身の死を回避するには、もちろん黙るか偽るかという
「裏切り」を選択すべきでしょう。
ですが、パクノダはここで「誇り」を選択しました。
その結果、「死神」により命を奪われてしまいますが、
このパクノダの行動によってすべてを悟った仲間は
鎖野郎とのこれ以上の闘争は無益だと理解し、戦いは終結します。
(団長の念の刃はクラピカが死んでも消えない可能性が高いため)

つまり、パクノダの死によって他の仲間の死が回避されたことになります。

「お願い 私で 終わりに・・・」

と彼女が最期に願った通り、旅団の仲間たちはそれ以上死ぬことはありませんでした。
パクノダは、自分の命をもって死にゆく運命にあった仲間たちを救ったのです。

それは、誰よりも仲間を大切に想っていた彼女らしい最期でした。

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